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2019-01-26(Sat)

勤労統計不正 検証ずさん やり直せ 各紙社説

基幹統計56のうち22統計で不適切処理 消費税増税強行の根拠崩れた

勤労統計の不正調査を検証した厚生労働省の特別監察委員会。
検証に用いた同省職員への聞き取り調査の約半数が、実は「身内」の職員によるものだった。

不正の組織的関与が疑われるなか、肝心の検証自体が疑義とは、あまりにお粗末。
検証のやり直しが決まったのは当然だ。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、こういう不正、ずさんな統計処理のもとで、政権の都合に合わせ操作されていた。
消費税増税は、賃金などの「上昇」を根拠にした「景気回復」を前提にしてきた。
「賃金上昇」は偽りで、実際は低下していたのだから、増税は中止すべきだ。


中国新聞 2019/1/26
社説:統計不正 検証ずさん、異常事態だ
----毎月勤労統計の調査不正を巡り、厚生労働省の特別監察委員会(有識者会議)による検証のやり直しが決まった。おとといの国会の閉会中審査で与野党双方から、その中立性を疑問視する指摘が相次いだためだ。
 不正を巡る組織的関与の有無がグレーであるまま、肝心の検証自体に疑義が出るとは、あまりにお粗末ではないか。いったん報告書を出した後の再調査は異常事態というしかない。

朝日新聞デジタル2019年1月26日05時00分
(社説)勤労統計不正 客観的な検証やり直せ
----1週間足らずで取りまとめた検証報告のほころびが、早くも露呈した。
 「毎月勤労統計」の不正調査について、厚生労働省が設置した特別監察委員会が検証に用いた同省職員への聞き取り調査の約半数が、実は「身内」の職員によるものだったことが、衆参の厚労委員会の閉会中審査で明らかになった。報告書の素案を作ったのも職員だった。
 身内同士の調査をもとに、監察委が「組織的な隠蔽(いんぺい)は認定できない」と結論づけて、どうして国民の理解が得られよう。

毎日新聞2019年1月26日 東京朝刊
社説:不適切な統計の拡大 恥ずべきデータ軽視体質
----景気の動きなどを調べる政府の統計は政策の重要な土台である。にもかかわらず、おろそかにしてきた政府の姿勢があらわになった。
 政府が特に重要と指定する基幹統計56のうち、約4割の22統計で不適切な処理があったことが総務省の調査で判明した。勤労統計の不正を受けて行ったもので問題が一気に拡大した。ずさんな扱いが横行していたというのは恥ずべき体質である。
 建設工事の統計で企業が誤って報告した数値をそのまま使ったり、小売店などの販売統計で調査対象を変えたことを総務相に申請しなかったりした。不適切な統計の大半の21統計で統計法違反の疑いがある。

しんぶん赤旗 2019年1月26日(土)
主張:勤労統計不正・偽装 消費税増税強行の根拠崩れた
----厚労省が「下方修正」した数値によれば、----実質賃金が下がることになることは確実です。
 とりわけ安倍政権が21年5カ月ぶりの高い水準だと盛んに自慢してきた18年6月の現金給与総額は、公表してきた3・3%の伸びから2・8%の伸び(修正値)へと、0・5ポイントも低下しました。この時の不自然な上振れは、発表当時から問題視されていました。経済政策「アベノミクス」の成果を強調するための操作だったのではないかとの疑いも消えません。
 安倍政権はこれまで、賃金などの「上昇」を根拠に、「景気回復」は「戦後最長」になったなどと言って、10月からの消費税増税を正当化してきました。しかし、その「賃金上昇」は偽りであり、実際は低下していたのですから、増税の前提は成り立ちません。



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2019-01-12(Sat)

勤労統計偽装問題 民主主義の根幹に関わる 各紙社説

どれだけ背信重ねるのか 組織ぐるみの不正では 速やかな解明が必要だ

朝日新聞デジタル2019年1月11日05時00分
(社説)勤労統計不正 速やかな解明が必要だ
----賃金や労働時間の動向の指標となる毎月勤労統計の調査が、長年にわたって決められた方法通りに行われず、データに誤りがあることがわかった。統計法に基づく政府の基幹統計での信じがたい不正で、行政に対する信頼を揺るがす行為だ。
 なぜこんなことが起きたのか。過去のデータにどれだけの誤りがあり、その影響はどこまで及ぶのか。徹底的に調べて速やかに公表するべきだ。・・・

毎日新聞2019年1月12日 東京朝刊
社説:厚労省の不正統計 どれだけ背信重ねるのか
----厚生労働省の「毎月勤労統計」で本来と違う不適切な調査が行われ、延べ約2000万人の雇用保険と労災保険が過少給付されていた。総額は567億円に上るという。
 統計法で定められた「基幹統計」の一つで、国内総生産(GDP)の算定根拠にもなる。重要な政策の基になる統計でなぜこんなことが起きたのか。徹底した調査が必要だ。・・・

神戸新聞 2019/01/11
社説:ずさんな統計/民主主義の根幹に関わる
----賃金などの労働実態を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計調査」で、調査対象のうち東京都内の約1400事業所について、実際は約3分の1しか調べていなかったことがわかった。
 このところ、政府統計の不祥事が相次いでいる。統計の信頼性が揺らげば政策立案に影響するだけでなく、政策が効果を上げているかの検証も難しくなる。民主主義の根幹にも関わるゆゆしき事態といえる。・・・

中国新聞 2019/1/12
社説:勤労統計の不適切調査 組織ぐるみの不正では
----行政への信頼を揺るがす問題が新たに発覚した。今回は政策を練り上げる土台となる政府の調査がずさんだった。霞が関の職員はモラルを失ってしまったのか。あきれるほかない。
 賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計調査」で、不適切な調査が2004年から続けられていた。国内総生産(GDP)算出など重要な経済指標から、雇用保険の失業給付の金額の算定まで幅広い分野で用いられる国の「基幹統計」である。不適切な調査が及ぼす影響は計り知れない。・・・


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2019-01-12(Sat)

勤労統計偽装問題 過少給付567億円 保険1,973万人分

毎月勤労統計 組織的データ偽装 動機・隠ぺい 徹底解明を

「毎月勤労統計」が不適切な手法で調査されていた問題で、厚労省が調査結果を発表した。
雇用保険等の追加給付は、567億円、対象人数は1973万人だという。
確実に支払うことができるのか疑問だが、支払えば済むという問題ではない。

東京に集中している500人以上の大企業を全数調査すべきだったのを3分の1の抽出調査で済ませていた。
結果として平均給与が低く抑えられていた統計に基づいて保険給付が行われ、追加給付が必要になった。

厚労省は、2004年からやっていたらしい。
さらに、昨年1月分の調査から全数調査をしたように見せかける工作もしていた。
統計上の処理が自動的に行われるようプログラムしたソフトを作成していたという。

厚労省ぐるみの組織的偽装工作。当時の大臣にも報告されていたのではないか。
徹底解明が必要だ。

------------------------
○ 雇用保険、労災保険等の追加給付について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03208.html
(抜粋)
2 追加給付の概要 
 (1)追加給付の計算
   ・ 追加給付の計算は、本日公表を行った「再集計値」及び「給付のための推計値」を用いて行います。
 (2)追加給付の一人当たり平均額、対象人数、給付費の現時点の見通し
   ・ 一人当たり平均額等の現時点の見通しは次のとおりです。
    【雇用保険】
      一つの受給期間を通じて一人当たり平均約1,400円、延べ約1,900万人、給付費約280億円
    【労災保険】
      年金給付(特別支給金を含む):一人当たり平均約9万円、延べ約27万人、給付費約240億円
      休業補償(休業特別支給金を含む):一人一ヶ月当たり平均約300円、延べ約45万人、給付費約1.5億円
    【船員保険】
      一人当たり平均約15万円、約1万人、給付費約16億円
    【事業主向け助成金】
      雇用調整助成金等:対象件数延べ30万件、給付費約30億円
   ・ 以上については、お支払いに必要となる事務費を含め、引き続き精査します。

朝日新聞デジタル 2019年1月12日05時00分
統計不正、過少給付567億円 保険1973万人分、支払いへ
----「毎月勤労統計」が不適切な手法で調査されていた問題で、同統計をもとに給付水準が決まる雇用保険や労災保険などの過少給付額が約567億5千万円に上るとの検証結果を、厚生労働省が11日公表した。ただ、本来の調査手法に近づける補正を昨年1月からしていた動機など解明されていない点も多く、厚労省は弁護士ら外部の有識者らの協力をえて検証を続けるとしている。・・・・



○ 毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03207.html
(抜粋)
2.確認された事実
(1)全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて
「500 人以上規模の事業所」については、調査計画及び公表資料で全数調査することとしていたところ、平成 16 年以降、厚生労働省から東京都に対し、厚生労働省が抽出した事業所名簿を送付し、当該名簿に基づき抽出調査を行うこととしていました。具体的には、東京都における「500 人以上規模の事業所」の平成30 年の調査対象として抽出した事業所数は、全数調査であれば 1,464 事業所でしたが、実際に平成 30 年 10 月分の調査対象事業所数は概ね3分の1の 491 事業所でした。
なお、平成 30 年6月に、神奈川県、愛知県、大阪府に対し、「500 人以上規模の事業所」について、平成 31 年から抽出調査を行う予定である旨の連絡をしていましたが、既に撤回しました。

しんぶん赤旗 2019年1月12日
「勤労統計偽装」深刻 動機・隠ぺい 徹底解明を
----「国民にご迷惑をおかけし、心からおわびする」。失業給付の過少給付などをもたらした毎月勤労統計のデータ偽装問題で根本匠厚生労働相は11日、こう謝罪しました。一方で、職員が誤った手法をとった動機や原因については調査中だとして明らかにしませんでした。問題はどこまで広がるのか。安倍政権の責任が問われています。
昨年1月から偽装 3府県にも調査切り替え指示
----見過ごせないのは、安倍内閣・厚労省が不正調査を早くから知りながら隠ぺいし、調査データの偽装まで行っていたことです。
 同省は、昨年1月から「全数調査」に近づけるような統計処理を行ってきました。さらに、昨年10、11両月のデータについては3倍化する修正を行っていましたが、いっさい公表していませんでした。
 調査を受ける企業などには正確な報告が義務付けられ、違反には罰金もあるのに、不正な調査が行われてきたことは重大です。
 11日の発表では、神奈川県、愛知県、大阪府に対して、500人以上の大企業に対する全数調査をやめて抽出調査に切り替える連絡を行っていたことが判明(現在は撤回)。不正をごまかすために組織ぐるみで隠ぺい工作を行っていた疑いは濃厚です。



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2018-12-09(Sun)

外国人労働者問題 改正入管法の成立 各紙社説2


来年4月施行 場当たり的な対応に追われ、現場は混乱 熟議重ね根本から法律作り直せ

「来年4月から新制度が実施される。だが、多くの課題や制度上のあいまいさが山積している。このまま施行すれば政府や社会の混乱は避けられまい。」
「このまま施行されれば場当たり的な対応に追われ、現場は混乱しよう。法律は安易な社会実験の道具ではない。改めて熟議を重ね、根本部分からの法律の作り直しを強く求めたい。」

どこの新聞社の主張かというと、産経新聞だ。
内容をかいつまんでみる。

【主張】改正入管法の成立 2年待たずに見直し図れ 外国人受け入れ数の法定化を(産経新聞 2018.12.9 05:00)

----日本は今後、勤労世代人口の激減時代に入っていく。受け入れ業種は現在の14にとどまることなく、いずれ底なしに拡大していくことになろう。
 安い労働力の受け入れを続ければ産業構造の変革を遅らせる。生産性向上にブレーキがかかり、日本は衰退しかねない。

----改正入管法は、これまで認めてこなかった単純労働者の在留資格を新設し、実質的な永住に道を開く内容だ。来年4月からのスタートはあまりに問題が多い。具体的な対応策を示さないまま、政府・与党が強引に成立を図ったことは極めて遺憾である。

----新在留要件は一定の技能を持つ外国人を対象とするが、その水準は明示していない。運用上のばらつきが生じることはないのか。

----肝心の規模もあいまいだ。政府は来年度から5年間で最大34万5千人余との概数を示したが、法律には業種や人数は明記されていない。

----人手不足が解消されれば受け入れを停止する仕組みだというが、何を基準に「解消」と判断するのかも不明確だ。

----人口減少社会で重要なのは、安易に外国人で数合わせすることでは決してない。産業構造や社会構造の変革を急ぐことだ。ニーズや消費規模の変化を見通して、どのような仕事を、どれほどの期間と規模で外国人に委ねるのかを定めることが先決である。

----人手確保の順番もおかしい。国内には働く意欲があるのに機会を得られない女性や高齢者がいる。非正規雇用に苦しむ若い世代も少なくない。なぜ日本人の処遇や労働環境改善を優先しないのか。

----一時的な人手不足が解消するとしても、日本人を含む労働者の賃金水準が押さえ込まれてしまうことへの目配りがなさすぎる。

----外国人の受け入れ体制にも疑念が残る。国会審議では技能実習生への人権侵害が次々に明らかになった。低賃金や違法残業、賃金未払いに加え、暴行も発覚した。政府は技能実習生と新設する在留資格は別物とするが、そんな理屈は通用しない。
 現状を改善した上で、新資格で来日する人々を含め外国人が安心して働き、暮らせる環境を整える必要がある。だが来年4月に果たして間に合うのか。




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2018-12-08(Sat)

外国人労働者問題 入管法改正案強行 各紙社説

多くの課題を残したまま  「共生」の国はどこへ  議論は尽くせていない 安易な仕組みの矛盾

外国人労働者の受け入れ拡大を図る出入国管理法改悪案が、8日未明、政府与党の強引な国会運営で成立した。

■無にされた教訓
----外国人政策は多くの国が失敗と試行を重ねてきた難題だ。
ドイツは、戦後受け入れた出稼ぎ労働者が国を分断する一因になったと総括し、移民を認める方向にカジを切った。同じ社会の構成員として暮らしていくための支援に力を注ぐ。技能実習と似た制度が多くのトラブルを生んだ韓国は、これを廃止。04年に政府が前面に出て受け入れを調整する仕組みにし、やはり共生を重視する。
 
こうした国々の経験から何を学んだのか。法案や国会審議からはついに見えなかった。
逆にはっきりしたのは、新制度の土台である今の技能実習制度がもつ数々の問題点だ。
 
実習生の多くが、最低賃金以下での長時間労働を強いられたり、暴力を振るわれたりし、中には中絶を迫られた例もある。野党による聞き取りや参考人質疑などを通じて、深刻な人権侵害状況が明らかになった。
 
法務省は、実習生の調査を通じて内実を知りうる立場にありながら、是正に取り組まず、教訓をくむこともしなかった。それどころか、いい加減なデータを国会に提出し、審議を混乱させた。山下法相は、詳細を調査し来年3月までに実態を解明すると表明したが、順序が逆だ。
技能実習制度を温存することは、もはや許されない。・・・・
(朝日新聞 2018年12月8日05時00分)


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2018-11-27(Tue)

外国人労働者受入問題 入管法「データ偽装」 各紙社説

議論する土台が崩れた 財界言いなり政治でなく 政府機関が責任を持つ韓国


政府与党がごり押し狙う入管法案。
またもや「データ偽装」。議論の土台崩れたのに、与党は強行の構えだ。
各紙とも拙速なやり方を批判する。

毎日新聞2018年11月26日 東京朝刊
社説:就労外国人 韓国の試行錯誤 学ぶべき点は大いにある
----まず労働者の送り出し国との間で、2国間協定を結ぶ。悪質な業者を排除し、安定的に労働力を確保するためだ。韓国政府は各国に出先機関を置き、労働者の受け入れに当たるため、相手国もその信用の下で労働者を送り出せる。現在、締結国はベトナムなど16カ国に上る。
 労働者の募集や送り出しの段階まで政府機関が責任を持つ韓国の取り組みに学ぶべき点は大いにある。
 
----日本の入管法改正案では、どのような業種でどの程度の人数の労働者を受け入れるのかは政府が決める。だが、政府の関与はそこまでだ。
 実際に労働者を受け入れるのは、当該企業と、業界団体などが担う予定の登録支援機関だ。これでは仲介料目当ての悪質な人材ビジネス業者が介入する懸念が残る。

----さらに、韓国では、韓国語教育を政府の責任で実施している。伝統や文化の講座を開くなど、いわゆる社会統合政策にも取り組んでいる。欧州で外国人労働者の受け入れ数が多いドイツも政府が600時間以上の語学教育を保障している。


東京新聞 2018年11月22日
【社説】入管法改正案 議論する土台が崩れた
----外国人労働者を増やす入管難民法改正案は急ごしらえで、生煮え感が強い。特に技能実習生の失踪のデータさえ読み替えた。劣悪な待遇の実習制度を温存する法案の土台を崩す事態といえる。

----技能実習生の失踪は昨年だけで七千件を超え、居場所が確認できた約二千九百人から聞き取りをした。政府は「より高い賃金を求めた失踪が約87%」と説明したが、実際には低賃金による失踪が約67%だった。言葉の感じ方がまるで違う。
 そもそも調査時に「より高い賃金を…」の項目はなかった。ちなみに失踪前の月額給与は「十万円以下」が56・7%だ。賃金不払いの違法行為も契約不履行の低賃金も横行する世界だ。

----そして実習生は悲惨な待遇に耐えかねて逃げ出す-。決してわがままではなく、人間としての尊厳、生きるすべのためである。この現実を見ず、法案を通すのは、およそ無理がある。
 移民国家スイスでは「われわれは労働者を求めたが、やってきたのは人間だった」という作家の言葉がある。法案では新しい在留資格「特定技能1号・2号」を設ける。この人々が実習生のような非人間的な扱いを受けることがあっては決してならない。労働者である前に、人間を受け入れる、この保障がないと話は進まない。


しんぶん赤旗 2018年11月20日(火)
主張:入管法「データ偽装」 実態隠しの姿勢をあらためよ
----日本で働く外国人の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改定案をめぐって、審議の基礎となるデータの偽装や誤り、受け入れ見込み数の根拠のなさなどが次々と明らかになり、法案の根幹を揺るがす事態となっています。もともと同法案は、受け入れる分野・業種、規模が明記されていないことが大問題になっていました。

----改定案は現在の技能実習制度を温存し、多くの実習生を新たな在留資格に移すことを想定しています。その実習生の過酷な実態をごまかそうとする政府の姿勢は、外国人労働者の人権をないがしろにし、「安上がりな労働力」としかみなしていないことを示しています。政府はようやく調査原本にあたる「聴取票」の閲覧を始めましたが、隠ぺい体質は改めるべきです。

----財界言いなり政治でなく
 安倍政権が外国人労働者受け入れ拡大へ踏み出す契機になったのは、16年に経団連(日本経済団体連合会)がまとめた受け入れ促進の提言です。財界に号令をかけられ、悪法強行に突き進むやり方はあまりに異常です。外国人も日本人も権利が守られ、安心して働ける国にしていくことが重要です。



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2018-11-24(Sat)

外国人労働者受入問題 外国人緊急雇用 4割不適切

基準以下賃金や過重労働 518社のうち204社で不正あり指導

外国人建設就労者受入事業(外国人緊急雇用)は15年から開始されている。
いったん帰国して再来日した技能実習生に在留資格「特定活動」を付与するもので、
今年9月末時点で建設業では1473社に4011人が働いているという。

西日本新聞の入手した資料は、黒塗りされて22日に公表された。
それによると、調査した518社のうち204社で、不正が見つかり改善指導などしたという。

不正の内容は、給与が認定内容未満▽家賃などの過大な差し引き▽手当未払いなどのほか、
就労者名簿の作成が不十分(51件)▽過重な残業や休日労働(33件)▽預金通帳やパスポートを企業側が保管(2件)など

◇外国人緊急雇用、4割不適切 国交省調査 基準以下賃金や過重労働
----2020年の東京五輪に向けた人手不足対策として建設業で緊急的に受け入れている外国人労働者に関し、国土交通省が17年度、雇用企業に立ち入り調査したところ「日本人と同等以上」と義務付けた給与水準を下回るなど賃金支払いに問題がある企業が4割に上ったことが21日、西日本新聞が入手した同省の内部資料で分かった。外国人の緊急雇用は、日本人と同等の給与水準を保証することや、技能実習生が移行する点で、衆院法務委員会で21日に審議入りした入管難民法改正案と共通点が多いが、外国人の労働環境を保護する制度の実効性に乏しい実態がうかがえる。

----外国人の緊急雇用は15年に受け入れを開始。いったん帰国して再来日した技能実習生に在留資格「特定活動」を付与する。企業側には労働関連法令の順守も義務付けている。雇用企業は国交省の認定が必要で、今年9月末時点で建設業では1473社に4011人が働いている。
 資料は、雇用企業が認定申請の際に提出した労働条件を守っているかどうかについて、業界団体に委託した調査をまとめた。それによると、立ち入った518社のうち204社で、給与が認定内容未満▽家賃などの過大な差し引き▽手当未払い-などがあり、同省が行政指導した。
 就労者名簿の作成が不十分(51件)▽過重な残業や休日労働(33件)▽預金通帳やパスポートを企業側が保管(2件)-など、現行の技能実習制度で指摘される問題点と同様の事例も見つかった。
(西日本新聞 2018年11月22日 06時00分)

◇建設業で緊急雇用の外国人、4割の企業で賃金に問題
----菅義偉(すが・よしひで)官房長官は22日午前の記者会見で、平成27年から建設業で受け入れている緊急雇用の外国人労働者をめぐり、国土交通省の調査で賃金支払いに問題がある企業が4割に上ったとの一部報道について「昨年度行った巡回指導のうち、約4割、約200の会社で当初の計画を下回る条件で賃金支払いなどがみられた」と話した。
(SankeiBiz-2018.11.22 11:49)


◇特定活動→特定技能1号に 建設・造船業、外国人労働者
----建設・造船業界で特例として認められていた外国人労働者の受け入れ制度について、政府は来年4月導入を目指す新たな在留資格の「特定技能1号」に移す方針を示した。移した時点で、特例制度は廃止する。菅義偉官房長官が22日の記者会見で表明した。
(朝日新聞デジタル2018年11月23日05時00分)



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2018-11-17(Sat)

入管法改正案 これでは議論できない 各紙社説

失踪実習生、データ誤り 政府訂正 審議先送り ずさんなデータ 付け焼き刃ぶりが表れた

◇社説:就労外国人 ずさんなデータ 付け焼き刃ぶりが表れた
----外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案をめぐり、法務省が衆院法務委員会に提出した資料のデータに誤りが見つかった。
 入国管理局が昨年、失踪後に所在を確認した技能実習生2870人に行った聞き取り調査で、失踪動機として「より高い賃金を求めて」と回答した割合が約87%から約67%に訂正された。ほかの回答を誤って算入していた「計上ミス」と法務省は説明するが、あまりにもずさんだ。・・・
(毎日新聞2018年11月17日)


◇失踪実習生、データ誤り 政府訂正 審議先送り
----外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案を巡り、法務省は十六日の衆院法務委員会理事懇談会で、失踪した外国人技能実習生に関する調査結果を発表し、事前に説明した数値に誤りがあったとして訂正した。当初の説明に比べ、失踪の原因として受け入れ先の指導の厳しさや暴力を挙げる回答が増え、劣悪な労働環境が浮き彫りとなった。同日予定された実質審議入りは見送られた。・・・ 
(東京新聞 2018年11月17日)


◇(社説)入管法改正案 これでは議論できない
----政府の説明を聞けば聞くほど、審議に堪える内容ではないことがはっきりしてきた。この国会の焦点である出入国管理法改正案のことだ。
 野党側から求められていた外国人労働者の受け入れ人数と対象業種について、政府はようやく「14業種で初年度最大4万8千人、5年間で35万人」とする試算を明らかにした。
 だが根拠は不明瞭だ。今後の労働市場の動向や賃金水準なども踏まえて、政府として精査した数字なのか。それとも業界の要望を積み上げただけなのか。さらに詳しい説明が必要だ。・・・
(朝日新聞 2018年11月15日)


◇【主張】外国人材の拡大 法案の土台から築き直せ
----外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案が審議入りした。
 政府は、来年度から5年間の受け入れを最大約34万5千人とし、初年度は最大約4万8千人とする見込みを示した。業種別では介護が累計最大6万人などと説明した。
 だが、こうした数字は現時点での「入り口」の目安を示したにすぎない。5年ごとに次の5年の見込み数を提示するというのでは、将来的に何人受け入れることになるのかが分からない。・・・
(産経新聞 2018.11.15 05:00)


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2018-11-08(Thu)

外国人労働者 人権・尊厳の保障は置き去りか

見切り発車 審議に耐えられぬ 差別のない就労条件で

朝日新聞デジタル2018年11月3日05時00分
(社説)外国人労働者 見切り発車の閣議決定
----外国人労働者の受け入れを広げるための出入国管理法改正案が、きのう閣議決定された。
 見切り発車とはまさにこのことだ。社会のありようを大きく変える可能性をはらむ政策である。政府はごまかしや言い逃れをやめ、真摯(しんし)な姿勢で国会審議に向き合わねばならない。

毎日新聞2018年11月5日 東京朝刊
社説:就労外国人 首相のジレンマ 長期ビジョンが見えない
----深刻な人手不足をこのまま放置すれば、日本経済を失速させ、アベノミクスの成果どころではなくなる。
 かといって、外国人労働者の受け入れを一気に拡大すれば、右派のコアな支持層が離反しかねない。
 これが安倍晋三首相の抱える大きなジレンマだろう。

産経新聞 2018.11.2 05:00
【主張】外国人法案 国会の審議に耐えられぬ
---外国人労働者の受け入れ拡大を図るための出入国管理法改正案について政府は2日にも閣議決定を行う。
 法案はこれまで認めてこなかった単純労働を容認し、実質的な永住にも道を開く内容だ。国の形を変え得る政策の大転換であるが、政府は受け入れ規模の見通しや対象職種をどこまで広げるか、肝心の部分さえ明確にしていない。

東京新聞 2018年10月29日
【社説】外国人労働者 差別のない就労条件で
----外国の単純労働者を迎え入れる新在留資格の法案が出される予定だ。人手不足への対応だが、高度な専門人材に限っていた従来の政策から大転換となる。差別のない社会をつくるのが大前提だ。
 「移民」に対して保守層は強い反発を持っている。だから、政府は強く「移民とは異なる」と説明する。だが、高度な技術などを持つ外国人に限って就労できる-という建前は既に崩れている。


しんぶん赤旗 2018年11月4日(日)
主張:入管法改定案決定 人権・尊厳の保障は置き去りか
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-04/2018110402_01_1.html
----安倍晋三内閣が、日本で就労する外国人の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改定案を閣議決定しました。新たな在留資格の創設などを盛り込む一方、すでに深刻化している外国人労働者の人権侵害などを防ぐルールづくりは置き去りのままです。現状をただそうともせず、なし崩し的に受け入れを広げることは、無権利状態に置かれる外国人労働者の増大に拍車をかける結果しか招きません。安倍政権は来年4月の新制度開始に固執し、今国会成立を狙っています。強引に審議を進めることは許されません。


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2018-08-31(Fri)

障害者雇用 「水増し」どころか偽装だ

40年以上障害者の雇用機会を奪ってきた 2014独法で発覚していたのに放置

中央省庁の障害者雇用水増し問題、厚労省が発表した調査で半数以上がウソだった。
「水増し」というレベルをはるかに超えており、でたらめもいいところで「偽装」と呼んだほうがいい。

今回の調査は、昨年の発表分に限られたものだが、
1976年の障害者雇用率制度の導入当初からこの「偽装」が行われていたとの指摘もあるという。
40年以上にわたって多くの障害者の雇用機会を奪ってきたことになり、制度の運用を偽装してきたという大問題だ。
行政の責任はもちろん、行政に対する国会のチェック機能が問われている。

驚いたことに、安倍政権になって間もない2014年に、厚労省所管の独立行政法人「労働者健康福祉機構」で、同様の水増し問題が発覚していたという。当時の厚労相が「許し難い行為」と同機構を批判していたらしい。

独法と同じ「水増し」を、すでに多くの省庁でやっていたのに、全体の総点検も行わなかったというのだ。
昨今、日産など自動車業界で検査不正やデータ改ざんが相次いでいるが、同業者への総点検は当たり前になっている。

民間企業には総点検を指示するのに、身内の行政機関には甘い対応をしてきたということではないか。
安倍政権の「偽装」体質は、政権発足時点から内包していたとみるしかない。

こうした政権の責任も含めて全体像を、徹底的に明らかにすべきで、チェックする国会にその責任がある。

各紙社説を紹介する。


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