2018-08-21(Tue)
公共投資が地域経済下支え 堅調な都市開発需要も 賃上げ「最重要」 財政は踏み込み甘く 2018年度の経済財政白書は物価や賃金の上昇が鈍い背景を分析。その上で、ITの活用や人材投資が必要と結論づけたが、再建が遅れている財政の分析やリスク点検は不十分な内容になっているという。
「財政や社会保障のあるべき姿について、掘り下げが足りない」「国民に評判の悪い政策などにも踏み込めていない」
また、貿易摩擦についての分析もほとんどなく、世界の中で日本がどんな立ち位置をとるべきか、大局的な視点を示してほしかった、と有識者の声を伝える。(日経)
注目したいのは、公共投資に対する分析だ。
インフラ整備に充てる公共投資が、地域で経済を押し上げたり、下支えしたりする効果をもたらしているとしている点だ。
近年、整備新幹線や高速道路、港湾といった大規模事業に重点的な公共投資が行われているが、「今後の日本経済の成長力の押し上げにつながることが期待される」と茂木経済財政政策担当相がわざわざ閣議で報告までしている。
公共投資は、東日本大震災の復興事業や第2次安倍政権発足後の機動的な財政政策、2020年東京五輪・パラリンピック関連建設事業などの影響で、高水準でおおむね横ばいに推移しているとし、民間部門の経済活動を下支えする役割を果たしているとも説明。
近年の公共投資の特色として、大型工事(1件10億円以上)の割合や工期が複数年にまたがる工事の請負金額が増えているとし、その背景には整備新幹線や高速道路、港湾など大規模建設事業への公共投資が重点的に行われていることがあるという。
民間部門も都市再開発やホテル建設といった非住宅関係は継続的に増加中で、うち都市再開発は東京都心を中心に、事業所、商業、宿泊施設など幅広い用途で進んでいる。20年の東京五輪・パラリンピック後も大型再開発は続くとみて、「堅調な都市開発需要も建設投資を下支えしていくと考えられる」と予測する。住宅建設動向は、地価や建設資材、人件費の上昇に伴ってマンション価格が上昇などを背景に、全体的に弱含んでいるとする。
(日刊建設工業新聞)
要するに、安倍政権の経済政策は、大規模開発事業への重点投資をすすめ、民間の都市再開発も下支えすることで「成長」を維持していると自慢しているに過ぎない。
大型開発事業の重点投資の効果は、国民の生活目線で見ると、賃金上昇につながらない、貧困の格差の拡大、東京一極集中と地方の疲弊など広がるばかりだ。
最も問題なのは、西日本豪雨はじめ相次ぐ災害に対する防災・減災対策、イタリア・ジェノバの高速道路高架橋崩落事故などインフラ老朽化に対する維持更新事業など国民のいのち、安全を守り、確保する投資の不十分さだ。
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2018-08-20(Mon)
昨年も同型機で 2キロのパネル飛行中に落下か成田空港に着陸した米ダラス発のアメリカン航空機(ボーイング777―200型機)から、パネルが脱落していた。
約1メートル四方の重さ約2キロのパネルで、16日夕の機体点検の際に判明したという。
しかも、脱落したパネルは、昨年9月のKLMオランダ航空の同型機と同じ右主翼の付け根付近に設置されていたものらしい。
脱落したパネルは、成田空港周辺では見つかっておらず、飛行中に落下したとみられる。
国土交通省は17日に、アメリカン航空に対し、原因究明と再発防止の徹底に努めるよう求めているようだ。
同型機の同じ場所からパネルが脱落と聞けば、整備というより製造段階での不具合ではないか、と思うがどうなのだろう。
アメリカン航空に対して要求するのは当然だが、製造元のボーイング社に直接検査するなどできるようにすべきではなかろうか。
国土交通省は、2017年9月に相次いだ落下物事例を受け、11月に「落下物防止等に係る総合対策推進会議」をつくり、2018年3月に落下物対策の強化策をまとめている。
しかし、今回のような航空機の部品脱落が繰り返されるのでは、空港周辺住民の不安は募るばかりだ。
*****参考************
平成 30 年 3 月 落下物防止等に係る総合対策推進会議
落下物対策の強化策(報告書)
http://www.mlit.go.jp/common/001227631.pdf
落下物対策総合パッケージ
http://www.mlit.go.jp/common/001227643.pdf
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2018-08-19(Sun)
「不適切整備」で処分 史上初、「連続式耐空証明」取り消し事故の報告を怠るなどして国から事業改善命令を受けていた日本貨物航空が、再発防止策をまとめ国交省に提出した。
日本貨物航空は、去年から2度にわたり、機体が大きく損傷する事故を起こしていたのに国への報告を怠り、
そのうえ、機体の整備記録には改ざんが複数見つかった。航空法に違反する悪質なものだ。
そのため、国土交通省は先月20日、事業・業務改善命令を下し、「連続式耐空証明」を取り消した。
「連続式耐空証明」は、飛行に必要な検査を毎年受けなくてよいというもので、取り消しは国内の航空会社では初めてだった。
再発防止策は、運航する11機のうち3機の退役や、全日本空輸から整備担当者らの追加派遣を受けるなど整備体制を強化するようだ。
しかし、日本貨物航空の発表文書を読んで、突っ込み不足を感じる。
安全運航を担う整備部門が人員不足で、必要な整備ができなかったのはなぜか、
人員不足で必要な整備ができるはずがないわけで、人員補充せずに整備していたこと自体が安全軽視だ。
経営者の安全意識とコンプライアンス意識の徹底について、「実行動として定着させる施策がなされなかった」
違反事例の共有が「全社で行われず、全社員への情報共有、意見聴取が行われなかった」
などと分析しているが、なぜ、それがなされなかったのか。さらに深く分析すべきではないか。
いずれにしても、国交省には、安全運航が確保できるまで厳しく監視してもらいたい。 続きを読む
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2018-08-18(Sat)
異常気象続発 いまこそ教訓かみしめ 現場近くで慰霊法要
1968年8月18日未明 観光バス2台 集中豪雨・土石流にのまれ転落 ----乗客・乗員百四人が犠牲になった「飛騨川バス転落事故」から十八日で五十年。
豪雨がもたらした惨事だったが、異常気象が続発する今こそ、この悲劇がもたらした教訓をあらためてかみしめたい。
中日新聞が「半世紀経ても残る教訓」と社説を掲げている。
この事故を教訓に、事故までは一般的だった「災害が起きてから通行止め」を改めた。
69年度から、連続雨量が基準を超えたら通行止めにする「事前通行規制制度」を始めたという。
国などの管理者責任は、裁判でも確定しているようだ。
名古屋高裁は、74年11月、遺族側が損害賠償を求めた訴訟の判決で
「土砂崩れの発生は予測可能だった。道路の安全管理に不備があった」
と国に約4億円の支払いを命令、確定している。
中日新聞 2018年8月18日
社説:飛騨川バス事故 半世紀経ても残る教訓
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2018081802000119.html
岐阜県HP
飛騨川バス転落事故(8月17日豪雨災害)(1968年昭和43年)
http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/bosai/shizen-saigai/11115/siryou/hidagawabasu.html
----観光バス2台が、集中豪雨による土石流にのまれて飛騨川へ転落。104人の生命が奪われた。昭和43年8月18日午前2時11分、加茂郡白川町地内の国道41号での出来事である。
荒れ狂う飛騨川に転落したのは、乗鞍岳の観光登山に向かい、豪雨のため登山を断念して引き返す途中の観光バス2台であった。
折から県内(奥美濃)は時間雨量149ミリという、岐阜地方気象台始まって以来の集中豪雨。転落したバスからは、わずか3人が奇跡的に助かっただけであった。一か所のバス事故で104人もの犠牲者が出たのは史上初めてのことであり、きわめて悲惨な事故となった。・・・・
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2018-08-17(Fri)
位置見失いにも「帰還」 計画と違うルート飛行 航空法違反の疑い群馬県の防災ヘリコプターが墜落し9人が死亡した事故。
群馬県が、国土交通省に航空法違反の疑いがある虚偽報告をしていたようだ。
① 当該航行について、航空法第97条第2項に基づき航空局に通報した飛行計画以外の場所に離着陸し、搭乗を行っていたこと。
② 当該航空機が飛行計画で定めた飛行が終わっていない段階で、航空法第98条に基づく航空局への到着の通知を行っていたこと。
要するに、県が事前に提出した飛行計画とは異なるルートを飛行していた、
ヘリの位置を見失ない、実際は墜落していたかも知れないのに「帰還した」と虚偽の報告をしていたということ。
この虚偽報告で、捜索活動が遅れてしまった。
あまりにもずさんな運航管理ではないか。
しかも、報告したのは、県ではなく、防災ヘリの運航管理を委託していた民間の東邦航空だという。
県は、飛行計画や国交省への報告を同社に任せていたため、国交省から指摘を受けるまで、一連の問題を把握していなかったという。
防災・安全確保は国、自治体の責任だ。
その要といえる実働部分の運航管理を民間に委託していたことも問題だ。
「地域住民にとっても大きな財産を失った」と落胆する声が報道されていたが、
その財産を、ずさんな運航管理で喪失させた責任は重い。
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2018-08-16(Thu)
届け出6,600件、サイト掲載物件23,411件 違法物件掲載した仲介業者処分を民泊新法の施行から2カ月。
民泊仲介サイトに違法物件を掲載していた件数が、3000件余りにのぼり、観光庁が削除するよう指導したという。
民泊新法では、民泊の部屋を貸し出す人に自治体への届け出を義務づけている。
先月21日の時点での届け出件数は、全国で6,600件余り。
一方で、仲介サイトに掲載されている物件は23,411件だった。
この差、約16,800件は、届け出されていない件数、つまり違法の疑いのある物件。
観光庁は、確認作業を進め、これまでに3054件が違法物件と確認できたので指導したということらしい。
これから確認が進めば、違法物件はさらに増えるのだろう。
違法物件を仲介サイトに掲載するのは法違反。わかっていて掲載しているとしか思えない。
これだけ大量の違法物件をサイトに掲載する仲介事業者は、何らかの処分が必要ではないか。
あわせて、仲介事業者に、サイト掲載前に届け出の有無を自治体に確認することを義務付ける必要がある。
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2018-08-16(Thu)
39人死亡 「構造上の疑念」 民間の運営会社が管理 /道路投資 10年で1/3 イタリア・ジェノバの高速道路の高架橋崩落事故は、民間の運営会社が管理していたようだ。
副首相が、高速道路の運営会社に対し、橋の安全な維持管理を怠ったとして、契約解除と罰金1億5000万ユーロ(約190億円)の執行手続きを開始した。運輸相もフェイスブックに「悲劇の責任者は罰を受けなければならない」と投稿し、運営会社の責任を追及した、と報道されている。
民間会社がインフラ施設を管理することで、政府や自治体のコスト削減につながるかもしれない。
が、利益優先で「手抜き」も生まれやすくなる。その懸念が、現実となったともいえる。
もともと、イタリアでは、高架橋崩落事故が5年間で6度もあったという。17年3月や16年10月など。
緊縮策で、インフラ予算が大幅に削減されたことも背景にあるとも指摘されている。
イタリアでは08年の金融危機後、道路への投資額が激減したようだ。
2010年は34億ユーロで2006年の約3分の1にとどまっている。
AFP通信によると、崩落した橋は、以前から「構造上の疑念」があり、「悲劇がいつ起きてもおかしくない」状態だったらしい。
鉄筋コンクリート構造の専門家が、「使われた建築技法に関連した極めて深刻な腐食問題」があり、継続的な保守工事が必要だったと指摘していたという。イタリア当局も、2000万ユーロ(約25億円)規模の補修工事の入札を実施し、橋脚などを補強する予定だったという。
さらに、年間2500万台もの車両が通行する重要な道路だが、2009年から取り壊しが議論されてきたらしい。
この橋には100年以上の耐用年数が求められるが、完成からしばらくするとコンクリートの劣化やひびの修復のため大規模な工事が必要となっていたという。
ジェノバ建築当局の元責任者は、「50年前われわれは鉄筋コンクリートに限りない信頼を置き、永久にもつと考えていた。だが数十年しかもたないことが分かった」と記者団に語ったという。さらに、イタリアで1950~60年代に造られたインフラは「差し迫った改修の必要がある」、しっかり改修工事をしなければ今回と同様の惨事が起こるのは避けられないと警告しているという。
日本でも、2012年12月、中央道笹子トンネル天井崩落事故が発生。インフラの老朽対策が喫緊の課題となった。
外環道など新規の高速道路建設やリニア新幹線建設など大規模開発につぎ込む予算を老朽化対策に回すべきだ。
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2018-08-15(Wed)
ブロック塀19,953校に存在 点検完了98.1% 2512校が未対応文部科学省が学校のブロック塀の安全点検等状況調査結果を発表した。
国公私立の小中学校や高校、幼稚園は、全国に51,082校あるが、ブロック塀等を有する学校19,953校。
ブロック塀の安全点検を完了したのは、98.1%にあたる19,421校。
うち、安全性に問題があるブロック塀等を有する学校数は12,652校。
問題のあるブロック塀とは、塀の高さや補強の壁が国の基準を満たしていなかったり、老朽化したりしていたものをいう。
撤去または近寄れないようにするなど、応急的な安全対策を実施した学校は10,140校。
未対応2512校に対し、文科省は、速やかな安全対策を求める通知を出したという。
児童生徒の安全確保は、学校内だけでなく、校外の通学路にも問題だ。
ブロック塀が倒壊すれば、住民の避難や救護活動にも大きな障害になる。
自治体によっては、所有者に戸別訪問し撤去を促したり、軽量フェンスに替える費用を補助したりしている。
この際、通学路のブロック塀の対策も強めてもらいたい。
学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査の結果について (PDF:882KB)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/bousai/__icsFiles/afieldfile/2018/08/14/1407229_001_1.pdf

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2018-08-15(Wed)
ジェノバ 14日発生 死亡者35人 1967年開通 「建築技法に起因する非常に深刻な腐食の問題があった」イタリア北部ジェノバで、高速道路の高架橋の崩落事故が起こった。
死亡者は15日までに35人に達しているが、現場での救助活動は難航、死傷者数はさらに増える可能性があるという。
事故は14日昼ごろ、突然、高架橋が崩れ落ち、走行していた約30台の乗用車やトラックが巻き込まれたらしい。
崩落した橋は1967年に開通、何度か補修工事をしてきたらしい。
運輸相が、橋の保守点検が不十分だった可能性があると指摘しており、地元では老朽化が原因との見方が多いという。
時事通信によると、
イタリアの工学専門サイトが、崩落した橋には以前から「構造的な懸念」があり、「悲劇がいつ起きてもおかしくない状況だった」と指摘したという。
----鉄筋コンクリート構造専門のジェノバ大教授が2016年、同サイトに対し、建設予算オーバーにより測量が正確に行われていないと批判していたという。
同教授は14日、地元ラジオに「建築技法に起因する非常に深刻な腐食の問題があった」と語った。
----2年前に改修工事が行われたが、伊メディアは工事に不備があった可能性に言及している。
コンテ首相は14日夜、事故現場を訪れ、「全てのインフラを検査し、二度と同じような悲劇が起こらないようにしなければならない」と語った。
(時事通信)
高速道路の高架橋は日本にもたくさんある。
インフラ老朽化は喫緊の課題。改めて認識させられる。
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2018-08-14(Tue)
固い地盤「崩れるとは…」 決壊砂防ダム 危険周知せず 土石流 届かなかった警鐘 西日本豪雨で119人の死者を出したのが土砂災害だった。
発生件数は8月9日までに1660件、過去10年の年間発生件数で最大だった昨年1514件も超えた。
現場で何が起きたのか、発生個所ごとの実態解明が少しずつ進んでいる。
郊外の山林を造成した広島市安芸区の「梅河(うめごう)団地」。
土石流が押し寄せ、約60棟のうち約20棟が全半壊、5人が亡くなったが、土砂災害警戒区域の指定直前の惨事だったという。
土石流で住宅430戸以上が全半壊し、死者・不明者16人被害を出した被災した広島県坂町小屋浦地区。
砂防ダムがあったが決壊した。ダムでせき止めることはできないリスクを、県は住民に周知していなかったという。
ダムでせき止める計画量約9000㎥だが、県は6倍超の約55000㎥の土砂崩れを想定していたらしい。
元町議は、「砂防ダムでは太刀打ちできないと周知されていたら、避難を呼びかける町の放送を聞かずとも住民らは避難したはずだ」
学者も「犠牲者の多さは、行政が伝えたい災害リスクが住民にきちんと届かなかったことを示唆している。・・・発生する土砂の8割は砂防ダムでせき止められないなど、危険性をより実感しやすい形で届ける必要があった」と述べている(毎日新聞)。
2014年の広島土砂災害を受け、国や自治体は、土砂災害警戒区域の公表を義務付けるなど対策を強化してきたが、やはり不十分だった。
土砂災害の警戒区域は全国に約66万カ所あると推定されているが、甚大な被害が出た広島、岡山、愛媛の3県をみると、犠牲になった方々の住宅など被災した約半分は、地盤がまさ土の土砂災害警戒区域にあった。
しかし、今回は、崩壊しにくいと考えられてきた流紋岩(りゅうもんがん)など固い地盤でも地滑りが起きている。
警戒区域外の場所だ。調査した学者は、「土砂災害の危険度を地質レベルで見直すべきときに来ている」(産経ニュース)
「大量の土砂を砂防ダムで止めようとするこれまでの考え方でいいのか。危険な場所に都市を拡大しない方法はないのか。一歩踏み出して考える必要がある」(朝日新聞)と指摘している。
*******************
平成30年7月豪雨による土砂災害の発生状況(2018年8月 9日 17:00時点)
http://www.mlit.go.jp/river/sabo/jirei/h30dosha/H30_07gouu_1808091700.pdf

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