2018-08-06(Mon)
西日本豪雨 ダム放流被害 肱川氾濫
ダムの洪水調整機能は働かず ダム依存の治水対策の限界
西日本豪雨で氾濫した愛媛県の肘川の上流にある野村ダム、鹿野川ダムの大量放流によって、西予市野村町、大洲市で9人が犠牲になり、浸水被害も5千世帯を超える甚大な被害を引き起こした。
2つのダムの放流量は、野村ダムから最大毎秒約1800トン、鹿野川ダムから最大毎秒約3700トンにのぼり、いずれも安全とされる基準の6倍に達するものだった。
気候変動による大量降雨が相次いでいる最近の状況において、流入する雨水を貯水し、下流の流量を抑えるダムの洪水調整機能は働かなくなっている。
今回のダム放流被害は、ダムによる治水対策の限界を露呈したものだ。
ダムの洪水調整能力を超える降雨の場合、大量放流はさけられない。
放流操作は、いかに被害を軽減するかを考える必要がある。
2つのダムは、中小規模の洪水を想定し、事前に放流する量を少なめにしていたという。
下流の堤防整備等が遅れ、無堤防地区などが多く、中小洪水時でも浸水被害が発生していたため、放流量を少なめにして浸水を防いでいた。今回のような大規模洪水でも事前放流は少なめだったため、ダムに貯まった大量の水を急激に放流せざるを得なくなった。
急激に大量の放流をすれば、下流に流れる流量は一気に増水し、流れる勢いも増し、堤防等への衝撃も強まる。避難する時間も短くなる。つまり、少しでも緩やかな放流であったならば、被害軽減できた可能性がある。こうした点を踏まえ操作方法を見直すべきだ。
自治体及び住民への情報伝達についても見直しが必要だ。
避難指示を放流5分前に出した大洲市は、ダムの放流量を避難指示の発令基準にしていなかった。
ホットラインで連絡受けた市長は、大量の放流が「どういった事態になるか想定できなかった」と認識不足を吐露している。
野村町のハザードマップを策定していなかった西予市長は、「私を含め多くの人が、ダムが守ってくれるという安心感を持っていたと思うが、異常気象が日常化し従来通りの運用では対応できないことは明らかだ」と「ダムが守ってくれる」意識が住民にも蔓延していた。
こうした自治体や住民に規則通りの伝達をしたからと言って正確に伝わる保障はない。
ダムを放流する側である国交省が、日常的にダム放流の危険性、緊急性など認識してもらうよう責任持ち周知徹底すべきである。
具体的には、避難指示の発令基準にダム放流量をくわえること、野村町のハザードマップ策定、ダム放流の危険性や緊急性など住民の意識を変えダムの「安全神話」を一掃することなどが必要だ。
気候変動、異常気象で記録的大雨が毎年のように発生している。このもとで、ダムに貯水し下流流量を抑制する洪水調整機能が発揮できなくなっている。むしろ、今回のように、ダムが守ってくれるという「安全神話」が崩れ、ダム放流の危険性が露呈したことは、ダム依存の治水対策の限界を示している。
ダムに頼った治水対策を見直し、河川堤防の緊急整備など河川改修、遊水池整備など流域全体を視野にした治水対策に転換する必要性を痛感する。
西日本豪雨で氾濫した愛媛県の肘川の上流にある野村ダム、鹿野川ダムの大量放流によって、西予市野村町、大洲市で9人が犠牲になり、浸水被害も5千世帯を超える甚大な被害を引き起こした。
2つのダムの放流量は、野村ダムから最大毎秒約1800トン、鹿野川ダムから最大毎秒約3700トンにのぼり、いずれも安全とされる基準の6倍に達するものだった。
気候変動による大量降雨が相次いでいる最近の状況において、流入する雨水を貯水し、下流の流量を抑えるダムの洪水調整機能は働かなくなっている。
今回のダム放流被害は、ダムによる治水対策の限界を露呈したものだ。
ダムの洪水調整能力を超える降雨の場合、大量放流はさけられない。
放流操作は、いかに被害を軽減するかを考える必要がある。
2つのダムは、中小規模の洪水を想定し、事前に放流する量を少なめにしていたという。
下流の堤防整備等が遅れ、無堤防地区などが多く、中小洪水時でも浸水被害が発生していたため、放流量を少なめにして浸水を防いでいた。今回のような大規模洪水でも事前放流は少なめだったため、ダムに貯まった大量の水を急激に放流せざるを得なくなった。
急激に大量の放流をすれば、下流に流れる流量は一気に増水し、流れる勢いも増し、堤防等への衝撃も強まる。避難する時間も短くなる。つまり、少しでも緩やかな放流であったならば、被害軽減できた可能性がある。こうした点を踏まえ操作方法を見直すべきだ。
自治体及び住民への情報伝達についても見直しが必要だ。
避難指示を放流5分前に出した大洲市は、ダムの放流量を避難指示の発令基準にしていなかった。
ホットラインで連絡受けた市長は、大量の放流が「どういった事態になるか想定できなかった」と認識不足を吐露している。
野村町のハザードマップを策定していなかった西予市長は、「私を含め多くの人が、ダムが守ってくれるという安心感を持っていたと思うが、異常気象が日常化し従来通りの運用では対応できないことは明らかだ」と「ダムが守ってくれる」意識が住民にも蔓延していた。
こうした自治体や住民に規則通りの伝達をしたからと言って正確に伝わる保障はない。
ダムを放流する側である国交省が、日常的にダム放流の危険性、緊急性など認識してもらうよう責任持ち周知徹底すべきである。
具体的には、避難指示の発令基準にダム放流量をくわえること、野村町のハザードマップ策定、ダム放流の危険性や緊急性など住民の意識を変えダムの「安全神話」を一掃することなどが必要だ。
気候変動、異常気象で記録的大雨が毎年のように発生している。このもとで、ダムに貯水し下流流量を抑制する洪水調整機能が発揮できなくなっている。むしろ、今回のように、ダムが守ってくれるという「安全神話」が崩れ、ダム放流の危険性が露呈したことは、ダム依存の治水対策の限界を示している。
ダムに頼った治水対策を見直し、河川堤防の緊急整備など河川改修、遊水池整備など流域全体を視野にした治水対策に転換する必要性を痛感する。