2018-09-18(Tue)
リーマン・ショック10年 格差拡大を見過ごすな
危機の土壌はすでにある リスク再点検を 負の遺産が世界を覆う
朝日新聞デジタル 2018年9月15日05時00分
(社説)金融危機10年 国際協調の意義確認を
----「100年に1度」と言われた世界的な金融危機から10年が経つ。何を学び、今後にどう生かせばよいのか。
改めて確認すべきは、バブルはいずれはじけ、対処が遅れれば傷口が広がるということだ。
----不動産バブルの熱が冷め、積み上げた融資が焦げ付き始める。当局は危機の規模を見誤り、対応が後手に回る。そして大銀行が破綻し、経済全体にショックを与える――。
当時、日本の金融システムは健全性を保った。だが、円高と海外需要の急減で、激しい景気後退に陥り、「派遣切り」が横行した。国境を超えた結び付きが強まり、世界経済の波乱から無縁ではいられない。それがもう一つの教訓だろう。
毎日新聞2018年9月17日 東京朝刊
社説:「リーマン」から10年 危機の土壌はすでにある
----しかし、「次なる危機」への警戒を怠ってはならない。10年前の危機は世界にさまざまなひずみや変化をもたらした。再び危機となるリスクの土壌がすでに生まれていることを、意識しておく必要がある。
その一つが世界的な借金の膨張だろう。・・・
背後にあるのは、超低金利の長期化だ。皮肉にも、リーマン後に各国の中央銀行が採用した大規模な金融緩和は、借金のコストを歴史的低水準に押し下げ、リスクを度外視した投資や融資を助長している。
日本経済新聞 2018/9/16付
社説:リーマン危機10年、リスク再点検を
米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに広がった世界金融危機。それから10年が経過した。この10年で世界経済は回復してきたが、危機の後遺症はあちこちに残っている。金融危機は常に形を変えてやってくる。新たなリスクへの備えは万全だろうか。再点検する契機としたい。
東京新聞 2018年9月15日
【社説】リーマン・ショック10年 負の遺産が世界を覆う
----世界経済が底割れしてしまうかと緊張が走ったリーマン・ショックから十年。危機が残したものとは何か。格差、不平等、そしてポピュリズムの萌芽(ほうが)だ。
いつ弾(はじ)けてもおかしくないといわれた米国の不動産バブル。危ない住宅ローンを証券化して売りまくる錬金術。それらが暴発し、グローバル化した世界に波及したのがリーマン・ショックの実相だ。
信濃毎日新聞 (2018年9月15日)
社説:リーマン10年 格差拡大を見過ごすな
----2008年の年末。東京・日比谷公園に約500人の失業者が集まった。
労働組合や市民団体などでつくる実行委員会が開設した「年越し派遣村」だ。同年秋のリーマン・ショックで職や住居を失った人たちに、食事や宿泊場所を提供する目的だった。身を寄せ、寒さをしのぐ失業者たちの姿は、社会に徐々に広がっていた「貧困」を可視化させた。
----最も改善する必要があるのは、非正規労働者の待遇だ。
非正規労働者が増えた原因は、派遣労働者の対象業種を原則自由化した1999年の労働者派遣法改正と、04年の製造業への派遣解禁だ。企業は非正規を増やし、受注状況に応じ雇用数を調整することが一般化した。
再び世界的な危機が起きれば「派遣村」の光景が繰り返される可能性は否定できない。
終身雇用、年功序列など日本型の雇用慣行では、企業は社員の住宅確保や子育てを手当などの形である程度、支援してきた。その形が崩れつつある中、今後はだれが担っていくのかが問われる。
再配分機能を高めて財源を確保し、若者の住宅確保を援助するなど、社会全体で若者の生活を助ける形も模索する必要がある。「自己責任」を振りかざしていては、若者たちの将来は見えない。
朝日新聞デジタル 2018年9月15日05時00分
(社説)金融危機10年 国際協調の意義確認を
----「100年に1度」と言われた世界的な金融危機から10年が経つ。何を学び、今後にどう生かせばよいのか。
改めて確認すべきは、バブルはいずれはじけ、対処が遅れれば傷口が広がるということだ。
----不動産バブルの熱が冷め、積み上げた融資が焦げ付き始める。当局は危機の規模を見誤り、対応が後手に回る。そして大銀行が破綻し、経済全体にショックを与える――。
当時、日本の金融システムは健全性を保った。だが、円高と海外需要の急減で、激しい景気後退に陥り、「派遣切り」が横行した。国境を超えた結び付きが強まり、世界経済の波乱から無縁ではいられない。それがもう一つの教訓だろう。
毎日新聞2018年9月17日 東京朝刊
社説:「リーマン」から10年 危機の土壌はすでにある
----しかし、「次なる危機」への警戒を怠ってはならない。10年前の危機は世界にさまざまなひずみや変化をもたらした。再び危機となるリスクの土壌がすでに生まれていることを、意識しておく必要がある。
その一つが世界的な借金の膨張だろう。・・・
背後にあるのは、超低金利の長期化だ。皮肉にも、リーマン後に各国の中央銀行が採用した大規模な金融緩和は、借金のコストを歴史的低水準に押し下げ、リスクを度外視した投資や融資を助長している。
日本経済新聞 2018/9/16付
社説:リーマン危機10年、リスク再点検を
米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに広がった世界金融危機。それから10年が経過した。この10年で世界経済は回復してきたが、危機の後遺症はあちこちに残っている。金融危機は常に形を変えてやってくる。新たなリスクへの備えは万全だろうか。再点検する契機としたい。
東京新聞 2018年9月15日
【社説】リーマン・ショック10年 負の遺産が世界を覆う
----世界経済が底割れしてしまうかと緊張が走ったリーマン・ショックから十年。危機が残したものとは何か。格差、不平等、そしてポピュリズムの萌芽(ほうが)だ。
いつ弾(はじ)けてもおかしくないといわれた米国の不動産バブル。危ない住宅ローンを証券化して売りまくる錬金術。それらが暴発し、グローバル化した世界に波及したのがリーマン・ショックの実相だ。
信濃毎日新聞 (2018年9月15日)
社説:リーマン10年 格差拡大を見過ごすな
----2008年の年末。東京・日比谷公園に約500人の失業者が集まった。
労働組合や市民団体などでつくる実行委員会が開設した「年越し派遣村」だ。同年秋のリーマン・ショックで職や住居を失った人たちに、食事や宿泊場所を提供する目的だった。身を寄せ、寒さをしのぐ失業者たちの姿は、社会に徐々に広がっていた「貧困」を可視化させた。
----最も改善する必要があるのは、非正規労働者の待遇だ。
非正規労働者が増えた原因は、派遣労働者の対象業種を原則自由化した1999年の労働者派遣法改正と、04年の製造業への派遣解禁だ。企業は非正規を増やし、受注状況に応じ雇用数を調整することが一般化した。
再び世界的な危機が起きれば「派遣村」の光景が繰り返される可能性は否定できない。
終身雇用、年功序列など日本型の雇用慣行では、企業は社員の住宅確保や子育てを手当などの形である程度、支援してきた。その形が崩れつつある中、今後はだれが担っていくのかが問われる。
再配分機能を高めて財源を確保し、若者の住宅確保を援助するなど、社会全体で若者の生活を助ける形も模索する必要がある。「自己責任」を振りかざしていては、若者たちの将来は見えない。