辺野古 国が対抗措置 「法治国家にあるまじき行為」
沖縄県知事選で示された辺野古新基地ノーの民意を踏みにじり、
法治国家にあるまじき違法な手段を弄して埋め立てを強行する安倍政権。
沖縄防衛局による辺野古埋め立て承認撤回に対する審査請求及び執行停止申し立てに関する
玉城デニー知事のコメント(要旨)
私は、法的措置ではなく、対話によって解決策を求めていくことが重要と考えており、10月12日の安倍総理や菅官房長官との面談でも対話による解決を求めました。しかし、そのわずか5日後に対抗措置を講じた国の姿勢は、県知事選挙で改めて示された民意を踏みにじるものであり、到底認められません。
行政不服審査法は、国民(私人)の権利利益の簡易迅速な救済を図ることが目的です。一方、公有水面埋立法の規定上、国と私人は明確に区別され、今回は国が行う埋め立てであり、私人に対する「免許」ではなく「承認」手続きがなされています。本件において、国が行政不服審査制度を用いることは、当該制度の趣旨をねじ曲げた、違法で、法治国家においてあるまじき行為と断じざるを得ません。
2015年10月13日の埋め立て承認取り消しの際も、沖縄防衛局は、行政機関であるにもかかわらず、自らを「私人」であると主張して審査請求・執行停止申し立てを行い、国交相は約2週間で執行停止を決定しました。
しかしながら、行政不服審査法第25条第4項では、「重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるとき」が執行停止の要件とされています。前回の承認取り消しに対しては、翌日には執行停止の申立てを行っていますが、今回の本年8月31日に行った承認撤回から既に1カ月以上が経過しています。
仮に、本件において国土交通大臣により執行停止決定がなされれば、自作自演の極めて不当な決定といわざるを得ません。
私は、安倍総理に対し、引き続き、対話を求めていきます。国民の皆さまには、沖縄県において、辺野古新基地建設反対の圧倒的な民意が示されたにもかかわらず、その民意に対する現在の政権の向き合い方があまりにも強権的であるという、この現実のあるがままを見ていただきたい。
私は、辺野古に新基地はつくらせないという公約の実現に向けて、全身全霊で取り組んでいきます。ぶれることなく、多くの県民の負託を受けた知事として、しっかりとその思いに応えたいと思います。
◇<社説>国が撤回停止請求 民主主義蹂躙する暴挙だ
----そもそも、行政不服審査法は、行政庁の違法・不当な処分などに関し国民の権利利益の救済を図ることなどを目的としている。本来、行政庁である政府は、同法による救済の対象にはなり得ない。
にもかかわらず、県が埋め立て承認を取り消した15年には、沖縄防衛局長が自らを「私人」と主張して承認取り消しの執行停止を申し立てた。国交相はこれを認めている。一般国民のために作られた制度を、政府が「私人」と強弁して乱用するのは詐欺にも等しい行為だ。
政府は、法治国家としてはあり得ない横暴な手段をまたしても取ろうとしている。国交相は、このような欺瞞(ぎまん)に満ちた出来レースにまたしても加担するのか。
石井啓一国交相は公明党に所属している。同党沖縄県本部は普天間飛行場の県内移設に反対する立場だ。県本部からも、理不尽な申し立てを認めないよう働き掛けるべきだろう。・・・
(琉球新報 2018年10月18日 )