2018-10-21(Sun)
免震装置不正 地震国を覆う深い不信 各紙社説
国土交通省の対応疑問 基準に満たなくても安全なら 基準そのものがおかしいのでは・・・
朝日新聞 2018年10月19日05時00分
(社説)免震装置不正 徹底的な解明を急げ
----油圧機器大手のKYBが免震・制振装置の検査データを改ざんしていたと公表した。免震装置では大臣認定の基準を満たさない製品が499本、顧客に約束した基準を外れたものが1914本、調査中のものが5137本あり、合わせれば出荷総数の7割を超えるという。
不正もしくは疑いのある製品を使っている建物は1千カ所近い。病院、役所、大規模な商業施設など、不特定多数の人が日頃出入りする建物も多い。なかには「地域の減災・防災機能の拠点」とされる施設もある。
毎日新聞2018年10月19日 東京朝刊
社説:免震装置のデータ不正 防災の基盤を揺るがした
----改ざんは検査に当たる従業員の判断で行い、口頭で引き継ぎ、2000年以降の8人が関与を認めた。
揺れへの耐久性に関するデータをごまかし、基準値内に収まったように書き換えて出荷していた。納期に間に合わせるのが理由だった。
納期のためにデータを不正に操作してもいいという感覚からは、安全な製品を提供するという常識がまひしていることがうかがえる。プレッシャーを与え、そういう空気を作った経営陣の責任は重い。
東京新聞 2018年10月19日
【社説】免震不正 地震国を覆う深い不信
----さらに南海トラフ地震を念頭に地震への備えが国民的な課題となっている。不正はこうした状況下で見過ごされてきた。教訓を得る機会は何度もあったのに何ら改善はなされなかった。KYB経営陣の責任はあまりに重い。
----一方、国土交通省の対応にも疑問が残る。同省は改ざん幅の大きい装置でも「震度6強から7程度でも人命に損傷は及ばないレベル」などと検証結果を説明する。しかし、基準に満たなくても最大レベルの地震で人命に影響が出ないなら、基準そのものがおかしいということになりはしないか。(東京新聞)
西日本新聞 2018年10月19日 10時31分
社説:免震装置不正 「安全」を担う資格はない
----11年の東日本大震災以降、社会が建物の安全・安心に向ける視線は、格段に厳しくなっている。免震装置を巡っては、東洋ゴム工業による免震ゴムのデータ改ざんが15年に発覚している。これを反面教師に、もっと早く自浄作用は働かなかったのか。監督官庁の国土交通省も、より緻密に業界への指導を行うべきではなかったか。
朝日新聞 2018年10月19日05時00分
(社説)免震装置不正 徹底的な解明を急げ
----油圧機器大手のKYBが免震・制振装置の検査データを改ざんしていたと公表した。免震装置では大臣認定の基準を満たさない製品が499本、顧客に約束した基準を外れたものが1914本、調査中のものが5137本あり、合わせれば出荷総数の7割を超えるという。
不正もしくは疑いのある製品を使っている建物は1千カ所近い。病院、役所、大規模な商業施設など、不特定多数の人が日頃出入りする建物も多い。なかには「地域の減災・防災機能の拠点」とされる施設もある。
毎日新聞2018年10月19日 東京朝刊
社説:免震装置のデータ不正 防災の基盤を揺るがした
----改ざんは検査に当たる従業員の判断で行い、口頭で引き継ぎ、2000年以降の8人が関与を認めた。
揺れへの耐久性に関するデータをごまかし、基準値内に収まったように書き換えて出荷していた。納期に間に合わせるのが理由だった。
納期のためにデータを不正に操作してもいいという感覚からは、安全な製品を提供するという常識がまひしていることがうかがえる。プレッシャーを与え、そういう空気を作った経営陣の責任は重い。
東京新聞 2018年10月19日
【社説】免震不正 地震国を覆う深い不信
----さらに南海トラフ地震を念頭に地震への備えが国民的な課題となっている。不正はこうした状況下で見過ごされてきた。教訓を得る機会は何度もあったのに何ら改善はなされなかった。KYB経営陣の責任はあまりに重い。
----一方、国土交通省の対応にも疑問が残る。同省は改ざん幅の大きい装置でも「震度6強から7程度でも人命に損傷は及ばないレベル」などと検証結果を説明する。しかし、基準に満たなくても最大レベルの地震で人命に影響が出ないなら、基準そのものがおかしいということになりはしないか。(東京新聞)
西日本新聞 2018年10月19日 10時31分
社説:免震装置不正 「安全」を担う資格はない
----11年の東日本大震災以降、社会が建物の安全・安心に向ける視線は、格段に厳しくなっている。免震装置を巡っては、東洋ゴム工業による免震ゴムのデータ改ざんが15年に発覚している。これを反面教師に、もっと早く自浄作用は働かなかったのか。監督官庁の国土交通省も、より緻密に業界への指導を行うべきではなかったか。