2018-12-24(Mon)
19年度予算 初の100兆円台突破 各紙社説
増税しなければ必要ない歳出増 防衛費 過去最高更新 戦禍の反省はどこに
しんぶん赤旗 2018年12月22日(土)
主張:19年度予算案決定 財政の機能がますますゆがむ
----国民が望まない増税対策
安倍政権が消費税増税を盛り込んだ予算を編成したのは、税率を5%から8%に引き上げた14年度に続くものです。2度も消費税率引き上げに踏み切った政権は、かつてありませんでした。
キャッシュレス決済のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などは、増税で消費が落ち込むことへの対策が口実です。前回増税後に消費不況が顕在化した反省だといいますが、それなら増税をしなければいいだけです。
神戸新聞 2018/12/22
社説:政府予算案/見当たらない膨張の歯止め役
----歳出101兆円。史上初の100兆円台突破だ。
きのう政府が閣議決定した2019年度予算案は、政策経費が前年から4・8%増えた。税収は62・5兆円と過去最高を見込むが、歳出拡大にとうてい届かず、32・7兆円の国債を新たに発行する。
新規国債発行額は9年連続で減ったが、国と地方を合わせた長期債務の残高は1122兆円に膨れ上がる。
次代へのツケが膨らみ続ける現状に、政治も国民も目を背けてはならない。
----防衛費も過去最高を更新した。現在の安倍政権が発足してから7年連続増となった。
来年度以降の5年を見据えた新たな中期防衛計画では、現計画より2・8兆円多い27兆円超の予算投入を決めた。「過去最高」はしばらく続きそうだ。目立つのは巨額の米国製品の購入で、1機100億円超する最新鋭戦闘機F35を105機導入する方針を示した。
トランプ米大統領は、日本が数多くのF35購入を約束したことに、「感謝したい」と述べている。首相は明言を避けているが、貿易赤字削減を求める米側の圧力に押され、手形を切ったのだろう。
----貿易黒字を減らすため、日本が10年間で430兆円の公共事業を約束した1990年の日米構造協議を思い起こす。その後の財政赤字拡大を招き、苦しむことになった経緯を忘れてはならない。
これでは「ガイアツ」に財政が左右され、国の針路にも影響が出かねない。二の舞いとならぬようにするべきだ。
----戦禍の反省はどこに
税収で賄えない赤字を、国債発行で穴埋めする。もはや恒例と化した予算編成は本来、財政法で禁じられている。
この法律は終戦の2年後に制定された。日銀に国債を引き受けさせて軍備増強にひた走り、国家財政を破綻させ、国民を戦禍に陥れた反省の上に立つ。財政面で、政府に一定の縛りを掛ける狙いがある。
“禁じ手”を可能にしたのは、1966年に成立した1年限りの特例法だ。その後は毎年のように制定され、最近では数年分の赤字国債発行を一括して法制化している。
----景気低迷期に一定の財政出動は必要だろう。しかし安倍政権は、アベノミクスで景気が回復したと主張する一方で、国債頼みの財政拡大路線を改めようとしない。
当面、税収の大幅増は望み薄だ。帳尻合わせの国債は、金融機関が国民の預金で買い支え、さらに日銀が金融緩和策として吸い上げている。人口減や高齢化で預金が減れば、こうした構図は崩れかねない。
----社会保障費のみならず防衛費の増加にも国債を当て込むのなら、財政法はその主旨まで骨抜きとなる。戦禍の反省は過去のものとなってしまわないか。
----貴重な血税が公平に、有意義に活用されているか。後世の負担を増やしていないか。徴税者の監視が民主政治の原点であることを、改めて認識したい。
しんぶん赤旗 2018年12月22日(土)
主張:19年度予算案決定 財政の機能がますますゆがむ
----国民が望まない増税対策
安倍政権が消費税増税を盛り込んだ予算を編成したのは、税率を5%から8%に引き上げた14年度に続くものです。2度も消費税率引き上げに踏み切った政権は、かつてありませんでした。
キャッシュレス決済のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などは、増税で消費が落ち込むことへの対策が口実です。前回増税後に消費不況が顕在化した反省だといいますが、それなら増税をしなければいいだけです。
神戸新聞 2018/12/22
社説:政府予算案/見当たらない膨張の歯止め役
----歳出101兆円。史上初の100兆円台突破だ。
きのう政府が閣議決定した2019年度予算案は、政策経費が前年から4・8%増えた。税収は62・5兆円と過去最高を見込むが、歳出拡大にとうてい届かず、32・7兆円の国債を新たに発行する。
新規国債発行額は9年連続で減ったが、国と地方を合わせた長期債務の残高は1122兆円に膨れ上がる。
次代へのツケが膨らみ続ける現状に、政治も国民も目を背けてはならない。
----防衛費も過去最高を更新した。現在の安倍政権が発足してから7年連続増となった。
来年度以降の5年を見据えた新たな中期防衛計画では、現計画より2・8兆円多い27兆円超の予算投入を決めた。「過去最高」はしばらく続きそうだ。目立つのは巨額の米国製品の購入で、1機100億円超する最新鋭戦闘機F35を105機導入する方針を示した。
トランプ米大統領は、日本が数多くのF35購入を約束したことに、「感謝したい」と述べている。首相は明言を避けているが、貿易赤字削減を求める米側の圧力に押され、手形を切ったのだろう。
----貿易黒字を減らすため、日本が10年間で430兆円の公共事業を約束した1990年の日米構造協議を思い起こす。その後の財政赤字拡大を招き、苦しむことになった経緯を忘れてはならない。
これでは「ガイアツ」に財政が左右され、国の針路にも影響が出かねない。二の舞いとならぬようにするべきだ。
----戦禍の反省はどこに
税収で賄えない赤字を、国債発行で穴埋めする。もはや恒例と化した予算編成は本来、財政法で禁じられている。
この法律は終戦の2年後に制定された。日銀に国債を引き受けさせて軍備増強にひた走り、国家財政を破綻させ、国民を戦禍に陥れた反省の上に立つ。財政面で、政府に一定の縛りを掛ける狙いがある。
“禁じ手”を可能にしたのは、1966年に成立した1年限りの特例法だ。その後は毎年のように制定され、最近では数年分の赤字国債発行を一括して法制化している。
----景気低迷期に一定の財政出動は必要だろう。しかし安倍政権は、アベノミクスで景気が回復したと主張する一方で、国債頼みの財政拡大路線を改めようとしない。
当面、税収の大幅増は望み薄だ。帳尻合わせの国債は、金融機関が国民の預金で買い支え、さらに日銀が金融緩和策として吸い上げている。人口減や高齢化で預金が減れば、こうした構図は崩れかねない。
----社会保障費のみならず防衛費の増加にも国債を当て込むのなら、財政法はその主旨まで骨抜きとなる。戦禍の反省は過去のものとなってしまわないか。
----貴重な血税が公平に、有意義に活用されているか。後世の負担を増やしていないか。徴税者の監視が民主政治の原点であることを、改めて認識したい。