2018-12-30(Sun)
株価急落 7年ぶり株価前年割れ アベノミクスの限界か
2万円台維持だが リーマン・ショック08年以来 1割強の下げ幅
北海道新聞 2018/12/31 05:05
社説:金融市場の動揺 米国リスクへの警告だ
----日経平均株価の今年の終値は2万0014円だった。
バブル崩壊後の最高値を記録した10月初めから3カ月弱で約4200円も下落した。前年終値と比べても約2700円安い。
株安傾向が長引けば企業経営者の心理は悪化し、設備投資や賃上げの意欲が低下する恐れがある。消費が冷え込み、実体経済に打撃を与えかねない深刻な事態だ。
世界の株価は年末にかけて大荒れが続いた。直接の原因は景気減速懸念を映した米国株の乱高下だが、その震源はトランプ大統領だ。自国第一の場当たり的な振る舞いが混乱を招いている。・・・
中国新聞 2018/12/30
社説:7年ぶり株価前年割れ アベノミクスの限界か
----金融市場から辛口のメッセージが発せられているのだろう。2018年の東京株式市場は、日経平均株価の終値が7年ぶりに下落に転じた。安倍晋三首相が政権に復帰した12年末以降では初めての前年割れとなる。
何とか2万円台は維持したものの、1割強の下げ幅はリーマン・ショックがあった08年以来の大きさになる。大胆な金融政策などをてこに上昇を続けてきた「アベノミクス相場」の潮目が変わったのは確かだろう。
----背景には、欧米での金融引き締めや米国と中国の貿易摩擦といった海外発の要因もあるが、それだけではなさそうだ。6年間の上昇相場を支えたとされる海外の投資家が日本株から手を引き始めているという。
外国人投資家による18年の日本株の売越額は5兆6千億円にも達し、ブラックマンデーのあった1987年以来の水準になった。その裏で買い支えたのは日銀である。異次元緩和の一環で6兆円超の上場投資信託(ETF)を買い入れて防戦した。
----日銀の大規模な金融緩和策は低金利と円安環境を生みだし、企業業績の好転と株高をもたらした。世界的な好況にも後押しされた面はあるが、第2次安倍政権の発足とともに始まった景気回復局面は戦後最長の6年1カ月に並んだとされる。
----一方で、成長率は低く、賃金もなかなか上がらない。「2年で2%」を目指した物価上昇率も達成できず、デフレを脱したとは言い難い。民間活力を引き出す成長戦略につながるような、踏み込んだ構造改革も思うように進んでいない。何より豊かさの実感が乏しい。
金融緩和と財政出動頼みが際立つアベノミクスの限界が意識され、外国人投資家の期待感が急速にしぼんでいるのは間違いない。世界的な景気減速の懸念が強まる中で、日本株離れが加速したのではなかろうか。
----株安が長引いて景気が反転しても、政府・日銀の打つ手は限られる。副作用の大きいマイナス金利政策を続ける日銀が、これ以上の追加緩和を講じるのは難しい。政府も来年の消費増税をにらんで大規模な景気対策を予定しており、さらなる大盤振る舞いの余地は乏しい。それでもあらゆるリスクを想定し、備える必要がある。
----アベノミクスの肝だった「株高」と「円安」が変調をきたし始めている。そのサインを重く受け止め、金融、財政政策の点検と見直しを急ぐべきだ。
北海道新聞 2018/12/31 05:05
社説:金融市場の動揺 米国リスクへの警告だ
----日経平均株価の今年の終値は2万0014円だった。
バブル崩壊後の最高値を記録した10月初めから3カ月弱で約4200円も下落した。前年終値と比べても約2700円安い。
株安傾向が長引けば企業経営者の心理は悪化し、設備投資や賃上げの意欲が低下する恐れがある。消費が冷え込み、実体経済に打撃を与えかねない深刻な事態だ。
世界の株価は年末にかけて大荒れが続いた。直接の原因は景気減速懸念を映した米国株の乱高下だが、その震源はトランプ大統領だ。自国第一の場当たり的な振る舞いが混乱を招いている。・・・
中国新聞 2018/12/30
社説:7年ぶり株価前年割れ アベノミクスの限界か
----金融市場から辛口のメッセージが発せられているのだろう。2018年の東京株式市場は、日経平均株価の終値が7年ぶりに下落に転じた。安倍晋三首相が政権に復帰した12年末以降では初めての前年割れとなる。
何とか2万円台は維持したものの、1割強の下げ幅はリーマン・ショックがあった08年以来の大きさになる。大胆な金融政策などをてこに上昇を続けてきた「アベノミクス相場」の潮目が変わったのは確かだろう。
----背景には、欧米での金融引き締めや米国と中国の貿易摩擦といった海外発の要因もあるが、それだけではなさそうだ。6年間の上昇相場を支えたとされる海外の投資家が日本株から手を引き始めているという。
外国人投資家による18年の日本株の売越額は5兆6千億円にも達し、ブラックマンデーのあった1987年以来の水準になった。その裏で買い支えたのは日銀である。異次元緩和の一環で6兆円超の上場投資信託(ETF)を買い入れて防戦した。
----日銀の大規模な金融緩和策は低金利と円安環境を生みだし、企業業績の好転と株高をもたらした。世界的な好況にも後押しされた面はあるが、第2次安倍政権の発足とともに始まった景気回復局面は戦後最長の6年1カ月に並んだとされる。
----一方で、成長率は低く、賃金もなかなか上がらない。「2年で2%」を目指した物価上昇率も達成できず、デフレを脱したとは言い難い。民間活力を引き出す成長戦略につながるような、踏み込んだ構造改革も思うように進んでいない。何より豊かさの実感が乏しい。
金融緩和と財政出動頼みが際立つアベノミクスの限界が意識され、外国人投資家の期待感が急速にしぼんでいるのは間違いない。世界的な景気減速の懸念が強まる中で、日本株離れが加速したのではなかろうか。
----株安が長引いて景気が反転しても、政府・日銀の打つ手は限られる。副作用の大きいマイナス金利政策を続ける日銀が、これ以上の追加緩和を講じるのは難しい。政府も来年の消費増税をにらんで大規模な景気対策を予定しており、さらなる大盤振る舞いの余地は乏しい。それでもあらゆるリスクを想定し、備える必要がある。
----アベノミクスの肝だった「株高」と「円安」が変調をきたし始めている。そのサインを重く受け止め、金融、財政政策の点検と見直しを急ぐべきだ。