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2019-01-01(Tue)

土砂災害対策 危険区域からの移転促進 

斜面宅地の居住制限へ 市街化区域見直し 住民合意 手厚い行政支援
自然災害と闘わない「免災」という選択肢



18年末、国交省が、土砂災害発生件数について、3451件(年平均の3・4倍)だったと発表した。
政府は、気候変動に伴う災害対応など決めた「気候変動適応計画」で、発生頻度の増加が予測される土砂災害について、
「人命を守る効果の高い箇所における施設整備を重点的に推進するとともに、避難場所・経路や公共施設、社会経済活動を守る施設の整備を実施する」などしている。

中でも、「災害リスクを考慮した土地利用、住まい方」について、
「災害リスクが特に高い地域について、土砂災害特別警戒区域の指定による建築物の構造規制や宅地開発等の抑制、がけ地近接等危険住宅移転事業等により当該区域から安全な地域への移転を促進する」としている。

頻発する土砂災害の被害をどうやって防ぐか、抜本的な対策はないものか。
と考えてみると、危険区域からの移転が最も究極的、効果的な対策だろうと思う。

もともと、土砂災害の被害は、斜面宅地、斜面住宅地と呼ばれる住宅開発地域で発生しているケースが多い。
北海道厚真町の土砂崩れなど古い集落も場所もあるが、多くは1970年代頃から増え続けた丘陵や山林など切り開いた宅地開発だ。

北九州市が、災害発生の危険性もある一部の斜面住宅地を、開発が制限される市街化調整区域に編入して、居住を制限する検討に入ったと報じられている。住民が居住する地域を対象にした大規模な都市計画区域見直しは異例らしい。

検討のきっかけは「昨年7月の西日本豪雨。同市門司区奥田の斜面住宅地で土砂崩れが発生し2人が死亡、市内約400カ所で土砂崩れが起きた」ことだという。
また、人口減を踏まえ、公共インフラ整備を中心部に集中させるコンパクトシティー化の狙いもあるらしい。
 
調整区域に編入すべき地域を絞り込むやり方は、「人口密度、高齢化率、交通利便性、土砂災害区域の指定状況など34の指標を使って市内全域を分析。それらを点数化し、専門家の意見を聞いて」やったという。

市によると、編入対象は数百世帯以上。「編入後も居住は続けられ、不動産売買もできるが、市の許可がなければ再開発や建築行為はできず、新規入居は制限される。空き家の整理も含め、対象世帯の支援策が課題になる。一方、調整区域になると都市計画税(市税)は徴収されない」という。(西日本新聞より)

やはり、問題は、現に住んでいる住民の理解、合意ができるかどうかだろう。
コンパクトシティー化を理由にするのでは合意は容易ではない。行政の都合によるものとしかとらえられないからだ。

もともと、宅地造成の開発許可を出して、居住を認めてきたのは行政自身だ。
それを、行政都合で建築制限する。新規入居が制限されれば、不動産売買できても、当然、不動産価値は下がる。

しかし、災害危険区域からの移転は必要だ。住民のいのち・安全にかかわることだから、行政都合とは言えない。
むしろ、そういう危険区域の開発許可を出し、住民の命を危険にさらした行政の責任こそ問われる。

行政としては、危険区域からの住民の移転を最優先して、迅速な手続きを考えてほしい。
例えば、移転に際して、ネックになるのは費用の問題。現在、がけ地移転では最高400万円の低利融資があるだけ。
移転費用の全額融資、加えて、移転費用の補助が必要だ。

熊本地震で被災した熊本県では「土砂災害危険住宅移転促進事業」を創設、危険区域に住む住民に対して、住宅の解体や移転にかかる費用のうち最高300万円を補助しているという。被災者生活再建支援法の支援に合わせているらしいので、当面500万円への引き上げなど必要だろう。(日経コンストラクションより)

もっと、支援を強化するには、危険区域の土地の時価での買い取りも一考だろう。
危険区域だから使い道もなく、当然価値も低い。行政等が買い取り公的管理して安全を確保する
移転する住民にとっては、売れない土地を抱えたまま、管理もしなければならないという負担軽減ができる。


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