2019-05-03(Fri)
全国港湾 GWストは見送り 経営側の強硬姿勢のなぞ
産業別最低賃金 「原則として独禁法上の問題とはならないと解される」
産業別最低賃金の交渉が「独禁法上の問題にならない」ことは公取委が認めている。
なのに、なぜ、経営側は、「独占禁止法に抵触するおそれ」など理湯を持ち出しているのだろう。
「なぜ、産業内の賃金交渉が独禁法にふれるおそれがあるのか。
日港協は朝日新聞の取材に対し、『コメントは控える』として、詳細な説明を避けている。」(朝日)
不可思議な態度だ。
理由にならない理由で交渉を拒否するのは「不当労働行為」ではないか。
神奈川新聞 2019年04月24日 20:47
GWストは見送り 港湾労組「引き続き交渉」
----全国港湾労働組合連合会(全国港湾)は24日、ゴールデンウイーク(GW)期間中に全国の港で実施を示唆していたストライキを見送ると明らかにした。最低賃金の引き上げなどを求めた今年の春闘では事業者側との交渉はまとまっていないが、港湾物流が長期間止まることで日本経済や市民生活への影響が大きいと判断した。
朝日新聞デジタル 2019年5月2日15時58分
全国の港湾であわや一斉スト 経営側の強硬姿勢のなぞ
----この春闘で組合側は、港湾業界の「産業別最低賃金」を、月16万9600円に引き上げるよう求めた。産別最賃は、労働組合法が定める労働協約にあたるもので、違反する労働契約を結んだ場合は無効になる。
業界の実際の給与水準は産別最賃より高いが、産別最賃が底上げされれば、個々の労組もそれを基準として、賃金交渉を有利に進めることが期待できる。
経営側は当初、この要求に懸念を示した。その理由として、「独占禁止法に抵触するおそれ」を持ち出したのだ。
組合側の要求に対し、経営側が事実上の「ゼロ回答」とすること自体は珍しくない。 だが、その理由として独禁法を持ち出されたことは「30年以上交渉を続けてきた中で初めて」(全国港湾の糸谷欽一郎・中央執行委員長)だという。
----今回の春闘のように、労働者保護を目的とした労働法制の枠内の行為であれば、独禁法上の問題とはならないのが原則だ。
独禁法に詳しい多田敏明弁護士は、「労使交渉で賃金を決めることは、賃金相場を作って産業内に波及させる効果がある」と指摘。「労働組合の求めに応じるケースであれば、複数企業が賃金情報を交換することは、労働者にもメリットがある。労働市場の競争に悪影響を及ぼすとは言えず、独禁法違反に問われることはないだろう」と話す。
また、独禁法と労働法の専門家を集めた公正取引委員会の検討会が昨年2月に出した報告書は、労働組合法に基づく労働組合との労使交渉のための企業側の行為について、「原則として独禁法上の問題とはならないと解される」としている。
組合が判断を仰いだ中央労働委員会も2月、公取委の報告書の判断を踏襲。「労使双方は産業別最低賃金について、真摯(しんし)に協議を行い、その解決に努めること」と回答し、経営側に交渉のテーブルにつくよう促すあっせん案を示した。
「人材と競争政策に関する検討会」報告書(平成30年2月15日)抜粋
http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index_files/180215jinzai01.pdf
第3 労働者・労働組合と独占禁止法.
----「労働法制により規律されている分野については,行為主体が使用者であるか労働者・労働者団体であるかにかかわらず,原則として,独占禁止法上の問題とはならないと解することが適当と考えられる。例えば,労働組合と使用者の間の集団的労働関係における労働組合法に基づく労働組合の行為がこのような場合に当たる。使用者の行為についても同様であり,労働組合法に基づく労働組合の行為に対する同法に基づく集団的労働関係法上の使用者の行為も,原則として独占禁止法上の問題とはならないと解される。」
産業別最低賃金の交渉が「独禁法上の問題にならない」ことは公取委が認めている。
なのに、なぜ、経営側は、「独占禁止法に抵触するおそれ」など理湯を持ち出しているのだろう。
「なぜ、産業内の賃金交渉が独禁法にふれるおそれがあるのか。
日港協は朝日新聞の取材に対し、『コメントは控える』として、詳細な説明を避けている。」(朝日)
不可思議な態度だ。
理由にならない理由で交渉を拒否するのは「不当労働行為」ではないか。
神奈川新聞 2019年04月24日 20:47
GWストは見送り 港湾労組「引き続き交渉」
----全国港湾労働組合連合会(全国港湾)は24日、ゴールデンウイーク(GW)期間中に全国の港で実施を示唆していたストライキを見送ると明らかにした。最低賃金の引き上げなどを求めた今年の春闘では事業者側との交渉はまとまっていないが、港湾物流が長期間止まることで日本経済や市民生活への影響が大きいと判断した。
朝日新聞デジタル 2019年5月2日15時58分
全国の港湾であわや一斉スト 経営側の強硬姿勢のなぞ
----この春闘で組合側は、港湾業界の「産業別最低賃金」を、月16万9600円に引き上げるよう求めた。産別最賃は、労働組合法が定める労働協約にあたるもので、違反する労働契約を結んだ場合は無効になる。
業界の実際の給与水準は産別最賃より高いが、産別最賃が底上げされれば、個々の労組もそれを基準として、賃金交渉を有利に進めることが期待できる。
経営側は当初、この要求に懸念を示した。その理由として、「独占禁止法に抵触するおそれ」を持ち出したのだ。
組合側の要求に対し、経営側が事実上の「ゼロ回答」とすること自体は珍しくない。 だが、その理由として独禁法を持ち出されたことは「30年以上交渉を続けてきた中で初めて」(全国港湾の糸谷欽一郎・中央執行委員長)だという。
----今回の春闘のように、労働者保護を目的とした労働法制の枠内の行為であれば、独禁法上の問題とはならないのが原則だ。
独禁法に詳しい多田敏明弁護士は、「労使交渉で賃金を決めることは、賃金相場を作って産業内に波及させる効果がある」と指摘。「労働組合の求めに応じるケースであれば、複数企業が賃金情報を交換することは、労働者にもメリットがある。労働市場の競争に悪影響を及ぼすとは言えず、独禁法違反に問われることはないだろう」と話す。
また、独禁法と労働法の専門家を集めた公正取引委員会の検討会が昨年2月に出した報告書は、労働組合法に基づく労働組合との労使交渉のための企業側の行為について、「原則として独禁法上の問題とはならないと解される」としている。
組合が判断を仰いだ中央労働委員会も2月、公取委の報告書の判断を踏襲。「労使双方は産業別最低賃金について、真摯(しんし)に協議を行い、その解決に努めること」と回答し、経営側に交渉のテーブルにつくよう促すあっせん案を示した。
「人材と競争政策に関する検討会」報告書(平成30年2月15日)抜粋
http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index_files/180215jinzai01.pdf
第3 労働者・労働組合と独占禁止法.
----「労働法制により規律されている分野については,行為主体が使用者であるか労働者・労働者団体であるかにかかわらず,原則として,独占禁止法上の問題とはならないと解することが適当と考えられる。例えば,労働組合と使用者の間の集団的労働関係における労働組合法に基づく労働組合の行為がこのような場合に当たる。使用者の行為についても同様であり,労働組合法に基づく労働組合の行為に対する同法に基づく集団的労働関係法上の使用者の行為も,原則として独占禁止法上の問題とはならないと解される。」