2019-07-17(Wed)
豪雨被害を拡大 ダム緊急放流
あなたの町のダムは安全か NHKクロ現が検証
NHK 2019年7月10日(水) クローズアップ現代
豪雨被害を拡大!?あなたの町のダムは安全か
----“私たちの命を守ってくれるはずのダム”。そのあり方が今、大きく問われている。去年の西日本豪雨で5人の犠牲者が出た愛媛県西予市では、ダムからの放流によって河川が急激に氾濫したことが被害の拡大につながった可能性が指摘されているのだ。取材を進めると、民間企業が管理するダムでは安全対策の議論が長年置き去りにされてきた実態も明らかに。今年も私たちに迫りくる豪雨の恐怖。“ダムがあれば安心”は本当なのか、水害から命を守るために今何が求められているのか、検証する。
(抜粋)
被災した住民
「ダムはやっぱり怖い存在でしかないです。凶器なんだなと。」
被災した住民
「野村も(ダムができて)だいぶ安全と言われて、すごく安心しとったんですけど。」
ダムにたまった水を急激に放流した結果、下流の川が氾濫し、住民が犠牲になったと言うのです。
ダムの下流2.5キロメートルにあるこの町では、放流からわずか20分で河川が氾濫、5人が犠牲になりました。
野村町住民
「こちらとしては、突然に(ダムの)放流で、その逃げる時間を奪われたと。ダムはやっぱり怖い存在でしかないです。私たちを守るものではなくて凶器なんだなと。」
国のダム担当者
「我々もルールというのは最初に決めて、それに基づいて操作をする。これを原則としていまして。」
川西浩二 野村ダム所長
「大変な、これまでに経験のないような大洪水になる。びっくりしたというのが正直なところですね。」
「緊急放流」と呼ばれる操作を行わなければなりません。しかし、大量の水を一気に流すこの操作は、短時間で川の氾濫を引き起こすおそれがあり、最終手段とされています。
川西浩二 野村ダム所長
「誰も(緊急放流の)ボタンを押したくなかったと思いますよ。押したくないですけど押さなければいけない。」
7月7日午前6時20分、緊急放流を開始。下流の河川の能力を大幅に超える毎秒1,800トンを放流します。その頃、大雨は、ピークを迎えていました。
野村町住民
「さっきより(水位が)上がっとる。」
小玉由紀さん
「ほんの2~3分の間に何か水がドバドバと押し寄せてきとるし、どうして?という感じやったんです。」
小玉由紀さん
「何でたったの2~3時間の放流というか、水で、こんなに死んだり、みんなの財産がぐじゃぐじゃと流れたり、みんな何か夢やったらいいのにねと言って。」
どうすれば、命を守ることができたのか?
河川工学の専門家は、「緊急放流」のタイミングを遅らせることで、被害を軽減できたとしています。野村ダムでは、事前放流した後も、すぐにダムがいっぱいにならないよう、少しずつ水を放流し、水位の上昇を抑えていました。その量は毎秒300トン。専門家は、この量を毎秒500トンに増やせば、より水位の上昇を抑えられたと指摘。これにより、理論上は、緊急放流を2時間以上遅らせることができ、住民の避難がより進んだとしています。
今本博健 京都大学名誉教授
「実際にそれができていれば、少なくとも住民の方は、あんな被害は出なかったと僕は思います。」
NHK 2019年7月10日(水) クローズアップ現代
豪雨被害を拡大!?あなたの町のダムは安全か
----“私たちの命を守ってくれるはずのダム”。そのあり方が今、大きく問われている。去年の西日本豪雨で5人の犠牲者が出た愛媛県西予市では、ダムからの放流によって河川が急激に氾濫したことが被害の拡大につながった可能性が指摘されているのだ。取材を進めると、民間企業が管理するダムでは安全対策の議論が長年置き去りにされてきた実態も明らかに。今年も私たちに迫りくる豪雨の恐怖。“ダムがあれば安心”は本当なのか、水害から命を守るために今何が求められているのか、検証する。
(抜粋)
被災した住民
「ダムはやっぱり怖い存在でしかないです。凶器なんだなと。」
被災した住民
「野村も(ダムができて)だいぶ安全と言われて、すごく安心しとったんですけど。」
ダムにたまった水を急激に放流した結果、下流の川が氾濫し、住民が犠牲になったと言うのです。
ダムの下流2.5キロメートルにあるこの町では、放流からわずか20分で河川が氾濫、5人が犠牲になりました。
野村町住民
「こちらとしては、突然に(ダムの)放流で、その逃げる時間を奪われたと。ダムはやっぱり怖い存在でしかないです。私たちを守るものではなくて凶器なんだなと。」
国のダム担当者
「我々もルールというのは最初に決めて、それに基づいて操作をする。これを原則としていまして。」
川西浩二 野村ダム所長
「大変な、これまでに経験のないような大洪水になる。びっくりしたというのが正直なところですね。」
「緊急放流」と呼ばれる操作を行わなければなりません。しかし、大量の水を一気に流すこの操作は、短時間で川の氾濫を引き起こすおそれがあり、最終手段とされています。
川西浩二 野村ダム所長
「誰も(緊急放流の)ボタンを押したくなかったと思いますよ。押したくないですけど押さなければいけない。」
7月7日午前6時20分、緊急放流を開始。下流の河川の能力を大幅に超える毎秒1,800トンを放流します。その頃、大雨は、ピークを迎えていました。
野村町住民
「さっきより(水位が)上がっとる。」
小玉由紀さん
「ほんの2~3分の間に何か水がドバドバと押し寄せてきとるし、どうして?という感じやったんです。」
小玉由紀さん
「何でたったの2~3時間の放流というか、水で、こんなに死んだり、みんなの財産がぐじゃぐじゃと流れたり、みんな何か夢やったらいいのにねと言って。」
どうすれば、命を守ることができたのか?
河川工学の専門家は、「緊急放流」のタイミングを遅らせることで、被害を軽減できたとしています。野村ダムでは、事前放流した後も、すぐにダムがいっぱいにならないよう、少しずつ水を放流し、水位の上昇を抑えていました。その量は毎秒300トン。専門家は、この量を毎秒500トンに増やせば、より水位の上昇を抑えられたと指摘。これにより、理論上は、緊急放流を2時間以上遅らせることができ、住民の避難がより進んだとしています。
今本博健 京都大学名誉教授
「実際にそれができていれば、少なくとも住民の方は、あんな被害は出なかったと僕は思います。」