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2019-09-15(Sun)

諫早湾干拓判決 混乱収束は国の責務だ

対立招いた国策の罪深さ 政治の責任で解決図れ

朝日新聞デジタル2019年9月15日05時00分
(社説)諫早湾干拓 政治の責任で解決図れ
----福岡高裁判決は明らかにおかしかった。開門命令が出た当時の漁業権は13年8月末で消滅したから、もはや開門の根拠は失われたと結論づけたのだ。
 最高裁は、同じ内容の権利が与えられることを前提に開門命令は出ていたと述べ、高裁の判断を否定した。実際に、漁業者は切れ目なく新たな免許を取得し、漁を続けてきた。
 形式的・表面的な法解釈で国側に軍配を上げた福岡高裁は、混迷に拍車をかけただけだ。破棄されたのは当然である。
 ただし、では開門への道が見えたかといえばそうではない。
 同じ第二小法廷は6月、諫早干拓に関する別の裁判で「開門せず」との判断を支持した。おとといの判決でも菅野博之裁判長が補足意見を書き、「事情の変化」の判断にあたっては、開門命令の確定後に積み重ねられている司法判断も考慮材料になるとしている。
 だがこの見解は承服し難い。気に入らない判決については、従わず、時間をかけて別の既成事実をつくっていけば、やがてほごにできるというメッセージを、社会に発することになる。

毎日新聞2019年9月14日 東京朝刊
社説:諫早干拓で最高裁判決 国の責任で不信の解消を
----干拓事業は「戦後の食糧難を解消するコメ増産策」という一昔前の政策目的で1986年に着手された。減反政策が取られる時代になっても工事が強行され、その結果、漁業者と営農者の対立を招いた。
 国は開門命令判決に従わない一方、漁業者に制裁金を支払ってきた。また、開門しない代わりに100億円の基金を設けて漁場環境を改善する解決案も提示した。
 だが、「豊かな有明海を取り戻したい」と切望してきた漁業者側は、金銭解決を前面に出す国の姿勢に不信感を高めている。国は漁業者の不信が解消されるように誠実な和解の道を探るべきだ。

日本経済新聞 2019/9/14 19:00
[社説]諫早湾問題は和解を探れ
----九州の諫早湾干拓事業を巡る法廷闘争がなお続くことになった。最高裁は湾の閉め切りと有明海の不漁の関連を調べる開門調査の是非について、福岡高裁に審理のやり直しを命じた。法廷闘争と並行して、国や関係者は粘り強く和解の道を探るべきだ。

北海道新聞 2019/09/14 05:05
社説:諫早干拓判決 混乱収束は国の責務だ
----対立が深まる中で、法廷闘争が長期化している原因は、開門を命じた2010年の福岡高裁判決が確定したにもかかわらず、着手を先送りした国の対応にある。
 国はその責任において、漁業者と営農者の双方が歩み寄ることができる解決策を示し、事態の打開を図る義務がある。政策判断を含む解決策を示すためには、政治の決断も求められよう。
----そもそも漁業被害の原因究明を訴えて開門を求める漁業者側と、開門を阻止しようとする営農者側の対立と分断を招いたのは、時代の変化に対応しないままに巨大公共事業を推し進めた国である。
---- 干拓が構想されたのは、戦後の食糧難が続く1950年代にさかのぼる。コメ増産、畑作、防災と目的を切り替えて延命された堤防は、完成を目的とする「止まらない公共事業」の典型といえる。
 その行き着く先に何が起きているのか。公共事業の在り方を吟味することが、長引く法廷闘争と混乱から得る教訓ではないか。

神戸新聞 2019/09/14
社説:混迷の諫早湾/対立招いた国策の罪深さ 
----国は途中で巨大事業を見直す検討もせず、結果的に「恵みの海」を「争いの海」にした。その罪深さを直視すべきだ。
----忘れてはならないのは、漁業者も営農者も政策に翻弄(ほんろう)された「被害者」であることだ。
 国は裁判と別に、双方との誠実な話し合いを通して、当事者の納得が得られる解決の道を真剣に探らねばならない。

西日本新聞 2019/9/15 11:46 (2019/9/15 11:46 更新)
社説:諫干最高裁判決 国の責任で「農漁共存」を
----諫早湾干拓はまさに国策である。その巨大公共事業の迷走によって「宝の海」が危機にひんし、沿岸住民の分断と対立を招いた。国はその事実を重く受け止めなければならない。
 所管の農林水産省は、不漁の原因解明につながる可能性もあった、確定判決の開門命令を拒み続けた。自ら紛争当事者になってしまった面すらある。
 司法による解決にはどうしても時間が必要で、もう20年近くもこの争いは続いている。現在の国は開門せずに100億円の基金を創設し、漁業環境改善を図る案で解決を目指す方針を変えていない。それに固執する限り、開門前提の和解を望む漁業者との溝は埋まらない。



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