富裕層の誘致に狂乱する「観光庁」 旅の本質を忘れた
観光振興 数より付加価値
Merkmal(メルクマール)2023.1.4
富裕層の誘致に狂乱する「観光庁」 旅の本質を忘れたなら、もはや「インバウンド産業庁」に改称すべきだ
観光庁が富裕層旅行者の誘致に力を入れようとしている。その大きな問題点を2つ述べたい。
富裕層誘客、2つの大きな問題
----新型コロナ対応の水際対策が大幅に緩和(2022年10月)され、街中を歩く外国人観光客が目につくようになった。岸田文雄首相は同月の所信表明演説で、訪日外国人旅行消費額について年間5兆円超を目指すと明言し、観光庁もインバウンドの回復に向けた政策パッケージを発表している。その中で観光庁が冒頭に掲げているのが「高付加価値旅行者の誘客促進」である。
---- 2つの問題点の第一は、富裕層向け観光地を日本に創出することの是非である。言い換えれば、そうした観光地が多く出現することが、日本人の精神的風土に適しているか否かである。
・・・観光庁の「高付加価値旅行者の誘致」には、旅行者をあたかも物のように表現する「価値」という言葉が示すように、人との触れ合い、すなわち「旅」とか「観光」といった大切な要素が欠如している。
これでは「観光庁」という言葉は返上して、「インバウンド産業庁」と名乗ってもらいたい。
----2番目の問題点は、政府がこのように旗を振ってラグジュラリーホテルをはじめとした富裕層向け観光地をつくっても、その経営リスクが大きいことへの懸念である。・・・中国からの旅行者問題だけをとっても、リスクがあるのは明らかだ。2019年、中国からの訪日旅行者の日本での消費額は、1兆7704億円に上っていた。・・・その中国人旅行者が、今回のコロナ禍のように突然マーケットから消滅することもあれば、今後突然すごい勢いで増える可能性もある。あまりにも不安定で、不確定な要素が大きいのである。
これら2つの大問題があり、富裕層をターゲットとして強化するのは愚策といえる。
重要なのは、観光産業にはリスクが伴うことを強く認識し、・・その対応策も含めて戦略を練ること、また目先の収入予測にとらわれることなく、「観光とは何か」という本質を真摯(しんし)に考えながら進めることである。
Yahooニュース 2022/11/15(火) 11:51配信Merkmal
コロナ入国緩和が再び「観光公害」を生む? 変わらぬリスク認識の甘さ、政府は同じ失敗を繰り返すのか
政府の目標金額ありきの危うさ
----政府は2022年10月11日から、新型コロナ感染症対策として行っていた外国人入国者に対する水際対策を大幅に緩和した。入国者数の上限規制撤廃、短期滞在者のビザ免除、個人旅行の解禁などである。
それに先立つ10月3日、岸田総理は所信表明演説で、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超達成を目指すと明言。コロナ禍で中断を余儀なくされていた観光立国政策を、再始動・再加速させる宣言だった。
日本経済新聞 2023年1月4日 5:00~
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