2021-06-17(Thu)
21通常国会 延長せず閉幕 国会軽視の根深い体質
国民が見えているのか 首相の独善変わらぬまま 難局克服への議論が足りない
<各紙社説・主張>
朝日新聞デジタル 2021年6月17日 5時00分
(社説)延長せず閉会 国会軽視の根深い体質
----コロナ禍が国民の命と暮らしを脅かし、臨機応変な対応が求められるというのに、国会はさっさと閉じて、大事な決定はその後に行う。これでは到底、政治の重責を引き受ける政権の覚悟は伝わってこない。
読売新聞 2021/06/17 05:00
社説:通常国会閉幕 難局克服への議論が足りない
----ワクチン接種で光明は見えてきたものの、難局を乗り越えたと言うには程遠い。政治に対する国民の不満に、与野党は真剣に向き合うべきだ。
毎日新聞 2021/6/17 東京朝刊
社説:通常国会が閉会 首相の独善変わらぬまま
----野党は臨機応変にコロナ対応ができるよう会期延長を求めたが、与党は受け入れなかった。インド由来の変異株の流行が危惧される中、無責任と言わざるを得ない。
日本経済新聞 2021年6月16日 19:05
[社説]国会は閉会中審査で懸案の議論深めよ
----野党は3カ月の大幅延長を求めたが、政府・与党は「必要な法律はおおむね成立した」として拒んだ。与野党は閉会中審査を活用し、新型コロナウイルス対策などに遅れが生じないよう議論を続けていく必要がある。
東京新聞 2021年6月16日 08時11分
<社説>国会きょう閉会 国民が見えているのか
----通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。
しんぶん赤旗 2021年6月17日(木)
主張:通常国会の閉会 菅政権終わらせ新しい政治を
----コロナ対応をはじめ国会で議論すべき重要課題は積み残されたままです。とりわけコロナ禍での東京五輪の開催は、国民の命と健康、安全に直結する国政上の大問題です。ところが菅義偉政権は野党からの会期延長要求を拒み、国会を閉じました。許しがたい責任放棄です。
以下参考
朝日新聞デジタル 2021年6月17日 5時00分
(社説)延長せず閉会 国会軽視の根深い体質
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14941551.html
コロナ禍が国民の命と暮らしを脅かし、臨機応変な対応が求められるというのに、国会はさっさと閉じて、大事な決定はその後に行う。これでは到底、政治の重責を引き受ける政権の覚悟は伝わってこない。
菅首相が初めて臨んだ通常国会がきのう閉会した。野党はコロナ対応などを理由に、会期の大幅な延長を求めたが、与党は取り合わなかった。
首相は自民党が野党だった2011年5月、東日本大震災を受け「国会を閉じるなどとんでもない」とブログに記した。当時は菅直人首相に会期延長を求める運動の先頭に立っていたのに、ご都合主義が過ぎる。
20日に期限を迎える10都道府県の緊急事態宣言。そして、開幕まで40日を切った東京五輪・パラリンピック。国民生活に大きな影響を与える判断はいずれも国会閉会後となった。国民を代表する議員が政府に疑問をただし、説明責任を尽くさせる機会も奪われてしまった。
論戦回避、国会軽視は、安倍政権から続く体質というほかない。野党の追及をかわし、言質を取られないようにすることばかりに執心し、質疑を通じて、国民の理解や信頼を得ようという姿勢はうかがえない。五輪開催をめぐり、何を聞かれても、ひたすら「国民の命と健康を守っていく」と繰り返した首相の答弁が典型だ。
会期中、自民党に所属していた国会議員3人が、「政治とカネ」にまつわる問題で議員辞職した。カジノをめぐる収賄と証人買収の罪で公判中の秋元司・元内閣府副大臣もいる。総務省や農林水産省では、幹部公務員の業界との癒着が明らかになり、国家公務員倫理規程違反で処分された。
政治や行政への信頼を失わせる不祥事がこれだけ続発しながら、真相解明や責任の明確化、再発防止への取り組みは、とても十分とはいえない。
前政権時代の森友・加計・桜を見る会をめぐる問題の究明も進まなかった。安倍氏は自民党内の複数の議員連盟の顧問に就任するなど、復権の動きを見せているが、国会での「虚偽答弁」ひとつとっても、納得のいく説明はなされていない。国会の行政監視機能を立て直すうえで、一連の問題を素通りするわけにはいかない。
最近、明らかになった経済産業省と東芝の問題を含め、政府や自民党のおざなりな対応を許さぬためにも、国会は重要な役割を担っている。政府・与党は、野党が求める閉会中審査に積極的に応じるとともに、コロナ対応に遅れが生じぬよう、臨時国会の早期召集もためらうべきではない。
読売新聞 2021/06/17 05:00
社説:通常国会閉幕 難局克服への議論が足りない
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210616-OYT1T50295/
ワクチン接種で光明は見えてきたものの、難局を乗り越えたと言うには程遠い。政治に対する国民の不満に、与野党は真剣に向き合うべきだ。
通常国会が閉幕した。2度にわたる緊急事態宣言の発令期間とほぼ重なり、新型コロナウイルス対策が主な論点となった。
政府・与党は、コロナ対策を強化する新型インフルエンザ対策特別措置法を改正し、106兆円を超える2021年度予算を成立させた。病床の確保に努め、事業者支援を拡充するための態勢を整えたことは評価できよう。
だが、緊急事態宣言発令や対策を巡る政府と自治体の対応は場当たり的で、私権制限や支援策に関する与野党間の議論は深まらなかった。長期的な医療提供体制の見直しや、新規ワクチンの早期承認に向けた検討も不十分だった。
立憲民主党など野党4党が提出した菅内閣不信任決議案は否決された。立民の枝野代表は提出に消極的だったが、ほかの野党に促されて方針転換したという。
総辞職か衆院解散を政権に求める不信任案を巡り、野党が迷走したのは緊張感を欠いた。コロナ禍での政治的パフォーマンスに国民は 辟易 しているのではないか。
一方、菅首相の答弁は歯切れが悪く、説得力に乏しかった。東京五輪・パラリンピックについて「安全、安心の大会を実現する」と繰り返すばかりで、具体的な安全確保策を明確にしなかった。
国民に率直に語りかけ、理解を得ることが指導者の大切な役割である。首相はそれを肝に銘じ、丁寧な説明に努めてほしい。
五輪開催時の感染抑止策や、外交・安全保障上の課題について、与野党は閉会中審査を積極的に活用して掘り下げてもらいたい。
今国会では、与野党協調が実を結んだ場面もあった。
児童生徒にわいせつ行為をした教員を教壇から追放するための新法は、政府が法制化を断念した後に、与党が検討を始め、野党の賛同を得て短期間で成立させた。機動的な対応が可能な議員立法の利点を生かしたと言える。
大規模買収事件を起こした河井克行元法相夫妻を始め、不祥事による議員辞職が相次いだ。放送関連会社「東北新社」の外資規制違反問題でも、行政をゆがめた核心部分がうやむやのまま残った。
国民の疑問に真摯に答えず、けじめを欠く対応を重ねていては、政治不信はさらに強まろう。政府・与党は、透明性の高い政権運営を心がけねばならない。
毎日新聞 2021/6/17 東京朝刊
社説:通常国会が閉会 首相の独善変わらぬまま
https://mainichi.jp/articles/20210617/ddm/005/070/092000c
新型コロナウイルス対策が最大のテーマだった通常国会が、きのう閉会した。
野党は臨機応変にコロナ対応ができるよう会期延長を求めたが、与党は受け入れなかった。インド由来の変異株の流行が危惧される中、無責任と言わざるを得ない。
150日間の論戦で浮き彫りになったのは、国民の疑問に向き合おうとせず、批判を受け入れない菅義偉首相の姿勢だった。
コロナ下での東京オリンピック・パラリンピック開催に、国民の不安は強い。首相は「安全・安心な大会の実現に全力を尽くす」と繰り返すだけで、どのような条件なら開催できるかの基準を結局、語らなかった。
政府は緊急事態宣言の発令と解除を繰り返した。1月の発令が遅れたのは、首相が経済を重視するあまり「GoToキャンペーン」にこだわったためではないか。
3月の全面解除も、野党から「早過ぎる」との懸念が出ていた。しかし、首相は耳を傾けようとせず、第4波を防げなかった。
党首討論ではこうした点を追及された。しかし首相は、希望する全国民にワクチン接種を10月から11月にかけて完了すると強調し、はぐらかした。
ワクチン接種さえ進めれば、国民への説明が置き去りにされてよいわけではない。反省や検証がなければ、今後も同じ過ちを繰り返しかねない。
説明を軽んじる姿勢はコロナ対応にとどまらなかった。
放送事業会社に勤める首相の長男らが総務省幹部を繰り返し接待した不祥事で、首相は「長男は別人格」とかわし続けた。河井克行元法相ら側近議員の政治とカネを巡る事件も相次いだが、説明責任を果たそうとしていない。
日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった問題も、拒否の理由すら明らかにしないままだ。
首相は9月に召集が見込まれる臨時国会で、衆院解散を検討しているという。それまで国会が機能しないのは問題だ。野党は閉会中審査を求めている。首相が自ら出席する場を設ける必要がある。
答弁が巧みでなくても、誠実に答えようと努めることはできる。国民に向けて真摯(しんし)に説明するよう、独善的な姿勢を改めるべきだ。
日本経済新聞 2021年6月16日 19:05
[社説]国会は閉会中審査で懸案の議論深めよ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK165ZO0W1A610C2000000/
通常国会が150日間の会期を終えて閉幕した。野党は3カ月の大幅延長を求めたが、政府・与党は「必要な法律はおおむね成立した」として拒んだ。与野党は閉会中審査を活用し、新型コロナウイルス対策などに遅れが生じないよう議論を続けていく必要がある。
与党は野党4党が提出した内閣不信任決議案を15日の衆院本会議で否決。安全保障上の重要施設の周辺での土地取引を調査・規制する新法も16日未明に成立した。
通常国会ではコロナの感染再拡大を受け、特別措置法や感染症法などが改正された。菅内閣が優先課題と位置づけるデジタル改革関連法や改正地球温暖化対策推進法も成立した。
コロナのワクチン接種が本格化したとはいえ、感染の抑止と経済活動のバランスをめぐる論争は続いている。与野党は新たな法整備や予算措置などの議論をさらに深めていくべきだ。
コロナの脅威に直面してすでに1年以上たつが、医療や検査の体制整備はなお遅れている。私権制限のあり方、生活・事業支援での国と自治体の役割分担の結論はまだ出ていない。東京五輪・パラリンピックの開催方法、経済活動の正常化に向けた課題も整理しておく必要がある。
国内外の難しい課題への迅速な対応が求められる時代に、国会運営のあり方も当然見直していかねばならない。重要テーマの検討や対応が国会の会期中だけに限定されていいはずがない。
「通年国会」の議論は浮上しては実現せずに終わってきた。昨年夏には与野党が週1回の閉会中審査で合意し、衆参両院で審議を続けた。まずはこの仕組みを最大限活用していくべきだろう。
一方で日本の国会は、欧米などと比べても首相や閣僚の拘束時間が極端に長く、公務や海外出張の大きな足かせになっている。与野党は新たな国会運営のあり方について、そろそろ胸襟を開いて話し合うべきではないか。
菅義偉首相は衆院の早期解散を見送り、次期衆院選は秋になる見通しとなった。安倍、菅両政権の実績評価に加え、次の4年の任期を見据えた戦略が重要になる。
コロナ禍で弱点をさらした危機管理の強化、度重なる経済対策を受けた財政の立て直し、米中対立の下での外交・安全保障。野党も政権批判にとどまらず、日本が進むべき針路を示してほしい。
東京新聞 2021年6月16日 08時11分
<社説>国会きょう閉会 国民が見えているのか
https://www.tokyo-np.co.jp/article/110858
通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。
国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会は、国政の調査や行政監視の権能を国民から委ねられている。その役割を果たせたのか、すべての議員が、まず自問自答すべきである。
まずは新型コロナ対策。ワクチン接種が進んでいるが、接種率がなぜ他の先進諸国に比べて低いのか。菅義偉首相ら政権の危機感が当初乏しかったのではないか。
緊急事態宣言などの発令と解除を巡り、後手と言われたり、時期尚早と批判される対応をなぜ繰り返したのか、東京五輪・パラリンピックの開催強行が医療態勢を逼迫(ひっぱく)させ、国民の命や暮らしを危険にさらすことはないのか。
こうした尽きない疑問や不安を首相や政府にぶつけ、経済支援など足らざる対策を講じるよう迫ることこそ国会の役割だが、政府側から納得のいく答えはない。一義的に政府の責任だが、答えを引き出せない国会の責任も重大だ。
会期中には、与党議員が緊急事態宣言下の夜の酒場通いで相次いで辞職、離党した。国民の苦しい状況が見えていれば、こんな軽率な行動を取れるはずがない。
この国会に引き継がれた多くの問題も、解明に至っていない。
菅首相による日本学術会議会員の任命拒否、安倍晋三前首相事務所の「桜を見る会」前日夕食会への会費補填(ほてん)、西川公也、吉川貴盛両元農相が鶏卵大手から現金を受領したとされる事件、参院広島選挙区での公選法違反事件などだ。
さかのぼれば森友・加計学園を巡る問題も未解明だ。政権中枢に近い者への優遇という点で、菅政権で発覚した首相長男らによる総務省接待問題にも通底する。
独善的な政権運営や「政治とカネ」を巡る問題は国政調査権を駆使して真相を解明し、再発防止策を講じるべきだが、国会、特に与党の動きは鈍く、責任を放棄したと批判されても仕方がない。すべての議員に猛省を促したい。
しんぶん赤旗 2021年6月17日(木)
主張:通常国会の閉会 菅政権終わらせ新しい政治を
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-06-17/2021061702_01_1.html
1月に召集された通常国会が閉会しました。コロナ対応をはじめ国会で議論すべき重要課題は積み残されたままです。とりわけコロナ禍での東京五輪の開催は、国民の命と健康、安全に直結する国政上の大問題です。ところが菅義偉政権は野党からの会期延長要求を拒み、国会を閉じました。許しがたい責任放棄です。国会が行政監視機能を果たすために閉会中審査などは不可欠です。コロナ対応の無為無策に反省もなく五輪に固執する政治を続けさせるわけにはいきません。新しい政権の実現に向けて市民と野党がさらに力を合わせることが必要となっています。
失政に反省なく五輪固執
通常国会は2度目の緊急事態宣言が発令されているさなかの1月18日に開会しました。菅首相は施政方針演説で「安心」を強調しました。しかし、感染拡大はとまらず、各地で医療がひっ迫し危機的事態を招きました。緊急事態宣言の延長や拡大が繰り返されたのは、やるべき対策を怠った菅政権の失政に他なりません。
科学にもとづく「封じ込め」戦略の欠如によるPCR検査やワクチンの立ち遅れは深刻です。「Go To事業」続行にこだわったことが感染拡大「第3波」を招いたにもかかわらず、失敗を反省せず、次の対策に生かそうともしませんでした。誤りを謙虚に認めることもなく、国民に努力ばかり求めても信頼にはつながりません。
たび重なる休業・時短要請で苦境に立つ中小業者への持続化給付金や家賃支援給付金も1回で打ち切りました。コロナ対策に「自己責任」論を持ち込んだことは到底許されません。冷酷さは医療機関への減収補填(ほてん)にいまだに応じないことにも示されています。
国民に長期にわたり我慢と苦難を強いながら、感染リスクを拡大する五輪開催を強行する姿勢を変えようとしないことは重大です。
日本共産党は1月の志位和夫委員長の代表質問で、今夏の東京五輪の中止を迫ったのをはじめ、国会審議で五輪より国民の命を優先せよと求めてきました。世論も五輪中止が圧倒的多数となっています。各地でパブリックビューイングや子どもの五輪観戦のとりやめが相次いでいるように矛盾は広がっています。五輪期間中は「テレワーク実施を」と呼びかける政府に怒りが集中しています。
何が何でも五輪開催のため、一層の自粛と我慢を求めるやり方に国民の理解は得られません。首相は国民の命を危険にさらしてまで五輪を開催する理由を問われても、全く答えられません。無責任な態度を改め、五輪の中止を決断し、コロナ対策に集中すべきです。
強権・腐敗政治にノー
基地周辺住民らを監視する土地利用規制法を強行したことは、菅政権の強権体質を浮き彫りにしました。大型買収事件で起訴された河井克行元法相・案里元参院議員など「政治とカネ」の問題で自民党議員が4人辞職したことも問われます。総務省などで相次いだ接待疑惑も曖昧にはできません。
人権侵害に拍車をかける入管法改定案は世論の急速な広がりで廃案に追い込みました。声を上げれば政治は変わります。目前の東京都議選(25日告示)で日本共産党の躍進をかちとり、来たる総選挙で市民と野党の共闘によって政権交代を実現しましょう。
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<各紙社説・主張>
朝日新聞デジタル 2021年6月17日 5時00分
(社説)延長せず閉会 国会軽視の根深い体質
----コロナ禍が国民の命と暮らしを脅かし、臨機応変な対応が求められるというのに、国会はさっさと閉じて、大事な決定はその後に行う。これでは到底、政治の重責を引き受ける政権の覚悟は伝わってこない。
読売新聞 2021/06/17 05:00
社説:通常国会閉幕 難局克服への議論が足りない
----ワクチン接種で光明は見えてきたものの、難局を乗り越えたと言うには程遠い。政治に対する国民の不満に、与野党は真剣に向き合うべきだ。
毎日新聞 2021/6/17 東京朝刊
社説:通常国会が閉会 首相の独善変わらぬまま
----野党は臨機応変にコロナ対応ができるよう会期延長を求めたが、与党は受け入れなかった。インド由来の変異株の流行が危惧される中、無責任と言わざるを得ない。
日本経済新聞 2021年6月16日 19:05
[社説]国会は閉会中審査で懸案の議論深めよ
----野党は3カ月の大幅延長を求めたが、政府・与党は「必要な法律はおおむね成立した」として拒んだ。与野党は閉会中審査を活用し、新型コロナウイルス対策などに遅れが生じないよう議論を続けていく必要がある。
東京新聞 2021年6月16日 08時11分
<社説>国会きょう閉会 国民が見えているのか
----通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。
しんぶん赤旗 2021年6月17日(木)
主張:通常国会の閉会 菅政権終わらせ新しい政治を
----コロナ対応をはじめ国会で議論すべき重要課題は積み残されたままです。とりわけコロナ禍での東京五輪の開催は、国民の命と健康、安全に直結する国政上の大問題です。ところが菅義偉政権は野党からの会期延長要求を拒み、国会を閉じました。許しがたい責任放棄です。
以下参考
朝日新聞デジタル 2021年6月17日 5時00分
(社説)延長せず閉会 国会軽視の根深い体質
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14941551.html
コロナ禍が国民の命と暮らしを脅かし、臨機応変な対応が求められるというのに、国会はさっさと閉じて、大事な決定はその後に行う。これでは到底、政治の重責を引き受ける政権の覚悟は伝わってこない。
菅首相が初めて臨んだ通常国会がきのう閉会した。野党はコロナ対応などを理由に、会期の大幅な延長を求めたが、与党は取り合わなかった。
首相は自民党が野党だった2011年5月、東日本大震災を受け「国会を閉じるなどとんでもない」とブログに記した。当時は菅直人首相に会期延長を求める運動の先頭に立っていたのに、ご都合主義が過ぎる。
20日に期限を迎える10都道府県の緊急事態宣言。そして、開幕まで40日を切った東京五輪・パラリンピック。国民生活に大きな影響を与える判断はいずれも国会閉会後となった。国民を代表する議員が政府に疑問をただし、説明責任を尽くさせる機会も奪われてしまった。
論戦回避、国会軽視は、安倍政権から続く体質というほかない。野党の追及をかわし、言質を取られないようにすることばかりに執心し、質疑を通じて、国民の理解や信頼を得ようという姿勢はうかがえない。五輪開催をめぐり、何を聞かれても、ひたすら「国民の命と健康を守っていく」と繰り返した首相の答弁が典型だ。
会期中、自民党に所属していた国会議員3人が、「政治とカネ」にまつわる問題で議員辞職した。カジノをめぐる収賄と証人買収の罪で公判中の秋元司・元内閣府副大臣もいる。総務省や農林水産省では、幹部公務員の業界との癒着が明らかになり、国家公務員倫理規程違反で処分された。
政治や行政への信頼を失わせる不祥事がこれだけ続発しながら、真相解明や責任の明確化、再発防止への取り組みは、とても十分とはいえない。
前政権時代の森友・加計・桜を見る会をめぐる問題の究明も進まなかった。安倍氏は自民党内の複数の議員連盟の顧問に就任するなど、復権の動きを見せているが、国会での「虚偽答弁」ひとつとっても、納得のいく説明はなされていない。国会の行政監視機能を立て直すうえで、一連の問題を素通りするわけにはいかない。
最近、明らかになった経済産業省と東芝の問題を含め、政府や自民党のおざなりな対応を許さぬためにも、国会は重要な役割を担っている。政府・与党は、野党が求める閉会中審査に積極的に応じるとともに、コロナ対応に遅れが生じぬよう、臨時国会の早期召集もためらうべきではない。
読売新聞 2021/06/17 05:00
社説:通常国会閉幕 難局克服への議論が足りない
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210616-OYT1T50295/
ワクチン接種で光明は見えてきたものの、難局を乗り越えたと言うには程遠い。政治に対する国民の不満に、与野党は真剣に向き合うべきだ。
通常国会が閉幕した。2度にわたる緊急事態宣言の発令期間とほぼ重なり、新型コロナウイルス対策が主な論点となった。
政府・与党は、コロナ対策を強化する新型インフルエンザ対策特別措置法を改正し、106兆円を超える2021年度予算を成立させた。病床の確保に努め、事業者支援を拡充するための態勢を整えたことは評価できよう。
だが、緊急事態宣言発令や対策を巡る政府と自治体の対応は場当たり的で、私権制限や支援策に関する与野党間の議論は深まらなかった。長期的な医療提供体制の見直しや、新規ワクチンの早期承認に向けた検討も不十分だった。
立憲民主党など野党4党が提出した菅内閣不信任決議案は否決された。立民の枝野代表は提出に消極的だったが、ほかの野党に促されて方針転換したという。
総辞職か衆院解散を政権に求める不信任案を巡り、野党が迷走したのは緊張感を欠いた。コロナ禍での政治的パフォーマンスに国民は 辟易 しているのではないか。
一方、菅首相の答弁は歯切れが悪く、説得力に乏しかった。東京五輪・パラリンピックについて「安全、安心の大会を実現する」と繰り返すばかりで、具体的な安全確保策を明確にしなかった。
国民に率直に語りかけ、理解を得ることが指導者の大切な役割である。首相はそれを肝に銘じ、丁寧な説明に努めてほしい。
五輪開催時の感染抑止策や、外交・安全保障上の課題について、与野党は閉会中審査を積極的に活用して掘り下げてもらいたい。
今国会では、与野党協調が実を結んだ場面もあった。
児童生徒にわいせつ行為をした教員を教壇から追放するための新法は、政府が法制化を断念した後に、与党が検討を始め、野党の賛同を得て短期間で成立させた。機動的な対応が可能な議員立法の利点を生かしたと言える。
大規模買収事件を起こした河井克行元法相夫妻を始め、不祥事による議員辞職が相次いだ。放送関連会社「東北新社」の外資規制違反問題でも、行政をゆがめた核心部分がうやむやのまま残った。
国民の疑問に真摯に答えず、けじめを欠く対応を重ねていては、政治不信はさらに強まろう。政府・与党は、透明性の高い政権運営を心がけねばならない。
毎日新聞 2021/6/17 東京朝刊
社説:通常国会が閉会 首相の独善変わらぬまま
https://mainichi.jp/articles/20210617/ddm/005/070/092000c
新型コロナウイルス対策が最大のテーマだった通常国会が、きのう閉会した。
野党は臨機応変にコロナ対応ができるよう会期延長を求めたが、与党は受け入れなかった。インド由来の変異株の流行が危惧される中、無責任と言わざるを得ない。
150日間の論戦で浮き彫りになったのは、国民の疑問に向き合おうとせず、批判を受け入れない菅義偉首相の姿勢だった。
コロナ下での東京オリンピック・パラリンピック開催に、国民の不安は強い。首相は「安全・安心な大会の実現に全力を尽くす」と繰り返すだけで、どのような条件なら開催できるかの基準を結局、語らなかった。
政府は緊急事態宣言の発令と解除を繰り返した。1月の発令が遅れたのは、首相が経済を重視するあまり「GoToキャンペーン」にこだわったためではないか。
3月の全面解除も、野党から「早過ぎる」との懸念が出ていた。しかし、首相は耳を傾けようとせず、第4波を防げなかった。
党首討論ではこうした点を追及された。しかし首相は、希望する全国民にワクチン接種を10月から11月にかけて完了すると強調し、はぐらかした。
ワクチン接種さえ進めれば、国民への説明が置き去りにされてよいわけではない。反省や検証がなければ、今後も同じ過ちを繰り返しかねない。
説明を軽んじる姿勢はコロナ対応にとどまらなかった。
放送事業会社に勤める首相の長男らが総務省幹部を繰り返し接待した不祥事で、首相は「長男は別人格」とかわし続けた。河井克行元法相ら側近議員の政治とカネを巡る事件も相次いだが、説明責任を果たそうとしていない。
日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった問題も、拒否の理由すら明らかにしないままだ。
首相は9月に召集が見込まれる臨時国会で、衆院解散を検討しているという。それまで国会が機能しないのは問題だ。野党は閉会中審査を求めている。首相が自ら出席する場を設ける必要がある。
答弁が巧みでなくても、誠実に答えようと努めることはできる。国民に向けて真摯(しんし)に説明するよう、独善的な姿勢を改めるべきだ。
日本経済新聞 2021年6月16日 19:05
[社説]国会は閉会中審査で懸案の議論深めよ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK165ZO0W1A610C2000000/
通常国会が150日間の会期を終えて閉幕した。野党は3カ月の大幅延長を求めたが、政府・与党は「必要な法律はおおむね成立した」として拒んだ。与野党は閉会中審査を活用し、新型コロナウイルス対策などに遅れが生じないよう議論を続けていく必要がある。
与党は野党4党が提出した内閣不信任決議案を15日の衆院本会議で否決。安全保障上の重要施設の周辺での土地取引を調査・規制する新法も16日未明に成立した。
通常国会ではコロナの感染再拡大を受け、特別措置法や感染症法などが改正された。菅内閣が優先課題と位置づけるデジタル改革関連法や改正地球温暖化対策推進法も成立した。
コロナのワクチン接種が本格化したとはいえ、感染の抑止と経済活動のバランスをめぐる論争は続いている。与野党は新たな法整備や予算措置などの議論をさらに深めていくべきだ。
コロナの脅威に直面してすでに1年以上たつが、医療や検査の体制整備はなお遅れている。私権制限のあり方、生活・事業支援での国と自治体の役割分担の結論はまだ出ていない。東京五輪・パラリンピックの開催方法、経済活動の正常化に向けた課題も整理しておく必要がある。
国内外の難しい課題への迅速な対応が求められる時代に、国会運営のあり方も当然見直していかねばならない。重要テーマの検討や対応が国会の会期中だけに限定されていいはずがない。
「通年国会」の議論は浮上しては実現せずに終わってきた。昨年夏には与野党が週1回の閉会中審査で合意し、衆参両院で審議を続けた。まずはこの仕組みを最大限活用していくべきだろう。
一方で日本の国会は、欧米などと比べても首相や閣僚の拘束時間が極端に長く、公務や海外出張の大きな足かせになっている。与野党は新たな国会運営のあり方について、そろそろ胸襟を開いて話し合うべきではないか。
菅義偉首相は衆院の早期解散を見送り、次期衆院選は秋になる見通しとなった。安倍、菅両政権の実績評価に加え、次の4年の任期を見据えた戦略が重要になる。
コロナ禍で弱点をさらした危機管理の強化、度重なる経済対策を受けた財政の立て直し、米中対立の下での外交・安全保障。野党も政権批判にとどまらず、日本が進むべき針路を示してほしい。
東京新聞 2021年6月16日 08時11分
<社説>国会きょう閉会 国民が見えているのか
https://www.tokyo-np.co.jp/article/110858
通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。
国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会は、国政の調査や行政監視の権能を国民から委ねられている。その役割を果たせたのか、すべての議員が、まず自問自答すべきである。
まずは新型コロナ対策。ワクチン接種が進んでいるが、接種率がなぜ他の先進諸国に比べて低いのか。菅義偉首相ら政権の危機感が当初乏しかったのではないか。
緊急事態宣言などの発令と解除を巡り、後手と言われたり、時期尚早と批判される対応をなぜ繰り返したのか、東京五輪・パラリンピックの開催強行が医療態勢を逼迫(ひっぱく)させ、国民の命や暮らしを危険にさらすことはないのか。
こうした尽きない疑問や不安を首相や政府にぶつけ、経済支援など足らざる対策を講じるよう迫ることこそ国会の役割だが、政府側から納得のいく答えはない。一義的に政府の責任だが、答えを引き出せない国会の責任も重大だ。
会期中には、与党議員が緊急事態宣言下の夜の酒場通いで相次いで辞職、離党した。国民の苦しい状況が見えていれば、こんな軽率な行動を取れるはずがない。
この国会に引き継がれた多くの問題も、解明に至っていない。
菅首相による日本学術会議会員の任命拒否、安倍晋三前首相事務所の「桜を見る会」前日夕食会への会費補填(ほてん)、西川公也、吉川貴盛両元農相が鶏卵大手から現金を受領したとされる事件、参院広島選挙区での公選法違反事件などだ。
さかのぼれば森友・加計学園を巡る問題も未解明だ。政権中枢に近い者への優遇という点で、菅政権で発覚した首相長男らによる総務省接待問題にも通底する。
独善的な政権運営や「政治とカネ」を巡る問題は国政調査権を駆使して真相を解明し、再発防止策を講じるべきだが、国会、特に与党の動きは鈍く、責任を放棄したと批判されても仕方がない。すべての議員に猛省を促したい。
しんぶん赤旗 2021年6月17日(木)
主張:通常国会の閉会 菅政権終わらせ新しい政治を
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-06-17/2021061702_01_1.html
1月に召集された通常国会が閉会しました。コロナ対応をはじめ国会で議論すべき重要課題は積み残されたままです。とりわけコロナ禍での東京五輪の開催は、国民の命と健康、安全に直結する国政上の大問題です。ところが菅義偉政権は野党からの会期延長要求を拒み、国会を閉じました。許しがたい責任放棄です。国会が行政監視機能を果たすために閉会中審査などは不可欠です。コロナ対応の無為無策に反省もなく五輪に固執する政治を続けさせるわけにはいきません。新しい政権の実現に向けて市民と野党がさらに力を合わせることが必要となっています。
失政に反省なく五輪固執
通常国会は2度目の緊急事態宣言が発令されているさなかの1月18日に開会しました。菅首相は施政方針演説で「安心」を強調しました。しかし、感染拡大はとまらず、各地で医療がひっ迫し危機的事態を招きました。緊急事態宣言の延長や拡大が繰り返されたのは、やるべき対策を怠った菅政権の失政に他なりません。
科学にもとづく「封じ込め」戦略の欠如によるPCR検査やワクチンの立ち遅れは深刻です。「Go To事業」続行にこだわったことが感染拡大「第3波」を招いたにもかかわらず、失敗を反省せず、次の対策に生かそうともしませんでした。誤りを謙虚に認めることもなく、国民に努力ばかり求めても信頼にはつながりません。
たび重なる休業・時短要請で苦境に立つ中小業者への持続化給付金や家賃支援給付金も1回で打ち切りました。コロナ対策に「自己責任」論を持ち込んだことは到底許されません。冷酷さは医療機関への減収補填(ほてん)にいまだに応じないことにも示されています。
国民に長期にわたり我慢と苦難を強いながら、感染リスクを拡大する五輪開催を強行する姿勢を変えようとしないことは重大です。
日本共産党は1月の志位和夫委員長の代表質問で、今夏の東京五輪の中止を迫ったのをはじめ、国会審議で五輪より国民の命を優先せよと求めてきました。世論も五輪中止が圧倒的多数となっています。各地でパブリックビューイングや子どもの五輪観戦のとりやめが相次いでいるように矛盾は広がっています。五輪期間中は「テレワーク実施を」と呼びかける政府に怒りが集中しています。
何が何でも五輪開催のため、一層の自粛と我慢を求めるやり方に国民の理解は得られません。首相は国民の命を危険にさらしてまで五輪を開催する理由を問われても、全く答えられません。無責任な態度を改め、五輪の中止を決断し、コロナ対策に集中すべきです。
強権・腐敗政治にノー
基地周辺住民らを監視する土地利用規制法を強行したことは、菅政権の強権体質を浮き彫りにしました。大型買収事件で起訴された河井克行元法相・案里元参院議員など「政治とカネ」の問題で自民党議員が4人辞職したことも問われます。総務省などで相次いだ接待疑惑も曖昧にはできません。
人権侵害に拍車をかける入管法改定案は世論の急速な広がりで廃案に追い込みました。声を上げれば政治は変わります。目前の東京都議選(25日告示)で日本共産党の躍進をかちとり、来たる総選挙で市民と野党の共闘によって政権交代を実現しましょう。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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