2021-07-06(Tue)
リニア建設 中断し説明と再検証を 現場へ! リニア工事の周りで①~⑤
リニアをめぐる社会経済の環境は、政府が14年に計画を認可したときから大きく変わった。
JR東海と国交省はいったん立ち止まって事業の是非を再検討し、地元と真摯(しんし)に対話することが求められる。
朝日新聞デジタル 2021年7月5日 5時00分
(社説)リニア建設 中断し説明と再検証を
----いつ開業できるのかわからない。コロナ禍で需要の見通しも怪しくなった。いったん工事を中断し、地元への説明や採算面の検証を優先すべきではないか。JR東海が進めるリニア中央新幹線(東京・品川―名古屋)の建設である。
(静岡県知事選で4選した)川勝氏は、これまで、河川の水量が減る恐れなどを理由に、静岡工区(8・9キロ)の着工に対する河川法に基づく同意を見送っており、静岡県を迂回(うかい)するようルート変更を求めることも辞さない構え。
・・・南アルプスの地下最大1400メートルを、静岡県を貫通するように掘るトンネルは、前例の無い難工事だ。不確実性が高く、環境への影響を正確に予測できるとは限らない。住民が懸念を抱くのは当然で、理解を得ることが事業を進める前提のはずだ。
----静岡県以外でも、大深度工事や残土の処分をめぐる不安の声が住民からは聞こえる。
----採算面も見通せない。コロナ禍でウェブ会議が普及し、リニアや新幹線の利用客は想定を下回る可能性が指摘されている。収益力が低下した場合、大阪延伸を含めた工期にどう影響するのか。JR東海は事業計画を練り直すことを考えるべきだ。
----リニアには、政府も3兆円を超低利で貸し付けている。融資が焦げ付いて国民負担が生じないよう、国土交通省も計画を精査する責務がある。
◇ リニアをめぐる社会経済の環境は、政府が14年に計画を認可したときから大きく変わった。
JR東海と国交省はいったん立ち止まって事業の是非を再検討し、地元と真摯(しんし)に対話することが求められる。
朝日新聞デジタル 2021年6月28日 15時00分
現場へ! リニア工事の周りで① 首都圏に地下40メートル以深のトンネル 住民に不安も
----事故が昨年10月、東京都調布市で起きた。リニアと同じ大深度で進む東京外郭環状道路の地下トンネル工事で、ルート上の道路の陥没や空洞が見つかったのだ。
今月8日、JR東海は品川区で住民説明会を開いた。担当幹部は「外環道の事故は特殊な地盤と施工管理の不備が原因。我々の地盤は固く、安全だ」と強調した。
・・・・説明会では工事中止を求める発言が相次ぎ、そのたび会場から拍手が起きた。だが、直後に開いたマスコミへの説明会で、JR幹部は「住民に理解していただけた。工事を進めていく」と言い切った。
朝日新聞デジタル 2021年6月29日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで② 相模原の山あいにリニア車両基地 「まるで万里の長城」
----JR東海は神奈川県駅を地下30メートルにつくる計画だ。土留(どどめ)壁を打ち込み、用地を幅50メートル・長さ1キロにわたって露天掘りし、駅を造って埋め戻す。その工事の騒音や振動、残土を運び出すダンプの往来は激しい。
----15キロ離れた山間地の鳥屋地区には、リニアの車両基地の建設計画がある。「滑走路か、万里の長城か」。・・・最大幅350メートル・長さ2キロ・面積50万平方メートル。山を削り、谷を埋めて標高310メートルにそろえる。・・・裏山に10階建てのマンションに相当する台地が造成されることになる。
----「リニアの洗車に一日319トンの水を使う。それを串川に流されちゃ、たまらない」。木を切り、山を造成すれば、大雨の被害は増すとみる。洗浄剤による水質汚染も心配だ。
朝日新聞デジタル 2021年6月30日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで③ 甲府盆地横切るリニア路線、高架が暮らしに影落とす
----リニア実験線が2013年に全線開通した山梨県。トンネル工事に伴い、笛吹市では10~11年、住民から水枯れの訴えが相次いだ。
----営業線で同様の高架が予定されている南アルプス市の宮沢区自治会は、住民の約93%が工事に反対し、JRの説明会も拒否している。今後の鍵となるのがルート上にある公会堂だ。「自治会の共有財産だから、どかないよ」と自治会長は言う。
ルートは宮沢区を斜めに突っ切る。JRは直下の土地しか買わない。「半端に三角形の土地ばっかり残される。日影になり騒音も。いいことは一つもない」
----山梨県駅(仮称)と保守基地の建設予定地近くでは、内田学(70)が引き込み線のルート上で、工事を阻止するための立ち木トラストに取り組む。この桑畑のオーナーは全国約700人にのぼる。
朝日新聞デジタル 2021年7月1日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで④ 長野の山に残土の壁、尾根に穴 「リニア理に合わない」
----それは大自然の景観とは不釣り合いな人工的な「壁」だった。
長野県大鹿村釜沢地区。リニア中央新幹線の除山(のぞきやま)非常口近くに、トンネルを掘削した残土の仮置き場がある。一角には十数メートルの高さまで、計3万立方メートルの残土が階段状に積まれ、崩落防止の網がかぶせてある。元は温泉付きの山荘があった場所だ。・・・山荘の土地を原状復帰するという約束は、村とJRが「住民の同意がとれた」と主張し、ほごにされた。
----小渋川を渡り、青木川非常口に向かう途中、大西山の尾根筋に直径20メートルほどの穴が三つ空いているのに気づいた。そこだけ木が伐採され、地肌が見えている。ここに中部電力がリニアの送電鉄塔を建設する計画だ。
朝日新聞デジタル 2021年7月2日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで⑤ 有害残土はどこへ? ウラン鉱床の間走るリニアトンネル
---岐阜県瑞浪市ののどかな山あいに白い建物が見える。リニア中央新幹線の日吉トンネルに通じる南垣外(みなみがいと)非常口のプラントだ。ここで、トンネル掘削で出た残土を、有害物質を含む「要対策土」と「健全土」にふるい分けている。付近には日本最大のウラン鉱床が広がる。リニアの地下トンネルは、月吉、美佐野など四つの鉱床の間を縫うように走る計画だ。
----JRは岐阜県内で出た残土の恒久処分場を中津川市と御嵩町に計画している。御嵩町では山林13ヘクタールに90万立方メートルの残土を入れ、平地にする意向だが、近くに重金属を含む地質帯があり対策が必要だ。昨年9月、渡辺公夫町長は処分場を遮水シートで覆うというJRの提案を口頭で拒否した。同町は30年前、産業廃棄物処分場建設に反対する当時の町長が襲撃され、住民投票で産廃受け入れを拒んだ経緯がある。
以下参考
朝日新聞デジタル 2021年7月5日 5時00分
(社説)リニア建設 中断し説明と再検証を
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14961604.html
*********************************
朝日新聞デジタル 2021年6月28日 15時00分
現場へ! リニア工事の周りで① 首都圏に地下40メートル以深のトンネル 住民に不安も
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14954507.html
https://digital.asahi.com/articles/ASP6R7S81P6GUPQJ00D.html
朝日新聞デジタル 2021年6月29日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで② 相模原の山あいにリニア車両基地 「まるで万里の長城」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14955935.html
https://digital.asahi.com/articles/ASP6R7WJWP6HUPQJ016.html
朝日新聞デジタル 2021年6月30日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで③
甲府盆地横切るリニア路線、高架が暮らしに影落とす
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S0SC9P6HUPQJ018.html
朝日新聞デジタル 2021年7月1日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで④
長野の山に残土の壁、尾根に穴 「リニア理に合わない」
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S4JJ7P6HUPQJ01B.html
朝日新聞デジタル 2021年7月2日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで⑤
有害残土はどこへ? ウラン鉱床の間走るリニアトンネル
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S4VTTP6JUPQJ006.html
//////////////////////////////////////////////////////////////////
JR東海と国交省はいったん立ち止まって事業の是非を再検討し、地元と真摯(しんし)に対話することが求められる。
朝日新聞デジタル 2021年7月5日 5時00分
(社説)リニア建設 中断し説明と再検証を
----いつ開業できるのかわからない。コロナ禍で需要の見通しも怪しくなった。いったん工事を中断し、地元への説明や採算面の検証を優先すべきではないか。JR東海が進めるリニア中央新幹線(東京・品川―名古屋)の建設である。
(静岡県知事選で4選した)川勝氏は、これまで、河川の水量が減る恐れなどを理由に、静岡工区(8・9キロ)の着工に対する河川法に基づく同意を見送っており、静岡県を迂回(うかい)するようルート変更を求めることも辞さない構え。
・・・南アルプスの地下最大1400メートルを、静岡県を貫通するように掘るトンネルは、前例の無い難工事だ。不確実性が高く、環境への影響を正確に予測できるとは限らない。住民が懸念を抱くのは当然で、理解を得ることが事業を進める前提のはずだ。
----静岡県以外でも、大深度工事や残土の処分をめぐる不安の声が住民からは聞こえる。
----採算面も見通せない。コロナ禍でウェブ会議が普及し、リニアや新幹線の利用客は想定を下回る可能性が指摘されている。収益力が低下した場合、大阪延伸を含めた工期にどう影響するのか。JR東海は事業計画を練り直すことを考えるべきだ。
----リニアには、政府も3兆円を超低利で貸し付けている。融資が焦げ付いて国民負担が生じないよう、国土交通省も計画を精査する責務がある。
◇ リニアをめぐる社会経済の環境は、政府が14年に計画を認可したときから大きく変わった。
JR東海と国交省はいったん立ち止まって事業の是非を再検討し、地元と真摯(しんし)に対話することが求められる。
朝日新聞デジタル 2021年6月28日 15時00分
現場へ! リニア工事の周りで① 首都圏に地下40メートル以深のトンネル 住民に不安も
----事故が昨年10月、東京都調布市で起きた。リニアと同じ大深度で進む東京外郭環状道路の地下トンネル工事で、ルート上の道路の陥没や空洞が見つかったのだ。
今月8日、JR東海は品川区で住民説明会を開いた。担当幹部は「外環道の事故は特殊な地盤と施工管理の不備が原因。我々の地盤は固く、安全だ」と強調した。
・・・・説明会では工事中止を求める発言が相次ぎ、そのたび会場から拍手が起きた。だが、直後に開いたマスコミへの説明会で、JR幹部は「住民に理解していただけた。工事を進めていく」と言い切った。
朝日新聞デジタル 2021年6月29日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで② 相模原の山あいにリニア車両基地 「まるで万里の長城」
----JR東海は神奈川県駅を地下30メートルにつくる計画だ。土留(どどめ)壁を打ち込み、用地を幅50メートル・長さ1キロにわたって露天掘りし、駅を造って埋め戻す。その工事の騒音や振動、残土を運び出すダンプの往来は激しい。
----15キロ離れた山間地の鳥屋地区には、リニアの車両基地の建設計画がある。「滑走路か、万里の長城か」。・・・最大幅350メートル・長さ2キロ・面積50万平方メートル。山を削り、谷を埋めて標高310メートルにそろえる。・・・裏山に10階建てのマンションに相当する台地が造成されることになる。
----「リニアの洗車に一日319トンの水を使う。それを串川に流されちゃ、たまらない」。木を切り、山を造成すれば、大雨の被害は増すとみる。洗浄剤による水質汚染も心配だ。
朝日新聞デジタル 2021年6月30日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで③ 甲府盆地横切るリニア路線、高架が暮らしに影落とす
----リニア実験線が2013年に全線開通した山梨県。トンネル工事に伴い、笛吹市では10~11年、住民から水枯れの訴えが相次いだ。
----営業線で同様の高架が予定されている南アルプス市の宮沢区自治会は、住民の約93%が工事に反対し、JRの説明会も拒否している。今後の鍵となるのがルート上にある公会堂だ。「自治会の共有財産だから、どかないよ」と自治会長は言う。
ルートは宮沢区を斜めに突っ切る。JRは直下の土地しか買わない。「半端に三角形の土地ばっかり残される。日影になり騒音も。いいことは一つもない」
----山梨県駅(仮称)と保守基地の建設予定地近くでは、内田学(70)が引き込み線のルート上で、工事を阻止するための立ち木トラストに取り組む。この桑畑のオーナーは全国約700人にのぼる。
朝日新聞デジタル 2021年7月1日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで④ 長野の山に残土の壁、尾根に穴 「リニア理に合わない」
----それは大自然の景観とは不釣り合いな人工的な「壁」だった。
長野県大鹿村釜沢地区。リニア中央新幹線の除山(のぞきやま)非常口近くに、トンネルを掘削した残土の仮置き場がある。一角には十数メートルの高さまで、計3万立方メートルの残土が階段状に積まれ、崩落防止の網がかぶせてある。元は温泉付きの山荘があった場所だ。・・・山荘の土地を原状復帰するという約束は、村とJRが「住民の同意がとれた」と主張し、ほごにされた。
----小渋川を渡り、青木川非常口に向かう途中、大西山の尾根筋に直径20メートルほどの穴が三つ空いているのに気づいた。そこだけ木が伐採され、地肌が見えている。ここに中部電力がリニアの送電鉄塔を建設する計画だ。
朝日新聞デジタル 2021年7月2日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで⑤ 有害残土はどこへ? ウラン鉱床の間走るリニアトンネル
---岐阜県瑞浪市ののどかな山あいに白い建物が見える。リニア中央新幹線の日吉トンネルに通じる南垣外(みなみがいと)非常口のプラントだ。ここで、トンネル掘削で出た残土を、有害物質を含む「要対策土」と「健全土」にふるい分けている。付近には日本最大のウラン鉱床が広がる。リニアの地下トンネルは、月吉、美佐野など四つの鉱床の間を縫うように走る計画だ。
----JRは岐阜県内で出た残土の恒久処分場を中津川市と御嵩町に計画している。御嵩町では山林13ヘクタールに90万立方メートルの残土を入れ、平地にする意向だが、近くに重金属を含む地質帯があり対策が必要だ。昨年9月、渡辺公夫町長は処分場を遮水シートで覆うというJRの提案を口頭で拒否した。同町は30年前、産業廃棄物処分場建設に反対する当時の町長が襲撃され、住民投票で産廃受け入れを拒んだ経緯がある。
以下参考
朝日新聞デジタル 2021年7月5日 5時00分
(社説)リニア建設 中断し説明と再検証を
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14961604.html
*********************************
朝日新聞デジタル 2021年6月28日 15時00分
現場へ! リニア工事の周りで① 首都圏に地下40メートル以深のトンネル 住民に不安も
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14954507.html
https://digital.asahi.com/articles/ASP6R7S81P6GUPQJ00D.html
朝日新聞デジタル 2021年6月29日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで② 相模原の山あいにリニア車両基地 「まるで万里の長城」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14955935.html
https://digital.asahi.com/articles/ASP6R7WJWP6HUPQJ016.html
朝日新聞デジタル 2021年6月30日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで③
甲府盆地横切るリニア路線、高架が暮らしに影落とす
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S0SC9P6HUPQJ018.html
朝日新聞デジタル 2021年7月1日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで④
長野の山に残土の壁、尾根に穴 「リニア理に合わない」
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S4JJ7P6HUPQJ01B.html
朝日新聞デジタル 2021年7月2日 16時00分
現場へ! リニア工事の周りで⑤
有害残土はどこへ? ウラン鉱床の間走るリニアトンネル
https://digital.asahi.com/articles/ASP6S4VTTP6JUPQJ006.html
//////////////////////////////////////////////////////////////////
- 関連記事
テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済