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2021-10-10(Sun)

岸田首相の所信表明 信頼と共感 遠い道のり

「民主主義の危機」への言及ない 転換への踏み込み足りぬ
「新しい資本主義」の具体像は見えず、「政治とカネ」の問題には言及がない



朝日新聞デジタル 2021年10月9日 5時00分
(社説)初の所信表明 信頼と共感 遠い道のり
----肝いりの「新しい資本主義」の具体像は見えず、政治への信頼回復に不可欠な「政治とカネ」の問題には言及がない。冒頭に掲げた「信頼と共感を得られる政治」を本当に実現できるのか、道のりは遠い。

読売新聞 2021/10/09 05:00
社説:所信表明演説 成長と分配の具体策が肝心だ
----中間層を広げるため、成長と分配を両輪で進めるという方向性は妥当である。肝心の具体策を明らかにし、実現に向けて動き出してほしい。

毎日新聞 2021/10/9 東京朝刊
社説:岸田首相の所信表明 転換への踏み込み足りぬ
----岸田文雄首相が初の所信表明演説に臨んだ。「信頼と共感」を得られる政治を目指し、「新しい資本主義」を実現すると力説した。
 「絆」「やさしさ」などの言葉をちりばめ、独自色を打ち出そうという姿勢はうかがえた。だが、安倍晋三、菅義偉両政権の路線を見直すとは明言せず、踏み込み不足だった。転換への意気込みが伝わらなかった。

日本経済新聞 2021年10月8日 19:05
[社説]首相はビジョンの中身にもっと踏みこめ
----岸田文雄首相が就任後初めての所信表明演説に臨んだ。「国民の声を真摯に受け止める」「国民に丁寧に説明する」と繰り返し訴え、国民との対話を重んじる姿勢を印象づけた。政治の信頼を一刻も早く取り戻し、重点政策の具体化を急いでほしい。

産経新聞 2021/10/9 05:00
主張:首相の所信表明 中国問題を正面から語れ
----岸田文雄首相が就任後初めての所信表明演説を行った。岸田政治の針路を、丁寧に語ろうとした姿勢は評価できる。
新型コロナウイルス対応と、中間層拡大を目指す「新しい資本主義」の実現、国民を守り抜く外交・安全保障―を政策の3本柱に置いた。

東京新聞 2021年10月9日 07時34分
<社説>民主主義の再生 首相の覚悟が見えない
----きのう行われた岸田文雄首相の所信表明演説には「民主主義の危機」への言及がなく、その克服に向けた覚悟は読み取れない。自民党総裁選で「民主主義の危機」を訴えたのは首相に就くための方便にすぎなかったのか。
 過ぎたことだからといって、忘れるわけにはいかない。

しんぶん赤旗 2021年10月9日(土)
主張:岸田首相所信表明 これが「国民の声」聞く姿勢か
 「国民の声」を聞くことが売り物の岸田文雄首相の就任後初の所信表明演説は、その言葉とは程遠いものでした。「新しい時代」を開くと強調しましたが、国民の不信を招いた安倍晋三・菅義偉両政権のどこが間違っていたのか、一切触れません。むしろ、「新しい資本主義」を目指すなどとごまかして、破綻した「安倍・菅政治」を、いっそう推進する姿勢を示しました。いくら表紙が替わっても、政治の中身は変わりません、新しい政治を実現するには政権交代しかありません。





以下参考


朝日新聞デジタル 2021年10月9日 5時00分
(社説)初の所信表明 信頼と共感 遠い道のり
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15070670.html
 肝いりの「新しい資本主義」の具体像は見えず、政治への信頼回復に不可欠な「政治とカネ」の問題には言及がない。冒頭に掲げた「信頼と共感を得られる政治」を本当に実現できるのか、道のりは遠い。
 岸田首相がきのう、就任後初の所信表明演説を行った。政権がめざす理念や政策の柱は、自民党総裁選での訴えに沿ったものだが、具体的な肉付けはこれからというものが多い。国政を任せてくださいと、衆院選で有権者に問うには、判断材料はまだ不十分と言わざるを得ない。
 喫緊の課題である新型コロナ対策では、国民に納得してもらえる丁寧な説明と、常に最悪の事態を想定した対応を基本とするとした。しかし、関係閣僚に指示した安心確保のための取り組みの全体像はまだ示されていない。一方、過去の対応の徹底的な分析と検証を打ち出したのは当然である。安倍、菅両政権の失敗の原因を見極め、第6波への備えや新たな感染症対策に生かさねばならない。
 経済政策については、格差と分断をもたらした新自由主義的な政策の転換を強調した。ただ、ビジョンの具体化は、今後つくる「新しい資本主義実現会議」にゆだねられた。
 働く人への分配強化策として具体的に挙げた、賃上げ企業への税制優遇は安倍政権下でも採用され、効果は乏しかったのが現実だ。総裁選の公約にあった金融所得課税の見直しは盛り込まれなかった。税制を通じた再分配の強化に及び腰では、格差是正の本気度が問われる。
 外交・安保では、経済安全保障を推進するための法案の策定や、13年に閣議決定された外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」の初めての見直し、防衛大綱と中期防衛力整備計画の改定に取り組むとした。防衛力の強化に偏らず、外交努力を含めた総合的な戦略の構築をめざす必要がある。
 被爆地・広島出身の首相として、「核兵器のない世界」に向け全力を尽くすと言ったことは、前向きに受け止めたい。まずは第一歩として、核兵器禁止条約の締結国会議へのオブザーバー参加を決断すべきだ。
 総裁選の期間中に首相が繰り返したキーワードで、演説にはなかった言葉がある。「寛容な政治」だ。「我が国の民主主義が危機に陥っている」という現状認識と、それを踏まえた信頼回復策も示されていない。
 コロナ禍や社会の分断を乗り越え、「絆の力」で新しい時代を切り開く――。演説では前向きなメッセージに重きを置いたのかもしれないが、初志をおろそかにすれば、「信頼と共感」は得られないと心すべきだ。


読売新聞 2021/10/09 05:00
社説:所信表明演説 成長と分配の具体策が肝心だ
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20211008-OYT1T50319/
 中間層を広げるため、成長と分配を両輪で進めるという方向性は妥当である。肝心の具体策を明らかにし、実現に向けて動き出してほしい。
 岸田首相が衆参両院本会議で、初の所信表明演説を行った。
 最優先課題に新型コロナウイルス対応を挙げ、「常に最悪の事態を想定する」と述べた。治療や検査の体制を強化し、飲み薬の年内実用化を目指すという。
 経済活動を正常化させるには、次の感染拡大を防ぐことが不可欠だ。流行の兆しを見逃さず、先手を打って対処せねばならない。
 首相は、コロナ禍で影響を受ける事業者に対し、地域や業種を限定せずに、給付金を支給することを表明した。非正規雇用者や子育て世帯への支援も打ち出した。
 苦境にある地方の産業や困窮する人に支援が行き届くよう、適切な方策を検討する必要がある。
 首相は、自身が提唱した「新しい資本主義」について、「成長も分配も実現するため政策を総動員する」と説明した。実現会議を創設して構想をまとめるという。
 新自由主義的とされた小泉政権以来の規制改革路線は、所得格差を拡大し、国民の分断を招いた、という認識があるのだろう。
 経済成長を重視するアベノミクスを基本的に継承しつつ、さらに分配に力を入れる姿勢を鮮明にしたと言える。働く人の所得を増やし、消費や投資の拡大につなげる方針を示したのは理解できる。
 安倍内閣も「成長と分配の好循環」を掲げていたが、成長戦略は不発に終わり、分配は道半ばだった。経済政策の柱とする以上、実効性のある施策を明示し、目に見える成果を出すことが重要だ。
 新興企業を支援し、デジタルなど成長分野を力強く育てなければ、分配重視は単なる歳出拡大策になりかねない。好循環につながる戦略をまとめてもらいたい。
 首相は演説で、「国民を守り抜く外交・安全保障」を強調した。2013年に策定した国家安全保障戦略の改定や、防衛力の強化に取り組むことを表明した。
 先端技術の流出やサイバー防衛など新しい課題が山積しており、経済安全保障を強化して国益を守ることは急務である。米国をはじめ、価値観を共有する各国と連携し、戦略的に取り組むべきだ。
 与野党は衆院選に向けた臨戦態勢に入っているが、首都圏で震度5強の地震が起きたように災害は時を選ばない。危機管理に即応できるよう、首相は公邸に居を構えることも検討してはどうか。


毎日新聞 2021/10/9 東京朝刊
社説:岸田首相の所信表明 転換への踏み込み足りぬ
https://mainichi.jp/articles/20211009/ddm/005/070/131000c
 岸田文雄首相が初の所信表明演説に臨んだ。「信頼と共感」を得られる政治を目指し、「新しい資本主義」を実現すると力説した。
 「絆」「やさしさ」などの言葉をちりばめ、独自色を打ち出そうという姿勢はうかがえた。だが、安倍晋三、菅義偉両政権の路線を見直すとは明言せず、踏み込み不足だった。転換への意気込みが伝わらなかった。
 首相は、両政権を念頭に「国民の信頼が大きく崩れ、民主主義の危機にある」と繰り返してきた。問われるのは、その問題意識を実行に移すことができるかだ。
 ところが、国民の信頼を大きく損なってきた「政治とカネ」や、公文書改ざん・廃棄などの問題には、演説で一切触れなかった。これでは本気度が疑われる。
 首相の長所は「聞く力」だという。森友学園を巡る公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員の妻が再調査を求める手紙を出した。疑惑の全容解明を求める国民の声に耳を傾けるべきだ。
 新自由主義的な経済政策は格差や分断を招いてきた。首相は、成長に偏った路線を修正し、富の分配に力を入れるという。中間層を拡大することで消費を活発化させ、経済を好転させるシナリオだ。
 しかし、演説では成長と効率を優先するアベノミクスの負の側面を明確に指摘しなかった。安倍氏のメンツを潰さないように配慮しているのではないか。
 分配の元手となる財源を確保するための税制改革や、社会保障制度改革の具体策も示さなかった。目前に迫る衆院選をにらみ、国民に負担を強いる施策への言及を避けたとみられても仕方がない。
 最優先課題に、新型コロナウイルス対策を位置づけた。これまでの問題点を検証し、司令塔機能を強化すると訴えた。人の流れの抑制や病床確保に向けた法改正を明言したが、権利の制限に関わるだけに幅広い議論が欠かせない。
 安倍、菅両政権は野党の質問や異論には耳を貸さず、国会審議をないがしろにしてきた。こうした姿勢も改めねばならない。
 首相は演説で「国民との丁寧な対話を大切にする」と約束した。来週には所信表明を受けた与野党の代表質問が控えている。早速その姿勢が試されることになる。


日本経済新聞 2021年10月8日 19:05
[社説]首相はビジョンの中身にもっと踏みこめ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK07AUE0X01C21A0000000/
岸田文雄首相が就任後初めての所信表明演説に臨んだ。「国民の声を真摯に受け止める」「国民に丁寧に説明する」と繰り返し訴え、国民との対話を重んじる姿勢を印象づけた。政治の信頼を一刻も早く取り戻し、重点政策の具体化を急いでほしい。
最優先課題に挙げた新型コロナウイルス対策で「最悪を想定する」のは危機対応のあり方として評価できる。司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正は、新たなパンデミック(世界的大流行)への備えではなく、速やかな着手が必要だ。
多くの時間を割いたのが経済政策だ。衆院選後に策定する経済対策で当面のコロナ対応と景気刺激に万全を期す。そのうえで成長と分配の好循環による「新しい資本主義」を打ちだし「『成長も、分配も』実現するためにあらゆる政策を総動員する」とした。
成長戦略では、デジタル、グリーン、人工知能(AI)、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆に投資するとし「民間企業を全力で応援する税制を実現していく」と述べた。
一方で、財源や規制改革への踏み込み不足は否めない。
コロナ対応を優先するため今すぐ財政再建に取り組めないのは理解できるが、負担のあり方も含めた全体像を描くのが責任ある政治の役目ではないか。安易なばらまきで規模を膨らませるのは厳に慎まなければならない。
「わが国の平和と安定を守り抜く」と外交・防衛政策の基本方針である国家安全保障戦略の改定を表明した。政府は戦略物資の確保や技術流出の防止のための経済安全保障の法整備も検討する。急変する安保環境をにらみ、防衛力と外交の両輪を強化すべきだ。
2030年度に温暖化ガスの排出量を13年度比で46%減らす、覚悟と道筋が伝わってこないのは気がかりだ。政権が代わっても日本が脱炭素政策に主体的に取り組んでいく必要がある。
自民党総裁就任から演説まで9日という短期間だったため、政策全般にわたり、総裁選から訴えてきた施策をただ羅列した感もある。首相は自ら掲げたビジョンの中身をより明確にして国民に信を問うのが肝要だ。
衆院解散が14日に迫る。残り時間は限られているが、まずは選挙戦で有権者に支持をあおぐための政策の肉付けが急務である。


産経新聞 2021/10/9 05:00
主張:首相の所信表明 中国問題を正面から語れ
https://www.sankei.com/article/20211009-OVLI33WFVRI6TKKIUOZUYGEGC4/
岸田文雄首相が就任後初めての所信表明演説を行った。岸田政治の針路を、丁寧に語ろうとした姿勢は評価できる。
新型コロナウイルス対応と、中間層拡大を目指す「新しい資本主義」の実現、国民を守り抜く外交・安全保障―を政策の3本柱に置いた。
コロナの感染が落ち着いている今のうちに、病床や医療人材の確保、在宅療養者への対策を徹底するとしたのは妥当だ。ワクチン接種や経口治療薬の準備も含め、選挙期間中といえども対策を急いでもらいたい。
従来のコロナ対応で何が危機管理のボトルネック(進行の妨げ)だったかを検証すると表明した。岸田首相が関係閣僚に指示した、コロナ対応の全体像の提示と連動させる必要がある。
新しい資本主義をめぐって、成長戦略と分配戦略を「車の両輪」と位置づけた。その問題意識は正しいが、肝心なのは政策の具体化である。経済対策にとどまらず、労働分配率の向上や看護、介護、保育の現場で働く人たちの収入増などを確実に実現してほしい。
外交・安全保障は日米同盟を基軸としつつ、領土・領海・領空と国民の生命財産を「断固として守り抜く」と語った。自由、民主主義など普遍的価値を「守り抜く覚悟」を表明した。同盟国・同志国と連携して「自由で開かれたインド太平洋」の推進を約束した。
安倍晋三、菅義偉両政権の外交・安全保障政策の継承を鮮明にしたもので、地域の平和と安定に寄与する。さらに岸田首相は、国家安全保障戦略と防衛大綱、中期防衛力整備計画を改定し、防衛力の強化や経済安全保障に取り組むと語った。それには防衛費の思い切った増額が必要である。
物足りないのは、演説で北朝鮮の核・ミサイルや拉致問題を取り上げた一方で、中国の覇権主義的行動を問題視する言葉を発しなかった点だ。これは歴代首相の演説と同様の対応だが、中国に気兼ねしている時代ではもはやない。首相の語る外交・安全保障政策の大部分は中国への備えである。分かりやすい説明をしてほしい。
中国は尖閣諸島(沖縄県)を狙い、台湾への軍事的威嚇を重ね、南シナ海では国際法無視の人工島の軍事拠点化を進めている。日本の首相として、これらへの明確な「ノー」を代表質問などの機会に発信するのは当然だ。


東京新聞 2021年10月9日 07時34分
<社説>民主主義の再生 首相の覚悟が見えない
https://www.tokyo-np.co.jp/article/135828
 きのう行われた岸田文雄首相の所信表明演説=写真(下)=には「民主主義の危機」への言及がなく、その克服に向けた覚悟は読み取れない。自民党総裁選で「民主主義の危機」を訴えたのは首相に就くための方便にすぎなかったのか。
 過ぎたことだからといって、忘れるわけにはいかない。
 岸田氏は総裁選立候補の際「政治の根幹である国民の信頼が崩れている。わが国の民主主義が危機に瀕(ひん)している」と述べ、その後も「民主主義の危機」を強調した。それは九年近く続いた「安倍・菅政治」が民主主義を傷付けたことへの危機感ではなかったのか。
 私たちは、主権者である国民を代表する国会を軽視し、反対意見には耳を傾けず、数の力で法案を押し通す分断政治が、民主主義を危うくすると訴えてきた。
 歴代内閣が継承してきた「集団的自衛権の行使」を違憲とする政府解釈や、日本学術会議の会員任命に関する法解釈を勝手に変えたり、森友・加計両学園や「桜を見る会」の問題を巡って不誠実な対応を続けたりする独善的な政権運営を厳しく批判してきた。
 岸田氏が「民主主義の危機」に言及して総裁選に立候補した際、自民党にも同じような危機意識を抱く政治家がいると受け止めた。しかし、私たちと岸田氏の認識は全く異なっていたようだ。
 岸田氏は首相就任後、民主主義の危機に直接言及しなくなった。森友問題の再調査に否定的で学術会議会員の任命拒否も撤回せず、自民党は選挙違反事件があった参院選広島選挙区への支出一億五千万円の再調査もしないという。
 首相交代とは思えない「安倍・菅政治」の継続だ。総裁選で示した覚悟は何だったのか。
 岸田氏は所信表明で「私をはじめ全閣僚が車座対話を積み重ね、国民のニーズに合った行政を進めているか、徹底的に点検する」と述べたが、民主主義を危機に陥らせた誤りを正さずして、危機を克服することはできない。
 国民との対話は重要だが、それだけでは再生できないほど日本の民主主義が深く傷付いていることに、岸田氏は気付くべきである。


しんぶん赤旗 2021年10月9日(土)
主張:岸田首相所信表明 これが「国民の声」聞く姿勢か
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-09/2021100901_05_0.html
 「国民の声」を聞くことが売り物の岸田文雄首相の就任後初の所信表明演説は、その言葉とは程遠いものでした。「新しい時代」を開くと強調しましたが、国民の不信を招いた安倍晋三・菅義偉両政権のどこが間違っていたのか、一切触れません。むしろ、「新しい資本主義」を目指すなどとごまかして、破綻した「安倍・菅政治」を、いっそう推進する姿勢を示しました。いくら表紙が替わっても、政治の中身は変わりません、新しい政治を実現するには政権交代しかありません。
「安倍・菅」と変わらず
 安倍首相時代の「森友学園」疑惑で公文書改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんは、再調査を求める直筆の手紙を岸田首相に届けました。ところが所信表明演説には受け止める姿勢が全くありません。一言も触れませんでした。
 「森友」問題だけでなく、「桜を見る会」前夜祭の費用や、河井克行元法相・案里元参院議員夫妻の大規模買収事件での自民党本部からの1億5000万円もの資金提供、甘利明自民党幹事長の口利き・金銭授受など、国民が疑問に思っている多くのことに、首相はことごとくだんまりを押し通しました。学問の自由を踏みにじった日本学術会議への人事介入についても沈黙です。そうした問題に背を向け、いくら「国民の声を真摯(しんし)に受け止め」とか、「信頼と共感を得られる政治」と繰り返しても、なにも響きません。
 コロナ対策では、感染爆発を招いた自公政権の対応のどこに問題があったのか踏み込みませんでした。自ら与党幹部として無為無策を続けたことに反省はありません。医療・検査体制の抜本的拡充や暮らしの支援強化にも具体的な裏付けを示しません。
 「新しい資本主義の実現」といって、経済運営の基本に挙げたのは、安倍政権の「3本の矢」でした。「成長と分配の好循環」は、安倍氏の常とう句です。格差と貧困を拡大した「アベノミクス」を継承・推進する立場は明白です。
 外交・安保政策では、2013年に策定した国家安全保障戦略や防衛大綱などの改定に取り組むことを表明しました。大軍拡に拍車をかけようとしています。沖縄県民の声に逆らって米軍辺野古新基地の建設も強行する姿勢をあらわにしました。被爆地・広島出身の首相として、「核兵器のない世界」を目指すと口にしても、核兵器禁止条約の署名・批准を拒否していることとは相いれません。唯一の戦争被爆国の国民の悲願に逆行するものです。
 安倍元首相が執念を燃やした改憲問題では、国会の憲法審査会で「建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待」といいました。首相の憲法擁護尊重義務も三権分立の原則も投げ捨てたやり方は、文字通り「安倍・菅政治」そのものです。
政権交代で政治の刷新を
 岸田政権発足後の世論調査では、安倍・菅政権の路線を「引き継がないほうがよい」が55%(「朝日」)、「転換すべきだ」が69・7%(共同通信)でした。
 岸田首相に政権担当の資格はありません。市民と野党が力を合わせ、総選挙で政権交代を実現し、国民の声が届く政治に切り替えることがいよいよ重要です。

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