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2021-10-11(Mon)

大深度法の虚構と現実 地権者の同意 手間かかるから省いた

外環道陥没で問題化  地上への影響はない」との前提は虚構だった 大深度法でも安全ではない


東洋経済オンライン 2021.10.08
新幹線開通に立ちはだかる「もう1つの懸念」
リニア工事に適用される大深度法の虚構と現実

----調布の外環道陥没事故を受け、JR東海が進めるリニア中央新幹線工事への住民の不信感が高まっている。
----2015年3月、衆議院国土交通委員会で国交省の深澤淳志道路局長(当時)は、「(外環道の延伸工事は)大深度地下を使用したシールド工法を採用しており、地上への影響が生じることはない」と明言。同じ委員会で太田昭宏国土交通相(当時)も、「適切に工事が行われれば(リニア工事で)地上に影響は生じない」と答弁した。
しかし、2017年に工事が始まった外環道工事で振動や陥没事故が起き、政府の大深度法に関する説明は一変した。
赤羽一嘉国土交通相(当時)は2021年5月、「地上に影響は生じない」とした過去の大臣答弁について問われ、「適切に工事が行われることを前提にお答えしている」と強調し、「地上への影響はない」という太田大臣の答弁を擁護した。「地上への影響」から「適切な工事」に論点をずらしたわけだ。そのうえで「地上への影響はない」と喧伝したのはマスコミや評論家だとする趣旨の主張をした。
「地上に影響はない」というフィクション
実は大深度法には「地下深くの工事であれば地上への影響がない」とはどこにも書かれていない。・・・リニアであれ外環道であれ、大深度地下での工事が「地上に影響はない」とする法的根拠は何もない。国交省が自ら認めるように、大深度法は工事の安全性を担保する法律ではなく、権利調整のための法律だからだ。

----大深度法の問題点はこれだけでない。1つは大深度法では事業者の調査内容を国がチェックする仕組みがないことだ。
・・・国交省は5月の参議院国土交通委員会で、「(JR東海に対して)適切に工事を進めるように指導していく」と答弁している。だが、大深度法の施行規則ではボーリング調査の結果を示すよう求めているだけで、その記載内容が正しいかをチェックする基準などはなく、国が記載内容を保証する義務もない。

----さらに深刻なのは、大深度法を適用した工事について事業者と住民の間で十分な対話がなされていないことだ。
・・・著書『「検証」大深度地下使用法』の中で、次のように述べている。「(大深度法では)煩雑な用地交渉をせずに、事前説明会や公聴会を開きさえすれば、認可手続きの法定要件は充足します。しかし、用地交渉は関係住民とじっくり話し合いを続け、事業の必要性について理解・納得してもらえる機会でもあります。無補償であるということは、そのチャンスを事業者自身が放棄することに帰着します」。


東洋経済プラス 2021.10.08
大深度地下法の「生みの親」に聞く立法の真意
外環道陥没で問題化、大深度法でも安全ではない

----大深度地下法が成立する発端になったのは、1995年の調査会設置法案だった。議員立法である同法案に関わった野沢太三・元参院議員に聞いた。
----「地下40メートル以深などの大深度地下は、原則として土地所有者の同意や補償なしに使用できる」とした大深度法の意義は?
・・・法律ができるまでは、土地所有者は地上も地下もどこまでも俺のものだという意識しかなくて、理屈からいうと地球の裏側まで俺のものだということになる。日本の民法はそういうことになっている。
だが、そんなバカなことはない。せいぜい数十メートルが限度だろう。調べてみると、一番深い利用形態は井戸や温泉だ。何百メートル下まで掘って水や温泉を汲み出したりしているから、それは個別に処理(補償)すればいい。
結果的には40メートル以下はタダ(補償不要)ということになった。それだけの地下になればどんなでかいビルを地上につくっても、杭があっても大丈夫。東京、大阪のような大都市でも(区分地上権の設定なしに)タダで使えるようになった。


東洋経済オンライン 2021.10.06
「地上への影響はない」との前提は虚構だった
調布の道路陥没で露呈、大深度地下法の根本問題

----2020年秋に調布市で起きた大規模な陥没事故。外環道のトンネル工事が原因だったが、工事を可能にした大深度法に問題はなかったのだろうか。
・・・都市部でのトンネル工事は通常、地権者と交渉して深さなどに応じた補償金を支払い、区分地上権(地下の使用権)を設定する。交渉がまとまらなければ土地収用法に基づく裁決を経て工事を進めることになり、煩雑な手続きが必要になる。
これに対し、大深度法の施行後は土地所有者の同意はいらず、迅速な工事ができるようになった。
・・・大深度法の適用は「工事による地上への影響が生じることなく、地権者に迷惑をかけない」ことが大前提となっている。

----(立法者は)「都市部では地主が地下深いところまで権利を主張して、(地下工事の補償手続きは)容易ではない。住民の膨大なハンコが必要になり、マンションなどをちょっとかすめるだけで住民全員の同意をもらわないといけない。これはおかしいと思っていた。(法律ができて)40メートル以下などの地下利用はタダになった」
都市部でのトンネル工事は通常、地権者と交渉して深さなどに応じた補償金を支払い、区分地上権(地下の使用権)を設定する。交渉がまとまらなければ土地収用法に基づく裁決を経て工事を進めることになり、煩雑な手続きが必要になる。これに対し、大深度法の施行後は土地所有者の同意はいらず、迅速な工事ができるようになった。





以下参考


東洋経済オンライン 2021.10.08
新幹線開通に立ちはだかる「もう1つの懸念」
リニア工事に適用される大深度法の虚構と現実
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28385


東洋経済プラス 2021.10.08
大深度地下法の「生みの親」に聞く立法の真意
外環道陥没で問題化、大深度法でも安全ではない
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28383


東洋経済オンライン 2021.10.06
「地上への影響はない」との前提は虚構だった
調布の道路陥没で露呈、大深度地下法の根本問題
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28380
 

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