2018-10-03(Wed)
大規模広域豪雨 総合対策を年内提言
施設能力超えた災害に対応 社整審河川部会に水災害対策検討小委員会
ダム優先から堤防強化含む河川維持改修へ切り替えるべき時
国交省の社会資本整備審議会河川分科会に「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会」が設置され、9月28日に第1回目の会合が開かれた。
水災害対策検討小委員会は、大雨が広範囲に長時間継続した西日本豪雨により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、水災害対策は如何にあるべきかについて諮問を受けたもの。被害が多岐にわたっていることから、土砂災害、ダムの洪水調節機能、都市浸水対策など個別の検討をとりまとめて年内をめどに提言するという。
各検討会は以下の通り。
9/27 「異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調節機能に関する検討会」
9/27 「都市浸水対策に関する検討会」~下水道による都市浸水対策の課題と対策の方向性を検討~
9/11 「実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会」
西日本豪雨による施設や農作物などの被害額は、9月18日時点で1兆940億円に上るとの推計。
水害での被害額としては、1976年の台風17号での8844億円を上回り、過去最大になる見通しという。
水害対策の方向性として、既存施設の能力を上回る災害が頻発化しているため、人命保護の観点で、複合的な災害・人命被害リスクの極めて高い地域の保全などを優先するとしている。
例えば、真備町の小田川堤防決壊による浸水被害を念頭に、流下能力の低い区間での樹木伐採や土砂掘削、支流合流部などのバックウォーターの影響がある地域などの各河川における安全度の同時向上、上流の砂防施設整備とあわせた一体的な河川改修、遊砂地整備が必要だとする。
また、危険性を直感的に把握できる情報提供やダムなどのインフラ施設の効果・機能・操作方法の情報提供を充実させ、住民に災害に対する危機感をもってもらうなど、ソフト面での対策も強める。
気候変動などによる異常豪雨の増加や広域災害に対応するため、河川整備計画などが、これまで過去に発生した降雨に基づいて策定されてきたが、今後は、将来の予測を織り込んだ形に改める提案なども出された。
異常豪雨などに対応した治水対策で、河川整備を優先することが必要だと指摘してきたが、一定程度、その方向が示されているように見える。一方で、ダム再生ビジョンなどダムに依存した治水対策の考え方はそのままだ。
治水対策は、ダム優先から堤防強化含む河川維持改修へ切り替えるべき時だ。
◇西日本豪雨 常総水害 安倍政権「国土強靱化」による人災 ダム優先の治水転換を
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0301
◇治水の問題点と対策 国は堤防強化復活早く 元建設省土木研究所次長 石崎 勝義さんに聞く
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0302
(しんぶん赤旗 2018年10月1日)
以下参考
国交省HP>水管理・国土保全>審議会> 社会資本整備審議会 河川分科会
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/
大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/index.html
開催状況
第1回 平成30年9月28日 第1回配布資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/index.html
第1回 大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会 配付資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/index.html
議事次第(PDF形式:30KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_giji.pdf
委員名簿(PDF形式:36KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_meibo.pdf
資料目次(PDF形式:26KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_mokuji.pdf
【資料1-1】諮問書及び付託書(PDF形式:700KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-1.pdf
【資料1-2】社会資本整備審議会運営規則(PDF形式:103KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-2.pdf
【資料1-3】河川分科会運営規則(PDF形式:61KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-3.pdf
【資料2】平成30年7月豪雨における被害等の概要(PDF形式:3.55MB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s2.pdf
【資料3】平成30年7月豪雨を受けて設置した各検討会(PDF形式:944KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s3.pdf
【資料4】平成30年7月豪雨を踏まえて対応すべき課題(PDF形式:191KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s4.pdf
*****************************
大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について社会資本整備審議会へ諮問しました
平成30年8月31日
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000962.html
国土交通省は、本日、社会資本整備審議会(会長:三村明夫(新日鐵住金(株)名誉会長))に対し、大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について諮問しました。
大雨が広範囲に長時間継続した「平成30年7月豪雨」により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、「水防災意識社会」を再構築する取組について、総合的に検討することが求められています。
こうした状況を踏まえ、平成30年7月豪雨等の大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策は如何にあるべきかについて、社会資本整備審議会の意見を求めるものです。
添付資料
報道発表資料(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000962.html
お問い合わせ先
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03(5253)8111 (内線35352) 直通 03(5253)8445 FAX:03(5253)1602
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03(5253)8111 (内線35376) 直通 03(5253)8445 FAX:03(5253)1602
-------------------------
<平成30年7月豪雨関連>
社会資本整備審議会河川分科会「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会」を開催します
平成30年9月21日
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000963.html
平成30年7月豪雨等の大規模広域豪雨を踏まえ、水災害対策は如何にあるべきかについて審議していただくため、下記の通り、第1回検討小委員会を9月28日に開催します。
大雨が広範囲に長時間継続した「平成30年7月豪雨」により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、「水防災意識社会」を再構築する取組について、総合的に検討することが求められています。
こうした状況を踏まえ、国土交通省では8月30日、社会資本整備審議会に対して、「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方」について諮問しました。
記
1.日 時 平成30年9月28日(金)13:00~15:00
2.場 所 中央合同庁舎3号館4階特別会議室
3.委 員 別紙1のとおり
4.議 題 (1)平成30年7月豪雨について
(2)大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について
5.当日の取材
(略)
・会議資料及び議事録は、後日、国土交通省ホームページに掲載予定です。
添付資料
報道発表資料(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/common/001254569.pdf
お問い合わせ先
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03-5253-8111 (内線35361) 直通 03-5253-8445 FAX:03-5253-1602
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03-5253-8111 (内線35352) 直通 03-5253-8445 FAX:03-5253-1602
************************
日刊建設工業新聞 [ 2018-10-01 1面 ]
大規模広域豪雨/総合対策を年内提言/施設能力超えた災害に対応
https://www.kensetsunews.com/archives/241351
東京新聞 2018年9月28日 19時03分
西日本豪雨で被害1兆円 水害で最大、国交省推計
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018092801001778.html
2018年9月22日(土)(愛媛新聞)
愛媛豪雨災害:水害対策、総合的に検証 国交省が小委員会設置
https://www.ehime-np.co.jp/article/mobile/news201809220015
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https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0301
7月の西日本豪雨で死者52人も出した岡山県倉敷市真備水害から約3カ月。被災現地を歩くと「国による人災」だと訴える声を聞きます。安倍政権の「国土強靭(きょうじん)化」の名によるダム優先の治山治水行政を転換すべき時です。(阿部活士)
真備町箭田(やた)地区。国管理の一級河川・小田川の堤防決壊場所で、その大水で甚大な被害をうけました。いまも、土台だけの家、窓ガラスやドアなどが壊された一戸建ての家が残され、大水で川から運んだ砂地が広がり、小さな沼もところどころにできていました。
東西・横に流れる小田川は、南北・縦に流れる水位の高い本流・高梁川(国管理)に合流します。これまでも豪雨や洪水が起こると、水位の高い高梁川から小田川への逆流がたびたびありました。
今回の豪雨でも高梁川からの逆流があり、小田川の堤防で2カ所、小田川に流れ込む支流の堤防(岡山県管理)で6カ所も決壊し、町の3分の1が水没・冠水しました。
「国(国土交通省)は小田川の河川管理をしていない。川のなかが雑木林のようになっていても伐採もしないし、川の掘削もせず、放置してきた。人災だ」。災対連岡山と共産党の被災者支援合同センター事務局長の伊原潔さんは、被災住民から共通して出される不満だといいます。
親の代から真備町に住み、地域の歴史ガイドを務める加藤満宏さんは、「高梁川や小田川の堤防は、明治26年の大洪水に耐えるものとして、大正8年(1919年)に内務省直轄事業でできたものだ」としたうえで、「堤防ができて100年。老朽・劣化は明らかだと思う。堤防を補強する対策を定期的にやらないと危ないと思う」と話します。
一気の放流では逃げる時間ない
「死者数の激増など被害を激しくし、地域とそこで暮らす人たちに壊滅的なダメージを与えているのは、政府の『国土強靭化』を名目にしたダムに偏重する治山治水行政の稚拙さ、不作為、誤りだ」。こう話すのは、元東京都環境科学研究所研究員で、水源開発問題全国連絡会(水源連)共同代表の嶋津暉之さんです。
ダムは西日本豪雨対策で役立ったのか。
嶋津さんは次のように指摘します。「ダムというのは計画している雨量には対応できるが、計画雨量を超えた雨には無力でした。むしろ、ダムの下流に住む人たちにとって、大量で一気のダム放流が逃げる時間を与えない危険なものだというのがわかりました。いまの治山治水行政を転換しないといけない。河道の整備、堤防も耐越水堤防を普及すれば、ダムはいらなくなります」
水害が繰り返される河川行政の背景になにがあるのか。
旧建設省(現・国土交通省)の河川局土木研究所元次長で、工学博士の石崎勝義さんは、「以前、河川事業は地元の中小企業がやっていましたが、鬼怒川水害では鹿島、大成など大手ゼネコンが乗り出してきて国の職員と一緒に活躍していました」と振り返りながら、“洪水は時々あったほうがいい”―「原子力村」と同じように、水害をメシのタネにしている「河川村」があるのかもしれないといいます。かつて言われた自民党、高級官僚、大手ゼネコンの鉄のトライアングルです。
被災者が主人公 日本変える運動
その河川行政のあり方を変えるため、国を被告にした国家賠償訴訟が茨城県内であります。原告は、一級河川・鬼怒川氾濫による常総市水害(2015年9月)の被災住民です。
「全域が水没した水害は想定外の大雨による自然災害ではなく、堤防の決壊など国の河川管理の瑕疵(かし)による人災だ」として8月、水戸地裁下妻支部に提訴しました。
鬼怒川は上流部(栃木県)の川幅が700メートル前後なのに、下流部(茨城県)の川幅は300メートルと狭くなっています。しかし、鬼怒川の堤防整備率は、上流の栃木が62・7%にたいし、下流の茨城が16・8%です。
2012年に完成した湯西川ダムは建設事業費が1840億円にも。一方、河川事業には毎年約10億円から20億円です。国土交通省はダム建設を優先し、河川改修は後回しにしてきたのです。
鬼怒川水害裁判を支える会事務局長の染谷修司さんは、被災当時、茨城労連や新婦人、民商などで設立した「水害支援ボランティア・吉野サポートセンター」の事務局次長として「被災者を主人公にした運動」をしてきました。国交省交渉などで国の責任を追及してきました。
被災から3年。染谷さんが知っているだけで自殺した被災者が二人います。水害で離農した農家、地元の豆腐屋など廃業した人を思うと、「胸が痛む」と染谷さん。
堤防が決壊し洪水の影響が深刻だった三坂地区の「緊急復旧工事」を請け負う大手ゼネコンの大成建設の看板を見ながら、染谷さんはいいます。「利権、うそ、隠ぺい、開き直り。これが安倍政権の本質ですが、その毒害が河川行政を支配しています。国賠訴訟は、逆立ちした国土政策を転換し、被災者と被災地域に寄り添う日本に変えるたたかいでもあります」
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https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0302
西日本豪雨では、堤防の決壊やダムの異常放流が被害を拡大しました。建設省(現国土交通省)で長年、河川の治水対策に取り組んできた石崎勝義さんに問題点と対策を聞きました。(聞き手:日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)
―倉敷市真備町でも堤防が決壊し52人が犠牲になりました。真備町の堤防決壊については、バックウオーター(下流からの水面のせき上げ)現象などが指摘されています。水害の原因をどう思われますか。
私は堤防の機能そのものに問題があると考えています。
ふつう堤防を水が越えても、堤防の決壊が起こらなければ浸水はわずかで済みます。家が壊れることもなく逃げる時間もあります。ただ決壊が起きれば川からあふれる水の量と速度は想像を絶するものになり、死傷者も出てしまいます。堤防の決壊が大水害を招きました。
―堤防を強くする方法はないのですか。
堤防を強くする方法はあります。30年前に旧建設省土木研究所は堤防の決壊を防ぐ技術を開発しました。堤体の人家側の斜面(裏のり)をシートなどで保護することなどにより、短時間の越水に耐えられるようにする堤防強化の工法が開発されました。アーマーレビー(よろいがけ)と名付けられました。
―国はなぜ堤防強化を取り上げないのですか。
水害裁判で住民に訴えられた国は、かつて連戦連敗でした。大東水害(大阪府、1972年)の訴訟で最高裁判所は「水害が起きても国には責任がない」という判決を出しました。続いて長良川水害(岐阜県、76年)では「堤防が決壊しても国に責任はない」という判決まで引き出します。国は水害を起こしても大丈夫、と安心してしまいました。
しかし水害を無くしたいと思う河川技術者はなお研究を進め堤防強化も各地で実施されていきます。この動きがダム建設の妨げになると思った国土交通省OBの横やりを契機に、国は2002年に堤防強化の技術を封印します。
―異常気象の時代に入ったといわれます。これからの治水対策はどうあるべきだとお考えですか。
まず危険な堤防を放置してきた河川管理者の責任が問われてしかるべきでしょう。8月に提起した鬼怒川水害(茨城県、2015年)の訴訟では被害者への国の賠償による救済と、これからの水害を防止する堤防強化の復活が求められます。
ダムによる治水対策は急流の多い日本では、もともと無理でした。異常気象で大雨が多くなるこれからは容量に限界があります。効果が限定的なダムなどを当面中止し、その費用で堤防を強化すれば、堤防破壊による水害は大幅に減るでしょう。治水当局は再考すべきです。
いしざき・かつよし 1938年生まれ。東京大学工学部土木工学科卒。旧建設省で河川局災害対策室長、土木研究所次長などを歴任。鬼怒川水害被害者を支援する会共同代表。
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ダム優先から堤防強化含む河川維持改修へ切り替えるべき時
国交省の社会資本整備審議会河川分科会に「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会」が設置され、9月28日に第1回目の会合が開かれた。
水災害対策検討小委員会は、大雨が広範囲に長時間継続した西日本豪雨により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、水災害対策は如何にあるべきかについて諮問を受けたもの。被害が多岐にわたっていることから、土砂災害、ダムの洪水調節機能、都市浸水対策など個別の検討をとりまとめて年内をめどに提言するという。
各検討会は以下の通り。
9/27 「異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調節機能に関する検討会」
9/27 「都市浸水対策に関する検討会」~下水道による都市浸水対策の課題と対策の方向性を検討~
9/11 「実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会」
西日本豪雨による施設や農作物などの被害額は、9月18日時点で1兆940億円に上るとの推計。
水害での被害額としては、1976年の台風17号での8844億円を上回り、過去最大になる見通しという。
水害対策の方向性として、既存施設の能力を上回る災害が頻発化しているため、人命保護の観点で、複合的な災害・人命被害リスクの極めて高い地域の保全などを優先するとしている。
例えば、真備町の小田川堤防決壊による浸水被害を念頭に、流下能力の低い区間での樹木伐採や土砂掘削、支流合流部などのバックウォーターの影響がある地域などの各河川における安全度の同時向上、上流の砂防施設整備とあわせた一体的な河川改修、遊砂地整備が必要だとする。
また、危険性を直感的に把握できる情報提供やダムなどのインフラ施設の効果・機能・操作方法の情報提供を充実させ、住民に災害に対する危機感をもってもらうなど、ソフト面での対策も強める。
気候変動などによる異常豪雨の増加や広域災害に対応するため、河川整備計画などが、これまで過去に発生した降雨に基づいて策定されてきたが、今後は、将来の予測を織り込んだ形に改める提案なども出された。
異常豪雨などに対応した治水対策で、河川整備を優先することが必要だと指摘してきたが、一定程度、その方向が示されているように見える。一方で、ダム再生ビジョンなどダムに依存した治水対策の考え方はそのままだ。
治水対策は、ダム優先から堤防強化含む河川維持改修へ切り替えるべき時だ。
◇西日本豪雨 常総水害 安倍政権「国土強靱化」による人災 ダム優先の治水転換を
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0301
◇治水の問題点と対策 国は堤防強化復活早く 元建設省土木研究所次長 石崎 勝義さんに聞く
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0302
(しんぶん赤旗 2018年10月1日)
以下参考
国交省HP>水管理・国土保全>審議会> 社会資本整備審議会 河川分科会
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/
大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/index.html
開催状況
第1回 平成30年9月28日 第1回配布資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/index.html
第1回 大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会 配付資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/index.html
議事次第(PDF形式:30KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_giji.pdf
委員名簿(PDF形式:36KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_meibo.pdf
資料目次(PDF形式:26KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_mokuji.pdf
【資料1-1】諮問書及び付託書(PDF形式:700KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-1.pdf
【資料1-2】社会資本整備審議会運営規則(PDF形式:103KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-2.pdf
【資料1-3】河川分科会運営規則(PDF形式:61KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s1-3.pdf
【資料2】平成30年7月豪雨における被害等の概要(PDF形式:3.55MB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s2.pdf
【資料3】平成30年7月豪雨を受けて設置した各検討会(PDF形式:944KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s3.pdf
【資料4】平成30年7月豪雨を踏まえて対応すべき課題(PDF形式:191KB)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/daikibokouikigouu/1/pdf/daikibokouikigouu_01_s4.pdf
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大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について社会資本整備審議会へ諮問しました
平成30年8月31日
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000962.html
国土交通省は、本日、社会資本整備審議会(会長:三村明夫(新日鐵住金(株)名誉会長))に対し、大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について諮問しました。
大雨が広範囲に長時間継続した「平成30年7月豪雨」により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、「水防災意識社会」を再構築する取組について、総合的に検討することが求められています。
こうした状況を踏まえ、平成30年7月豪雨等の大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策は如何にあるべきかについて、社会資本整備審議会の意見を求めるものです。
添付資料
報道発表資料(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000962.html
お問い合わせ先
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03(5253)8111 (内線35352) 直通 03(5253)8445 FAX:03(5253)1602
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
TEL:03(5253)8111 (内線35376) 直通 03(5253)8445 FAX:03(5253)1602
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<平成30年7月豪雨関連>
社会資本整備審議会河川分科会「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会」を開催します
平成30年9月21日
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000963.html
平成30年7月豪雨等の大規模広域豪雨を踏まえ、水災害対策は如何にあるべきかについて審議していただくため、下記の通り、第1回検討小委員会を9月28日に開催します。
大雨が広範囲に長時間継続した「平成30年7月豪雨」により、同時多発かつ広域的に発生した浸水被害、土砂災害を踏まえ、「水防災意識社会」を再構築する取組について、総合的に検討することが求められています。
こうした状況を踏まえ、国土交通省では8月30日、社会資本整備審議会に対して、「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方」について諮問しました。
記
1.日 時 平成30年9月28日(金)13:00~15:00
2.場 所 中央合同庁舎3号館4階特別会議室
3.委 員 別紙1のとおり
4.議 題 (1)平成30年7月豪雨について
(2)大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について
5.当日の取材
(略)
・会議資料及び議事録は、後日、国土交通省ホームページに掲載予定です。
添付資料
報道発表資料(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/common/001254569.pdf
お問い合わせ先
国土交通省水管理・国土保全局 河川計画課 河川計画調整室
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日刊建設工業新聞 [ 2018-10-01 1面 ]
大規模広域豪雨/総合対策を年内提言/施設能力超えた災害に対応
https://www.kensetsunews.com/archives/241351
東京新聞 2018年9月28日 19時03分
西日本豪雨で被害1兆円 水害で最大、国交省推計
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018092801001778.html
2018年9月22日(土)(愛媛新聞)
愛媛豪雨災害:水害対策、総合的に検証 国交省が小委員会設置
https://www.ehime-np.co.jp/article/mobile/news201809220015
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しんぶん赤旗 2018年10月1日【3面】
西日本豪雨 常総水害 安倍政権「国土強靱化」による人災 ダム優先の治水転換を
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0301
7月の西日本豪雨で死者52人も出した岡山県倉敷市真備水害から約3カ月。被災現地を歩くと「国による人災」だと訴える声を聞きます。安倍政権の「国土強靭(きょうじん)化」の名によるダム優先の治山治水行政を転換すべき時です。(阿部活士)
真備町箭田(やた)地区。国管理の一級河川・小田川の堤防決壊場所で、その大水で甚大な被害をうけました。いまも、土台だけの家、窓ガラスやドアなどが壊された一戸建ての家が残され、大水で川から運んだ砂地が広がり、小さな沼もところどころにできていました。
東西・横に流れる小田川は、南北・縦に流れる水位の高い本流・高梁川(国管理)に合流します。これまでも豪雨や洪水が起こると、水位の高い高梁川から小田川への逆流がたびたびありました。
今回の豪雨でも高梁川からの逆流があり、小田川の堤防で2カ所、小田川に流れ込む支流の堤防(岡山県管理)で6カ所も決壊し、町の3分の1が水没・冠水しました。
「国(国土交通省)は小田川の河川管理をしていない。川のなかが雑木林のようになっていても伐採もしないし、川の掘削もせず、放置してきた。人災だ」。災対連岡山と共産党の被災者支援合同センター事務局長の伊原潔さんは、被災住民から共通して出される不満だといいます。
親の代から真備町に住み、地域の歴史ガイドを務める加藤満宏さんは、「高梁川や小田川の堤防は、明治26年の大洪水に耐えるものとして、大正8年(1919年)に内務省直轄事業でできたものだ」としたうえで、「堤防ができて100年。老朽・劣化は明らかだと思う。堤防を補強する対策を定期的にやらないと危ないと思う」と話します。
一気の放流では逃げる時間ない
「死者数の激増など被害を激しくし、地域とそこで暮らす人たちに壊滅的なダメージを与えているのは、政府の『国土強靭化』を名目にしたダムに偏重する治山治水行政の稚拙さ、不作為、誤りだ」。こう話すのは、元東京都環境科学研究所研究員で、水源開発問題全国連絡会(水源連)共同代表の嶋津暉之さんです。
ダムは西日本豪雨対策で役立ったのか。
嶋津さんは次のように指摘します。「ダムというのは計画している雨量には対応できるが、計画雨量を超えた雨には無力でした。むしろ、ダムの下流に住む人たちにとって、大量で一気のダム放流が逃げる時間を与えない危険なものだというのがわかりました。いまの治山治水行政を転換しないといけない。河道の整備、堤防も耐越水堤防を普及すれば、ダムはいらなくなります」
水害が繰り返される河川行政の背景になにがあるのか。
旧建設省(現・国土交通省)の河川局土木研究所元次長で、工学博士の石崎勝義さんは、「以前、河川事業は地元の中小企業がやっていましたが、鬼怒川水害では鹿島、大成など大手ゼネコンが乗り出してきて国の職員と一緒に活躍していました」と振り返りながら、“洪水は時々あったほうがいい”―「原子力村」と同じように、水害をメシのタネにしている「河川村」があるのかもしれないといいます。かつて言われた自民党、高級官僚、大手ゼネコンの鉄のトライアングルです。
被災者が主人公 日本変える運動
その河川行政のあり方を変えるため、国を被告にした国家賠償訴訟が茨城県内であります。原告は、一級河川・鬼怒川氾濫による常総市水害(2015年9月)の被災住民です。
「全域が水没した水害は想定外の大雨による自然災害ではなく、堤防の決壊など国の河川管理の瑕疵(かし)による人災だ」として8月、水戸地裁下妻支部に提訴しました。
鬼怒川は上流部(栃木県)の川幅が700メートル前後なのに、下流部(茨城県)の川幅は300メートルと狭くなっています。しかし、鬼怒川の堤防整備率は、上流の栃木が62・7%にたいし、下流の茨城が16・8%です。
2012年に完成した湯西川ダムは建設事業費が1840億円にも。一方、河川事業には毎年約10億円から20億円です。国土交通省はダム建設を優先し、河川改修は後回しにしてきたのです。
鬼怒川水害裁判を支える会事務局長の染谷修司さんは、被災当時、茨城労連や新婦人、民商などで設立した「水害支援ボランティア・吉野サポートセンター」の事務局次長として「被災者を主人公にした運動」をしてきました。国交省交渉などで国の責任を追及してきました。
被災から3年。染谷さんが知っているだけで自殺した被災者が二人います。水害で離農した農家、地元の豆腐屋など廃業した人を思うと、「胸が痛む」と染谷さん。
堤防が決壊し洪水の影響が深刻だった三坂地区の「緊急復旧工事」を請け負う大手ゼネコンの大成建設の看板を見ながら、染谷さんはいいます。「利権、うそ、隠ぺい、開き直り。これが安倍政権の本質ですが、その毒害が河川行政を支配しています。国賠訴訟は、逆立ちした国土政策を転換し、被災者と被災地域に寄り添う日本に変えるたたかいでもあります」
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しんぶん赤旗 2018年10月1日【3面】
治水の問題点と対策 国は堤防強化復活早く
元建設省土木研究所次長 石崎 勝義さんに聞く
https://www.akahata-digital.press/article/article/20181001-0302
西日本豪雨では、堤防の決壊やダムの異常放流が被害を拡大しました。建設省(現国土交通省)で長年、河川の治水対策に取り組んできた石崎勝義さんに問題点と対策を聞きました。(聞き手:日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)
―倉敷市真備町でも堤防が決壊し52人が犠牲になりました。真備町の堤防決壊については、バックウオーター(下流からの水面のせき上げ)現象などが指摘されています。水害の原因をどう思われますか。
私は堤防の機能そのものに問題があると考えています。
ふつう堤防を水が越えても、堤防の決壊が起こらなければ浸水はわずかで済みます。家が壊れることもなく逃げる時間もあります。ただ決壊が起きれば川からあふれる水の量と速度は想像を絶するものになり、死傷者も出てしまいます。堤防の決壊が大水害を招きました。
―堤防を強くする方法はないのですか。
堤防を強くする方法はあります。30年前に旧建設省土木研究所は堤防の決壊を防ぐ技術を開発しました。堤体の人家側の斜面(裏のり)をシートなどで保護することなどにより、短時間の越水に耐えられるようにする堤防強化の工法が開発されました。アーマーレビー(よろいがけ)と名付けられました。
―国はなぜ堤防強化を取り上げないのですか。
水害裁判で住民に訴えられた国は、かつて連戦連敗でした。大東水害(大阪府、1972年)の訴訟で最高裁判所は「水害が起きても国には責任がない」という判決を出しました。続いて長良川水害(岐阜県、76年)では「堤防が決壊しても国に責任はない」という判決まで引き出します。国は水害を起こしても大丈夫、と安心してしまいました。
しかし水害を無くしたいと思う河川技術者はなお研究を進め堤防強化も各地で実施されていきます。この動きがダム建設の妨げになると思った国土交通省OBの横やりを契機に、国は2002年に堤防強化の技術を封印します。
―異常気象の時代に入ったといわれます。これからの治水対策はどうあるべきだとお考えですか。
まず危険な堤防を放置してきた河川管理者の責任が問われてしかるべきでしょう。8月に提起した鬼怒川水害(茨城県、2015年)の訴訟では被害者への国の賠償による救済と、これからの水害を防止する堤防強化の復活が求められます。
ダムによる治水対策は急流の多い日本では、もともと無理でした。異常気象で大雨が多くなるこれからは容量に限界があります。効果が限定的なダムなどを当面中止し、その費用で堤防を強化すれば、堤防破壊による水害は大幅に減るでしょう。治水当局は再考すべきです。
いしざき・かつよし 1938年生まれ。東京大学工学部土木工学科卒。旧建設省で河川局災害対策室長、土木研究所次長などを歴任。鬼怒川水害被害者を支援する会共同代表。
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