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2022-03-06(Sun)

外環道の陥没事故 工事差し止め 判決の衝撃

住民置き去りに重い警告 大深度地下工事 不安と向き合えているか


信濃毎日新聞 2022/03/06 09:31
〈社説〉大深度地下工事 不安と向き合えているか
----東京外郭環状道路のトンネル工事を差し止める仮処分が出た。
 地下40メートル以上の「大深度地下」を、シールドマシンと呼ばれる円筒状の大型掘削機で掘り進む工事である。
 掘削ルートの住民が地盤沈下などを心配し中止を求めていた。2020年10月には住宅地で実際に陥没も起きた。東京地裁は、その再発防止策が具体的に示されていないとして仮処分を決めた。
 工事を進める国や東日本高速道路(NEXCO東日本)などは、決定を重く受け止め、十分な安全対策を示さねばならない。


毎日新聞 2022/3/2 東京朝刊
社説:外環道の工事差し止め 住民置き去りに重い警告
----建設中の東京外郭環状道路(外環道)について、地下区間の工事の一部を差し止める仮処分命令を東京地裁が出した。
 ルート上にある東京都調布市の住宅街で一昨年、道路が陥没した。付近の地下に空洞も見つかった。
 外環道は都心から半径約15キロを環状に結ぶ。中心部の渋滞緩和が目的だ。都内で地下に建設中の約16キロのうち、陥没地点を含む南側約9キロが差し止め対象とされた。
 道路や鉄道など公共事業を巡る訴えでは、裁判所は公益性を重視し、事業者の裁量を尊重する傾向がある。今回は異例の判断だ。


東洋経済オンライン 2022.03.05
リニア工事への波及など影響は計り知れない 外環道の陥没事故「一部工事差し止め」判決の衝撃
----東京地裁が画期的な決定を出した。東京外環道の地下トンネル工事に絡み、一部工事の差し止めを命じたのだ。決定の意義は何か。
国内のインフラ構築に一石を投じる司法判断が出た。
東京外かく環状道路(外環道)の地下トンネル工事に絡み、2020年10月に陥没事故が起きた東京都調布市の住民らが工事差し止めを求めた仮処分について、東京地裁は2月28日、「具体的な再発防止策が示されていない」として一部工事の差し止めを命じる決定を下した。
原告代理人の武内更一弁護士は、「決定は画期的。工事の危険性が認められ、裁判所が違法な工事だと認めたことは大きい」と話している。





以下参考


信濃毎日新聞 2022/03/06 09:31
〈社説〉大深度地下工事 不安と向き合えているか
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022030600051
 東京外郭環状道路のトンネル工事を差し止める仮処分が出た。
 地下40メートル以上の「大深度地下」を、シールドマシンと呼ばれる円筒状の大型掘削機で掘り進む工事である。
 掘削ルートの住民が地盤沈下などを心配し中止を求めていた。2020年10月には住宅地で実際に陥没も起きた。東京地裁は、その再発防止策が具体的に示されていないとして仮処分を決めた。
 工事を進める国や東日本高速道路(NEXCO東日本)などは、決定を重く受け止め、十分な安全対策を示さねばならない。
 大深度地下は、2001年の特別措置法の施行で首都、中部、近畿の三大都市圏の一部区域を対象に、地権者の同意を得ずに工事ができるようになった。深ければ地表への影響は小さく、安全性は高いとされたからだ。
 被害が起き、司法も危険性を認めた現実を見ると、基本的に安全との前提で工事を進めることはできない。住民の不安と丁寧に向き合っていく必要がある。
 同じく大深度地下を通る予定のリニア中央新幹線の工事でも、東京の住民が差し止めを求める訴訟を起こしている。計画への影響は避けられないだろう。
 20年の陥没では、深さ5メートルの大きな穴が調布市の住宅地の道路に空き、住民に衝撃を与えた。その後の調査で、近くの地中に空洞が複数あったことも分かった。
 仮処分の対象は、差し止めを求めた13人のうち現場近くに自宅がある男性1人についてのみだ。他の12人の訴えは、地盤の違いなどを理由に退けられた。工事の中止が一部区間にとどまったことについて不十分との声も強い。
 NEXCOの有識者委員会がまとめた報告書は陥没について、発生した場所が地下深くの掘削の影響が伝わりやすい特殊な地盤だった、などと説明している。
 陥没を特殊ケースと片付けてはならない。因果関係は不明でも、周辺の住民からは、水道管が地中から浮いたりコンクリートの地面にひびが入ったりする異変が指摘されている。未知の事態は起きうると考えるべきだ。
 東京外環道はもともと高架方式で計画されていたが、多くの住民の立ち退きが必要で反対運動も起き、長く凍結されていた。大深度地下が利用可能となって一気に計画が進んだ経緯がある。
 同意の必要がなくなり、住民を置き去りにして進んだ面があったのは否めない。大規模公共事業の在り方が問われている。


毎日新聞 2022/3/2 東京朝刊
社説:外環道の工事差し止め 住民置き去りに重い警告
https://mainichi.jp/articles/20220302/ddm/005/070/105000c
 建設中の東京外郭環状道路(外環道)について、地下区間の工事の一部を差し止める仮処分命令を東京地裁が出した。
 ルート上にある東京都調布市の住宅街で一昨年、道路が陥没した。付近の地下に空洞も見つかった。
 外環道は都心から半径約15キロを環状に結ぶ。中心部の渋滞緩和が目的だ。都内で地下に建設中の約16キロのうち、陥没地点を含む南側約9キロが差し止め対象とされた。
 道路や鉄道など公共事業を巡る訴えでは、裁判所は公益性を重視し、事業者の裁量を尊重する傾向がある。今回は異例の判断だ。
 地裁は、具体的な再発防止策が示されておらず、新たな陥没が生じて家屋倒壊などの被害を招きかねないと指摘した。
 陥没現場の地盤改良が必要となり、南側はトンネル掘削のめどが立っていない。だが、北側の工事が再開されていることから、「南側も再開されない保証はない」と結論づけた。
 住民を置き去りにして進む公共事業への重い警告といえる。
 陥没を調査した有識者委員会は、掘削機が土砂を過剰に取り込んだことが原因との報告書を公表した。緩みやすい「特殊な地盤」だったことも影響したと分析した。
 事業者の東日本高速道路は、工事の影響はトンネルの真上に限られると説明している。しかし、地盤の緩みは広範囲に及んでいると指摘する専門家もいる。
 実際、周辺では工事中に騒音や振動が続いた。住宅の外壁にひびが入ったり、床が傾いたりした。原因が全て究明されたわけではなく、住民の不安は強い。
 この事業は、地下40メートルより深い「大深度地下」を利用する制度に基づき行われている。地権者の同意や用地買収が不要となるため、工期短縮やコスト減につながる。
 安全面に関しても、地下深くの工事なら、地表に振動が伝わりにくいと考えられていた。認可した国土交通省は「地上への影響は生じない」と強調してきた。
 リニア中央新幹線の工事も、大深度地下で進められている。対象は、東京、神奈川、愛知3都県の計約50キロに及ぶ。
 地下の状態は把握が難しく、工事の影響も予測しにくい。利用は安全性の確保が大前提だ。

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東洋経済オンライン 2022.03.05
リニア工事への波及など影響は計り知れない 外環道の陥没事故「一部工事差し止め」判決の衝撃
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29955
森 創一郎記者
東京地裁が画期的な決定を出した。東京外環道の地下トンネル工事に絡み、一部工事の差し止めを命じたのだ。決定の意義は何か。

2月28日、工事差し止めの決定を受け、記者会見にのぞむ原告ら(記者撮影)
国内のインフラ構築に一石を投じる司法判断が出た。
東京外かく環状道路(外環道)の地下トンネル工事に絡み、2020年10月に陥没事故が起きた東京都調布市の住民らが工事差し止めを求めた仮処分について、東京地裁は2月28日、「具体的な再発防止策が示されていない」として一部工事の差し止めを命じる決定を下した。
原告代理人の武内更一弁護士は、「決定は画期的。工事の危険性が認められ、裁判所が違法な工事だと認めたことは大きい」と話している。
「工事再開は違法」と判断
東京地裁は今回の決定で工事の危険性を認め、「東名立坑発進に係るトンネル掘削工事において、気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行い、または第三者をして行わせてはならない」「工事を再開することは違法」と結論づけた。
国土交通省や東日本高速道路(NEXCO東日本)などが進めるこの工事は、関越自動車道の大泉ジャンクション(JCT)と東名高速道路・東名JCTを結ぶ16キロを地下40メートル以深の大深度地下トンネルでつなぐものだ。大泉JCT側、東名JCT側からそれぞれ南行き、北行きの2本のトンネルを掘り進み、東京都武蔵野市の井の頭通り付近の地下で接合させる計画だ。
今回の決定は、そのうち東名側から井の頭通り付近まで(以下、工事差し止め区間)の工事を差し止めるものだ。今回の決定が覆らない限り、工事差し止め区間は同じ工法で工事ができなくなる。
外環道の工事は、2014年に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下法)の認可を受け、2017年に工事が始まった。大深度地下とは、地下40メートル以下などの条件を満たす深い地下のことで、同法が適用される地下では原則、土地所有者の同意も補償もなしに工事を進めることができる。
住民らによれば、NEXCO東日本は着工前の住民説明会で、「地上への影響はない」と繰り返し強調していたという。
東京地裁は今回の決定で、NEXCO東日本の有識者委員会が2021年2月に示した地盤の特殊性や陥没のメカニズムを認定している。陥没事故周辺は掘削断面に礫(小石)が多く、上部は単一の砂の層で、表層が薄い。ここで土砂を柔らかくするため、通常よりも過剰に薬剤を使った工事ミスが重なり、一気に陥没が起きた。
こうした地盤を特殊な地盤とすることに、多くの地質学者や地盤工学・トンネルに詳しい専門家らから異論が出ているが、東京地裁は有識者委員会の見解を追認している。
事故原因とされた「気泡シールド工法」
陥没事故を受け、NEXCO東日本は大泉JCTから井の頭通りまでの工事(以下、工事進行区間)については2021年12月に再発防止策をまとめている。搬出する土砂量のチェックを厳しくするほか、小石が多い地層などでは追加ボーリング調査を行う。さらに、騒音・振動の測定場所の間隔を密にし、結果をホームページで公表する。工事の影響をリアルタイムで伝えることを住民に説明し、中断していた工事を2月25日から再開した。
一方、陥没現場を含む東名JCTから井の頭通りまでの工事差し止め区間については、再発防止策が具体的に示されていない。
原告の1人であり、陥没現場から31メートルしか離れていない自宅に住む丸山重威さんについて、東京地裁は「有効な対策が採られないまま気泡シールド工法で工事が再開されれば、(原告の)居住場所について地盤の緩みを生じさせ、地表面に陥没を生じさせたりする具体的なおそれがある」と判断した。要は、具体的再発防止策がないまま、同じ地盤で同じ工法で工事を行えば、同じ陥没事故が起きる可能性があると判断したのだ。
今回の決定で気泡シールド工法が名指しされた影響は大きい。気泡シールド工法とは、カッターが接触する切羽(地盤面)やチャンバー(シールドマシン前部の空間)内に取り込まれた掘削土砂(ズリ)に、シェービングクリームのような発泡薬剤を注入し、地盤を軟らかくして掘進していく新しい工法だ。
トンネル工学が専門の谷本親伯・大阪大学名誉教授や地盤工学が専門の浅岡顕・名古屋大学名誉教授は、「この気泡シールド工法こそが、陥没事故の根本的原因だった」と指摘する。気泡剤で地盤が緩み、土砂の取り込みすぎが起こったからだ。
両氏の簡易な試算では、外環道で直径約16メートルの巨大なトンネルを掘り進める際、前面からの抵抗と側面の摩擦抵抗を合わせて約9万5000トンの力がかかる。一方、工事で使われるシールドマシンの推力は約3万トン。「シールドマシンでは足りない推力を埋めるために、地盤をやわらかくする気泡剤の使用が前提になっていた」と両氏は推測する。
気泡剤は経済的メリットも大きい。今回の工事では、掘削した土をネバネバの状態にして運びやすくし、スクリューコンベアを経て地上に搬出している。土をネバネバにするため、一般的にはベントナイトと言われる添加剤(粘土の一種)を混ぜる。だが、ベントナイトを混ぜた土は産業廃棄物となり、埋め立てるには処理が必要だ。
一方、気泡剤は短時間で消滅するため、搬出した土は処理なしでそのまま埋め立てなどに転用できる。ベントナイトを使った場合、土の処理費用は1立方メートルあたり3万円で、土の処理費用総額は気泡剤だけを使った工法に比べて1500億~2000億円程度膨れあがるという。
谷本氏は「工費、工期の利点から、事業者は気泡シールド工法以外の選択肢を想定していなかったのではないか」と指摘する。関係者によれば、着工前の国の専門委員会では、委員から気泡シールド工法に懸念を示す声も出ていたという。
再発防止策がまとめられた工事進行区間では、状況に応じてベントナイトも使用するというが、前提は気泡シールド工法だ。谷本氏は「気泡シールド工法で事故が起こらない根拠が示されていない。この工法はやめたほうがいい」と警鐘を鳴らす。
東京地裁は画期的な決定をくだした(撮影:今井康一)
リニア工事の前提は崩れた
東京地裁の決定に対し、NEXCO東日本は「決定の内容をよく確認し、関係機関と調整のうえ、適切に対応していきたい。工法についてもさまざまな検討を行っていく」とするが、危険性を裁判所が認めた工事を再開するためには、安全に対する姿勢が根本から問い直されることになる。
今回の決定は、2021年10月から試験掘進が始まったJR東海のリニア中央新幹線北品川工区などの工事にも影響が及ぶ。リニア工事は外環道と同様、大深度地下法の認可を受けた工事で、「地下深くの工事なので地表に影響はない」との前提で地権者の同意なしに手続きを進めてきた。しかし、外環道の陥没事故で「地表に影響はない」という前提は崩れた。
リニア沿線の住民は2021年7月に工事差し止めを求める訴訟を起こしている。陥没事故の原告代理人を務めた武内弁護士は、「(陥没事故と)同じことはリニアでもありえる。事業者や国が『地表に影響なし』としたことは工事の危険性を無視している」と強調する。
2001年4月に大深度法が施行される際に閣議決定された基本指針などでは、地盤の特殊性を問わず、「施工時に大量の土砂を掘削した場合、地盤の緩みなどが生じ、地上への影響を及ぼす可能性もある」と注意喚起している。今回の東京地裁決定は、大深度地下のシールド工事には危険が伴うことを改めて示した。工法の妥当性を含め、安全対策の再検証が求められている。

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