2018-11-25(Sun)
日産 ゴーン会長逮捕・解任 各紙社説
ゴーン氏が持ち込んだ 「企業の社会的責任」切り捨て 強欲資本主義的な経営
<ゴーン氏の経営手法を持ち上げた歴代政権の責任は重い>
ゴーン氏の報酬ごまかしや会社の私物化といった罪状は許しがたい。
それ以上に、ゴーン氏が「コストカッター」として取ってきた経営手法はひどすぎる。
リストラ、下請け切り捨て、地域経済の破壊・・・。新自由主義的、強欲資本主義的な経営とつながってきた。
その経営手法を持ち上げてきた歴代政府。だから「個別の案件については答えられない」(麻生大臣)のだろう。
ゴーン氏の経営のひどさ、「日産リバイバルプラン」について当時、自由法相団の批判を紹介する。
-----1999年3月、ルノーの傘下に入った日産自動車は、同年10月18日、日本国内5工場の閉鎖、2万1000人の人員削減、取引メーカーの半減などを内容とする「日産リバイバルプラン」を発表。
「国内5工場の閉鎖」「日産グループ全体で3万5000人の人員削減」など内容を紹介したうえで、
-----「たしかに、資本の側から見れば、『生産拠点の集約』や『コスト削減』は、短期的に利潤の増大をもたらすことになる。しかし、企業は、資本だけで成り立っているのではない。そこで働く労働者があり、企業が存在する地域経済の中でこそ企業は成り立っている。カネやモノは、もっとも利潤のあがる場所を求めて移動することができるが、企業で働く労働者や地域経済を支える企業や住民は、簡単に移動することはできない。ここから労働者や地域経済に対する社会的責任が生じるのであり、企業の経営判断に際しては、労働者や地域経済に対する配慮が求められるのである。」
労働者側からだけではない。日本の財界人からも批判の声が上がっていた。
----「(日産のリストラ計画で)フランス人のゴーン最高執行責任者がよくやったといわれているが、私は反対だ」(井上礼之関西経済同友会代表幹事、1999年10月27日記者会見)、「(日産のリストラ計画について)隣の家を壊してまでも、自分の家の火を消そうというやり方は、受け入れられない」、「(企業は)社会的責任の中で、最大の利益を追求すべきだ。自分の企業を守るためのリストラは必要だが、従業員や地域社会と話し合う必要がある。」(秋山嘉久関西経済連合会会長、1999年11月1日記者会見)など・・・
しんぶん赤旗 2018年11月22日(木)
主張:日産会長の逮捕 労働者・国民を欺いた責任重大
---「コストカッター」と呼ばれたほど労働者や下請け業者に「合理化」を押し付け、地域経済も破壊してきたゴーン氏の背信行為が、労働者・国民の怒りを呼ぶのは当然です。
---大量の人員削減や工場閉鎖、下請け企業の切り捨てなどを推し進め、2008年の「リーマン・ショック」の後にも派遣労働者を切り捨てるなど、大量の人減らしを強行しました。工場が閉鎖された東京都武蔵村山市などでは、地域経済にも大きな打撃を与えています。
その一方でゴーン氏は巨額の役員報酬を受け取り、公表されただけでも、この数年は年間約10億円にも達しています。その巨額ぶりはかねて批判されてきました。
政府自身が積極的検証を
見過ごせないのはゴーン氏逮捕以降の安倍晋三政権の対応です。
自動車業界を監督する世耕弘成経済産業相は「第三者委員会で徹底して議論を深めてもらいたい」と日産任せで、金融商品取引法を所管する麻生太郎財務相は「個別の案件については答えられない」としか言いません。
ゴーン氏の経営を持ち上げた歴代政権の責任はどうなるのか。徹底した解明と検証が不可欠です。
---------------------
労働者の生活と地域経済を破壊する日産リストラ計画・村山工場閉鎖を許すな
2000年1月 自由法曹団
http://www.jlaf.jp/iken/2000/iken_200001.html
----------------------
以下参考
【意見書】自由法曹団
________________________________________
労働者の生活と地域経済を破壊する日産リストラ計画・村山工場閉鎖を許すな
2000年1月 自由法曹団
http://www.jlaf.jp/iken/2000/iken_200001.html
________________________________________
《構成》
Ⅰ 社会的責任を無視した日産「リバイバルプラン」
1 労働者・関連企業の犠牲によるコスト削減が至上命題
2 高まる国民各層からの批判
3 批判に耳を傾けプランの根本的見直しを
Ⅱ 工場閉鎖を労働者に押しつけることは許されない
1 労働者の基本的権利を侵害する工場閉鎖計画
2 「経営判断」の名の下に工場閉鎖を強行することは許されない
3 労働者との事前の協議抜きの閉鎖計画の決定・発表は違法
4 工場閉鎖を前提にした遠隔地配転を強いることは許されない
5 労働者の意見を日産は村山工場閉鎖計画の根本的見直しを
Ⅲ 関連企業と地域社会への責任を回避することは許されない
1 公正な取引に反する取引先の「選別」と「コスト削減」要求
2 地域経済・社会への責任を放棄した工場閉鎖
Ⅳ 労働者の権利と地域経済を守るための国の責任は重大
1 リストラ支援ではなく、有効な規制・指導を
2 政府の国際的責任が問われている
________________________________________
Ⅰ 社会的責任を無視した日産「リバイバルプラン」
1 労働者・関連企業の犠牲によるコスト削減が至上命題
1999年3月、ルノーの傘下に入った日産自動車は、同年10月18日、日本国内5工場の閉鎖、2万1000人の人員削減、取引メーカーの半減などを内容とする「日産リバイバルプラン」(以下「プラン」という)を発表した。
プランの概要は、以下のようなものである。
1. 国内5工場の閉鎖
o 村山工場(東京都)、日産車体京都工場、愛知機械港工場での車両組立生産を2001年3月で中止する。
o 久里浜工場(神奈川県)、九州エンジン工場(福岡県)でのエンジン部品生産を2002年3月で中止する。
2. 日産グループ全体で3万5000人の人員削減
o 2002年4月までに、現在14万8000人いるグループの従業員のうち3万5000人を退職させ、同期間に1万4000人を新規採用する。この結果、グループの従業員を12万7000人にし、差し引き2万1000人を削減する。
3. 日産グループ全体で3万5000人の人員削減
o 取引メーカーの削減
o 2002年4月までに、現在1145社ある部品・資材供給メーカーを600社以下にする。
o 2002年4月までに、現在6900社ある設備・サービス供給メーカーを3400社以下にする。
4. 直営ディーラー等の削減
o 直営ディーラーの数を20%削減する。
o 営業所の数を20%削減する。
日産は、これによって1兆円のコスト削減を実現するとしている。日産の最高執行責任者(COO)カルロス・ゴーン氏は、ルノーで「コストカッター」の異名をとった人物である。「リバイバルプラン」は、労働者や関連企業などの犠牲のもとに徹底したコスト削減を実現し、これによって収益力を高め、国際的競争力を高めることを至上命題としている。
2 高まる国民各層からの批判
たしかに、資本の側から見れば、「生産拠点の集約」や「コスト削減」は、短期的に利潤の増大をもたらすことになる。しかし、企業は、資本だけで成り立っているのではない。そこで働く労働者があり、企業が存在する地域経済の中でこそ企業は成り立っている。カネやモノは、もっとも利潤のあがる場所を求めて移動することができるが、企業で働く労働者や地域経済を支える企業や住民は、簡単に移動することはできない。ここから労働者や地域経済に対する社会的責任が生じるのであり、企業の経営判断に際しては、労働者や地域経済に対する配慮が求められるのである。
今回のプランは、資本の利益追求のみを最優先し、労働者に退職や遠隔地への配転という重大な不利益を強要し、下請企業の経営を危機に追いやる乱暴きわまりないものである。
日産の労働者は、プランを発表する記者会見をテレビで見て始めてその内容を知らされ、地元の自治体には事後的に一片の通知がなされただけであった。このことは、今回のプランが、日産という企業の存立基盤である労働者、下請業者、地域経済を全く無視したものであることを象徴している。
こうした日産のやり方は、労働者・国民の権利を侵害するものであり、さらには深刻な不況と雇用不安に拍車をかけるものである。多くの労働者・国民から、批判の声があげられているのは当然である。また、地元自治体でも、プランの見直しを求める議会の決議などの批判が出されている。
企業の存立基盤を無視した乱暴なリストラ計画は、短期的な利潤をあげることはできても、結局は、企業の存立基盤そのものを掘り崩すことにならざるをえない。だからこそ、財界からも、「(日産のリストラ計画で)フランス人のゴーン最高執行責任者がよくやったといわれているが、私は反対だ」(井上礼之関西経済同友会代表幹事、1999年10月27日記者会見)、「(日産のリストラ計画について)隣の家を壊してまでも、自分の家の火を消そうというやり方は、受け入れられない」、「(企業は)社会的責任の中で、最大の利益を追求すべきだ。自分の企業を守るためのリストラは必要だが、従業員や地域社会と話し合う必要がある。」(秋山嘉久関西経済連合会会長、1999年11月1日記者会見)など、プランに対する批判の声があがっているのである。また、ビル・トッテン氏は、「ルノーにとっては、日産が再生しようがしまいが、投資した六千億円を回収し、自動車産業の田舎であるフランスにはない技術を獲得し、日産の世界販売網が手に入れば、それでよいことであ」ると批判している(『諸君』2000年1月号)。
(以下略)
*****************************
日本経済新聞 2018/11/24付
社説:トップの暴走招いた日産の企業統治不全
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38137640U8A121C1EA1000/
中国新聞 2018/11/24
社説:日産、ゴーン会長解任 企業統治の見直し急務
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=483814&comment_sub_id=0&category_id=142
毎日新聞2018年11月23日 東京朝刊
社説:日産がゴーン会長解任 カリスマ脱却の転換点に
https://mainichi.jp/articles/20181123/ddm/005/070/099000c
産経新聞 2018.11.23 05:00
【主張】ゴーン会長解任 ルノーに責任はないのか
https://www.sankei.com/column/news/181123/clm1811230002-n1.html
[京都新聞 2018年11月23日掲載]
社説:ゴーン会長解任 企業統治の抜本改革を
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20181123_4.html
産経新聞 2018.11.22 05:00
【主張】司法取引 社会的責任に減免はない
https://www.sankei.com/column/news/181122/clm1811220001-n1.html
しんぶん赤旗 2018年11月22日(木)
主張:日産会長の逮捕 労働者・国民を欺いた責任重大
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-22/2018112201_05_1.html
朝日新聞デジタル2018年11月21日05時00分
(社説)ゴーン会長逮捕 企業統治の不全の果て
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13777817.html
読売新聞 2018年11月21日 06時12分
ゴーン会長逮捕 権力集中が不正を招いたのか
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181120-OYT1T50117.html
毎日新聞2018年11月21日 東京朝刊
社説:ゴーン日産会長逮捕 長期独裁の大きなゆがみ
https://mainichi.jp/articles/20181121/ddm/005/070/063000c
日本経済新聞 2018/11/21付
社説:私物化で地に落ちたカリスマ経営者
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38013520Q8A121C1EA1000/
産経新聞 2018.11.21 05:00
【主張】ゴーン会長逮捕 日産の統治不全も深刻だ
https://www.sankei.com/column/news/181121/clm1811210001-n1.html
東京新聞 2018年11月21日
【社説】権力集中だけが原因か 日産の企業統治
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112102000193.html
北海道新聞 2018/11/21 05:05
社説:ゴーン会長逮捕 巨額報酬の内実 究明を
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/250208
河北新報 2018年11月21日水曜日
社説:日産ゴーン会長逮捕/法令順守の意識が希薄だ
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20181121_01.html
信濃毎日新聞 (2018年11月21日)
社説:ゴーン会長の逮捕 負の側面洗い出さねば
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181121/KP181120ETI090006000.php
[京都新聞 2018年11月21日掲載]
社説:ゴーン会長逮捕 独走許す組織も見直せ
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20181121_4.html
神戸新聞 2018/11/21
社説:ゴーン会長逮捕/全容解明を急がなければ
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201811/0011838128.shtml
中国新聞 2018/11/21
社説:日産ゴーン会長逮捕 「救世主」なぜ失墜した
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=482968&comment_sub_id=0&category_id=142
西日本新聞2018年11月21日 10時35分
社説:ゴーン会長逮捕 日産は全容の解明を急げ
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/467220/
東京新聞 2018年11月20日
【社説】巨額報酬の闇にメスを ゴーン会長逮捕
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112002000201.html
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<ゴーン氏の経営手法を持ち上げた歴代政権の責任は重い>
ゴーン氏の報酬ごまかしや会社の私物化といった罪状は許しがたい。
それ以上に、ゴーン氏が「コストカッター」として取ってきた経営手法はひどすぎる。
リストラ、下請け切り捨て、地域経済の破壊・・・。新自由主義的、強欲資本主義的な経営とつながってきた。
その経営手法を持ち上げてきた歴代政府。だから「個別の案件については答えられない」(麻生大臣)のだろう。
ゴーン氏の経営のひどさ、「日産リバイバルプラン」について当時、自由法相団の批判を紹介する。
-----1999年3月、ルノーの傘下に入った日産自動車は、同年10月18日、日本国内5工場の閉鎖、2万1000人の人員削減、取引メーカーの半減などを内容とする「日産リバイバルプラン」を発表。
「国内5工場の閉鎖」「日産グループ全体で3万5000人の人員削減」など内容を紹介したうえで、
-----「たしかに、資本の側から見れば、『生産拠点の集約』や『コスト削減』は、短期的に利潤の増大をもたらすことになる。しかし、企業は、資本だけで成り立っているのではない。そこで働く労働者があり、企業が存在する地域経済の中でこそ企業は成り立っている。カネやモノは、もっとも利潤のあがる場所を求めて移動することができるが、企業で働く労働者や地域経済を支える企業や住民は、簡単に移動することはできない。ここから労働者や地域経済に対する社会的責任が生じるのであり、企業の経営判断に際しては、労働者や地域経済に対する配慮が求められるのである。」
労働者側からだけではない。日本の財界人からも批判の声が上がっていた。
----「(日産のリストラ計画で)フランス人のゴーン最高執行責任者がよくやったといわれているが、私は反対だ」(井上礼之関西経済同友会代表幹事、1999年10月27日記者会見)、「(日産のリストラ計画について)隣の家を壊してまでも、自分の家の火を消そうというやり方は、受け入れられない」、「(企業は)社会的責任の中で、最大の利益を追求すべきだ。自分の企業を守るためのリストラは必要だが、従業員や地域社会と話し合う必要がある。」(秋山嘉久関西経済連合会会長、1999年11月1日記者会見)など・・・
しんぶん赤旗 2018年11月22日(木)
主張:日産会長の逮捕 労働者・国民を欺いた責任重大
---「コストカッター」と呼ばれたほど労働者や下請け業者に「合理化」を押し付け、地域経済も破壊してきたゴーン氏の背信行為が、労働者・国民の怒りを呼ぶのは当然です。
---大量の人員削減や工場閉鎖、下請け企業の切り捨てなどを推し進め、2008年の「リーマン・ショック」の後にも派遣労働者を切り捨てるなど、大量の人減らしを強行しました。工場が閉鎖された東京都武蔵村山市などでは、地域経済にも大きな打撃を与えています。
その一方でゴーン氏は巨額の役員報酬を受け取り、公表されただけでも、この数年は年間約10億円にも達しています。その巨額ぶりはかねて批判されてきました。
政府自身が積極的検証を
見過ごせないのはゴーン氏逮捕以降の安倍晋三政権の対応です。
自動車業界を監督する世耕弘成経済産業相は「第三者委員会で徹底して議論を深めてもらいたい」と日産任せで、金融商品取引法を所管する麻生太郎財務相は「個別の案件については答えられない」としか言いません。
ゴーン氏の経営を持ち上げた歴代政権の責任はどうなるのか。徹底した解明と検証が不可欠です。
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労働者の生活と地域経済を破壊する日産リストラ計画・村山工場閉鎖を許すな
2000年1月 自由法曹団
http://www.jlaf.jp/iken/2000/iken_200001.html
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以下参考
【意見書】自由法曹団
________________________________________
労働者の生活と地域経済を破壊する日産リストラ計画・村山工場閉鎖を許すな
2000年1月 自由法曹団
http://www.jlaf.jp/iken/2000/iken_200001.html
________________________________________
《構成》
Ⅰ 社会的責任を無視した日産「リバイバルプラン」
1 労働者・関連企業の犠牲によるコスト削減が至上命題
2 高まる国民各層からの批判
3 批判に耳を傾けプランの根本的見直しを
Ⅱ 工場閉鎖を労働者に押しつけることは許されない
1 労働者の基本的権利を侵害する工場閉鎖計画
2 「経営判断」の名の下に工場閉鎖を強行することは許されない
3 労働者との事前の協議抜きの閉鎖計画の決定・発表は違法
4 工場閉鎖を前提にした遠隔地配転を強いることは許されない
5 労働者の意見を日産は村山工場閉鎖計画の根本的見直しを
Ⅲ 関連企業と地域社会への責任を回避することは許されない
1 公正な取引に反する取引先の「選別」と「コスト削減」要求
2 地域経済・社会への責任を放棄した工場閉鎖
Ⅳ 労働者の権利と地域経済を守るための国の責任は重大
1 リストラ支援ではなく、有効な規制・指導を
2 政府の国際的責任が問われている
________________________________________
Ⅰ 社会的責任を無視した日産「リバイバルプラン」
1 労働者・関連企業の犠牲によるコスト削減が至上命題
1999年3月、ルノーの傘下に入った日産自動車は、同年10月18日、日本国内5工場の閉鎖、2万1000人の人員削減、取引メーカーの半減などを内容とする「日産リバイバルプラン」(以下「プラン」という)を発表した。
プランの概要は、以下のようなものである。
1. 国内5工場の閉鎖
o 村山工場(東京都)、日産車体京都工場、愛知機械港工場での車両組立生産を2001年3月で中止する。
o 久里浜工場(神奈川県)、九州エンジン工場(福岡県)でのエンジン部品生産を2002年3月で中止する。
2. 日産グループ全体で3万5000人の人員削減
o 2002年4月までに、現在14万8000人いるグループの従業員のうち3万5000人を退職させ、同期間に1万4000人を新規採用する。この結果、グループの従業員を12万7000人にし、差し引き2万1000人を削減する。
3. 日産グループ全体で3万5000人の人員削減
o 取引メーカーの削減
o 2002年4月までに、現在1145社ある部品・資材供給メーカーを600社以下にする。
o 2002年4月までに、現在6900社ある設備・サービス供給メーカーを3400社以下にする。
4. 直営ディーラー等の削減
o 直営ディーラーの数を20%削減する。
o 営業所の数を20%削減する。
日産は、これによって1兆円のコスト削減を実現するとしている。日産の最高執行責任者(COO)カルロス・ゴーン氏は、ルノーで「コストカッター」の異名をとった人物である。「リバイバルプラン」は、労働者や関連企業などの犠牲のもとに徹底したコスト削減を実現し、これによって収益力を高め、国際的競争力を高めることを至上命題としている。
2 高まる国民各層からの批判
たしかに、資本の側から見れば、「生産拠点の集約」や「コスト削減」は、短期的に利潤の増大をもたらすことになる。しかし、企業は、資本だけで成り立っているのではない。そこで働く労働者があり、企業が存在する地域経済の中でこそ企業は成り立っている。カネやモノは、もっとも利潤のあがる場所を求めて移動することができるが、企業で働く労働者や地域経済を支える企業や住民は、簡単に移動することはできない。ここから労働者や地域経済に対する社会的責任が生じるのであり、企業の経営判断に際しては、労働者や地域経済に対する配慮が求められるのである。
今回のプランは、資本の利益追求のみを最優先し、労働者に退職や遠隔地への配転という重大な不利益を強要し、下請企業の経営を危機に追いやる乱暴きわまりないものである。
日産の労働者は、プランを発表する記者会見をテレビで見て始めてその内容を知らされ、地元の自治体には事後的に一片の通知がなされただけであった。このことは、今回のプランが、日産という企業の存立基盤である労働者、下請業者、地域経済を全く無視したものであることを象徴している。
こうした日産のやり方は、労働者・国民の権利を侵害するものであり、さらには深刻な不況と雇用不安に拍車をかけるものである。多くの労働者・国民から、批判の声があげられているのは当然である。また、地元自治体でも、プランの見直しを求める議会の決議などの批判が出されている。
企業の存立基盤を無視した乱暴なリストラ計画は、短期的な利潤をあげることはできても、結局は、企業の存立基盤そのものを掘り崩すことにならざるをえない。だからこそ、財界からも、「(日産のリストラ計画で)フランス人のゴーン最高執行責任者がよくやったといわれているが、私は反対だ」(井上礼之関西経済同友会代表幹事、1999年10月27日記者会見)、「(日産のリストラ計画について)隣の家を壊してまでも、自分の家の火を消そうというやり方は、受け入れられない」、「(企業は)社会的責任の中で、最大の利益を追求すべきだ。自分の企業を守るためのリストラは必要だが、従業員や地域社会と話し合う必要がある。」(秋山嘉久関西経済連合会会長、1999年11月1日記者会見)など、プランに対する批判の声があがっているのである。また、ビル・トッテン氏は、「ルノーにとっては、日産が再生しようがしまいが、投資した六千億円を回収し、自動車産業の田舎であるフランスにはない技術を獲得し、日産の世界販売網が手に入れば、それでよいことであ」ると批判している(『諸君』2000年1月号)。
(以下略)
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日本経済新聞 2018/11/24付
社説:トップの暴走招いた日産の企業統治不全
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38137640U8A121C1EA1000/
中国新聞 2018/11/24
社説:日産、ゴーン会長解任 企業統治の見直し急務
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=483814&comment_sub_id=0&category_id=142
毎日新聞2018年11月23日 東京朝刊
社説:日産がゴーン会長解任 カリスマ脱却の転換点に
https://mainichi.jp/articles/20181123/ddm/005/070/099000c
産経新聞 2018.11.23 05:00
【主張】ゴーン会長解任 ルノーに責任はないのか
https://www.sankei.com/column/news/181123/clm1811230002-n1.html
[京都新聞 2018年11月23日掲載]
社説:ゴーン会長解任 企業統治の抜本改革を
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20181123_4.html
産経新聞 2018.11.22 05:00
【主張】司法取引 社会的責任に減免はない
https://www.sankei.com/column/news/181122/clm1811220001-n1.html
しんぶん赤旗 2018年11月22日(木)
主張:日産会長の逮捕 労働者・国民を欺いた責任重大
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-22/2018112201_05_1.html
朝日新聞デジタル2018年11月21日05時00分
(社説)ゴーン会長逮捕 企業統治の不全の果て
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13777817.html
読売新聞 2018年11月21日 06時12分
ゴーン会長逮捕 権力集中が不正を招いたのか
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181120-OYT1T50117.html
毎日新聞2018年11月21日 東京朝刊
社説:ゴーン日産会長逮捕 長期独裁の大きなゆがみ
https://mainichi.jp/articles/20181121/ddm/005/070/063000c
日本経済新聞 2018/11/21付
社説:私物化で地に落ちたカリスマ経営者
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38013520Q8A121C1EA1000/
産経新聞 2018.11.21 05:00
【主張】ゴーン会長逮捕 日産の統治不全も深刻だ
https://www.sankei.com/column/news/181121/clm1811210001-n1.html
東京新聞 2018年11月21日
【社説】権力集中だけが原因か 日産の企業統治
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112102000193.html
北海道新聞 2018/11/21 05:05
社説:ゴーン会長逮捕 巨額報酬の内実 究明を
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/250208
河北新報 2018年11月21日水曜日
社説:日産ゴーン会長逮捕/法令順守の意識が希薄だ
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20181121_01.html
信濃毎日新聞 (2018年11月21日)
社説:ゴーン会長の逮捕 負の側面洗い出さねば
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181121/KP181120ETI090006000.php
[京都新聞 2018年11月21日掲載]
社説:ゴーン会長逮捕 独走許す組織も見直せ
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20181121_4.html
神戸新聞 2018/11/21
社説:ゴーン会長逮捕/全容解明を急がなければ
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201811/0011838128.shtml
中国新聞 2018/11/21
社説:日産ゴーン会長逮捕 「救世主」なぜ失墜した
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=482968&comment_sub_id=0&category_id=142
西日本新聞2018年11月21日 10時35分
社説:ゴーン会長逮捕 日産は全容の解明を急げ
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/467220/
東京新聞 2018年11月20日
【社説】巨額報酬の闇にメスを ゴーン会長逮捕
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112002000201.html
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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