2019-02-15(Fri)
リニア談合事件 「受注企業JRが差配」
初公判で大成・鹿島が否認 競争は存在していない
「受注予定事業者はあらかじめJR東海が決めていた。受注調整などで合意したことはない」
リニア談合事件日経新聞が詳しく報じている。
検察側の冒頭陳述では、
・ 4社はJR東海が工事発注で徹底したコストダウンを掲げていたことを把握していた。
・ 競争による価格低下を避けつつ、確実に受注を分け合うことを目的として受注調整を行った。
・ 2015年2月ごろまでにターミナル駅工事で受注予定事業者を決定することなどで合意した。
・ 見積価格の総額を連絡するだけでなく、積算の基礎となる資料や見積額の内訳が分かる資料も提供し合っていた。
これに対し、大成、鹿島の弁護側が無罪を主張した冒頭陳述では、
・ ターミナル駅工事は前例のない難工事で、JR東海は計画段階から特定の会社に技術的検討を行わせていた。
・ ほかの会社が受注することは現実的に難しく、受注予定事業者は事実上、JR東海の差配で決まっていた。
・ JR東海の実施した指名競争見積もり方式は形式的なもので競争は存在していなかった。
朝日新聞の報道では、大成建設と鹿島の陳述は、
・ 現実的に受注可能な会社は限られ、そもそも競争が存在していなかった。
・ 受注者を決める競争は、JR東海の意向によって事実上決着していた。
また、読売新聞によると
検察側は、
・ 両被告ら4社の関係者は、競争で受注価格が下がることを回避し、確実に受注を分け合えるよう、飲食店などで協議を繰り返した。
・ 15年2月頃までに、品川駅の受注予定業者を大林組と清水に、名古屋駅の受注予定業者を大成と鹿島に決め、
・ 入札前に自社の見積価格を他社に教えたり、資料を互いに提供し合ったりしていた。
これに対し、大川被告と大成の弁護側は、
・ JR東海が入札前から特定の業者を選び、工事を受注させる前提で工法などの技術的な検討に協力させていた。
・ 受注できる業者は、入札前の時点で実質的に1社に限られ、各社が競争する状態ではなかった。
・ 飲食店での協議についても「情報収集が目的で、受注調整のための話し合いはしていない」。
大沢被告と鹿島の弁護側も
・ 競争は入札前に事実上決着していた。入札は、JR東海が株主らに対し、競争性を確保したとの体裁を取るために実施されただけ。
毎日新聞では、
検察側は、
・ 14年から大成、鹿島、大林による「3社会合」を開き、翌年には清水も受注調整に参加した。
・ 大成が受注を目指した工区について大川被告が自社の見積もり価格から増額した金額を他社に伝えていた。
大成と大川被告の弁護側は、
・ 発注元のJR東海が難工事を見込んで、発注前から各工事の技術的検討をゼネコン各社に差配していた。
・ 受注できる業者は事実上、あらかじめ決まっていた。
・ 「3社会合」も「技術的な検討の情報収集。受注調整の合意は存在しない」。
鹿島と大沢被告側も受注調整の存在を否定。
要するに、大成、鹿島側は、JR東海が受注先を差配していた、競争は存在していないから独禁法違反ではない。
と言いたいらしい。
先に、談合相手である大林組、清水建設が談合を認めていることは、どう判断されるのだろう。
競争が存在しない、ということは大林組や清水建設の談合も成り立たない、ということになるのではないのか。
公共工事なら、発注者が競争入札にかけず、理由なく随契にすれば問題になる。
JR東海は、民間事業者だから競争がなくてもいい、個別随契にしても問題ない、というのが大成、鹿島側の理屈なのだろう。
いずれにしても、ゼネコン側だけでなく、発注者(JR東海)側の責任も問われるべきだろう。
以下参考
日本経済新聞 2019/2/14 21:47
リニア談合「受注企業JRが差配」大成・鹿島が否認 東京地裁で初公判
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4129486014022019CC1000/
朝日新聞デジタル2019年2月14日22時57分
リニア談合で初公判、大成建設と鹿島の元幹部が無罪主張
https://digital.asahi.com/articles/ASM2G55THM2GUTIL02B.html
読売新聞 2019年2月15日
リニア談合初公判 大成、鹿島元幹部 否認…「受注調整せず」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190215-OYT1T50040/
毎日新聞2019年2月14日 21時14分
「受注調整ない」2社幹部が否認 リニア談合事件、初公判
https://mainichi.jp/articles/20190214/k00/00m/040/270000c
産経ニュース 2019.2.14 22:41
リニア談合公判 「基本合意」の有無が焦点
https://www.sankei.com/affairs/news/190214/afr1902140046-n1.html
産経ニュース 2019.2.14 17:58
リニア談合初公判 大成・鹿島は全面否認 東京地裁
https://www.sankei.com/affairs/news/190214/afr1902140030-n1.html
時事通信 2019年02月14日18時01分
大成、鹿島元幹部が無罪主張=法人2社も、リニア談合初公判-東京地裁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021400838&g=soc
時事通信 2019年02月14日15時03分
リニア談合事件
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021400840&g=tha
TBSニュース 2019/02/14 13:00
“リニア”談合 「大成」「鹿島」担当者、初公判で起訴内容を否認
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3598542.html
共同通信2019/2/14 15:252/14 15:29
リニア談合、鹿島と大成が否認 東京地裁、両社の元幹部
https://this.kiji.is/468664534867510369?c=39546741839462401
毎日新聞2019年1月21日 12時00分(最終更新 1月21日 13時07分)
リニア工事、課徴金審査に不透明感 一部工事、談合後分割
https://mainichi.jp/articles/20190121/k00/00m/040/068000c
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「受注予定事業者はあらかじめJR東海が決めていた。受注調整などで合意したことはない」
リニア談合事件日経新聞が詳しく報じている。
検察側の冒頭陳述では、
・ 4社はJR東海が工事発注で徹底したコストダウンを掲げていたことを把握していた。
・ 競争による価格低下を避けつつ、確実に受注を分け合うことを目的として受注調整を行った。
・ 2015年2月ごろまでにターミナル駅工事で受注予定事業者を決定することなどで合意した。
・ 見積価格の総額を連絡するだけでなく、積算の基礎となる資料や見積額の内訳が分かる資料も提供し合っていた。
これに対し、大成、鹿島の弁護側が無罪を主張した冒頭陳述では、
・ ターミナル駅工事は前例のない難工事で、JR東海は計画段階から特定の会社に技術的検討を行わせていた。
・ ほかの会社が受注することは現実的に難しく、受注予定事業者は事実上、JR東海の差配で決まっていた。
・ JR東海の実施した指名競争見積もり方式は形式的なもので競争は存在していなかった。
朝日新聞の報道では、大成建設と鹿島の陳述は、
・ 現実的に受注可能な会社は限られ、そもそも競争が存在していなかった。
・ 受注者を決める競争は、JR東海の意向によって事実上決着していた。
また、読売新聞によると
検察側は、
・ 両被告ら4社の関係者は、競争で受注価格が下がることを回避し、確実に受注を分け合えるよう、飲食店などで協議を繰り返した。
・ 15年2月頃までに、品川駅の受注予定業者を大林組と清水に、名古屋駅の受注予定業者を大成と鹿島に決め、
・ 入札前に自社の見積価格を他社に教えたり、資料を互いに提供し合ったりしていた。
これに対し、大川被告と大成の弁護側は、
・ JR東海が入札前から特定の業者を選び、工事を受注させる前提で工法などの技術的な検討に協力させていた。
・ 受注できる業者は、入札前の時点で実質的に1社に限られ、各社が競争する状態ではなかった。
・ 飲食店での協議についても「情報収集が目的で、受注調整のための話し合いはしていない」。
大沢被告と鹿島の弁護側も
・ 競争は入札前に事実上決着していた。入札は、JR東海が株主らに対し、競争性を確保したとの体裁を取るために実施されただけ。
毎日新聞では、
検察側は、
・ 14年から大成、鹿島、大林による「3社会合」を開き、翌年には清水も受注調整に参加した。
・ 大成が受注を目指した工区について大川被告が自社の見積もり価格から増額した金額を他社に伝えていた。
大成と大川被告の弁護側は、
・ 発注元のJR東海が難工事を見込んで、発注前から各工事の技術的検討をゼネコン各社に差配していた。
・ 受注できる業者は事実上、あらかじめ決まっていた。
・ 「3社会合」も「技術的な検討の情報収集。受注調整の合意は存在しない」。
鹿島と大沢被告側も受注調整の存在を否定。
要するに、大成、鹿島側は、JR東海が受注先を差配していた、競争は存在していないから独禁法違反ではない。
と言いたいらしい。
先に、談合相手である大林組、清水建設が談合を認めていることは、どう判断されるのだろう。
競争が存在しない、ということは大林組や清水建設の談合も成り立たない、ということになるのではないのか。
公共工事なら、発注者が競争入札にかけず、理由なく随契にすれば問題になる。
JR東海は、民間事業者だから競争がなくてもいい、個別随契にしても問題ない、というのが大成、鹿島側の理屈なのだろう。
いずれにしても、ゼネコン側だけでなく、発注者(JR東海)側の責任も問われるべきだろう。
以下参考
日本経済新聞 2019/2/14 21:47
リニア談合「受注企業JRが差配」大成・鹿島が否認 東京地裁で初公判
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4129486014022019CC1000/
朝日新聞デジタル2019年2月14日22時57分
リニア談合で初公判、大成建設と鹿島の元幹部が無罪主張
https://digital.asahi.com/articles/ASM2G55THM2GUTIL02B.html
読売新聞 2019年2月15日
リニア談合初公判 大成、鹿島元幹部 否認…「受注調整せず」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190215-OYT1T50040/
毎日新聞2019年2月14日 21時14分
「受注調整ない」2社幹部が否認 リニア談合事件、初公判
https://mainichi.jp/articles/20190214/k00/00m/040/270000c
産経ニュース 2019.2.14 22:41
リニア談合公判 「基本合意」の有無が焦点
https://www.sankei.com/affairs/news/190214/afr1902140046-n1.html
産経ニュース 2019.2.14 17:58
リニア談合初公判 大成・鹿島は全面否認 東京地裁
https://www.sankei.com/affairs/news/190214/afr1902140030-n1.html
時事通信 2019年02月14日18時01分
大成、鹿島元幹部が無罪主張=法人2社も、リニア談合初公判-東京地裁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021400838&g=soc
時事通信 2019年02月14日15時03分
リニア談合事件
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021400840&g=tha
TBSニュース 2019/02/14 13:00
“リニア”談合 「大成」「鹿島」担当者、初公判で起訴内容を否認
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3598542.html
共同通信2019/2/14 15:252/14 15:29
リニア談合、鹿島と大成が否認 東京地裁、両社の元幹部
https://this.kiji.is/468664534867510369?c=39546741839462401
毎日新聞2019年1月21日 12時00分(最終更新 1月21日 13時07分)
リニア工事、課徴金審査に不透明感 一部工事、談合後分割
https://mainichi.jp/articles/20190121/k00/00m/040/068000c
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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