2023-05-31(Wed)
リニア中央新幹線の工事が足踏み 今の時代に合う未来なのか
地下水をめぐって膠着状態続く 大深度工事で陥没事故 大災害への備えや安全対策は?
朝日新聞デジタル 2023年5月29日 12時00分
「開業に向けて進行中!」のはずが...品川で止まったリニアの掘削
----「世界初、品川発。」「開業に向けて進行中!」
海外からの旅行客やビジネスパーソンが行き交う東京・JR品川駅前。ビルを見上げると、巨大なリニア中央新幹線の広告が目に飛び込んできた。
品川駅は、ソニーや日本マイクロソフトなど、主要企業が集まる一大ターミナルだ。リニアはここを出発し、地下40メートル以深の「大深度地下」のトンネルを進んで名古屋へ向かう。「首都の玄関口」の機能強化を見越し、駅前では国際会議場が入る超高層ビルや、広大な歩行者デッキの計画も進んでいる。
----リニア中央新幹線の工事が足踏みしているのは、地下水をめぐって膠着状態が続く静岡工区ばかりではない。リニアは、今の時代に合う未来なのか。
----相次ぐトラブルに不安の声
・・・20年に東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)の大深度工事で陥没事故が発生。住民が転居を迫られる事態になった。リニア工事でも、地上への影響を見極めながら、段階を踏んで掘削することになった。
----技術が抱える「硬直性」
・・・リニアのルート選定では、複数の案のうち最も直線的な現ルートが選ばれた。3千メートル級の山々が連なる南アルプスを貫くトンネルでも、難工事が見込まれている。静岡県内の南アルプストンネルは、県が水資源や環境への懸念を示し、工事に着手できていない。
----3大都市が一体化?
・・・ 三大都市が1時間圏内になれば、一つの巨大経済圏になる――。国はこれを「スーパーメガリージョン」と呼び、国土のあるべき姿を示した15年の国土形成計画に盛り込んで推進してきた。
ただ、東京一極集中の弊害は長く指摘されながら、いまだ解消しないまま。人口減は今後も進む。コロナ禍を経て広く普及したオンライン会議なら移動時間は0分だ。
次期計画を議論する国土交通省の審議会では「リニアは今の時代に合っているのか。本当に一極集中の是正につながるのか」といった意見も出た。
朝日新聞デジタル 2023年5月28日 12時00分
リニア非常時、南アルプスの谷間へ避難も 住民「ここは災害で孤立」
----超高速で山岳地帯を貫くリニア中央新幹線。大災害への備えや安全対策はどうなっているのか。
・・・孤立集落に乗客数百人?
----3・11から2カ月でゴーサイン
・・・リニア中央新幹線を進める目的は「東海道新幹線のバイパス」とされる。来年で開業60年となる東海道新幹線の大規模な補修や、想定される南海トラフ巨大地震が起きたときのバックアップになるという。ただ、南海トラフ巨大地震では、太平洋沿岸だけでなく、長野県大鹿村や飯田市など内陸部でも震度6強や6弱の揺れが想定されている。
昨年10月に東京都内で講演した地震学者の石橋克彦・神戸大名誉教授は、こう訴えた。
・・・ 「リニアが代替として活躍することは考えられない。新たな災害を生み出し、超広域大震災の救援、復旧、復興を阻害することになってしまうのではないか」。
朝日新聞デジタル 2023年5月27日 12時00分
開発60年超、夢の未来は近づいた? 超電導リニアのブレークスルー
----磁力急低下を「克服」
もう一つ、超電導ならではの大きな課題が、磁力が突然失われる「クエンチ」だった。
強い磁力を保っているのは、マイナス269度という低温。コイルの一部分でもわずかに温度が上がれば、電気抵抗による発熱が連鎖的に広がり、磁力が急低下してしまう。いわば走行中に車輪が外れるような状態といえる。そこで、高速走行しながら厳密な温度管理が求められる。90年には宮崎実験線で走行中の車両が側壁に衝突する事故が起きた。振動で熱が生じていたことが判明し、振動に強い構造を追究することになった。
・・・山梨実験線では現在、「高温超電導磁石」を使った走行試験が続く。従来より14度高いマイナス255度という「高温」で超電導を実現する。わずかな温度の違いに見えても、供給の不安がある液体ヘリウムなどを使わず、構造をシンプルにできるため、コストやメンテナンスの面で有利になる。
今年3月に6年ぶりに開かれた国交省の技術評価委員会では、さらに3年かけて高温超電導磁石の安定性を検証することが報告された。営業車両の仕様はまだ未定だが、JR東海は「技術的な成立性の見通しが得られたため、営業車両へ投入できると考えている」としている。
朝日新聞デジタル 2021年3月4日 10時00分
東日本大震災を語る
「リニア原発震災」防ぐ理性を 地震学者の次なる警告
----東日本大震災の前に「原発震災」を警告した地震学者、石橋克彦さん(76)は、次の複合災害に向け、社会の姿を変えていく必要性を訴えます。原発とリニア中央新幹線の存在が南海トラフ巨大地震の被害を増幅する「リニア原発震災」のおそれも指摘。原発とリニアをめぐる構図は似ているといいます。
以下参考
朝日新聞デジタル 2023年5月29日 12時00分
「開業に向けて進行中!」のはずが...品川で止まったリニアの掘削
https://digital.asahi.com/articles/ASR5D75J4R4NPLZU009.html
朝日新聞デジタル 2023年5月28日 12時00分
リニア非常時、南アルプスの谷間へ避難も 住民「ここは災害で孤立」
https://digital.asahi.com/articles/ASR5C5D8DR4NPLZU008.html
朝日新聞デジタル 2023年5月27日 12時00分
開発60年超、夢の未来は近づいた? 超電導リニアのブレークスルー
https://digital.asahi.com/articles/ASR5C5HBXR4NPLZU007.html
超電導リニアとリニア中央新幹線
1962年 東京―大阪間1時間を目指し、国鉄の鉄道技術研究所で研究開始
72年 初めて浮上走行に成功
77年 宮崎リニア実験線を開設
79年 時速517キロを達成
97年 山梨リニア実験線で走行試験開始
2005年 国土交通省の技術評価委員会が「実用化の基盤技術が確立した」と評価
07年 JR東海が自己負担でリニア建設を発表
09年 同委員会が、営業線に必要となる技術が網羅的、体系的に整備されたと評価
11年 国が中央新幹線の整備計画を決定
13年 山梨リニア実験線が延伸
14年 国がJR東海の工事計画を認可、着工
15年 鉄道の世界最高速度を更新する時速603キロを記録
16年 大阪開業前倒しに向け、政府が財政投融資3兆円を充てる経済対策決定
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朝日新聞デジタル 2021年3月4日 10時00分
東日本大震災を語る
「リニア原発震災」防ぐ理性を 地震学者の次なる警告
https://digital.asahi.com/articles/ASP2V5W9QP2MULZU013.html
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朝日新聞デジタル 2023年5月29日 12時00分
「開業に向けて進行中!」のはずが...品川で止まったリニアの掘削
----「世界初、品川発。」「開業に向けて進行中!」
海外からの旅行客やビジネスパーソンが行き交う東京・JR品川駅前。ビルを見上げると、巨大なリニア中央新幹線の広告が目に飛び込んできた。
品川駅は、ソニーや日本マイクロソフトなど、主要企業が集まる一大ターミナルだ。リニアはここを出発し、地下40メートル以深の「大深度地下」のトンネルを進んで名古屋へ向かう。「首都の玄関口」の機能強化を見越し、駅前では国際会議場が入る超高層ビルや、広大な歩行者デッキの計画も進んでいる。
----リニア中央新幹線の工事が足踏みしているのは、地下水をめぐって膠着状態が続く静岡工区ばかりではない。リニアは、今の時代に合う未来なのか。
----相次ぐトラブルに不安の声
・・・20年に東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)の大深度工事で陥没事故が発生。住民が転居を迫られる事態になった。リニア工事でも、地上への影響を見極めながら、段階を踏んで掘削することになった。
----技術が抱える「硬直性」
・・・リニアのルート選定では、複数の案のうち最も直線的な現ルートが選ばれた。3千メートル級の山々が連なる南アルプスを貫くトンネルでも、難工事が見込まれている。静岡県内の南アルプストンネルは、県が水資源や環境への懸念を示し、工事に着手できていない。
----3大都市が一体化?
・・・ 三大都市が1時間圏内になれば、一つの巨大経済圏になる――。国はこれを「スーパーメガリージョン」と呼び、国土のあるべき姿を示した15年の国土形成計画に盛り込んで推進してきた。
ただ、東京一極集中の弊害は長く指摘されながら、いまだ解消しないまま。人口減は今後も進む。コロナ禍を経て広く普及したオンライン会議なら移動時間は0分だ。
次期計画を議論する国土交通省の審議会では「リニアは今の時代に合っているのか。本当に一極集中の是正につながるのか」といった意見も出た。
朝日新聞デジタル 2023年5月28日 12時00分
リニア非常時、南アルプスの谷間へ避難も 住民「ここは災害で孤立」
----超高速で山岳地帯を貫くリニア中央新幹線。大災害への備えや安全対策はどうなっているのか。
・・・孤立集落に乗客数百人?
----3・11から2カ月でゴーサイン
・・・リニア中央新幹線を進める目的は「東海道新幹線のバイパス」とされる。来年で開業60年となる東海道新幹線の大規模な補修や、想定される南海トラフ巨大地震が起きたときのバックアップになるという。ただ、南海トラフ巨大地震では、太平洋沿岸だけでなく、長野県大鹿村や飯田市など内陸部でも震度6強や6弱の揺れが想定されている。
昨年10月に東京都内で講演した地震学者の石橋克彦・神戸大名誉教授は、こう訴えた。
・・・ 「リニアが代替として活躍することは考えられない。新たな災害を生み出し、超広域大震災の救援、復旧、復興を阻害することになってしまうのではないか」。
朝日新聞デジタル 2023年5月27日 12時00分
開発60年超、夢の未来は近づいた? 超電導リニアのブレークスルー
----磁力急低下を「克服」
もう一つ、超電導ならではの大きな課題が、磁力が突然失われる「クエンチ」だった。
強い磁力を保っているのは、マイナス269度という低温。コイルの一部分でもわずかに温度が上がれば、電気抵抗による発熱が連鎖的に広がり、磁力が急低下してしまう。いわば走行中に車輪が外れるような状態といえる。そこで、高速走行しながら厳密な温度管理が求められる。90年には宮崎実験線で走行中の車両が側壁に衝突する事故が起きた。振動で熱が生じていたことが判明し、振動に強い構造を追究することになった。
・・・山梨実験線では現在、「高温超電導磁石」を使った走行試験が続く。従来より14度高いマイナス255度という「高温」で超電導を実現する。わずかな温度の違いに見えても、供給の不安がある液体ヘリウムなどを使わず、構造をシンプルにできるため、コストやメンテナンスの面で有利になる。
今年3月に6年ぶりに開かれた国交省の技術評価委員会では、さらに3年かけて高温超電導磁石の安定性を検証することが報告された。営業車両の仕様はまだ未定だが、JR東海は「技術的な成立性の見通しが得られたため、営業車両へ投入できると考えている」としている。
朝日新聞デジタル 2021年3月4日 10時00分
東日本大震災を語る
「リニア原発震災」防ぐ理性を 地震学者の次なる警告
----東日本大震災の前に「原発震災」を警告した地震学者、石橋克彦さん(76)は、次の複合災害に向け、社会の姿を変えていく必要性を訴えます。原発とリニア中央新幹線の存在が南海トラフ巨大地震の被害を増幅する「リニア原発震災」のおそれも指摘。原発とリニアをめぐる構図は似ているといいます。
以下参考
朝日新聞デジタル 2023年5月29日 12時00分
「開業に向けて進行中!」のはずが...品川で止まったリニアの掘削
https://digital.asahi.com/articles/ASR5D75J4R4NPLZU009.html
朝日新聞デジタル 2023年5月28日 12時00分
リニア非常時、南アルプスの谷間へ避難も 住民「ここは災害で孤立」
https://digital.asahi.com/articles/ASR5C5D8DR4NPLZU008.html
朝日新聞デジタル 2023年5月27日 12時00分
開発60年超、夢の未来は近づいた? 超電導リニアのブレークスルー
https://digital.asahi.com/articles/ASR5C5HBXR4NPLZU007.html
超電導リニアとリニア中央新幹線
1962年 東京―大阪間1時間を目指し、国鉄の鉄道技術研究所で研究開始
72年 初めて浮上走行に成功
77年 宮崎リニア実験線を開設
79年 時速517キロを達成
97年 山梨リニア実験線で走行試験開始
2005年 国土交通省の技術評価委員会が「実用化の基盤技術が確立した」と評価
07年 JR東海が自己負担でリニア建設を発表
09年 同委員会が、営業線に必要となる技術が網羅的、体系的に整備されたと評価
11年 国が中央新幹線の整備計画を決定
13年 山梨リニア実験線が延伸
14年 国がJR東海の工事計画を認可、着工
15年 鉄道の世界最高速度を更新する時速603キロを記録
16年 大阪開業前倒しに向け、政府が財政投融資3兆円を充てる経済対策決定
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朝日新聞デジタル 2021年3月4日 10時00分
東日本大震災を語る
「リニア原発震災」防ぐ理性を 地震学者の次なる警告
https://digital.asahi.com/articles/ASP2V5W9QP2MULZU013.html
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ジャンル : 政治・経済