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2019-06-11(Tue)

リニア着工遅れ 静岡県「JR側に問題」立場強調

静岡県「基本協定が条件」 JR東海に意見書  愛知側「国が調整やらないかん」 

リニア中央新幹線の静岡工区の着工遅れで、27年開業遅れが懸念されている。
愛知県知事などリニア推進派が、焦りもあらわに「国が調整やらないかん」と国交省にかみついている。

静岡県側は、「流域関係者の十分な納得を得て工事を行うことが工事成功の必須条件であり、社会的義務である」
この基本姿勢で、流域住民の意見を踏まえ、住民が納得できる回答をJR側に求めている。
ところが、JR側が専門家の質問事項に直接回答しなかったり、論点をずらしたりした誠意のない対応をしている。

愛知県知事は、「遅れることは到底受け入れることはできない。看過できない事態だ」など怒っているようだが、
静岡県側が言うように、国のやるべきことは、JRに対し誠実な対応を促すことだ。

静岡新聞 (2019/6/11 07:57)
リニア着工遅れ 静岡県「JR側に問題」立場強調
----リニア中央新幹線の静岡工区の着工遅れを巡り、愛知県の大村秀章知事が10日の定例記者会見で、早期着工に向け国が調整に乗り出すべきだとの考えを示したことを受け、静岡県の担当者は同日、取材に、国がJR東海に誠実な対応を促すべきだとの認識を示した。県側は、大井川の流量減少対策を巡るJR側の対応に問題があるとの立場を強調している。
----大村知事の一連の発言に、JRとの協議を所管する県くらし・環境部の幹部は10日、「一日も早く流域の住民が納得できる回答をJRが示してもらいたい。国がJRに対し誠実な対応を促してもらえるとありがたい」と求めた。
 県側は専門家とJRの担当者らが出席する環境保全連絡会議専門部会で、JRが専門家の質問事項に直接回答しなかったり、論点をずらしたりしたと反発し、協議が長期化している。県は6日、「流域関係者の十分な納得を得ることが工事成功の必須条件で社会的義務だ」とする中間意見書をJRに送付した。


朝日新聞デジタル2019年6月10日19時49分
リニア開業遅れの懸念 愛知側「国が調整やらないかん」
---- 2027年に品川―名古屋間の開通をめざすリニア中央新幹線をめぐり、開業の遅れへの懸念がくすぶっている。火種は唯一の未着工区間の静岡工区(11キロ)だ。静岡県は自然環境の保全などで、県民が納得できる説明をJR東海に要求。愛知県の大村秀章知事は10日の記者会見で、国が静岡県と調整するよう求めた。


毎日新聞2019年6月7日 地方版
リニア中央新幹線:県「基本協定が条件」 本体工事、JR東海に意見書 /静岡
----リニア中央新幹線の建設工事で大井川水系の流量減少が懸念されている問題で、県中央新幹線対策本部(本部長・難波喬司副知事)は6日、「利水者らの理解が得られた段階で、基本協定を締結する必要がある」と求めた意見書をJR東海に提出した。静岡市北部の南アルプストンネルの本体工事着工について、県は「基本協定締結が前提条件」としている。
----意見書は、基本姿勢として「流域関係者の十分な納得を得て工事を行うことが工事成功の必須条件であり、社会的義務である」と主張。工事の環境影響評価におけるJRの基本的姿勢を「質問事項に直接回答しないことがあるなど、対応の誠実さを疑わざるを得ない」と批判している。
 JRは「トンネルの湧き水全量を大井川に戻す」としているが、意見書は「具体的な対策を示す必要がある」と指摘。また、減水に伴う生態系への影響対策や、南アルプス地域の自然環境を保全する基金の設立なども求めた。





以下参考


静岡新聞 (2019/6/11 07:57)
リニア着工遅れ 静岡県「JR側に問題」立場強調
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/644266.html
 リニア中央新幹線の静岡工区の着工遅れを巡り、愛知県の大村秀章知事が10日の定例記者会見で、早期着工に向け国が調整に乗り出すべきだとの考えを示したことを受け、静岡県の担当者は同日、取材に、国がJR東海に誠実な対応を促すべきだとの認識を示した。県側は、大井川の流量減少対策を巡るJR側の対応に問題があるとの立場を強調している。
 大村知事は「新幹線整備は国の事業。進めていく責任がある」と強調し、開業遅れは「到底受け入れられない」と訴えた。同時に川勝平太知事と5日に会談し「『意見を言ってもできることとできないことがある。JR東海とよく話し合って折り合いをつけてほしい』と伝えた」と明らかにした。
 川勝知事は同日、大村知事が会長を務めるリニアの建設促進期成同盟会への加盟を申請した。ほかの都府県に本県の立場への理解を求める狙いと見られているが、大村知事の会見での発言は、本県との立場の違いを浮き彫りにした。
 大村知事の一連の発言に、JRとの協議を所管する県くらし・環境部の幹部は10日、「一日も早く流域の住民が納得できる回答をJRが示してもらいたい。国がJRに対し誠実な対応を促してもらえるとありがたい」と求めた。
 県側は専門家とJRの担当者らが出席する環境保全連絡会議専門部会で、JRが専門家の質問事項に直接回答しなかったり、論点をずらしたりしたと反発し、協議が長期化している。県は6日、「流域関係者の十分な納得を得ることが工事成功の必須条件で社会的義務だ」とする中間意見書をJRに送付した。


朝日新聞デジタル2019年6月10日19時49分
リニア開業遅れの懸念 愛知側「国が調整やらないかん」
https://digital.asahi.com/articles/ASM6B4Q3FM6BOIPE00W.html
 2027年に品川―名古屋間の開通をめざすリニア中央新幹線をめぐり、開業の遅れへの懸念がくすぶっている。火種は唯一の未着工区間の静岡工区(11キロ)だ。静岡県は自然環境の保全などで、県民が納得できる説明をJR東海に要求。愛知県の大村秀章知事は10日の記者会見で、国が静岡県と調整するよう求めた。
 「JR東海と静岡県だけの協議ではなく、国が前面に出て調整し、事業を前に進めていく責任がある」。会見で、大村氏は語気を強め、国が調整に乗り出すように要求。5月に石井啓一国土交通相と会談した際にも同様に要求したといい、「国がやらないかん」と述べた。また、静岡県の川勝平太知事に対し「意見を言われてもできること、できないことがある。どう折り合いをつけていくかだ」と述べたことも明かした。
 静岡県が問題視するのは、リニアのトンネル工事に伴う大井川水系の流量減少だ。工事により、大井川の自然環境などがどんな影響を受けるかを検討した結果を中間意見書にまとめ、今月6日にJR東海に提出。県民の理解が得られた段階で基本協定を締結するとしており、「基本協定なくして着工なし」との立場を崩していない。
 静岡県側との協議が続いていることを受け、JR東海の金子慎社長は先月30日の記者会見で「この状態が続けば開業の時期に影響を及ぼしかねないと心配している」と、27年の開業が遅れる可能性に初めて言及した。6日に東京で開かれたリニア沿線9都府県でつくる建設促進期成同盟会の総会では、開業の遅れを懸念する声が続出し、「未着工区間については国、JR東海および関係者がスピード感をもって調整し、早期着工を図ること」との決議を採択した。
 川勝氏は同盟会への加盟依頼書を出したが、総会では保留。同盟会の会長を務める大村氏は10日の会見で「加入いただく方向で調整」とする一方、「建設促進同盟会なので趣旨に賛同であれば入っていただければ」と釘を刺し、繰り返し強調した。「遅れることは到底受け入れることはできない。看過できない事態だ」



日本経済新聞 2019/6/10 19:14
リニア開業の遅れ「受け入れられない」、愛知県知事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45904230Q9A610C1L91000/
愛知県の大村秀章知事は10日の記者会見で、JR東海と静岡県の対立により、2027年に予定するリニア中央新幹線開業が遅れる懸念が出ている問題で「遅れは到底受け入れられない」と述べた。さらに「国が前面に出て調整し、整備を前向きに進める責任がある」とし、調整を国が主導すべきだとの考えも示した。
リニア建設を巡っては、沿線に近い大井川の環境保全をめぐってJR東海と静岡県の折り合いが付かず、一部でトンネル工事に着手できない状態が続いている。大村知事はトンネル採掘による流量対策が不十分と主張する静岡県の川勝平太知事と会談したといい「折り合いをつけてほしいと伝えた」と明かした。


毎日新聞2019年6月10日 21時01分(最終更新 6月10日 21時02分)
愛知知事、国主導の調整求める リニア水量減少問題「開通遅れは受け入れられぬ」
https://mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/040/253000c
 リニア中央新幹線の建設で、大井川の水量減少を巡り静岡県と施工者のJR東海が対立し、南アルプストンネルの同県工区が未着工となっている問題について、愛知県の大村秀章知事は10日の定例記者会見で「新幹線整備は国策事業。国が前面に出て調整すべきだ」と述べ、国主導での解決を求めた。
 大村知事は関係9都府県(静岡県未加盟)でつくる同新幹線建設促進期成同盟会の会長。JR東海の金子慎社長は6日の同会総会で、未着工が続けば品川―名古屋間の2027年開通予定に影響を及ぼしかねないと説明しており、大村知事は「(開通遅れは)到底受け入れられない」と危機感を示した。
 静岡は品川―名古屋間で唯一の未着工県。大村知事は5日、静岡市内で静岡県の川勝平太知事と会い、「まず着手し、その後の協議で仮に不都合があれば立ち止まって考えればいいのでは」と着工を認めるよう促したという。【黒尾透】



朝日新聞デジタル 2019年6月7日03時00分
静岡)リニア開業遅れ、懸念相次ぐ
https://digital.asahi.com/articles/ASM665JQQM66UTPB014.html
「基本協定なくして着工はあり得ない」と話す静岡県くらし・環境部の織部康宏局長(中央)ら=2019年6月6日午前10時8分、県庁
 リニア中央新幹線の唯一の未着工区間である静岡工区(11キロ)をめぐる議論が熱を帯びている。沿線9都府県でつくるリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の総会では6日、「開業の遅れにつながりかねない」との指摘が相次いだ。一方、静岡県は同日、JR東海に中間意見書を送付。水資源や自然環境の保全について県民の納得が得られる説明を求め、「基本協定なくして着工なし」との立場を崩していない。
 期成同盟会はこの日の総会で、2027年度にリニアの品川―名古屋間を開通させ、名古屋―大阪間の早期開通も目指すとしたうえで「未着工区間については国、JR東海および関係者がスピード感をもって調整し、早期着手を図ること」とする決議を採択した。
 出席者からは、未着工のままの静岡工区に関する発言が相次いだ。期成同盟会の会長を務める大村秀章・愛知県知事は「開業が遅れるのは受け入れ難い」と語り、「国交省が責任を持って調整し、進めていかなければいけない」と国による調整を求めた。
 JR東海の金子慎社長も「静岡工区は進捗(しんちょく)が遅れており、取り戻すのが難しくなりつつある」として「開業時期にも影響を及ぼしかねない。早期に次の工程に進まないといけない」と呼びかけた。
 静岡県の川勝平太知事は前日の5日に開かれた中部圏知事会議で「静岡には駅がなく、メリットは何もない」として工事への慎重姿勢を示していた。一方、同日付で提出した期成同盟会の加盟依頼書ではリニアを「経済社会を支える大動脈となる」と評価し、「整備実現に向けて加盟したい」としていた。
 大村知事は「入って頂くのはいいのではないか」としつつ、「昨日の今日なので、今後相談する」とし、加盟を認めるかどうかの判断を保留した。
 静岡県は6日、リニアの工事で大井川の水資源や自然環境がどんな影響を受けるかを検討した結果を中間意見書にまとめ、JR東海の宇野護副社長あてに提出した。
 昨年11月から学識経験者を委員とする「地質構造・水資源」と「生物多様性」の両専門部会で議論・検討してきた環境影響評価のうち、JR側からの回答が不十分と思われる部分を列挙し、回答を迫っている。
 トンネル工事に伴うわき水の量に関し、部会ではJR側から「上限値を毎秒3立方メートルに設定する」との基本的考え方が示された。県は中間意見書で「上限値の根拠や妥当性」「わき水の全量を大井川水系に戻す場合にどのくらいの量をどの位置にどういう方法で戻すか」などについて県民が理解できる説明を求めた。
 生物多様性についても、「工事による地下水位の低下が南アルプスの生態系全体に影響を及ぼす」とし、工事による影響を最大限回避するとともに、事前の環境保全策を確実に実施するよう求めた。
 今後は両部会を合同で開き、意見書の内容を反映した施工計画書や環境保全計画書などを作成。県民の理解が得られた段階で基本協定を締結する、とした。
 県くらし・環境部の織部康宏環境局長は「基本協定を結ばない限り本体工事の着工は認めないという県のスタンスは変わらない。JR側には県民、とりわけ利水者の納得がいく説明を求める」と話した。JR東海は「まずはしっかり中身を確認し、これまで通り誠実に対応いたします」とのコメントを出した。(矢吹孝文、阿久沢悦子)


毎日新聞2019年6月7日 地方版
リニア中央新幹線:県「基本協定が条件」 本体工事、JR東海に意見書 /静岡
https://mainichi.jp/articles/20190607/ddl/k22/020/188000c

JR東海に提出した意見書について説明する織部康宏環境局長(右)=静岡県庁で
 リニア中央新幹線の建設工事で大井川水系の流量減少が懸念されている問題で、県中央新幹線対策本部(本部長・難波喬司副知事)は6日、「利水者らの理解が得られた段階で、基本協定を締結する必要がある」と求めた意見書をJR東海に提出した。静岡市北部の南アルプストンネルの本体工事着工について、県は「基本協定締結が前提条件」としている。
 県側は昨年12月、JRに水資源確保や自然環境の保全に関する質問書を送った。JRからの回答を有識者らの専門部会で議論してきた。専門部会の議論を整理し、流域自治体や利水団体でつくる「大井川利水関係協議会」の声を聞いて、意見書をまとめた。
 意見書は、基本姿勢として「流域関係者の十分な納得を得て工事を行うことが工事成功の必須条件であり、社会的義務である」と主張。工事の環境影響評価におけるJRの基本的姿勢を「質問事項に直接回答しないことがあるなど、対応の誠実さを疑わざるを得ない」と批判している。
 JRは「トンネルの湧き水全量を大井川に戻す」としているが、意見書は「具体的な対策を示す必要がある」と指摘。また、減水に伴う生態系への影響対策や、南アルプス地域の自然環境を保全する基金の設立なども求めた。
 静岡工区はリニアの品川-名古屋間で唯一未着工となっており、JR東海の金子慎社長は5月末の記者会見で2027年の開業が遅れる可能性に言及した。県くらし・環境部の織部康宏環境局長は「あくまでも地元のみなさんの不安が解消される形で対話を進めている。向こうの事情はあるでしょうが、解消されない限り、『いいですよ』と言うわけにはいかない」と説明。利水者らの納得がなければ、本体工事着工を認めない県の立場を明確にした。
 JR東海は「しっかり中身を確認させていただき、これまで通り誠実に対応する」としている。【山田英之】


読売新聞 2019年6月7日 5:00
県JRにリニア意見書 大井川問題具体策求める
https://www.yomiuri.co.jp/local/shizuoka/news/20190606-OYTNT50169/

 リニア中央新幹線の工事に伴い大井川の水量減少が懸念されている問題で、県は6日、トンネル内の湧き水の全量を川に戻す具体的な方策などを示すよう求める中間意見書をJR東海に提出した。県は「JR東海に誠意ある回答を求める。地元の不安が解消されないかぎり着工は認められない」としており、協議の進展は不透明なままだ。
 意見書は、大井川の水が流域住民の生活や産業に欠かせないとして、JR東海にとって「流域関係者の十分な納得を得ることが工事成功の必須条件」と強調した。JR東海のこれまでの対応を批判し、「姿勢を改めない限り、意見の相違が埋まらず時間の浪費につながる」と指摘した。
 JR東海に回答を求める対応として、湧き水の戻し方のほか、環境保護のため法令より厳しい独自基準で水質管理をすることや、リスク管理を専門家が評価し、県民に伝える体制をつくることなどをあげた。
 そのうえで、県民が納得するため、意見書を反映した計画書づくりと協議結果を明記した基本協定の締結もそれぞれ必要だと主張した。県の担当者は記者会見で「これらは工事の前提条件だと考える」と述べた。JR東海は「意見書の中身を確認し、これまで通り誠実に対応する」としている。
 県は大井川の水量減少問題について、有識者会議でJR東海と議論してきた。川の水を使う自治体の意見なども踏まえ、中間意見書を取りまとめた。
県JRにリニア意見書/大井川問題具体策求める/


日本経済新聞 2019/6/6 20:03
JR東海と静岡県、深まる対立 リニア27年開業に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45785040W9A600C1L91000/
リニア中央新幹線の建設を巡り、JR東海と静岡県の対立が深まっている。沿線に近い大井川の環境保全をめぐり折り合いが付かず、一部でトンネル工事に着手できていない。双方の歩み寄りが遅れるようだと、2027年の開業予定に影響が出る懸念がある。

JR東海の金子社長は改めて懸念を示した(6日午後、都内で開いた会合で)
リニア沿線の9都府県の知事らは6日、東京都内でリニアの早期整備を求める「建設促進期成同盟会」の総会を開いた。愛知県の大村秀章知事らが出席し、未着工の静岡工区について「スピード感をもって調整し、早期着手を図ること」を求めた決議を採択。政府に要望した。
この会合に来賓として出席したJR東海の金子慎社長は「静岡工区の進捗が遅れている」と言及。27年としている東京―名古屋間のリニア開業への影響に懸念を示した。
JR東海と静岡県の対立はまだ解消できていない。静岡県は6日、大井川の環境対策の具体化などを盛り込んだ中間意見書をまとめた。河川の流量が減る不安は拭えておらず「流域関係者の納得を得て工事を行うことが必須条件であり社会的義務」と主張。JR側に協議の継続を求めた。JR側は「まずは中身を確認し、誠実に対応する」という。
JR東海や愛知県は焦りをにじませる。静岡を含む南アルプストンネルはリニア有数の難工事とされる。JR東海は17年10月に地元の利水者と合意寸前までこぎ着けたが、静岡県の川勝平太知事は待ったをかけた。「静岡県にはリニアの駅がなくプラスの要因が見当たらない」として、静岡工区のみ着工できていない。
JR東海は18年から、本体のトンネル工事とは別の林道や宿舎などの準備工事を進めてきた。関係者によると、JR東海は6月にも静岡県と環境保全協定を結び、本体工事の着工で合意する段取りを描いていた。だが、川勝知事が5月の連休明けに準備工事に懸念を示し、再びシナリオは崩れたかたち。このままだと夏にも工事は完全ストップする可能性がある。
リニアの関連工事は政府が認可した工事実施計画に基づいて進めている。開通時期の変更は容易ではない。JR東海や周辺自治体と静岡県は妥協点を探りながらも、政府主導の調整にも期待を寄せ始めた。(林咲希、安芸悟)


日本経済新聞 2019/6/5 17:49
静岡県、リニア同盟会加盟申請 大井川問題訴え
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45720990V00C19A6L61000/
静岡県の川勝平太知事は5日、愛知県など9県1市が静岡市内で開いた中部圏知事会議で、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会への加盟を申請したことを明らかにした。期成同盟会の会長である愛知県の大村秀章知事に同日依頼した。期成同盟会は6日に東京都内で開く会合で、静岡県の加盟について協議する。
静岡市内で開かれた中部圏知事会議であいさつする静岡県の川勝平太知事(右)
期成同盟会は2027年のリニア開業に向け、早期の整備を訴える9都府県で構成する。川勝知事は知事会議で「期成同盟会でリニア工事による静岡県への影響を知っていただきたい。(解決に向け)皆さんの知恵を拝借したい」と述べた。
知事会議は中部圏のインフラ整備促進など国への提言を協議。三重県がリニア開業効果の最大化を提案したことを受け、愛知県の大村知事が6日の期成同盟会で早期整備を求める考えを示した。
リニア事業を巡っては、南アルプストンネル工事による大井川の流量減少問題で静岡県とJR東海が協議中だ。静岡県は環境対策が十分でないとして本体工事や新たな準備工事の着手を認めておらず、着工できない状態が続いている。


UTYテレビ山梨 2019.06.06 19:15
期成同盟会が国に要望 リニア 未着工区間の早期着手を
http://www.uty.co.jp/news/20190606/5895/
山梨を含めたリニア中央新幹線の沿線都府県で作る期成同盟会は6月6日、予定された2027年の開業へ向け未着工区間の早期着手などを求めることを決議し国に要望しました。
 山梨県の長崎知事らリニアの沿線9都府県の関係者が参加して、建設を促進する期成同盟会の総会が東京都内で開かれました。
 この中でリニアの事業主体であるJR東海の金子慎社長は、2027年の開業が遅れる可能性があることに言及しました。
リニアの工事をめぐっては、南アルプスを貫通するトンネル工事の静岡県内の区間で、工事によって大井川の水量が減ることなどへの懸念から地元との協議が難航し本格的な工事が始まっていない状況です。
 こうしたことも踏まえ、総会では国、JR東海、関係者のスピード感ある調整で未着工区間の早期着手を図ることや、技術開発による大幅なコストダウンなど6つの要望項目を決議しました。
 そして総会後、長崎知事らは国土交通省を訪れ、大塚高司副大臣に決議した要望書を手渡しました。
 なお期成同盟会はリニアの駅を設置する沿線都府県で作っていますが、総会では静岡県から新たに期成同盟会に参加したいという提案が寄せられました。

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読売新聞 2019年6月6日 5:00
リニア推進派と県対立 静岡工区未着工 知事「駅なくプラスなし」
https://www.yomiuri.co.jp/local/shizuoka/news/20190605-OYTNT50217/

合同記者会見に臨む大村知事(左)と川勝知事(5日午後、静岡市清水区で)

 リニア中央新幹線の品川―名古屋間の7都県のうち南アルプストンネル静岡工区だけ着工できない状態が続き、2027年に予定される開業が遅れる懸念が高まっている。工事に伴う大井川の水量減少を心配する県側が慎重姿勢を崩さないためだ。静岡市内で5日に開かれた中部圏知事会議でも、県側と推進する他の自治体との意見は平行線をたどった。
 川勝知事は知事会議で、「静岡県には駅がないから、リニアのプラスの効果は見当たらない」と言い切った。知事会議として国に提出する提言案の修正も求めた。
 これに対し、隣に座っていた愛知県の大村秀章知事は「(修正の求めは)事前にお話しいただいていたか」と、困惑した表情でつぶやいた。会議では三重、福井両県や名古屋市の代表者からリニア開業に期待する発言が続き、静岡県の孤立が際立つ格好となった。
 大井川は県中部を流れ、農業、水道、工業、発電に使われる重要な水源だが、慢性的な水不足となっている。JR東海は静岡工区の建設で、対策が何もなければ地下水などがトンネルに湧いて大井川の水が最大で毎秒2トン減ると試算した。
 これに県側は強く反発した。JR東海は昨年10月、県や利水団体などの要望を受ける形で湧き水全量を大井川に流す考えを示した。それでも県側の不信は解消できていない。
 県はJR東海と協議を続ける考えだ。だが、金子慎社長は5月30日の記者会見で、「進捗が遅れており開業時期に影響を及ぼしかねない」と述べ、国や沿線自治体に危機感が広がった。
 川勝知事は知事会議で、沿線自治体で作る「建設促進期成同盟会」に加わる考えも明らかにした。期成同盟会で会長を務める大村知事は、「ダメだというものではないが、(早期建設という)趣旨には賛同してもらわないといけない」と述べた。
南アルプストンネル静岡工区 全長約25キロの同トンネルのうち、静岡市葵区を通る8・9キロの工区。作業員宿舎の建設などの準備工事が進められているが、掘削を伴う本体工事の着手時期は未定。


静岡新聞 (2019/6/6 07:08)
リニア同盟会へ加盟申請 静岡県の立場、理解求め
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/642393.html
 リニア中央新幹線建設促進期成同盟会への静岡県の加盟について、川勝平太知事は5日、静岡市清水区で開かれた静岡県など9県1市による中部圏知事会議の会合で、同盟会会長の大村秀章愛知県知事に直接申請したと明らかにした。静岡県内には南アルプストンネル工事に伴って大井川の流量減少を懸念する声が根強いが、川勝知事は同盟会への加盟を通じ、他の都府県に静岡県の立場への理解を求め、不必要に工事を遅らせているとの見方を払しょくする狙いがあるとみられる。
 同盟会は9都府県で構成し、リニア中央新幹線の早期全線開通を目指している。川勝知事は「リニアは静岡県を通るが、プラス効果が見当たらず、非常に困っている。明日の総会で仲間に入れてもらい、知恵を借りたい」と述べた。「リニア(開通)のメリットは共有している」とも語り、整備自体には賛成していると強調した。6日に都内で開かれる同盟会総会で承認されれば、静岡県の加盟が正式に決まる。
 ただ、川勝知事は大井川の流量減少問題の解決を前提とし、JR東海が掲げる2027年という開業目標について「考慮すべき特段の理由はない」との姿勢を崩していない。早期開業を求める同盟会の趣旨とそぐわず、どこまで理解が広がるかは見通せない。
 この日の中部圏知事会議の会合でも、国への提言として三重県がリニアの東京・名古屋間の早期全線開業を提案し、各県市が賛同した。一方、川勝知事は「柔軟に対応するため」として「工事実施計画に基づき」との文言の削除を求めた。大村知事は「東京・名古屋間を27年度までに整備し、名古屋・大阪間も着実に整備してもらいたい」と強調した。


毎日新聞2019年6月1日 地方版
リニア中央新幹線
大井川水量減少 「なし崩しの着工」懸念 県、JRに意見書提出へ 利水協 /静岡
https://mainichi.jp/articles/20190601/ddl/k22/020/164000c
 リニア中央新幹線の建設工事で大井川水系の流量減少が懸念されている問題で、流域自治体や利水団体でつくる「大井川利水関係協議会」が31日、県庁で開かれた。県中央新幹線対策本部長の難波喬司副知事は、冒頭のあいさつで「なし崩し的に工事が始まるのではないかと皆様から心配をいただいている」と述べ、南アルプストンネル本体工事の早期着工を望むJR東海にクギを刺した。
 リニアの品川-名古屋間の工事は静岡工区のみが未着工で、JR東海の金子慎社長は5月30日の記者会見で「開業時期に影響を及ぼしかねない」と2027年の開業が遅れる可能性に言及した。非公開の協議会終了後、難波副知事は取材に「安全、利水、自然環境の問題は最も基本的なこと。それなくして工事に入ることはあり得ない」と述べた。
 県は協議会で出た利水者の意見を踏まえてJRに意見書を提出する方針。難波副知事は「2027年(開業)であるなら、なおさら我々の意見書に誠意ある回答をいただければ、迅速に議論が進むと思う」と語った。また、「今、現場でどんな工事が行われているか見たうえで、これからJRがやる工事を容認できるか決めたい」と述べ、川勝平太知事が利水者らと13日に現地を視察することも明らかにした。
 出席した染谷絹代・島田市長は「本体工事と準備工事の境界ははっきりしていない」と指摘。JRに対して「大井川の流量に影響がないようにしてほしいという素朴で当たり前なことを地元住民は求めている。真摯(しんし)な態度で疑問に答えてほしい」と求めた。【山田英之】


産経ニュース 2019.6.1 07:05
リニア工事で大井川利水協、「なし崩し的」着手懸念 急ぐJR東海を牽制
https://www.sankei.com/region/news/190601/rgn1906010029-n1.html
 リニア中央新幹線工事にからむ大井川の水量減少問題について協議する「大井川利水関係協議会」が31日開かれ、県中央新幹線対策本部長の難波喬司副知事は「なし崩しで工事が始まるのではと(利水者団体が)心配しているようだ」と早期着工を目指すJR側を牽制(けんせい)した。協議会メンバーの染谷絹代・島田市長は「準備工事と本体工事の境界がはっきりしていない」と指摘し、「JRにはより真摯(しんし)な態度で疑問に答えてほしい」と要望した。
 県は今月上旬にも、これまでの利水者団体とのやりとりを反映した中間意見書をJR東海に提出する予定。川勝平太知事と協議会メンバーらは今月中旬、南アルプスのリニア新幹線建設予定地を視察し、同社が着手している準備工事の状況を確認する。
 同協議会は大井川の利水11団体と流域10市町、県で構成されており、この日の会合は非公開で行われた。会議終了後に協議会メンバーを代表して取材に応じた染谷市長は「県には中間意見書の内容について丁寧に説明してもらい、理解が進んだ」と県の対応に一定の評価をした。一方でJR側に対しては「大井川の水に影響がないようにしてほしいという当たり前のことを地元の住民は求めている。住民に納得のいく説明をしてほしい」と訴えた。
 染谷市長は、JRが今後予定する準備工事の中に樹木伐採を伴う工程があると指摘し「外掘を埋めるようなことは認めてはいけない」と警戒心をあらわにしていた。
 JR東海によると、現在準備工事として行っている作業員宿舎の建設や林道整備は終盤を迎えており、次の工程として入り口付近のヤードや土砂ピットの整備に進みたい考えだという。
 このようにJR東海は早期の本体工事着工を強く望んでおり、金子慎社長は5月30日の会見で「静岡工区は進捗(しんちょく)が遅れており、後の工程で取り戻すことは難しくなりつつある。さらにこの状態が続けば、開業の時期に影響を及ぼしかねないと懸念している」と述べた。
 この発言に対して難波副知事は「同社は県と誠意ある対話をしていただきたい。社としてどういう認識なのか疑問だ」と苦言を呈した。
 県や利水者団体は、同社の流量減少対策についての説明に納得できないとして、トンネル本体工事の着手を容認しておらず、沿線で工事が進む中、静岡工区のみ着工できていない。同社は東京・品川-名古屋間の令和9年の開業を目指している。


日本経済新聞 2019/5/31 15:12
リニア静岡工区、準備工事に懸念 県の協議会
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45510860R30C19A5L61000/
静岡県は31日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事による大井川の流量減問題を巡り、利水者や流域自治体との協議会の会合を開いた。JR東海が今後着手する準備工事について「なし崩し的に本体着工につながる」との懸念が示されたという。県とJR東海は本体工事による影響と対策を協議してきたが、本体工事に直結する準備工事にも「待った」がかかる可能性が出てきた。
会合は非公開で行われた。難波喬司副知事は終了後、記者団に対し、本体工事に近い現場での樹木伐採などを念頭に「6月13日に利水者と現地視察を行い、どのような工事なら容認できるかを判断したい」と話した。
JR東海の金子慎社長が30日に静岡工区の着工遅れに懸念を示したことについて「そういう事実としての発言だと思う。こちらも利水や自然環境への影響に懸念している」と述べた。石井啓一国土交通相は31日の記者会見で「予定通りの開業への期待は大きい。JR東海と静岡県は協議を鋭意進めてほしい」と話した。


静岡新聞 (2019/5/28 07:25)
リニア、追加の準備工事容認 静岡県見解案、提出へ
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/638833.html
 JR東海によるリニア中央新幹線南アルプストンネル本体工事を巡り、作業員宿舎建設など準備工事の追加分を受け入れる見解案を県がJRに提出する方向で調整していることが分かった。トンネル湧水を中流域に流す導水路トンネルの位置や規模の変更を求める方針も盛り込み、27日までに大井川の利水関係者に提示した。
 県環境局によると、リニア関係の施策を取り仕切る難波喬司副知事の見解案としてまとめた。案によると、準備工事について「樹木伐採や整地などの追加工事を受忍する」とした。
 見解案は、トンネル本体工事をも受忍するとの誤解を排除するため「この受忍を持ってトンネル本体の工事を認めるものではない。(利水関係者と)合意するまでは掘削工事に着手できず、導水路トンネルの位置や規模の変更の可能性がある」と明記した。利水関係者の意見を聞いて必要な修正を加え、流域自治体の首長にも諮る。
 追加工事に関し、川勝平太知事は17日の定例記者会見で、開発行為の規模が5ヘクタール以上になる場合に適用される県自然環境保全条例の規定に基づき、JRとの自然環境保全協定が必要だとの認識を示した。県環境局によると、同協定は許認可と異なり、事業者側に履行の義務がない。このため、同協定を根拠に準備工事を停止させる効力は生じない可能性が高いという。


静岡新聞 (2019/5/28 07:37)
リニア、JR対応 静岡県内8市2町首長、追加準備工事に警戒感
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/638840.html
大井川の流量減少対策についてJR東海と議論する県の会合。協議は長期化している=4月中旬、県庁
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、河川流量の減少が懸念されている大井川から水の供給を受ける8市2町の首長に、静岡新聞社がJR東海の対応や県とJRとの協議の受け止めについて聞いたところ、4市町が作業員宿舎建設などの準備工事について、追加工事の際の利水関係者への同意や説明を求めた。また、現在、進められている準備工事が、なし崩し的に本体工事の容認につながることを警戒する市町が目立った。
 島田市の染谷絹代市長は、JRが準備工事の追加実施などを申し入れた場合に「なし崩しにならないよう、その都度、利水者などに確認すべきだ」と強調。川根本町の鈴木敏夫町長は「準備段階の工事を容易に受忍すると、本体工事も受忍するような誤解を招く恐れがある」と指摘した。
 藤枝市の北村正平市長は「なし崩し的に本体工事が着手されることが懸念される」とし、住民への明確で丁寧な説明を求めた。焼津市の中野弘道市長は、河川流量や土砂供給量の変化による海岸線や地下水への影響を危ぶみ「住民生活や経済活動に弊害が生じないよう配慮する方法を示すべきだ」とJRに要求した。
 大半の首長は県とJRの協議そのものを評価しているが、「トンネル湧水の全量を戻すことが可能なのか疑問」とJRへの不信感は拭えていない。掛川市の松井三郎市長は「仮に工事で水の供給に影響が出たら、死活問題になる」と住民の不安を代弁した。
 リニア建設に一定の理解を示す首長もいた。袋井市の原田英之市長は「国全体として考えるならリニアは必要だ」とした上で「JRは、地域の人を納得させるプロセスをきちんと踏むべきだ」と訴えた。
■静岡県の検証会議長期化 回答保留項目相次ぐ
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡る大井川の流量減少対策に関し、県は学識経験者と流域住民の代表でつくる環境保全連絡会議を設置し、専門家を交えた専門部会で検証を進めてきた。ただ、JR東海から明確な回答が得られない場面が相次ぎ、協議は長期化している。
 専門家らが事前に出した質問項目に、JRの担当者が回答する形で協議は進められているが、当初は議論がかみ合わなかった。トンネル湧水を他県に流出させない工程を聞いた委員に対し、JRは「トンネル湧水を山梨、長野両県に流出させないためには一日も早く静岡工区の工事を始めることが必要」と回答し、委員らの反発を買う場面もあった。
 下流域に供給される水に影響が出た場合の補償については、委員側が因果関係がはっきりしない可能性が高いと指摘し、通常の公共工事と異なる対応を求めたが、JRは明確な回答を示していない。
 トンネル本体工事に向けては、県に許認可の権限がある河川法の手続きが残されているため、関係者の間では「JRがすぐに着手するのは難しい」との見方が強い。
https://www.at-s.com/news/images/n64/638840/IP190527MAC000014000.jpg
大井川から水の供給を受ける8市2町の首長の主な意見


しんぶん赤旗 2019年5月1日【地方総合】
クローズアップ JR東海 無責任浮きぼり リニア“南アルプス壊す” 静岡県専門部会、厳しい指摘
https://www.akahata-digital.press/article/article/20190501-1501
 JR東海のリニア中央新幹線計画の沿線7都県で本体工事に唯一未着工の静岡県。現在、県は南アルプストンネル工事による大井川の流量減少の影響や対策など、専門家やJR東海を交え検証を進めています。JRの認識や対応を根本から問う厳しい意見が続出しています。(伊藤幸)
 静岡工区では、大井川上流部を貫く工事で流量の減少が予測され、対策をめぐり流域の市町・利水者・県側とJR側との間で合意に至っていません。
 JR東海が昨年10月、利水者の要望に沿う形で「トンネル湧水全量を大井川水系に戻す」と表明。これをうけ、県は11月に「中央新幹線環境保全連絡会議」を開き「地質構造・水資源」「生物多様性」の二つの専門部会を設置。県・専門家・JR東海が議論しています。
 専門家から懸念が相次ぎ、JR東海のリスク管理の無責任さが浮かびあがっています。
複雑さ考慮されず
 JR東海は、大井川の水が最大毎秒2トン減少するとの試算データや、トンネル湧水が最大毎秒2・67トンとする試算を公開。導水路トンネルやポンプアップで湧水全量を戻すと説明します。
 この試算に、専門家から疑問の声があがりました。地質部会の塩坂邦雄委員は、南アルプスの複雑な地下の構造が全く考慮されていないと指摘。「破砕帯にあたれば、たまった地下水が突発的に大量に出て、沢が枯れる危険もある」と訴えました。難波喬司副知事は、試算に不確実性がありリスクを事前に最小化する努力を求めました。しかしJRは「事前にできることは限られる」と反発。難波副知事が「それなら工事はやめていただきたい」と批判し議論が一時中断する場面も。
 生物多様性部会でも、「環境影響評価をやってきたというが、南アルプスの特殊な希少な場所にあわせて出されたものではない。南アルプスの自然にとっては壊れるだけでメリットはない」(板井隆彦部会長)などの声がありました。
 こうした議論の中、JR東海は、突発湧水や沢枯れの危険性、動植物の減少の恐れがあることを認めました。対策として、トンネル湧水の上限を毎秒3トンに設定することなどを提示。先進ボーリングで、超過の恐れがある場合は工事を止め対応を検討します。しかし実効性は不明で上限値の妥当性など多くが今後の検討課題です。
 26日の地質部会でも、JRに対し「質問に答えていない」「納得できない」の声が続出し保留になった項目も。中下流域の地下水への影響について、工事との因果関係が確認されれば補償するというJR東海に、「立証責任は訴える側ということ。これでは泣き寝入りになる」と批判が出されました。
 湧水の処理設備の規模の不十分さや、発生土置き場での土石流の危険性なども指摘されています。JRが存続できなくなった後なども恒久的に水を戻す保障も明示していません。地震時の対応も「500キロで走っているときに地震がきちゃったらということについては答えづらい」と無責任な姿勢です。
“工事ありえない”
 「議論を進めながら着工へお取り計らいを」と工事を急ぐJR東海。難波副知事は「議論の途中でやりたいというのは対話にならない。ありえないです」とくぎを刺しています。
 両部会は5月に中間的な意見書をまとめて提出し、利水者やJR東海に示す方針ですが、課題は山積みです。

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