2019-09-20(Fri)
ボーイング737MAX機 安全性への疑念が晴れない
規制当局(FAA)信頼失墜 日本の空の安全にも直結する
米航空機大手ボーイングの小型機737MAX。運航停止から半年になるが今も運航再開できていない。
昨年10月にインドネシアで、今年3月にはエチオピアで墜落し、計346人が死亡した惨劇を引き起こしたボーイング機。
現状について、朝日新聞の記者がレポートしている。
ボーイングMAX機は、新型開発機ではなく、半世紀前に初代が飛んだ737シリーズを改良したものだという。エンジンを大型化することで、機体のバランスが崩れ、加速時に機首が上がりやすく、失速しかねないという課題があり、これを克服するため、特定の条件で自動的に機首を引き下げる飛行システムを組み込んだ。
二つの墜落事故は、このシステムが誤作動していた、とボーイング自身も認めている。
「MAXが安全だとお墨付きを与えたのは、規制当局のFAAだ。「認証」という安全性を確認する手続きを踏んだが、現実には、FAAは人手不足から、重要箇所以外の認証はボーイングの技術者に権限を委任していた。米紙によると、問題の飛行システムの評価すら、ボーイングに委ねられていたという。」
認証に携わったボーイング社の元航空技術者の証言---「ボーイングがFAAを仕切っていた」
---技術者が問題を見つけてもFAAではなく、ボーイングの上司に報告する決まりに変わっていた。MAXとは別の機体の補修をめぐり、レバンソン氏はエンジンを支える重要部品がFAA基準を満たせないと気づいた。決まり通りボーイングの上司に伝えると、「黙って認証するように」と迫られた。拒むと「10分で机を片付けろ」と職場を追われた、と明かす。
業界が規制当局を知識や力で圧倒し、規制を骨抜きにする――「規制のとりこ」の構図。
ボーイングを律する立場のFAAは、規制緩和と歳出抑制で予算と人手の不足にあえいできた。
米政策専門家は「FAAが業界に頼らざるを得ない構造を、政治がつくり出した」と語る。
消費者運動家は「国内のライバルが消えた後、ボーイングは株価と役員報酬ばかり気にかけ、機体を一新する費用をケチって危険な飛行機を飛ばした。それをチェックするFAAは業界に牛耳られて機能不全のままだ」と嘆く。
ボーイングとFAAは、認証の手続きに不備はなかった、との立場だが、米司法省や連邦捜査局(FBI)が捜査に入り、米議会も調査を進めているようだ。
さらに、ボーイングは当初「数週間」でMAXが運航再開すると期待したが、飛行システムとは別の問題が見つかるなどし、運航は認められていない。いまボーイングは年内の再開を見込むが、FAAがゴーサインを出そうにも、欧州や中国などが追随するとは限らない。
MAXは日本の7空港にも飛んでいた。2回目の事故後、国土交通省は独自の判断を避け、運航停止がFAAよりも1日遅れた。米航空行政は「とりこ」を脱することができるのか。その行方は、日本の空の安全も左右する。
朝日新聞デジタル2019年9月16日05時00分
(記者解説)ボーイング機、信頼失墜 規制当局を圧倒、墜落後も構図不変 ニューヨーク支局・江渕崇
・米航空機大手ボーイングの小型機737MAXの墜落から半年。今も運航再開できず
・癒着が疑われた米連邦航空局(FAA)の信頼も失墜し、安全性への疑念が晴れない
・独占により巨大化したボーイングをどう規制するのか。日本の空の安全にも直結する
以下参考
朝日新聞デジタル2019年9月16日05時00分
(記者解説)ボーイング機、信頼失墜 規制当局を圧倒、墜落後も構図不変 ニューヨーク支局・江渕崇
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14179014.html
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米航空機大手ボーイングの小型機737MAX。運航停止から半年になるが今も運航再開できていない。
昨年10月にインドネシアで、今年3月にはエチオピアで墜落し、計346人が死亡した惨劇を引き起こしたボーイング機。
現状について、朝日新聞の記者がレポートしている。
ボーイングMAX機は、新型開発機ではなく、半世紀前に初代が飛んだ737シリーズを改良したものだという。エンジンを大型化することで、機体のバランスが崩れ、加速時に機首が上がりやすく、失速しかねないという課題があり、これを克服するため、特定の条件で自動的に機首を引き下げる飛行システムを組み込んだ。
二つの墜落事故は、このシステムが誤作動していた、とボーイング自身も認めている。
「MAXが安全だとお墨付きを与えたのは、規制当局のFAAだ。「認証」という安全性を確認する手続きを踏んだが、現実には、FAAは人手不足から、重要箇所以外の認証はボーイングの技術者に権限を委任していた。米紙によると、問題の飛行システムの評価すら、ボーイングに委ねられていたという。」
認証に携わったボーイング社の元航空技術者の証言---「ボーイングがFAAを仕切っていた」
---技術者が問題を見つけてもFAAではなく、ボーイングの上司に報告する決まりに変わっていた。MAXとは別の機体の補修をめぐり、レバンソン氏はエンジンを支える重要部品がFAA基準を満たせないと気づいた。決まり通りボーイングの上司に伝えると、「黙って認証するように」と迫られた。拒むと「10分で机を片付けろ」と職場を追われた、と明かす。
業界が規制当局を知識や力で圧倒し、規制を骨抜きにする――「規制のとりこ」の構図。
ボーイングを律する立場のFAAは、規制緩和と歳出抑制で予算と人手の不足にあえいできた。
米政策専門家は「FAAが業界に頼らざるを得ない構造を、政治がつくり出した」と語る。
消費者運動家は「国内のライバルが消えた後、ボーイングは株価と役員報酬ばかり気にかけ、機体を一新する費用をケチって危険な飛行機を飛ばした。それをチェックするFAAは業界に牛耳られて機能不全のままだ」と嘆く。
ボーイングとFAAは、認証の手続きに不備はなかった、との立場だが、米司法省や連邦捜査局(FBI)が捜査に入り、米議会も調査を進めているようだ。
さらに、ボーイングは当初「数週間」でMAXが運航再開すると期待したが、飛行システムとは別の問題が見つかるなどし、運航は認められていない。いまボーイングは年内の再開を見込むが、FAAがゴーサインを出そうにも、欧州や中国などが追随するとは限らない。
MAXは日本の7空港にも飛んでいた。2回目の事故後、国土交通省は独自の判断を避け、運航停止がFAAよりも1日遅れた。米航空行政は「とりこ」を脱することができるのか。その行方は、日本の空の安全も左右する。
朝日新聞デジタル2019年9月16日05時00分
(記者解説)ボーイング機、信頼失墜 規制当局を圧倒、墜落後も構図不変 ニューヨーク支局・江渕崇
・米航空機大手ボーイングの小型機737MAXの墜落から半年。今も運航再開できず
・癒着が疑われた米連邦航空局(FAA)の信頼も失墜し、安全性への疑念が晴れない
・独占により巨大化したボーイングをどう規制するのか。日本の空の安全にも直結する
以下参考
朝日新聞デジタル2019年9月16日05時00分
(記者解説)ボーイング機、信頼失墜 規制当局を圧倒、墜落後も構図不変 ニューヨーク支局・江渕崇
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14179014.html
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済