2020-02-07(Fri)
羽田新ルート デルタ航空 運用見合わせ 「安全確認できず」
エアカナダ機も着陸を取りやめ /氷塊落下、市街地墜落の危険、マンション価格25%下落も
東京新聞 2020年2月6日 朝刊
デルタ、試験飛行見合わせ 羽田新ルート「安全確認できず」
----東京都心を通過する羽田空港の新飛行ルートに関し、米航空大手のデルタ航空が、新たに採用された着陸方法の「安全性が社内で確認できていない」として、二日に始まった「実機飛行確認」での運用を見合わせていることが、同社への取材で分かった。
都心ルートでは、飛行高度を上げ騒音を軽減する目的で、航空機が高度を下げていく際の「降下角度」を従来の三・〇度から三・五度に引き上げた。デルタは「通常よりも急角度」と見合わせの理由を挙げている。三月二十九日の都心ルートの正式運用までには社内の事前準備を終えたいとしている。
----飛行確認初日には、エアカナダ機が羽田での着陸を取りやめ、成田に目的地を変更。新たな降下角度に難色を示したとみられる。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
氷塊落下、市街地墜落の危険…羽田新ルートはこんなに危ない
----杉江さんがいちばん危惧していることは最悪の事態を招く“墜落”だ。’94年4月26日、台北発名古屋行きの中華航空140便が名古屋空港の滑走路近くに墜落、機体は大破、炎上し、乗員乗客264人が死亡、7人が重傷という大惨事があった。パイロットが自動操縦装置のスイッチを間違えたことで失速し、墜落へつながった――。
「じつはいまのハイテク機は、ちょっと操作を間違えただけで墜落事故を引き起こしてしまうことがあるのです。中華航空の事故は、名古屋空港の滑走路近くで墜落しましたが、もっと手前で失速していたら都市部で墜落していた可能性もあった。今回の新ルートでやはりいちばん心配なのは、都心部を低空飛行することです。もし、何らかのトラブルで墜落したら、最悪の悲劇が起きます」
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
タワマンほど影響?羽田新ルートでマンション価格25%下落も
----都心部に多いタワーマンションの場合、より飛行機に近くなるので、騒音もそれだけ大きくなる。「騒音の影響で不動産価格が下落する可能性がある」と語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修さんだ。
「とくにタワーマンションは、眺望がいいという理由で、単純に上に行けば行くほど不動産価値が高くなる。ところが、飛行機の騒音となると、上に行けば行くほどうるさくなる。2階と30階では音の大きさが全然違ってきます。1階あたりは3メートルくらいだとすると、30階は90メートルになる。真上を飛んでいた場合、30階の住人は飛行機との距離が約100メートル近くなるんです」
-----------------
この国を考える2
2020-01-09(Thu)
羽田新ルート 異常な急降下着陸 理由は米軍基地
民間機に大事故のリスク 国際基率超える角度3・5度。撤回を
http://ajimura2.blog.fc2.com/blog-entry-645.html
以下参考
東京新聞 2020年2月6日 朝刊
デルタ、試験飛行見合わせ 羽田新ルート「安全確認できず」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020020602000130.html
東京都心を通過する羽田空港の新飛行ルートに関し、米航空大手のデルタ航空が、新たに採用された着陸方法の「安全性が社内で確認できていない」として、二日に始まった「実機飛行確認」での運用を見合わせていることが、同社への取材で分かった。
都心ルートでは、飛行高度を上げ騒音を軽減する目的で、航空機が高度を下げていく際の「降下角度」を従来の三・〇度から三・五度に引き上げた。デルタは「通常よりも急角度」と見合わせの理由を挙げている。三月二十九日の都心ルートの正式運用までには社内の事前準備を終えたいとしている。
国土交通省は「昨年十二月以降、航空各社に周知してきた」と説明。デルタが、別の方法を求めた場合の対応は「検討中」としている。
飛行確認初日には、エアカナダ機が羽田での着陸を取りやめ、成田に目的地を変更。新たな降下角度に難色を示したとみられる。同省は他の外国航空会社に対しても、準備状況の確認を進めているという。
羽田行きのデルタ機は一日二便運航。三月二十九日以降は現在成田空港で発着している便が移り、さらに増える見込み。これまでの飛行確認では、都心ルートの運用時間外に着陸するなどして、欠航や目的地変更などの影響は出ていない。
国交省によると、三・五度は晴れて視界が良い場合に適用される。同省は国内の広島や稚内(北海道)、海外では米サンディエゴ、イタリア・ローマなど各地の空港で運用され、安全に問題はないとしている。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
氷塊落下、市街地墜落の危険…羽田新ルートはこんなに危ない
https://jisin.jp/domestic/1828003/
2月2日夕方、羽田空港の新ルートで、実際の旅客機を使った初の試験飛行が行われた。約1時間40分にわたり、およそ2分に1機のペースで、東京都心の上空を計61機の飛行機が飛んだ。数値上よりも近く感じるその機影に、多くの都民が騒然となったが、じつは「女性自身」は’18年1月30日号で、この問題について警鐘を発していた。
「いったい誰がこんな危険なルートを決めたんだ! 責任者を連れてこい!!」
2017年12月末、東京都渋谷区内で開催された国土交通省主催の「羽田空港新飛行ルート」の説明会は、一部住民からの怒号が飛び交う、異様な雰囲気に包まれた――。
国は’20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、国際線の増便を計画。そこで羽田空港を離着陸する便の新たな飛行ルートの導入を決めた。ところが、そのうち2本の着陸用飛行ルートが、新宿、渋谷、目黒、白金高輪、品川といった都心部を低空飛行で通過するのだ。
「計画では都心部上空を着陸体制で、300~900メートルの低空飛行で通過します。このルートの飛行時間帯は15~19時の4時間。1時間あたり44回通過するので、約2分に1回の割合で都心上空を通ることになります。次から次へと継続して騒音が続くわけです。通過地域の住民にとって、これは精神的に大きなダメージを受けると思います」
こう語るのは、今回の新飛行ルート計画に反対する「みなとの空を守る会」共同代表・増間碌郎さん。国交省の資料によると、新宿から大井町にかけての飛行ルート直下およびその周辺の地上での騒音レベルは約70~80デシベル。幹線道路際、騒がしい街頭の騒音レベルだ。80デシベル以上だと、一般的には“地下鉄の車内”“ボウリング場”と同等のうるささ。隣の人の会話は聞き取れないレベルだといわれている。
騒音同様に心配されているのが、落下物の問題。ジャンボジェット(B747型)の飛行時間で世界一の記録を持つ、元日本航空機長で航空評論家の杉江弘さんが危険性を次のように指摘する。
「氷塊の落下は防ぎようがありません。たとえば、海外の空港で雨が降っている中で離陸した飛行機は水分を含んだ状態で上昇し、高度1万メートル、気温マイナス50度の上空を飛ぶので必ず氷塊ができます。その氷塊が落ちる可能性が高いのは、着陸体勢で車輪を出すときです。もし直径10センチ大の氷塊が地上にいる人間を直撃するようなことが起きれば大変なことになります」(杉江さん・以下同)
新ルートで車輪を出すタイミングは、新宿から渋谷、品川の上空にかけて。
「危険なのは車輪を出すときだけではありません。着陸に向けて翼の可動部分を下ろすのですが、そのときに振動が発生します。埼玉県上空から板橋区、練馬区に氷塊が落下する可能性もあります」
落下物は氷塊だけではない。国交省によると、’17年3月末までの8年間で、整備点検などで航空機の部品脱落が確認されたのは451件。そのうち空港内で発見されたものは91件。発見されなかったものは360件あった。ただし、この報告件数は国内航空会社のみの件数で、外国の航空会社は含まれていない。
ちなみに、’16年度までの10年間で、地上で落下物が確認された件数は、成田空港周辺では19(部品13件、氷塊6件)、羽田空港周辺では0件。だが、昨年9月には、ANA機のパネルが茨城県の工場に落下。大阪ではKLMオランダ航空機のパネルが落下し、走行中の乗用車を直撃するという事故が起きている。
杉江さんがいちばん危惧していることは最悪の事態を招く“墜落”だ。’94年4月26日、台北発名古屋行きの中華航空140便が名古屋空港の滑走路近くに墜落、機体は大破、炎上し、乗員乗客264人が死亡、7人が重傷という大惨事があった。パイロットが自動操縦装置のスイッチを間違えたことで失速し、墜落へつながった――。
「じつはいまのハイテク機は、ちょっと操作を間違えただけで墜落事故を引き起こしてしまうことがあるのです。中華航空の事故は、名古屋空港の滑走路近くで墜落しましたが、もっと手前で失速していたら都市部で墜落していた可能性もあった。今回の新ルートでやはりいちばん心配なのは、都心部を低空飛行することです。もし、何らかのトラブルで墜落したら、最悪の悲劇が起きます」
国交省は、羽田空港新ルート運用による経済波及効果を6,503億円、雇用が4万7,000人増加すると言っている。だが、万が一事故が起きた場合の補償や騒音による不動産価値下落の可能性といった、マイナス部分をまったく示していない。
本誌が指摘したリスクについて国交省に問うと「落下物に関して航空会社への点検、整備を徹底指導している」との答えが。あらゆるリスクに関しても「安全の確保はすべてに優先する」という。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
タワマンほど影響?羽田新ルートでマンション価格25%下落も
https://jisin.jp/domestic/1828009/
2月2日夕方、羽田空港の新ルートで、実際の旅客機を使った初の試験飛行が行われた。約1時間40分にわたり、およそ2分に1機のペースで、東京都心の上空を計61機の飛行機が飛んだ。数値上よりも近く見えるその機影に、多くの都民が騒然となったが、じつは「女性自身」は’18年1月30日号で、この問題について警鐘を発していた。
国は’20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、国際線の増便を計画。そこで羽田空港を離着陸する便の新たな飛行ルートの導入を決めた。そのうち2本の着陸用飛行ルートが、新宿、渋谷、目黒、白金高輪、品川といった都心部を低空飛行で通過する。
「計画では都心部上空を着陸体制で、300~900メートルの低空飛行で通過します。このルートの飛行時間帯は15~19時の4時間。1時間あたり44回通過するので、約2分に1回の割合で都心上空を通ることになります。次から次へと継続して騒音が続くわけです。通過地域の住民にとって、これは精神的に大きなダメージを受けると思います」
こう語るのは、今回の新飛行ルート計画に反対する「みなとの空を守る会」共同代表・増間碌郎さん。国交省の資料によると、新宿から大井町にかけての飛行ルート直下およびその周辺の地上での騒音レベルは約70~80デシベル。幹線道路際、騒がしい街頭の騒音レベルだ。80デシベル以上だと、一般的には“地下鉄の車内”“ボウリング場”と同等のうるささ。隣の人の会話は聞き取れないレベルだといわれている。
都心部に多いタワーマンションの場合、より飛行機に近くなるので、騒音もそれだけ大きくなる。「騒音の影響で不動産価格が下落する可能性がある」と語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修さんだ。
「とくにタワーマンションは、眺望がいいという理由で、単純に上に行けば行くほど不動産価値が高くなる。ところが、飛行機の騒音となると、上に行けば行くほどうるさくなる。2階と30階では音の大きさが全然違ってきます。1階あたりは3メートルくらいだとすると、30階は90メートルになる。真上を飛んでいた場合、30階の住人は飛行機との距離が約100メートル近くなるんです」
では、具体的に不動産価値はどれくらい下がるのか? ’94年、米国コンサル会社が、ロサンゼルス空港ができたときに連邦航空局に提出した騒音と不動産価値との関係を調べた資料から、長嶋さんが下落率を算出した。
「騒音に差がある2地点の不動産価格を比較した調査で、静かな地点のほうが不動産価値は18.6パーセント高く、1デシベルあたりで換算すると、1.33パーセント高いことがわかりました」
環境省の環境基準は、55デシベル以下。長嶋さんはこれを超える分については、1デシベルあたり1.33パーセント下落すると仮定してシミュレーションをした。
「白金、代官山あたりのふだんの騒音レベルは環境基準程度ですが、飛行機の通過によって、最大で74デシベルになると予想されます。環境基準を超えた分は19デシベルなので、これに1.33パーセントをかけると約25パーセントになります。つまり、1億円のマンションであれば、下落率は25パーセント。7,500万円になる計算です」
国交省はこの問題について、「音などの感じ方については個人差がある。航空機の飛行経路と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しい」と回答した。仮に不動産価格が下落しても、住民たちが泣き寝入りしないといけないことは間違いなさそうだ。
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東京新聞 2020年2月6日 朝刊
デルタ、試験飛行見合わせ 羽田新ルート「安全確認できず」
----東京都心を通過する羽田空港の新飛行ルートに関し、米航空大手のデルタ航空が、新たに採用された着陸方法の「安全性が社内で確認できていない」として、二日に始まった「実機飛行確認」での運用を見合わせていることが、同社への取材で分かった。
都心ルートでは、飛行高度を上げ騒音を軽減する目的で、航空機が高度を下げていく際の「降下角度」を従来の三・〇度から三・五度に引き上げた。デルタは「通常よりも急角度」と見合わせの理由を挙げている。三月二十九日の都心ルートの正式運用までには社内の事前準備を終えたいとしている。
----飛行確認初日には、エアカナダ機が羽田での着陸を取りやめ、成田に目的地を変更。新たな降下角度に難色を示したとみられる。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
氷塊落下、市街地墜落の危険…羽田新ルートはこんなに危ない
----杉江さんがいちばん危惧していることは最悪の事態を招く“墜落”だ。’94年4月26日、台北発名古屋行きの中華航空140便が名古屋空港の滑走路近くに墜落、機体は大破、炎上し、乗員乗客264人が死亡、7人が重傷という大惨事があった。パイロットが自動操縦装置のスイッチを間違えたことで失速し、墜落へつながった――。
「じつはいまのハイテク機は、ちょっと操作を間違えただけで墜落事故を引き起こしてしまうことがあるのです。中華航空の事故は、名古屋空港の滑走路近くで墜落しましたが、もっと手前で失速していたら都市部で墜落していた可能性もあった。今回の新ルートでやはりいちばん心配なのは、都心部を低空飛行することです。もし、何らかのトラブルで墜落したら、最悪の悲劇が起きます」
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
タワマンほど影響?羽田新ルートでマンション価格25%下落も
----都心部に多いタワーマンションの場合、より飛行機に近くなるので、騒音もそれだけ大きくなる。「騒音の影響で不動産価格が下落する可能性がある」と語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修さんだ。
「とくにタワーマンションは、眺望がいいという理由で、単純に上に行けば行くほど不動産価値が高くなる。ところが、飛行機の騒音となると、上に行けば行くほどうるさくなる。2階と30階では音の大きさが全然違ってきます。1階あたりは3メートルくらいだとすると、30階は90メートルになる。真上を飛んでいた場合、30階の住人は飛行機との距離が約100メートル近くなるんです」
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この国を考える2
2020-01-09(Thu)
羽田新ルート 異常な急降下着陸 理由は米軍基地
民間機に大事故のリスク 国際基率超える角度3・5度。撤回を
http://ajimura2.blog.fc2.com/blog-entry-645.html
以下参考
東京新聞 2020年2月6日 朝刊
デルタ、試験飛行見合わせ 羽田新ルート「安全確認できず」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020020602000130.html
東京都心を通過する羽田空港の新飛行ルートに関し、米航空大手のデルタ航空が、新たに採用された着陸方法の「安全性が社内で確認できていない」として、二日に始まった「実機飛行確認」での運用を見合わせていることが、同社への取材で分かった。
都心ルートでは、飛行高度を上げ騒音を軽減する目的で、航空機が高度を下げていく際の「降下角度」を従来の三・〇度から三・五度に引き上げた。デルタは「通常よりも急角度」と見合わせの理由を挙げている。三月二十九日の都心ルートの正式運用までには社内の事前準備を終えたいとしている。
国土交通省は「昨年十二月以降、航空各社に周知してきた」と説明。デルタが、別の方法を求めた場合の対応は「検討中」としている。
飛行確認初日には、エアカナダ機が羽田での着陸を取りやめ、成田に目的地を変更。新たな降下角度に難色を示したとみられる。同省は他の外国航空会社に対しても、準備状況の確認を進めているという。
羽田行きのデルタ機は一日二便運航。三月二十九日以降は現在成田空港で発着している便が移り、さらに増える見込み。これまでの飛行確認では、都心ルートの運用時間外に着陸するなどして、欠航や目的地変更などの影響は出ていない。
国交省によると、三・五度は晴れて視界が良い場合に適用される。同省は国内の広島や稚内(北海道)、海外では米サンディエゴ、イタリア・ローマなど各地の空港で運用され、安全に問題はないとしている。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
氷塊落下、市街地墜落の危険…羽田新ルートはこんなに危ない
https://jisin.jp/domestic/1828003/
2月2日夕方、羽田空港の新ルートで、実際の旅客機を使った初の試験飛行が行われた。約1時間40分にわたり、およそ2分に1機のペースで、東京都心の上空を計61機の飛行機が飛んだ。数値上よりも近く感じるその機影に、多くの都民が騒然となったが、じつは「女性自身」は’18年1月30日号で、この問題について警鐘を発していた。
「いったい誰がこんな危険なルートを決めたんだ! 責任者を連れてこい!!」
2017年12月末、東京都渋谷区内で開催された国土交通省主催の「羽田空港新飛行ルート」の説明会は、一部住民からの怒号が飛び交う、異様な雰囲気に包まれた――。
国は’20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、国際線の増便を計画。そこで羽田空港を離着陸する便の新たな飛行ルートの導入を決めた。ところが、そのうち2本の着陸用飛行ルートが、新宿、渋谷、目黒、白金高輪、品川といった都心部を低空飛行で通過するのだ。
「計画では都心部上空を着陸体制で、300~900メートルの低空飛行で通過します。このルートの飛行時間帯は15~19時の4時間。1時間あたり44回通過するので、約2分に1回の割合で都心上空を通ることになります。次から次へと継続して騒音が続くわけです。通過地域の住民にとって、これは精神的に大きなダメージを受けると思います」
こう語るのは、今回の新飛行ルート計画に反対する「みなとの空を守る会」共同代表・増間碌郎さん。国交省の資料によると、新宿から大井町にかけての飛行ルート直下およびその周辺の地上での騒音レベルは約70~80デシベル。幹線道路際、騒がしい街頭の騒音レベルだ。80デシベル以上だと、一般的には“地下鉄の車内”“ボウリング場”と同等のうるささ。隣の人の会話は聞き取れないレベルだといわれている。
騒音同様に心配されているのが、落下物の問題。ジャンボジェット(B747型)の飛行時間で世界一の記録を持つ、元日本航空機長で航空評論家の杉江弘さんが危険性を次のように指摘する。
「氷塊の落下は防ぎようがありません。たとえば、海外の空港で雨が降っている中で離陸した飛行機は水分を含んだ状態で上昇し、高度1万メートル、気温マイナス50度の上空を飛ぶので必ず氷塊ができます。その氷塊が落ちる可能性が高いのは、着陸体勢で車輪を出すときです。もし直径10センチ大の氷塊が地上にいる人間を直撃するようなことが起きれば大変なことになります」(杉江さん・以下同)
新ルートで車輪を出すタイミングは、新宿から渋谷、品川の上空にかけて。
「危険なのは車輪を出すときだけではありません。着陸に向けて翼の可動部分を下ろすのですが、そのときに振動が発生します。埼玉県上空から板橋区、練馬区に氷塊が落下する可能性もあります」
落下物は氷塊だけではない。国交省によると、’17年3月末までの8年間で、整備点検などで航空機の部品脱落が確認されたのは451件。そのうち空港内で発見されたものは91件。発見されなかったものは360件あった。ただし、この報告件数は国内航空会社のみの件数で、外国の航空会社は含まれていない。
ちなみに、’16年度までの10年間で、地上で落下物が確認された件数は、成田空港周辺では19(部品13件、氷塊6件)、羽田空港周辺では0件。だが、昨年9月には、ANA機のパネルが茨城県の工場に落下。大阪ではKLMオランダ航空機のパネルが落下し、走行中の乗用車を直撃するという事故が起きている。
杉江さんがいちばん危惧していることは最悪の事態を招く“墜落”だ。’94年4月26日、台北発名古屋行きの中華航空140便が名古屋空港の滑走路近くに墜落、機体は大破、炎上し、乗員乗客264人が死亡、7人が重傷という大惨事があった。パイロットが自動操縦装置のスイッチを間違えたことで失速し、墜落へつながった――。
「じつはいまのハイテク機は、ちょっと操作を間違えただけで墜落事故を引き起こしてしまうことがあるのです。中華航空の事故は、名古屋空港の滑走路近くで墜落しましたが、もっと手前で失速していたら都市部で墜落していた可能性もあった。今回の新ルートでやはりいちばん心配なのは、都心部を低空飛行することです。もし、何らかのトラブルで墜落したら、最悪の悲劇が起きます」
国交省は、羽田空港新ルート運用による経済波及効果を6,503億円、雇用が4万7,000人増加すると言っている。だが、万が一事故が起きた場合の補償や騒音による不動産価値下落の可能性といった、マイナス部分をまったく示していない。
本誌が指摘したリスクについて国交省に問うと「落下物に関して航空会社への点検、整備を徹底指導している」との答えが。あらゆるリスクに関しても「安全の確保はすべてに優先する」という。
女性自身 2020/02/05 23:01 最終更新日:2020/02/06 12:40
タワマンほど影響?羽田新ルートでマンション価格25%下落も
https://jisin.jp/domestic/1828009/
2月2日夕方、羽田空港の新ルートで、実際の旅客機を使った初の試験飛行が行われた。約1時間40分にわたり、およそ2分に1機のペースで、東京都心の上空を計61機の飛行機が飛んだ。数値上よりも近く見えるその機影に、多くの都民が騒然となったが、じつは「女性自身」は’18年1月30日号で、この問題について警鐘を発していた。
国は’20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、国際線の増便を計画。そこで羽田空港を離着陸する便の新たな飛行ルートの導入を決めた。そのうち2本の着陸用飛行ルートが、新宿、渋谷、目黒、白金高輪、品川といった都心部を低空飛行で通過する。
「計画では都心部上空を着陸体制で、300~900メートルの低空飛行で通過します。このルートの飛行時間帯は15~19時の4時間。1時間あたり44回通過するので、約2分に1回の割合で都心上空を通ることになります。次から次へと継続して騒音が続くわけです。通過地域の住民にとって、これは精神的に大きなダメージを受けると思います」
こう語るのは、今回の新飛行ルート計画に反対する「みなとの空を守る会」共同代表・増間碌郎さん。国交省の資料によると、新宿から大井町にかけての飛行ルート直下およびその周辺の地上での騒音レベルは約70~80デシベル。幹線道路際、騒がしい街頭の騒音レベルだ。80デシベル以上だと、一般的には“地下鉄の車内”“ボウリング場”と同等のうるささ。隣の人の会話は聞き取れないレベルだといわれている。
都心部に多いタワーマンションの場合、より飛行機に近くなるので、騒音もそれだけ大きくなる。「騒音の影響で不動産価格が下落する可能性がある」と語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修さんだ。
「とくにタワーマンションは、眺望がいいという理由で、単純に上に行けば行くほど不動産価値が高くなる。ところが、飛行機の騒音となると、上に行けば行くほどうるさくなる。2階と30階では音の大きさが全然違ってきます。1階あたりは3メートルくらいだとすると、30階は90メートルになる。真上を飛んでいた場合、30階の住人は飛行機との距離が約100メートル近くなるんです」
では、具体的に不動産価値はどれくらい下がるのか? ’94年、米国コンサル会社が、ロサンゼルス空港ができたときに連邦航空局に提出した騒音と不動産価値との関係を調べた資料から、長嶋さんが下落率を算出した。
「騒音に差がある2地点の不動産価格を比較した調査で、静かな地点のほうが不動産価値は18.6パーセント高く、1デシベルあたりで換算すると、1.33パーセント高いことがわかりました」
環境省の環境基準は、55デシベル以下。長嶋さんはこれを超える分については、1デシベルあたり1.33パーセント下落すると仮定してシミュレーションをした。
「白金、代官山あたりのふだんの騒音レベルは環境基準程度ですが、飛行機の通過によって、最大で74デシベルになると予想されます。環境基準を超えた分は19デシベルなので、これに1.33パーセントをかけると約25パーセントになります。つまり、1億円のマンションであれば、下落率は25パーセント。7,500万円になる計算です」
国交省はこの問題について、「音などの感じ方については個人差がある。航空機の飛行経路と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しい」と回答した。仮に不動産価格が下落しても、住民たちが泣き寝入りしないといけないことは間違いなさそうだ。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済