2020-04-06(Mon)
新型コロナANAなど航空支援 異例の「政府保証」
世界的な移動制限が航空業界を直撃 航空業界 2兆円規模の支援要望
日本経済新聞 2020/4/8付
ANAなど航空支援 異例の「政府保証」波紋 緊急需要、線引き難しく
----新型コロナウイルスによる旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)など航空業界が政府保証の活用を視野に資金を調達しようとしていることに波紋が広がっている。民間企業と銀行の融資契約に政府保証がつくのは異例だからだ。需要が蒸発した業界への対応は急を要し、今回の支援策に注目が集まっている。
日本経済新聞 2020/4/7付
国際線拡大でANA負債増 コロナ禍、財務に危機感
----ANAホールディングス(HD)が政府保証のしくみの活用も視野に融資枠の確保に動くのは、コスト負担の重い財務体質に対する危機感があるからだ。同社は日本航空(JAL)の破綻後、国際線を増強、政府支援で再建したJALと比べ負債が膨らんでいた。コロナ禍が両社の財務の格差を浮き彫りにした格好だ。
日本経済新聞 2020/4/6 11:57
航空業界、政府に2兆円規模の支援要望 無担保借り入れ
----新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の急減を受け、国内の航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が、業界として2兆円規模の支援策を政府に求めていることがわかった。融資の一定枠について、政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを柱に要望している。政府が7日にまとめる緊急経済対策に盛り込まれる可能性がある。
以下参考
日本経済新聞 2020/4/8付
ANAなど航空支援 異例の「政府保証」波紋 緊急需要、線引き難しく
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57787840X00C20A4EE8000/
世界的な移動制限が航空業界を直撃している
新型コロナウイルスによる旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)など航空業界が政府保証の活用を視野に資金を調達しようとしていることに波紋が広がっている。民間企業と銀行の融資契約に政府保証がつくのは異例だからだ。需要が蒸発した業界への対応は急を要し、今回の支援策に注目が集まっている。
ANAHDは現時点で手元資金を3000億円保有。決められた範囲で融資を引き出せるコミットメントラインも約1500億円を確保している。一方、大幅な減便により月1000億円程度資金が流出している。
ANAHDはメガバンクなど民間金融機関7行の協調融資で1000億円の調達に動いた。日本政策投資銀行(DBJ)の融資制度を利用し3000億円も借り受け、約7000億円の手元資金の確保を目指す。
ここにきて水面下で要請し始めたのが、事態が長期化した場合に備えた一部政府保証付きの融資枠の確保だ。DBJに1兆円、民間金融機関に3000億円を求める。
世界的な移動制限が航空業界を直撃しているのは確かだ。麻生太郎財務相も3日の記者会見で「地域経済やインバウンド(訪日外国人客)などを支える日本経済の屋台骨」と指摘。「日本政策投資銀行の危機対応融資を活用するなど万全を期したい」と資金繰りを支える姿勢を示した。
ただし、政府保証となると話は別だ。財政投融資の枠組みを使った政府保証は、政府系の機関や独立行政法人などが政府系金融機関から資金を借りる際に元利払いを保証する枠組みだ。大企業の債権回収が難しくなり、政府が肩代わりするとなれば、極めて異例だ。
「危機感は理解するが銀行を飛び越えて勝手に『言い値の必要額』を触れ回っている」。ある取引銀行の幹部はいらだちをあらわす。
「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」では、財務大臣が指定する法人の債務に限って政府保証をつけられる例外規定がある。これまでに適用した事例はないが、中小企業を中心に実質的な政府保証をつけて資金繰りを支援した例はある。
政府内では航空業界への政府保証を認めれば、他の業界からも同様の要望が雪だるま式に膨らみかねないことを危惧する声がある。7日の緊急経済対策の柱の一つである中小企業向けの資金繰り支援では、無担保融資は期間や金額に上限を設けた。政府が保証してくれれば金融機関も貸し倒れリスクを負わず、モラルハザードを招く恐れがある。
過去の東京電力や日本航空(JAL)など特定企業への公的支援は、経営陣の交代などをした上で、立法や支援組織の立ち上げなどに時間を要した。未曽有の危機が産業界を襲うなか、迅速な資金繰り支援が重要なのは間違いないが、スピード支援と国民への説明責任とを両立する視点が欠かせない。
(税財政エディター 小滝麻理子、小太刀久雄)
日本経済新聞 2020/4/7付
国際線拡大でANA負債増 コロナ禍、財務に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57745020X00C20A4EA2000/
ANAホールディングス(HD)が政府保証のしくみの活用も視野に融資枠の確保に動くのは、コスト負担の重い財務体質に対する危機感があるからだ。同社は日本航空(JAL)の破綻後、国際線を増強、政府支援で再建したJALと比べ負債が膨らんでいた。コロナ禍が両社の財務の格差を浮き彫りにした格好だ。
(1面参照)
212座席に対し搭乗客は32人。3月29日、羽田空港の国際線発着枠が広がり、全日本空輸(ANA)が新たに就航した羽田―ヒューストン線の初便の利用状況だ。
新型コロナの感染拡大で世界的な移動制限が起きている。ANAは国際線の9割弱、国内線も3割弱を取りやめ収入も急激に落ち込む。フライトが減っても人件費のほか、航空機のリース代、借入金の利払いは発生する。現金の流出は毎月1000億円に及ぶ。
ANAHDの現預金と有価証券を合わせた手元流動性は現時点で約3000億円。毎月の現金の流出ペースの3倍ほどだ。決められた範囲で融資を引き出せるコミットメントラインも約1500億円確保。「資金繰りに問題はない」(ANAHD幹部)と強調する。
ただ新型コロナの感染拡大の影響がどこまで続くかは見通せない。市場ではANAHDの信用力が低下していた。信用リスクをやりとりするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)では保証料率が2月下旬まで0.3%だったが、3月に入り急上昇し足元では約1.5%になっている。100円の社債を第三者に保証してもらう額が1.5円と5倍になったことを意味する。
市場は将来的なANAHDの財務基盤を懸念する。2010年に経営破綻したJALを尻目に国際線を次々開設。パイロットや客室乗務員といった人材も大量採用し、19年3月期のANAHDの固定費は8807億円とJAL(4872億円)より多い。19年12月末の連結有利子負債残高はJALの1562億円に対し、ANAHDは8481億円。16年3月末に比べ約2割増えた。JALは破綻時に5000億円規模の債権放棄で負債を減らすなどしたこともあり、両社の差は鮮明だ。
「信用不安にならないためにも政府保証は大事」とANAHD幹部は言うが、政府保証は「民間企業が民間金融機関から資金を借りるために使う仕組みではない」(財務省幹部)。仮に今回を未曽有の危機として使うにしても「異例」の理由を明確に説明する必要がある。
日本経済新聞 2020/4/6 21:35 (2020/4/7 2:55更新)
ANA、政府保証を要請へ 1.3兆円融資の一部 航空全体で2兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57716430W0A400C2MM8000/
ANAは1.3兆円の融資枠の設定を求める方針だ
新型コロナウイルスの感染拡大による旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)が金融機関に求めている1.3兆円の融資枠のうち一部保証を政府に要請することが分かった。実現すれば異例の措置となる。他社も資金繰り懸念が生じており、ANAHDや日本航空(JAL)など国内航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円に達する見通し。政府は7日に緊急経済対策をまとめるが、航空業界支援も焦点の一つとなっている。
ANAHDは民間金融機関と日本政策投資銀行から1.3兆円の融資枠の設定を求める方針だ。融資の一部について政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを想定している。返済が滞った場合に政府が肩代わりする措置で、通常は巨額の資金を要するプラント開発などに適用されるが、企業救済では珍しい。実現すれば今後の他の政府支援のスキームにも影響が出そうだ。
同社は手元資金が3000億円あるが収入減と固定費負担増で足元では月1000億円が流出している。現在は国際線の運航を9割弱取りやめているが、国内線でも利用者減が止まらない。政府が緊急事態宣言を出した場合、羽田空港を使う便の大幅減が予想される。3月に200億円の社債を発行したJALも追加の資金調達に動いている。
政府との交渉窓口となる定期航空協会は主力メンバーのANAHDやJALと協議し、政府保証での無担保融資の要請を決めた。同協会は減便が1年程度にわたれば業界の減収幅が2兆円規模になると試算している。
日本経済新聞 2020/4/6 11:57
航空業界、政府に2兆円規模の支援要望 無担保借り入れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57695660W0A400C2MM0000/
羽田空港に駐機する日本航空と全日空の機体
新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の急減を受け、国内の航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が、業界として2兆円規模の支援策を政府に求めていることがわかった。融資の一定枠について、政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを柱に要望している。政府が7日にまとめる緊急経済対策に盛り込まれる可能性がある。
定期航空協会によると、航空各社の2~5月の減収額が合計で5千億円規模になるとの見通し。足元では国際線だけでなく、国内線でも利用者が減少している。新型コロナの収束に時間がかかり、1年程度にわたって長期化するという「最悪のシナリオ」では減収幅が2兆円規模になるとの試算を支援要望の前提にしている。
支援策の柱は、民間金融機関からの借り入れの一定枠に政府が保証をつけることで、無担保で融資を受けられるような仕組みを想定。加えて空港使用料や税金の支払い猶予、給付型の助成金といった内容を求める。
航空業界は人件費やリース費用など固定費の負担が重い。減便による収入の激減で、資金繰りが急速に悪化しており、業界内で危機感が高まっている。
足元ではANAホールディングス(HD)が日本政策投資銀行の融資制度を利用し、3千億円を調達する方針を固めている。長期化に備え、民間金融機関と合わせて1兆3千億円程度の融資枠の設定も求める方針だ。
Reuter 2020年3月26日 / 17:01 / 18時間前更新
航空各社、収入確保へ旅客機での貨物輸送に活路 米は580億ドルの支援策
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-airlines-idJPKBN21D0VB
[シドニー/シカゴ 26日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて旅客需要が急減する中、航空各社の間では、旅客機を貨物輸送に転用して収入を確保しようとする動きが出ている。
米では、上院を25日に通過した前例のない規模の航空業界支援策に、従業員への給与支払いを援助する条件として、人員削減の禁止などが盛り込まれた。
この支援策では、総額580億ドルのうち約半分が、75万人に及ぶ航空業界従事者の給与支払いに向けた助成金となる。援助を受ける会社は、9月30日まで人員削減が禁止されるほか、労働協約の変更もできない。
米下院もこの法案を27日に可決する見込みで、トランプ大統領もすぐに署名することを確約している。
収入源の確保と機体の稼働が急務となった各社は、相次いで貨物輸送の強化に乗り出している。
ADVERTISEMENT
米デルタ航空(DAL.N)とニュージーランド航空(AIR.NZ)は、旅客機を貨物輸送用のチャーター便として利用する方向で検討中だ。ハワイアン航空(HA.O)は、小型機でハワイ諸島内を結ぶ貨物便を増便した。アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空も、ボーイング(BA.N)の787型旅客機(ドリームライナー)を貨物輸送に転用、インドやタイ、シンガポールなどへ週34便を運航すると発表した。
国際航空運送協会(IATA)のドジュニアック事務局長は声明で「渡航制限と需要の急減により、旅客輸送事業は成立しない。航空業界にとっては暗黒期だ」と述べた。
IATAの試算では、新型ウイルスの感染拡大により、業界全体で今年は2520億ドルの収入減となる見通し。IATAは日本を含むアジア・太平洋地域18カ国の政府に対し、航空業界への緊急支援を要請した。
一方、アジア圏ではシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの各国政府が航空会社向けの支援策を発表しているが、この中には、従業員の一時帰休や運航停止を禁じる条項は含まれていない。
世界の航空貨物のおよそ半分は通常、貨物専用機ではなく旅客機の貨物室に混載して運搬される。このため、旅客便の運航停止は貨物輸送能力の急減にもつながっている。
ADVERTISEMENT
航空調査会社シリウムによると、23─24日に稼働しなかった飛行機は、世界中でおよそ1800機に上る。IATAは、医薬品など緊急物資の輸送も滞っていると指摘した。
IATAによると、世界の航空輸送量は2月に10%減、年間では15─20%減になる見通し。
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日本経済新聞 2020/4/8付
ANAなど航空支援 異例の「政府保証」波紋 緊急需要、線引き難しく
----新型コロナウイルスによる旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)など航空業界が政府保証の活用を視野に資金を調達しようとしていることに波紋が広がっている。民間企業と銀行の融資契約に政府保証がつくのは異例だからだ。需要が蒸発した業界への対応は急を要し、今回の支援策に注目が集まっている。
日本経済新聞 2020/4/7付
国際線拡大でANA負債増 コロナ禍、財務に危機感
----ANAホールディングス(HD)が政府保証のしくみの活用も視野に融資枠の確保に動くのは、コスト負担の重い財務体質に対する危機感があるからだ。同社は日本航空(JAL)の破綻後、国際線を増強、政府支援で再建したJALと比べ負債が膨らんでいた。コロナ禍が両社の財務の格差を浮き彫りにした格好だ。
日本経済新聞 2020/4/6 11:57
航空業界、政府に2兆円規模の支援要望 無担保借り入れ
----新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の急減を受け、国内の航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が、業界として2兆円規模の支援策を政府に求めていることがわかった。融資の一定枠について、政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを柱に要望している。政府が7日にまとめる緊急経済対策に盛り込まれる可能性がある。
以下参考
日本経済新聞 2020/4/8付
ANAなど航空支援 異例の「政府保証」波紋 緊急需要、線引き難しく
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57787840X00C20A4EE8000/
世界的な移動制限が航空業界を直撃している
新型コロナウイルスによる旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)など航空業界が政府保証の活用を視野に資金を調達しようとしていることに波紋が広がっている。民間企業と銀行の融資契約に政府保証がつくのは異例だからだ。需要が蒸発した業界への対応は急を要し、今回の支援策に注目が集まっている。
ANAHDは現時点で手元資金を3000億円保有。決められた範囲で融資を引き出せるコミットメントラインも約1500億円を確保している。一方、大幅な減便により月1000億円程度資金が流出している。
ANAHDはメガバンクなど民間金融機関7行の協調融資で1000億円の調達に動いた。日本政策投資銀行(DBJ)の融資制度を利用し3000億円も借り受け、約7000億円の手元資金の確保を目指す。
ここにきて水面下で要請し始めたのが、事態が長期化した場合に備えた一部政府保証付きの融資枠の確保だ。DBJに1兆円、民間金融機関に3000億円を求める。
世界的な移動制限が航空業界を直撃しているのは確かだ。麻生太郎財務相も3日の記者会見で「地域経済やインバウンド(訪日外国人客)などを支える日本経済の屋台骨」と指摘。「日本政策投資銀行の危機対応融資を活用するなど万全を期したい」と資金繰りを支える姿勢を示した。
ただし、政府保証となると話は別だ。財政投融資の枠組みを使った政府保証は、政府系の機関や独立行政法人などが政府系金融機関から資金を借りる際に元利払いを保証する枠組みだ。大企業の債権回収が難しくなり、政府が肩代わりするとなれば、極めて異例だ。
「危機感は理解するが銀行を飛び越えて勝手に『言い値の必要額』を触れ回っている」。ある取引銀行の幹部はいらだちをあらわす。
「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」では、財務大臣が指定する法人の債務に限って政府保証をつけられる例外規定がある。これまでに適用した事例はないが、中小企業を中心に実質的な政府保証をつけて資金繰りを支援した例はある。
政府内では航空業界への政府保証を認めれば、他の業界からも同様の要望が雪だるま式に膨らみかねないことを危惧する声がある。7日の緊急経済対策の柱の一つである中小企業向けの資金繰り支援では、無担保融資は期間や金額に上限を設けた。政府が保証してくれれば金融機関も貸し倒れリスクを負わず、モラルハザードを招く恐れがある。
過去の東京電力や日本航空(JAL)など特定企業への公的支援は、経営陣の交代などをした上で、立法や支援組織の立ち上げなどに時間を要した。未曽有の危機が産業界を襲うなか、迅速な資金繰り支援が重要なのは間違いないが、スピード支援と国民への説明責任とを両立する視点が欠かせない。
(税財政エディター 小滝麻理子、小太刀久雄)
日本経済新聞 2020/4/7付
国際線拡大でANA負債増 コロナ禍、財務に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57745020X00C20A4EA2000/
ANAホールディングス(HD)が政府保証のしくみの活用も視野に融資枠の確保に動くのは、コスト負担の重い財務体質に対する危機感があるからだ。同社は日本航空(JAL)の破綻後、国際線を増強、政府支援で再建したJALと比べ負債が膨らんでいた。コロナ禍が両社の財務の格差を浮き彫りにした格好だ。
(1面参照)
212座席に対し搭乗客は32人。3月29日、羽田空港の国際線発着枠が広がり、全日本空輸(ANA)が新たに就航した羽田―ヒューストン線の初便の利用状況だ。
新型コロナの感染拡大で世界的な移動制限が起きている。ANAは国際線の9割弱、国内線も3割弱を取りやめ収入も急激に落ち込む。フライトが減っても人件費のほか、航空機のリース代、借入金の利払いは発生する。現金の流出は毎月1000億円に及ぶ。
ANAHDの現預金と有価証券を合わせた手元流動性は現時点で約3000億円。毎月の現金の流出ペースの3倍ほどだ。決められた範囲で融資を引き出せるコミットメントラインも約1500億円確保。「資金繰りに問題はない」(ANAHD幹部)と強調する。
ただ新型コロナの感染拡大の影響がどこまで続くかは見通せない。市場ではANAHDの信用力が低下していた。信用リスクをやりとりするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)では保証料率が2月下旬まで0.3%だったが、3月に入り急上昇し足元では約1.5%になっている。100円の社債を第三者に保証してもらう額が1.5円と5倍になったことを意味する。
市場は将来的なANAHDの財務基盤を懸念する。2010年に経営破綻したJALを尻目に国際線を次々開設。パイロットや客室乗務員といった人材も大量採用し、19年3月期のANAHDの固定費は8807億円とJAL(4872億円)より多い。19年12月末の連結有利子負債残高はJALの1562億円に対し、ANAHDは8481億円。16年3月末に比べ約2割増えた。JALは破綻時に5000億円規模の債権放棄で負債を減らすなどしたこともあり、両社の差は鮮明だ。
「信用不安にならないためにも政府保証は大事」とANAHD幹部は言うが、政府保証は「民間企業が民間金融機関から資金を借りるために使う仕組みではない」(財務省幹部)。仮に今回を未曽有の危機として使うにしても「異例」の理由を明確に説明する必要がある。
日本経済新聞 2020/4/6 21:35 (2020/4/7 2:55更新)
ANA、政府保証を要請へ 1.3兆円融資の一部 航空全体で2兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57716430W0A400C2MM8000/
ANAは1.3兆円の融資枠の設定を求める方針だ
新型コロナウイルスの感染拡大による旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)が金融機関に求めている1.3兆円の融資枠のうち一部保証を政府に要請することが分かった。実現すれば異例の措置となる。他社も資金繰り懸念が生じており、ANAHDや日本航空(JAL)など国内航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円に達する見通し。政府は7日に緊急経済対策をまとめるが、航空業界支援も焦点の一つとなっている。
ANAHDは民間金融機関と日本政策投資銀行から1.3兆円の融資枠の設定を求める方針だ。融資の一部について政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを想定している。返済が滞った場合に政府が肩代わりする措置で、通常は巨額の資金を要するプラント開発などに適用されるが、企業救済では珍しい。実現すれば今後の他の政府支援のスキームにも影響が出そうだ。
同社は手元資金が3000億円あるが収入減と固定費負担増で足元では月1000億円が流出している。現在は国際線の運航を9割弱取りやめているが、国内線でも利用者減が止まらない。政府が緊急事態宣言を出した場合、羽田空港を使う便の大幅減が予想される。3月に200億円の社債を発行したJALも追加の資金調達に動いている。
政府との交渉窓口となる定期航空協会は主力メンバーのANAHDやJALと協議し、政府保証での無担保融資の要請を決めた。同協会は減便が1年程度にわたれば業界の減収幅が2兆円規模になると試算している。
日本経済新聞 2020/4/6 11:57
航空業界、政府に2兆円規模の支援要望 無担保借り入れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57695660W0A400C2MM0000/
羽田空港に駐機する日本航空と全日空の機体
新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の急減を受け、国内の航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が、業界として2兆円規模の支援策を政府に求めていることがわかった。融資の一定枠について、政府の保証を付けて無担保で借りられるような仕組みを柱に要望している。政府が7日にまとめる緊急経済対策に盛り込まれる可能性がある。
定期航空協会によると、航空各社の2~5月の減収額が合計で5千億円規模になるとの見通し。足元では国際線だけでなく、国内線でも利用者が減少している。新型コロナの収束に時間がかかり、1年程度にわたって長期化するという「最悪のシナリオ」では減収幅が2兆円規模になるとの試算を支援要望の前提にしている。
支援策の柱は、民間金融機関からの借り入れの一定枠に政府が保証をつけることで、無担保で融資を受けられるような仕組みを想定。加えて空港使用料や税金の支払い猶予、給付型の助成金といった内容を求める。
航空業界は人件費やリース費用など固定費の負担が重い。減便による収入の激減で、資金繰りが急速に悪化しており、業界内で危機感が高まっている。
足元ではANAホールディングス(HD)が日本政策投資銀行の融資制度を利用し、3千億円を調達する方針を固めている。長期化に備え、民間金融機関と合わせて1兆3千億円程度の融資枠の設定も求める方針だ。
Reuter 2020年3月26日 / 17:01 / 18時間前更新
航空各社、収入確保へ旅客機での貨物輸送に活路 米は580億ドルの支援策
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-airlines-idJPKBN21D0VB
[シドニー/シカゴ 26日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて旅客需要が急減する中、航空各社の間では、旅客機を貨物輸送に転用して収入を確保しようとする動きが出ている。
米では、上院を25日に通過した前例のない規模の航空業界支援策に、従業員への給与支払いを援助する条件として、人員削減の禁止などが盛り込まれた。
この支援策では、総額580億ドルのうち約半分が、75万人に及ぶ航空業界従事者の給与支払いに向けた助成金となる。援助を受ける会社は、9月30日まで人員削減が禁止されるほか、労働協約の変更もできない。
米下院もこの法案を27日に可決する見込みで、トランプ大統領もすぐに署名することを確約している。
収入源の確保と機体の稼働が急務となった各社は、相次いで貨物輸送の強化に乗り出している。
ADVERTISEMENT
米デルタ航空(DAL.N)とニュージーランド航空(AIR.NZ)は、旅客機を貨物輸送用のチャーター便として利用する方向で検討中だ。ハワイアン航空(HA.O)は、小型機でハワイ諸島内を結ぶ貨物便を増便した。アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空も、ボーイング(BA.N)の787型旅客機(ドリームライナー)を貨物輸送に転用、インドやタイ、シンガポールなどへ週34便を運航すると発表した。
国際航空運送協会(IATA)のドジュニアック事務局長は声明で「渡航制限と需要の急減により、旅客輸送事業は成立しない。航空業界にとっては暗黒期だ」と述べた。
IATAの試算では、新型ウイルスの感染拡大により、業界全体で今年は2520億ドルの収入減となる見通し。IATAは日本を含むアジア・太平洋地域18カ国の政府に対し、航空業界への緊急支援を要請した。
一方、アジア圏ではシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの各国政府が航空会社向けの支援策を発表しているが、この中には、従業員の一時帰休や運航停止を禁じる条項は含まれていない。
世界の航空貨物のおよそ半分は通常、貨物専用機ではなく旅客機の貨物室に混載して運搬される。このため、旅客便の運航停止は貨物輸送能力の急減にもつながっている。
ADVERTISEMENT
航空調査会社シリウムによると、23─24日に稼働しなかった飛行機は、世界中でおよそ1800機に上る。IATAは、医薬品など緊急物資の輸送も滞っていると指摘した。
IATAによると、世界の航空輸送量は2月に10%減、年間では15─20%減になる見通し。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済