2020-07-13(Mon)
2020熊本豪雨 球磨川 河川整備計画 策定されず
川辺川ダムなしの計画が策定されぬまま10数年が経過
ダムをつくるかどうかにかかわらず、水害を確実に小さくできる河道整備こそ
時事通信 2020年07月10日07時15分
整備計画、策定されず 九州豪雨で被害の球磨川―河川計画
----気候変動を踏まえた見直しが求められた河川整備計画。今回九州を襲った大雨で、堤防が複数箇所決壊するなど大きな被害が出た熊本県を流れる球磨川では、まだ計画が策定されていない。
----計画がないまま、河川堤防などの工事は実施されてきた。だが、それぞれの工事は互いに関係し合っているため、国交省の関係者は「早く計画を立てて、水系全体のビジョンを持って整備を進めていきたい」と訴えている。
熊本日日新聞 2020年7月9日 07:11
社説 流域治水 球磨川でも新たな計画を 流域治水 球磨川でも新たな計画を
----1級河川の球磨川水系では、1963年から3年続けて大きな洪水が発生。国は66年、治水目的の「川辺川ダム」建設計画を発表した。しかし流域に賛否もあって事業は進まず、2008年に蒲島郁夫知事が建設反対を決めた。
その後、国、県、流域自治体で「ダムによらない治水」の在り方を協議。川底掘削、堤防かさ上げ、遊水地の整備などを組み合わせた10案が候補に挙がった。だが現在までに決定には至らず、その中で今回の豪雨災害が起きた。
また、球磨川流域では県営市房ダムなど6ダムで事前放流が可能となっていた。だが、豪雨の予測が難しいこともあって現実には実行されず、今後に課題を残した。
国、県、自治体は今後、「流域治水」の考え方も踏まえて球磨川水系の新たな治水プロジェクトを策定すべきだ。その根底には当然、今回の被害の検証がなければならない。
日刊ゲンダイDIGITAL 2020/07/11 06:00 更新日:2020/07/11 07:57
熊本・球磨川水害に専門家提言「ダムではなく流す対策を」
-----その対策ができていれば防げたのでしょうか。
「今回は非常にたくさん雨が降ったので、それで氾濫が防げたかどうかはわかりませんが、流す対策によって確実に氾濫量が減ります。河道がこれ以上広げられないとか深く掘れないとか、堤防も高くできないとなれば、ダムが必要という話になるのでしょうが、日本の河川で流す対策が遅れているところは少なくありません。球磨川には目標年次のない長期計画がありますが、30年の中期計画がつくれていません。熊本県知事が川辺川ダムを中止すると表明してから、いまだに具体的な計画がつくれていないんです。ダムをつくるかどうかにかかわらず、水害を確実に小さくできる河道整備をすすめなければいけないということに変わりはないはず。かりにそれをやっていなかったとしたら問題ですし、地元の声をきちんと受け止めて、必要な対策をとってもらいたいと思います」
八ッ場あしたの会
2020年7月9日事務局だより
球磨川水害の背景に川辺川ダム計画
----7月4日の熊本豪雨によって発生した球磨川水害を受けて、国の川辺川ダム計画をめぐる議論が再燃することになりそうです。
----国土交通省九州地方整備局は、「ダムによらない治水」を協議する場を設けたものの、川辺ダムなしでは成り立たない枠組みで協議が行われたため、ダムの代替案は法外に高額であったり、年月がかかる非現実的な治水対策しか提示されず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されぬまま10数年が経過しました。
<参考>
国土交通省九州地方整備局
八代河川国道事務所 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/
河川整備基本方針・河川整備計画について
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/kumagawa_kasen/kihon_seibi.html
球磨川水系河川整備基本方針本文[PDF:740KB]
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/honbun.pdf
球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
以下参考
熊本日日新聞 2020年7月9日 07:11
社説 流域治水 球磨川でも新たな計画を 流域治水 球磨川でも新たな計画を
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1518004/
西日本新聞 2020/7/12 6:00
決壊仕組みに4パターン目「パイピング」 球磨川の堤防、13日に調査
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/625426/
時事通信 2020年07月10日07時15分
整備計画、策定されず 九州豪雨で被害の球磨川―河川計画
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070900929&g=eco
西日本新聞 2020/7/5 6:00 (2020/7/5 13:39 更新)
球磨川は急峻な山縫う暴れ川 1965年には家屋1281戸が損壊・流失
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/623138/
*************************************
日刊ゲンダイDIGITAL 2020/07/11 06:00 更新日:2020/07/11 07:57
熊本・球磨川水害に専門家提言「ダムではなく流す対策を」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/275744
******************************
国土交通省九州地方整備局
八代河川国道事務所 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/
河川整備基本方針・河川整備計画について
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/kumagawa_kasen/kihon_seibi.html
球磨川水系河川整備基本方針本文[PDF:740KB]
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/honbun.pdf
球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
球磨川治水対策協議会
第9回 令和元年6月7日開催
【議事次第、 資料1、 資料2、 資料3、 資料4、 資料5、 資料6、 参考資料、 意見書1 2】
整備局長・知事・市町村長会議 開催資料 [PDFファイル]
第4回 令和元年 11月13日開催
【議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7、資料8、参考資料1、参考資料2、要請書】
******************************
八ッ場あしたの会
2020年7月9日事務局だより
球磨川水害の背景に川辺川ダム計画
https://yamba-net.org/52092/
7月4日の熊本豪雨によって発生した球磨川水害を受けて、国の川辺川ダム計画をめぐる議論が再燃することになりそうです。
球磨川の支流である川辺川に計画された川辺川ダムは、1966年に発表された国のダム事業です。
この問題について、全国のダム問題に取り組む市民運動の嶋津暉之さん(水源開発問題全国連絡会共同代表、元東京都環境科学研究所研究員)のコメントと、地元紙(熊本日日新聞)の記事を紹介します。
右写真=球磨川の治水基準地点のある人吉市、人吉城址付近の球磨川。2018年7月撮影。
^^^^^^^^^^
★現時点でのコメント(嶋津暉之)
今回の球磨川の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、特定多目的ダム法に基づく廃止手続きがとられていない川辺川ダム計画の存在が根底にあります。川辺川ダム計画があるため、球磨川では現実的な治水対策である全面的な河床掘削という手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。
川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画(*1)は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
(*1 河川整備計画・・・水系ごとに今後20~30年後の河川整備の目標や具体的な実施内容を定めるもので、ダム計画がある場合はその上位計画になる。)
河川整備計画は、河川管理者が水系ごとに長期的な方針を定める河川整備基本方針に沿って策定されることになっています。
球磨川の河川整備基本方針は、2007年に国土交通省によって策定されました。この基本方針では、人吉地点の基本高水流量(*2)を7000㎥/秒、計画高水流量(*3)を4000㎥/秒と定めました。
(*2 基本高水流量・・・長期的な洪水対策の目標として想定する最大規模の雨が降って、洪水調節施設がない場合に発生する最大流量で、球磨川の場合は1/80の降雨規模が想定されている。)
(*3 計画高水流量・・・堤防整備や河床掘削などの河川改修によって確保する流下能力の目標値。基本高水流量と計画高水流量との差はダムや調節池などでカットすることが必要となる。)
★「球磨川水系河川整備基本方針」 10ページ
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/pdf/kumagawa101-1.pdf
球磨川の重要な治水対策は、河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、河床を掘削すると軟岩が露出するという理由(*4)で、人吉地点の計画高水流量は4000㎥/秒に据え置かれました。
軟岩の露出については対応策があるのですが、川辺川ダム建設を必要とする理由をつくりだすために計画高水流量の恣意的な設定が行われました。
(*4「軟岩の露出」と計画高水流量の問題について、詳しい説明はこちらをご参照ください。)
河川整備計画は通常は河川整備基本方針の長期的な目標よりは小さい規模の洪水を想定して、基本方針の数字の範囲内で策定されます。河川整備基本方針で定められた人吉地点の基本高水流量は7000㎥/秒、計画高水流量は4000㎥/秒ですから、河川整備計画で想定する洪水流量(目標流量)は7000㎥/秒以下、そのうち、河道で対応する流量(河道目標流量)は4000㎥/秒以下の数字になります。
今後20~30年の整備を定める河川整備計画の目標流量は、長期的な目標流量である基本高水流量7000㎥/秒より小さい数字になりますので、5500~6000㎥/秒になるとしても、河道目標流量は4000㎥/秒より大きくできませんので、その差1500~2000㎥/秒を埋める洪水調節の手段がなければなりません。そのような手段は川辺川ダム以外にありません。
このため、国土交通省九州地方整備局は、「ダムによらない治水」を協議する場を設けたものの、川辺ダムなしでは成り立たない枠組みで協議が行われたため、ダムの代替案は法外に高額であったり、年月がかかる非現実的な治水対策しか提示されず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されぬまま10数年が経過しました。
【参考ページ】
国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所HP
「球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場」
川辺川ダムなしの河川整備計画をつくるためには、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。
なお、今回の球磨川氾濫について、国土交通省の観測データを現在、私の方で検討しています。ある程度まとまりましたら、あとでお送りしますが、未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。
また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
◆2020年7月8日 熊本日日新聞
https://this.kiji.is/653475971650962529?c=39546741839462401
水源連
水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです
川辺川ダムの情報
http://suigenren.jp/news/category/daminformation/kawabegawadam/
球磨川水系河川整備基本方針の策定において川辺川ダム阻止のために市民側が提出した11通の意見書
2020年7月11日
http://suigenren.jp/news/2020/07/11/13370/
今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム計画を復活せよという声が出ています。
これから国土交通省が川辺川ダム計画の復活に向けて水面下で動いていくことが予想されます。
悪夢がよみがえっていく思いですが、私たちは川辺川ダム阻止のためにたたかってきた過去の経過を振り返って頑張らなければなりません。
川辺川ダム事業は政府の方針として2009年に中止の判断がされました。それは川辺川ダム反対の声が熊本県内外で大きく広がってきたからです。
しかし、川辺川ダムは毎年度予算がついており、ダム事業としては生き残っています。川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
球磨川の重要な治水対策は河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では川辺川ダム建設のベースをつくるため、科学的な根拠なしに人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)を4000㎥/秒に据え置きました。
河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。
河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されないまま、十数年経過してきました。
川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
この球磨川水系河川整備基本方針の策定において私たちは川辺川ダムを必要としないものにするべく、懸命の取り組みをしましたので、その経過を述べておきます。
球磨川水系河川整備基本方針の策定に関して国土交通省で2006年4月から2007年3月まで延べ11回の河川整備基本方針小委員会が開かれました。https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/kuma_index.html
一つの水系で11回も委員会が開かれたのは異例なことです。通常は1~2回です。
それは当時の熊本県知事、潮谷義子知事が川辺川ダムが河川整備基本方針で位置づけられないように頑張られたからです。
潮谷知事は2006年の途中で事故で骨折されましたが、車いすで毎回委員会にかけつけました。
委員会の数十名いる委員の中でダム懐疑派は潮谷知事だけで、委員会の中でたった一人の闘いでした。
私たち市民側は潮谷知事を支援すべく、委員会に毎回、意見書を提出し、傍聴席で審議を見守りました。
審議終了後に委員会の会議室がある階のエレベーターホールで市民側は潮谷知事を迎え、労をねぎらいました。知事からも傍聴と意見書へのお礼の言葉がありました。
市民側が提出した意見書は次の通りです。それぞれ長文ですが、興味がある方はお読みいただければと思います。
2006年4月13日球磨川委員会への意見書(その1)(基本的なことについて)
2006年5月10日球磨川委員会への意見書(その2)(基本高水流量問題)
2006年6月6日球磨川委員会への意見書(その3)(基本高水流量問題)
2006年7月19日球磨川委員会への意見書(その4)(基本高水流量問題)
2006年8月10日球磨川委員会への意見書(その5)(基本高水流量問題)
2006年9月6日球磨川委員会への意見書(その6)(基本高水流量問題)
2006年10月19日球磨川委員会への意見書(その7)(計画高水流量問題)
2006年11月15日球磨川委員会への意見書(その8)(計画高水流量問題)
2006年12月25日球磨川委員会への意見書(その9)(計画高水流量問題と、ダムの弊害)
2007年2月14日球磨川委員会への意見書(その10)(穴あきダム問題)
2007年3月23日球磨川委員会への意見書(その11)(穴あきダム問題と、ダムの弊害)
球磨川水系河川整備基本方針は、潮谷知事の懸命の取り組み、そして、私たちの精一杯の活動があったものの、私たちが望むものにはなりませんでしたが、
川辺川ダム阻止のためにたたかってきたこの過去の経過を振り返って私たちはこれから頑張らなければなりません。
「国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍」という朝日新聞の記事
2020年7月10日
http://suigenren.jp/news/category/daminformation/kawabegawadam/
国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍
(朝日新聞2020年7月9日 21時47分)https://digital.asahi.com/articles/ASN796T5RN79TIPE023.html?iref=pc_ss_date
川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象
2020年7月9日
http://suigenren.jp/news/2020/07/09/13344/
今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム是非の議論が再燃することになりそうです。その記事を掲載します。
国土交通省はこの際にと、川辺川ダム計画の再登場を目論んでいると思います。
今回の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、まだ生き残っている川辺川ダム計画の存在が根底にあります。
川辺川ダム計画の存在が根底にあるから、現実的な治水対策である全面的な河床掘削の手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。
川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
球磨川の重要な治水対策は河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では河床を掘削すると、軟岩が露出するという理由をつけて、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)が4000㎥/秒に据え置かれました。軟岩の露出については対応策があるにもかかわらず、当時は川辺川ダム建設の理由をつくるため、そのように恣意的な計画高水流量の設定が行われました。
河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。
河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は策定されないまま、10年以上経過してきました。
川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。
なお。今回の球磨川氾濫について国土交通省の観測データを現在、嶋津の方で検討しています。或る程度まとまりましたら、あとでお送りしますが、
未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。
また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。
なお、球磨川水系河川整備基本方針が策定された後の2007年11月に水源連は意見書「球磨川水系河川整備基本方針における基本高水流量と計画高水流量の問題点(主に人吉地点について)」基本高水流量と計画高水流量の問題点 球磨川を国土交通省に提出しました。
その中で上記の恣意的な計画高水流量の設定の問題を球磨川水系河川整備基本方針における計画高水流量の虚構 2007年
の通り、指摘しましたので、お読みいただければと思います。
川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象
(熊本日日新聞2020/7/8 15:00) https://www.47news.jp/localnews/4991834.html
*******************************
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】インタビュー記事(1)~(6)
2019年9月23日
http://suigenren.jp/news/2019/09/23/12308/
民主党政権が球磨川流域の川辺川ダム計画の中止を表明して丸10年になります。熊本日日新聞の連載のインタビュー記事(1)~(6)を掲載します。
(1)中止を表明した当時の前原誠司国土交通大臣
(2)和田拓也・五木村長
(3)流域郡市民の会・木本雅己・事務局長
(4)九州地方整備局 浦山洋一・河川調査官
(5)松岡隼人・人吉市長
(6)蒲島郁夫・熊本県知事
2009年9月当時、前原国交大臣は八ッ場ダムの中止と全国の143ダムの見直しも明言しましたが、その見直しを河川官僚に丸投げしたため、八ッ場ダムをはじめ、問題ダム事業がダム検証の結果、推進となりました。
また、記事の中で、「「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」(ダム中止法案)を打ち出した」とありますが、この法案は前原氏が主導したものではありません。
民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」(会長:川内博史衆議院議員)が2011年9月に「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」(仮称)を発表し、その後、この法案をベースにしてつくられた「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」が2012年3月に閣議決定され、国会に上程されました。しかし、審議されないまま廃案になりました。
蒲島氏は来年春の熊本県知事選で4選の出馬をすることになっています。
蒲島氏は2008年9月に川辺川ダムの白紙撤回を表明しましたが、彼自身は脱ダム派でもなく、ダム懐疑派でもありません。
必要性がない県営・路木ダム(天草市)の建設を強引に進め、県営の荒瀬ダムについても潮谷義子・前知事が決めた撤去方針を一度は撤回しようとしました。
また、電源開発の瀬戸石ダムも荒瀬ダムと同様に流域住民が撤去を熱望しているにもかかわらず、その水利権の更新に何の条件も付けずに同意しました。
さらに、問題ダム事業である国交省・立野ダム事業(阿蘇村)を推進する側に立ちました。
川辺川ダムについても蒲島氏のシナリオは東京で開いた有識者会議の結果(8人の委員のうち、5人がダム推進)に沿って、「苦渋の選択でダム推進」というものであったと思いますが、
知事が見解を述べる前に、人吉市長と相良村長が白紙撤回を表明したことにより、蒲島氏も白紙撤回を表明せざるを得なくなったと想像されます。
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(6)蒲島郁夫知事 結論急がず、対立の歴史解消
(熊本日日新聞2019年9月23日 10:09) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1197594/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(5)代替治水案 丁寧に議論 松岡隼人・人吉市長
(熊本日日新聞2019年9月22日 06:16)https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1195485/
川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(4)全ての治水策、検討段階 国土交通省九州地方整備局 浦山洋一・河川調査官
(熊本日日新聞2019年9月21日 09:3)7 https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1194951/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(3)清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 木本雅己・事務局長 住民の声聞く努力を
(熊本日日新聞2019年9月19日 09:13) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1192252/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(2)和田拓也・五木村長 村再建へ厳しさ続く
(熊本日日新聞2019年9月18日 09:38) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1190903/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(1)前原誠司元国交相 再度建設方針、あり得る
(熊本日日新聞2019年9月17日 09:44) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1189804/
「川辺川ダム」残る名称 進まぬ手続き、復活警戒も 国交相・計画中止表明10年
2019年9月16日
http://suigenren.jp/news/2019/09/16/12279/
川辺川ダム問題についての記事を掲載します。
2009年に当時の前原誠司国交大臣が川辺川ダムの中止を表明したものの、その後、川辺川ダムなしの河川整備計画の策定が進まず、いまだに川辺川ダム基本計画は廃止されていません。
国交省は長期的に川辺川ダム建設事業の復活を企図しているように思われます。
「川辺川ダム」残る名称 進まぬ手続き、復活警戒も 国交相・計画中止表明10年
(熊本日日新聞2019年9月16日) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1189100/
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ダムをつくるかどうかにかかわらず、水害を確実に小さくできる河道整備こそ
時事通信 2020年07月10日07時15分
整備計画、策定されず 九州豪雨で被害の球磨川―河川計画
----気候変動を踏まえた見直しが求められた河川整備計画。今回九州を襲った大雨で、堤防が複数箇所決壊するなど大きな被害が出た熊本県を流れる球磨川では、まだ計画が策定されていない。
----計画がないまま、河川堤防などの工事は実施されてきた。だが、それぞれの工事は互いに関係し合っているため、国交省の関係者は「早く計画を立てて、水系全体のビジョンを持って整備を進めていきたい」と訴えている。
熊本日日新聞 2020年7月9日 07:11
社説 流域治水 球磨川でも新たな計画を 流域治水 球磨川でも新たな計画を
----1級河川の球磨川水系では、1963年から3年続けて大きな洪水が発生。国は66年、治水目的の「川辺川ダム」建設計画を発表した。しかし流域に賛否もあって事業は進まず、2008年に蒲島郁夫知事が建設反対を決めた。
その後、国、県、流域自治体で「ダムによらない治水」の在り方を協議。川底掘削、堤防かさ上げ、遊水地の整備などを組み合わせた10案が候補に挙がった。だが現在までに決定には至らず、その中で今回の豪雨災害が起きた。
また、球磨川流域では県営市房ダムなど6ダムで事前放流が可能となっていた。だが、豪雨の予測が難しいこともあって現実には実行されず、今後に課題を残した。
国、県、自治体は今後、「流域治水」の考え方も踏まえて球磨川水系の新たな治水プロジェクトを策定すべきだ。その根底には当然、今回の被害の検証がなければならない。
日刊ゲンダイDIGITAL 2020/07/11 06:00 更新日:2020/07/11 07:57
熊本・球磨川水害に専門家提言「ダムではなく流す対策を」
-----その対策ができていれば防げたのでしょうか。
「今回は非常にたくさん雨が降ったので、それで氾濫が防げたかどうかはわかりませんが、流す対策によって確実に氾濫量が減ります。河道がこれ以上広げられないとか深く掘れないとか、堤防も高くできないとなれば、ダムが必要という話になるのでしょうが、日本の河川で流す対策が遅れているところは少なくありません。球磨川には目標年次のない長期計画がありますが、30年の中期計画がつくれていません。熊本県知事が川辺川ダムを中止すると表明してから、いまだに具体的な計画がつくれていないんです。ダムをつくるかどうかにかかわらず、水害を確実に小さくできる河道整備をすすめなければいけないということに変わりはないはず。かりにそれをやっていなかったとしたら問題ですし、地元の声をきちんと受け止めて、必要な対策をとってもらいたいと思います」
八ッ場あしたの会
2020年7月9日事務局だより
球磨川水害の背景に川辺川ダム計画
----7月4日の熊本豪雨によって発生した球磨川水害を受けて、国の川辺川ダム計画をめぐる議論が再燃することになりそうです。
----国土交通省九州地方整備局は、「ダムによらない治水」を協議する場を設けたものの、川辺ダムなしでは成り立たない枠組みで協議が行われたため、ダムの代替案は法外に高額であったり、年月がかかる非現実的な治水対策しか提示されず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されぬまま10数年が経過しました。
<参考>
国土交通省九州地方整備局
八代河川国道事務所 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/
河川整備基本方針・河川整備計画について
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/kumagawa_kasen/kihon_seibi.html
球磨川水系河川整備基本方針本文[PDF:740KB]
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/honbun.pdf
球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
以下参考
熊本日日新聞 2020年7月9日 07:11
社説 流域治水 球磨川でも新たな計画を 流域治水 球磨川でも新たな計画を
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1518004/
西日本新聞 2020/7/12 6:00
決壊仕組みに4パターン目「パイピング」 球磨川の堤防、13日に調査
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/625426/
時事通信 2020年07月10日07時15分
整備計画、策定されず 九州豪雨で被害の球磨川―河川計画
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070900929&g=eco
西日本新聞 2020/7/5 6:00 (2020/7/5 13:39 更新)
球磨川は急峻な山縫う暴れ川 1965年には家屋1281戸が損壊・流失
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/623138/
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日刊ゲンダイDIGITAL 2020/07/11 06:00 更新日:2020/07/11 07:57
熊本・球磨川水害に専門家提言「ダムではなく流す対策を」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/275744
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国土交通省九州地方整備局
八代河川国道事務所 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/
河川整備基本方針・河川整備計画について
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/kumagawa_kasen/kihon_seibi.html
球磨川水系河川整備基本方針本文[PDF:740KB]
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/honbun.pdf
球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
球磨川治水対策協議会
第9回 令和元年6月7日開催
【議事次第、 資料1、 資料2、 資料3、 資料4、 資料5、 資料6、 参考資料、 意見書1 2】
整備局長・知事・市町村長会議 開催資料 [PDFファイル]
第4回 令和元年 11月13日開催
【議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7、資料8、参考資料1、参考資料2、要請書】
******************************
八ッ場あしたの会
2020年7月9日事務局だより
球磨川水害の背景に川辺川ダム計画
https://yamba-net.org/52092/
7月4日の熊本豪雨によって発生した球磨川水害を受けて、国の川辺川ダム計画をめぐる議論が再燃することになりそうです。
球磨川の支流である川辺川に計画された川辺川ダムは、1966年に発表された国のダム事業です。
この問題について、全国のダム問題に取り組む市民運動の嶋津暉之さん(水源開発問題全国連絡会共同代表、元東京都環境科学研究所研究員)のコメントと、地元紙(熊本日日新聞)の記事を紹介します。
右写真=球磨川の治水基準地点のある人吉市、人吉城址付近の球磨川。2018年7月撮影。
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★現時点でのコメント(嶋津暉之)
今回の球磨川の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、特定多目的ダム法に基づく廃止手続きがとられていない川辺川ダム計画の存在が根底にあります。川辺川ダム計画があるため、球磨川では現実的な治水対策である全面的な河床掘削という手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。
川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画(*1)は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
(*1 河川整備計画・・・水系ごとに今後20~30年後の河川整備の目標や具体的な実施内容を定めるもので、ダム計画がある場合はその上位計画になる。)
河川整備計画は、河川管理者が水系ごとに長期的な方針を定める河川整備基本方針に沿って策定されることになっています。
球磨川の河川整備基本方針は、2007年に国土交通省によって策定されました。この基本方針では、人吉地点の基本高水流量(*2)を7000㎥/秒、計画高水流量(*3)を4000㎥/秒と定めました。
(*2 基本高水流量・・・長期的な洪水対策の目標として想定する最大規模の雨が降って、洪水調節施設がない場合に発生する最大流量で、球磨川の場合は1/80の降雨規模が想定されている。)
(*3 計画高水流量・・・堤防整備や河床掘削などの河川改修によって確保する流下能力の目標値。基本高水流量と計画高水流量との差はダムや調節池などでカットすることが必要となる。)
★「球磨川水系河川整備基本方針」 10ページ
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/pdf/kumagawa101-1.pdf
球磨川の重要な治水対策は、河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、河床を掘削すると軟岩が露出するという理由(*4)で、人吉地点の計画高水流量は4000㎥/秒に据え置かれました。
軟岩の露出については対応策があるのですが、川辺川ダム建設を必要とする理由をつくりだすために計画高水流量の恣意的な設定が行われました。
(*4「軟岩の露出」と計画高水流量の問題について、詳しい説明はこちらをご参照ください。)
河川整備計画は通常は河川整備基本方針の長期的な目標よりは小さい規模の洪水を想定して、基本方針の数字の範囲内で策定されます。河川整備基本方針で定められた人吉地点の基本高水流量は7000㎥/秒、計画高水流量は4000㎥/秒ですから、河川整備計画で想定する洪水流量(目標流量)は7000㎥/秒以下、そのうち、河道で対応する流量(河道目標流量)は4000㎥/秒以下の数字になります。
今後20~30年の整備を定める河川整備計画の目標流量は、長期的な目標流量である基本高水流量7000㎥/秒より小さい数字になりますので、5500~6000㎥/秒になるとしても、河道目標流量は4000㎥/秒より大きくできませんので、その差1500~2000㎥/秒を埋める洪水調節の手段がなければなりません。そのような手段は川辺川ダム以外にありません。
このため、国土交通省九州地方整備局は、「ダムによらない治水」を協議する場を設けたものの、川辺ダムなしでは成り立たない枠組みで協議が行われたため、ダムの代替案は法外に高額であったり、年月がかかる非現実的な治水対策しか提示されず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されぬまま10数年が経過しました。
【参考ページ】
国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所HP
「球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場」
川辺川ダムなしの河川整備計画をつくるためには、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。
なお、今回の球磨川氾濫について、国土交通省の観測データを現在、私の方で検討しています。ある程度まとまりましたら、あとでお送りしますが、未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。
また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。
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◆2020年7月8日 熊本日日新聞
https://this.kiji.is/653475971650962529?c=39546741839462401
水源連
水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです
川辺川ダムの情報
http://suigenren.jp/news/category/daminformation/kawabegawadam/
球磨川水系河川整備基本方針の策定において川辺川ダム阻止のために市民側が提出した11通の意見書
2020年7月11日
http://suigenren.jp/news/2020/07/11/13370/
今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム計画を復活せよという声が出ています。
これから国土交通省が川辺川ダム計画の復活に向けて水面下で動いていくことが予想されます。
悪夢がよみがえっていく思いですが、私たちは川辺川ダム阻止のためにたたかってきた過去の経過を振り返って頑張らなければなりません。
川辺川ダム事業は政府の方針として2009年に中止の判断がされました。それは川辺川ダム反対の声が熊本県内外で大きく広がってきたからです。
しかし、川辺川ダムは毎年度予算がついており、ダム事業としては生き残っています。川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
球磨川の重要な治水対策は河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では川辺川ダム建設のベースをつくるため、科学的な根拠なしに人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)を4000㎥/秒に据え置きました。
河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。
河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されないまま、十数年経過してきました。
川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
この球磨川水系河川整備基本方針の策定において私たちは川辺川ダムを必要としないものにするべく、懸命の取り組みをしましたので、その経過を述べておきます。
球磨川水系河川整備基本方針の策定に関して国土交通省で2006年4月から2007年3月まで延べ11回の河川整備基本方針小委員会が開かれました。https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/kuma_index.html
一つの水系で11回も委員会が開かれたのは異例なことです。通常は1~2回です。
それは当時の熊本県知事、潮谷義子知事が川辺川ダムが河川整備基本方針で位置づけられないように頑張られたからです。
潮谷知事は2006年の途中で事故で骨折されましたが、車いすで毎回委員会にかけつけました。
委員会の数十名いる委員の中でダム懐疑派は潮谷知事だけで、委員会の中でたった一人の闘いでした。
私たち市民側は潮谷知事を支援すべく、委員会に毎回、意見書を提出し、傍聴席で審議を見守りました。
審議終了後に委員会の会議室がある階のエレベーターホールで市民側は潮谷知事を迎え、労をねぎらいました。知事からも傍聴と意見書へのお礼の言葉がありました。
市民側が提出した意見書は次の通りです。それぞれ長文ですが、興味がある方はお読みいただければと思います。
2006年4月13日球磨川委員会への意見書(その1)(基本的なことについて)
2006年5月10日球磨川委員会への意見書(その2)(基本高水流量問題)
2006年6月6日球磨川委員会への意見書(その3)(基本高水流量問題)
2006年7月19日球磨川委員会への意見書(その4)(基本高水流量問題)
2006年8月10日球磨川委員会への意見書(その5)(基本高水流量問題)
2006年9月6日球磨川委員会への意見書(その6)(基本高水流量問題)
2006年10月19日球磨川委員会への意見書(その7)(計画高水流量問題)
2006年11月15日球磨川委員会への意見書(その8)(計画高水流量問題)
2006年12月25日球磨川委員会への意見書(その9)(計画高水流量問題と、ダムの弊害)
2007年2月14日球磨川委員会への意見書(その10)(穴あきダム問題)
2007年3月23日球磨川委員会への意見書(その11)(穴あきダム問題と、ダムの弊害)
球磨川水系河川整備基本方針は、潮谷知事の懸命の取り組み、そして、私たちの精一杯の活動があったものの、私たちが望むものにはなりませんでしたが、
川辺川ダム阻止のためにたたかってきたこの過去の経過を振り返って私たちはこれから頑張らなければなりません。
「国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍」という朝日新聞の記事
2020年7月10日
http://suigenren.jp/news/category/daminformation/kawabegawadam/
国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍
(朝日新聞2020年7月9日 21時47分)https://digital.asahi.com/articles/ASN796T5RN79TIPE023.html?iref=pc_ss_date
川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象
2020年7月9日
http://suigenren.jp/news/2020/07/09/13344/
今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム是非の議論が再燃することになりそうです。その記事を掲載します。
国土交通省はこの際にと、川辺川ダム計画の再登場を目論んでいると思います。
今回の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、まだ生き残っている川辺川ダム計画の存在が根底にあります。
川辺川ダム計画の存在が根底にあるから、現実的な治水対策である全面的な河床掘削の手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。
川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。
球磨川の重要な治水対策は河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では河床を掘削すると、軟岩が露出するという理由をつけて、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)が4000㎥/秒に据え置かれました。軟岩の露出については対応策があるにもかかわらず、当時は川辺川ダム建設の理由をつくるため、そのように恣意的な計画高水流量の設定が行われました。
河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。
河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は策定されないまま、10年以上経過してきました。
川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。
河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。
なお。今回の球磨川氾濫について国土交通省の観測データを現在、嶋津の方で検討しています。或る程度まとまりましたら、あとでお送りしますが、
未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。
また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。
なお、球磨川水系河川整備基本方針が策定された後の2007年11月に水源連は意見書「球磨川水系河川整備基本方針における基本高水流量と計画高水流量の問題点(主に人吉地点について)」基本高水流量と計画高水流量の問題点 球磨川を国土交通省に提出しました。
その中で上記の恣意的な計画高水流量の設定の問題を球磨川水系河川整備基本方針における計画高水流量の虚構 2007年
の通り、指摘しましたので、お読みいただければと思います。
川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象
(熊本日日新聞2020/7/8 15:00) https://www.47news.jp/localnews/4991834.html
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【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】インタビュー記事(1)~(6)
2019年9月23日
http://suigenren.jp/news/2019/09/23/12308/
民主党政権が球磨川流域の川辺川ダム計画の中止を表明して丸10年になります。熊本日日新聞の連載のインタビュー記事(1)~(6)を掲載します。
(1)中止を表明した当時の前原誠司国土交通大臣
(2)和田拓也・五木村長
(3)流域郡市民の会・木本雅己・事務局長
(4)九州地方整備局 浦山洋一・河川調査官
(5)松岡隼人・人吉市長
(6)蒲島郁夫・熊本県知事
2009年9月当時、前原国交大臣は八ッ場ダムの中止と全国の143ダムの見直しも明言しましたが、その見直しを河川官僚に丸投げしたため、八ッ場ダムをはじめ、問題ダム事業がダム検証の結果、推進となりました。
また、記事の中で、「「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」(ダム中止法案)を打ち出した」とありますが、この法案は前原氏が主導したものではありません。
民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」(会長:川内博史衆議院議員)が2011年9月に「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」(仮称)を発表し、その後、この法案をベースにしてつくられた「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」が2012年3月に閣議決定され、国会に上程されました。しかし、審議されないまま廃案になりました。
蒲島氏は来年春の熊本県知事選で4選の出馬をすることになっています。
蒲島氏は2008年9月に川辺川ダムの白紙撤回を表明しましたが、彼自身は脱ダム派でもなく、ダム懐疑派でもありません。
必要性がない県営・路木ダム(天草市)の建設を強引に進め、県営の荒瀬ダムについても潮谷義子・前知事が決めた撤去方針を一度は撤回しようとしました。
また、電源開発の瀬戸石ダムも荒瀬ダムと同様に流域住民が撤去を熱望しているにもかかわらず、その水利権の更新に何の条件も付けずに同意しました。
さらに、問題ダム事業である国交省・立野ダム事業(阿蘇村)を推進する側に立ちました。
川辺川ダムについても蒲島氏のシナリオは東京で開いた有識者会議の結果(8人の委員のうち、5人がダム推進)に沿って、「苦渋の選択でダム推進」というものであったと思いますが、
知事が見解を述べる前に、人吉市長と相良村長が白紙撤回を表明したことにより、蒲島氏も白紙撤回を表明せざるを得なくなったと想像されます。
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(6)蒲島郁夫知事 結論急がず、対立の歴史解消
(熊本日日新聞2019年9月23日 10:09) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1197594/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(5)代替治水案 丁寧に議論 松岡隼人・人吉市長
(熊本日日新聞2019年9月22日 06:16)https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1195485/
川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(4)全ての治水策、検討段階 国土交通省九州地方整備局 浦山洋一・河川調査官
(熊本日日新聞2019年9月21日 09:3)7 https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1194951/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(3)清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 木本雅己・事務局長 住民の声聞く努力を
(熊本日日新聞2019年9月19日 09:13) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1192252/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(2)和田拓也・五木村長 村再建へ厳しさ続く
(熊本日日新聞2019年9月18日 09:38) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1190903/
【川辺川ダム計画の今 中止表明から10年】(1)前原誠司元国交相 再度建設方針、あり得る
(熊本日日新聞2019年9月17日 09:44) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1189804/
「川辺川ダム」残る名称 進まぬ手続き、復活警戒も 国交相・計画中止表明10年
2019年9月16日
http://suigenren.jp/news/2019/09/16/12279/
川辺川ダム問題についての記事を掲載します。
2009年に当時の前原誠司国交大臣が川辺川ダムの中止を表明したものの、その後、川辺川ダムなしの河川整備計画の策定が進まず、いまだに川辺川ダム基本計画は廃止されていません。
国交省は長期的に川辺川ダム建設事業の復活を企図しているように思われます。
「川辺川ダム」残る名称 進まぬ手続き、復活警戒も 国交相・計画中止表明10年
(熊本日日新聞2019年9月16日) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1189100/
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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