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2018-08-19(Sun)

日本貨物航空 再発防止策 ずさんな事故処理巡り

「不適切整備」で処分 史上初、「連続式耐空証明」取り消し

事故の報告を怠るなどして国から事業改善命令を受けていた日本貨物航空が、再発防止策をまとめ国交省に提出した。

日本貨物航空は、去年から2度にわたり、機体が大きく損傷する事故を起こしていたのに国への報告を怠り、
そのうえ、機体の整備記録には改ざんが複数見つかった。航空法に違反する悪質なものだ。

そのため、国土交通省は先月20日、事業・業務改善命令を下し、「連続式耐空証明」を取り消した。
「連続式耐空証明」は、飛行に必要な検査を毎年受けなくてよいというもので、取り消しは国内の航空会社では初めてだった。

再発防止策は、運航する11機のうち3機の退役や、全日本空輸から整備担当者らの追加派遣を受けるなど整備体制を強化するようだ。

しかし、日本貨物航空の発表文書を読んで、突っ込み不足を感じる。

安全運航を担う整備部門が人員不足で、必要な整備ができなかったのはなぜか、
人員不足で必要な整備ができるはずがないわけで、人員補充せずに整備していたこと自体が安全軽視だ。

経営者の安全意識とコンプライアンス意識の徹底について、「実行動として定着させる施策がなされなかった」
違反事例の共有が「全社で行われず、全社員への情報共有、意見聴取が行われなかった」
などと分析しているが、なぜ、それがなされなかったのか。さらに深く分析すべきではないか。

いずれにしても、国交省には、安全運航が確保できるまで厳しく監視してもらいたい。




以下参考

日本貨物航空HP
2018年ニュース&トピックス  2018年8月17日
事業改善命令及び業務改善命令に対する改善措置の提出について
http://www.nca.aero/news/2018/news_20180817.html
日本貨物航空株式会社は、本年7月20日に国土交通大臣から受領した「航空輸送の安全の確保に関する事業改善命令及び業務改善命令」(国官参事第390号、国空機第404号)に対し、背景や問題点・要因を分析の上、本日改善措置を国土交通大臣に提出致しました。
今回の行政処分を受けるに至ったことは、航空運送事業に対する信頼を失墜させ、また、関係する皆様に多大なるご迷惑をお掛けするところとなり、深くお詫び申し上げます。このような事態を二度と引き起こすことのないよう社長以下、全ての役職員が一丸となり「一から再生」する気持ちで、法令・規程類の遵守と安全意識の再徹底をはじめとした改善策を確実に実行して参ります。
なお、弊社機材につきましては全11機中2機が運航再開しており、残り9機は機体の健全性を確認し耐空検査を受検後、順次復帰予定です。
本日提出の主な内容及び役職員の処分等については、下記のとおりです。

1. 主な問題点と要因
社内調査委員会による調査、及び第三者の立場から監査を依頼した全日本空輸株式会社(以下ANA)による検証等を受けて、今回の行政処分に至った背景や問題点を以下のとおり分析した。
(1) 整備部門の背景要因に対する対策不足
2007年7月の自社整備体制確立後、ボーイング747-400Fを運航していたが、2012年よりボーイング747-8Fを順次導入したため、1機種に比べ整備業務量が増加した。また機数についても、2011年度に比べ2016年度は約1.6倍の機数を運航していたにもかかわらず、整備部門の人員数は、微増にとどまっていた。結果として、運航規模に比べ整備部門の人員数が徐々に不足していった。
(2) 整備現業部門へのサポート不足
このような業務量増加のため、整備部門のマネジメント層・スタッフ部門が整備現業部門を組織的に十分サポートできなくなり、整備現業部門からの信頼低下、独自判断・解釈を行う環境が醸成された。そのような中、経験・知識を有する者の権威が高まり、経験者への意見が言えない組織風土が生まれ、その結果として整備記録の改ざん、隠ぺいにつながった。
(3) 不十分な厳重注意の対策
2016年10月に国土交通省から厳重注意を受けた事例の対策が効果的に機能しなかった原因は、問題発生の背景把握もふまえた対策が適切に行われなかったことが挙げられる。特に役職員の安全意識とコンプライアンス意識の徹底について、知識付与にとどまりそれを個々の実行動として定着させるための施策がなされなかったこと、また厳重注意に至った事象について個人が特定されることを過度に恐れたことから具体的な事例共有が全社で行われず、全社員への情報共有、意見聴収が行われなかったことが考えられる。
2. 主な改善措置
(1) 整備部門の背景要因に対する対策
(a) 人員規模に見合った運航規模への見直しを図る。また、ボーイング747-8Fへの1機種化による整備を含む生産体制に見合った運航規模に見直す。
(b) 本年3月にANAと契約締結した「戦略的業務提携」に基づき、2018年4月よりANAから5名の人的支援を受け、整備スタッフ部門及び整備現業部門の強化を図った。更に2018年9月1日よりANAから3名の人的支援を受け、品質保証部門、技術部門、現業部門のマネジメントの強化を図ることで、整備グループ全体の組織強化も図る。
(2) 整備現業部門へのサポート不足に対する対策
(a) 整備間接部門である技術管理、生産管理、品質管理の担当者各1名を整備現業部門に常駐させ、それぞれの機能面からのサポート体制を強化する。
(b) 成田以外の空港の整備サポートのため、運航便が多い時間帯について、MOC(※)の責任者を現行1名から2名に増員する。
※ Maintenance Operation Center: 24時間体制で整備支援を行う部門
(3) 厳重注意の対策が効果を発揮しなかったことへの対策
(a) 今回の不適切な整備と整備記録の改ざん、隠ぺいの内容を全社で共有し、各部門でグループディスカッションを行い全社での情報共有及び意見収集を行う。
(b) 社長及び安全統括管理者による全部署との直接的な対話の機会を設定し、安全意識及びコンプライアンス意識の醸成を図る。
(c) 全役職員及び階層別に対して、安全意識及びコンプライアンス意識に関する教育を実施する。また、それらを定着させるために、マネジメント層による日常的なモニターや指導を実施するとともに、社外有識者等による各職場の状況確認及びディスカッションの機会を設定する。
(4) 耐空証明の有効期間の変更への対応
耐空証明更新受検を確実に実施する体制を構築し、全機の耐空検査受検(連続式から有効期間1年への変更)を速やかに実施する。
(5) 航空機構造修理の委託体制
自社航空機における機体構造に関する整備作業への対応は、自社における体制の再構築が完了するまで、香港の整備会社(HAECO)及び台湾の整備会社(EGAT)による委託体制を継続するとともに今後は、迅速性の観点よりANAの支援を受ける予定である。
3. 今後の進め方
これらの改善措置は、取り組み実施後の評価及び現在継続中の社内調査委員会による最終的な調査結果等に基づき、内容の見直しを適宜行い、安全文化の更なる定着及び安全管理システムの継続的な改善に取り組んでいく。
4. 役職員への処分等の予定
(1) 役員
(a) 減給処分
代表取締役社長    大鹿 仁史 30%減給 (本年9月より3か月間)
代表取締役専務取締役 佐髙 圭太 30%減給 (本年9月より3か月間)
(b) 退任
整備担当執行役員   松田 喜代治     (本年8月末日付け)
(2) 社員
対象社員について懲戒規程に則り厳正に対応
お問い合わせ先:総務部 0476-30-3946

****************************

日本貨物航空株式会社に対する事業改善命令及び業務改善命令について
平成30年7月20日
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000125.html
日本貨物航空株式会社が運航する航空機について、整備を委託していた整備会社より、航空機構造の損傷に対する不適切な整備が実施された事実が報告され、また、国土交通省から類似事例の確認等を同社に指示した結果、他にも不適切な事実が確認された旨同社から報告がありました。
 これらの報告された事実を受け、平成30年5月22日から同月24日まで、同月29日から同月31日まで、6月4日及び6月6日に航空法第134条に基づく立入検査を実施しました。
 また、同社から航空機の構造修理以外の過去の整備記録を確認した結果、不適切な整備記録が確認されたと報告がありました。
 上記に関しては、同法第104条第1項に基づく整備規程及び同法第20条第2項に基づく業務規程等に基づかない不適切な整備が実施されたこと並びに整備記録を改ざんしていたことなどが判明しました。
 これらは、航空の安全に影響を及ぼす重大な違反行為であるとともに、自らが問題点を調査し原因を究明した上で、適切に再発防止策を講じるという安全管理システムが十分に機能しておらず、現行の整備体制下においては、航空機の運航の継続的な安全性が確保されないおそれがあると認められることから、本日、同社に対して、同法第112条及び同法第20条第5項の規定に基づき、事業改善命令及び業務改善命令を行いました。
(事業改善命令及び業務改善命令において指示した内容)
1.安全意識の再徹底及びコンプライアンス教育の実施
2.安全管理体制の適切な整備
3.整備記録の適切な記録
4.航空機構造に係る適切な整備の実施
5.航空事故に該当する可能性のある損傷に関する適切な処置
6.航空機の健全性の確認(耐空証明の有効期間の変更)
7.当面の間、構造に係る整備等を行わないこと
 航空局としては、同社において再発防止が確実に図られ安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き厳格に指導監督を行って参ります。
添付資料
プレスリリース(PDF形式:117KB)
http://www.mlit.go.jp/common/001246070.pdf
改善命令文書(PDF形式:138KB)
http://www.mlit.go.jp/common/001246071.pdf

お問い合わせ先
(1)事業改善命令について(航空局 安全部 航空事業安全室) 
TEL:03-5253-8111 直通 03-5253-8731 FAX:03-5253-1661
(2)業務改善命令について(航空局 安全部 航空機安全課) 
TEL:03-5253-8111 直通 03-5253-8960 FAX:03-5253-1661

*********************************

テレ朝news (2018/08/17 17:55)
ずさんな事故処理巡り日本貨物航空が再発防止策
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000134308.html

時事通信(2018/08/17-18:43)
日本貨物航空、年度内に運航正常化=11月に過半が回復見込み
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018081700906&g=eco

日本経済新聞 2018/8/17 16:28
日本貨物航空、国交省に再発防止策を提出
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3426817017082018X12000/

日本経済新聞 2018/8/18付
日本貨物航空が再発防止策 運航機材を削減 整備人員は拡充
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34303400X10C18A8TJC000/

Lnews 2018年08月17日 
日本貨物航空/改善措置を国土交通大臣に提出、担当役員退任
https://lnews.jp/2018/08/k081702.html

日本経済新聞 2018/8/14 20:30
全日空から整備担当者ら受け入れ 日本貨物航空
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34143700U8A810C1TJ2000/

***************************
東洋経済オンライン 2018/07/21 6:00
懲りない日本貨物航空、「不適切整備」で処分
史上初、「連続式耐空証明」取り消しの衝撃
https://toyokeizai.net/articles/-/230375

日本経済新聞 2018/7/20 19:30
日本貨物航空に改善命令、ずさんさ露呈で顧客流出
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3321913020072018TJC000/

読売新聞 2018年07月21日 08時46分
「安全守る姿勢欠如」…日本貨物航空に改善命令
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180721-OYT1T50010.html

朝日新聞デジタル2018年6月25日18時59分
貨物航空大手の長期休止、物流業界に思わぬ影響
https://digital.asahi.com/articles/ASL6T4QB1L6TULFA00S.html


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