2018-08-23(Thu)
老朽化対策 前例が役に立たない災害が警鐘を鳴らす
地域創生は地域「維持」が基盤だ――維持管理強化は、前向き、地域経済の発展にもつながる
「前例のない」、「今までの経験が役に立たない」と報道される豪雨災害が今年は連続して発生。
中村智彦神戸国際大学教授の「前例が役に立たない災害が警鐘を鳴らす ~ 地域創生は地域「維持」が基盤だ」に同感する。
(yahooニュース7/29付)。
東北地方の自治体幹部職員の言葉
「1960年代から1980年代にかけて建物や道路などの都市インフラを私たちは造り上げてきた。こうしたインフラが老朽化し、適切な維持管理が行われていない場合、今年のような大規模災害が襲うと、深刻な損壊を引き起こし、地方の経済活動にも大きな影響を及ぼす。」
「地方部では、場合によっては第二次大戦前後に作られた建物や鉄道などを抜本的な改修をせずに使い続けている。現在でも、そのことに触れれば、莫大な費用が掛かることが分かっているので、行政も、議会も見て見ぬふりをしている。これらも、いよいよ無視できない深刻な状況になっている。」
傾聴に値する。インフラ老朽化に対し、適切な維持管理が行われていないと大規模災害で深刻な損害を引き起こす、と指摘している。
インフラ老朽化対策は、大規模災害対策でもあるということだ。
そして、今後、インフラの維持管理に膨大な費用が必要になり、行政も議会も見て見ぬふりを続けられないほど深刻化している。
関西のある地方議員の言葉
「オリンピックだ、IRだ、カジノだ、万博だと、新しいものを創る話は明るいし、まだまだ票につながる。今、実際に使っているインフラが危機に瀕していて、そこに修理や維持のお金をつぎ込もうというと、暗い話をするな、未来を語れと批判されてしまう」
まさに、安倍政権が推し進める成長戦略にそった政治の状況を言い当てている。
中村氏が指摘する。
「もう私たちは充分に様々なものを持っているのである。その持っているものを、いかに維持し、便利で安全な生活を維持していくのかを考える段階に来ている。
さらに、そこに資金を投ずることで、インフラの維持や長寿命化などの分野で新たな産業や技術を生み出すことが可能だ。こうした方向性で地域経済の活性化を図ることこそが、今の時代に合致しているのではないか。
時代遅れの派手な宣伝文句に目くらましされて、今、持っている大切なものを失うような愚行を起こすべきではない。私たちが生きているのは、2018年であって、1968年ではないのだ。」と。
まったく同感である。
さらに、中村氏の指摘。
「大規模な自然災害であっても被害を減らす、つまり私たちが持っている大切なインフラを守るために行動すべきだ。それは決して後ろ向きでも、暗い発想でもない。むしろ、前向きであり、地域経済の発展にもつながる方向である。」
「今年のこの自然災害の連続が、私たちに利便性が高く安全な生活が、今、危うい状況にあることの警鐘を鳴らしている。無駄にせず、発想の転換の契機にすべきだ。
新しいインフラを次々建設していった人口増加時代とは異なり、今、手にしている重要なインフラをいかに維持し、そこで必要とされる技術やノウハウを新しい地方の経済発展につなげていくことこそが、人口減少時代の地方創生だ。」と。
中村氏は、インフラ老朽化対策、維持管理を担うべき地方自治体の技術職員が減少している実態も告発している。
「実際には、すでに土木関係職員はこの20年間で大幅に削減され、町村部では土木技術職の職員がほとんどいないという惨状だ。現場に専門知識を持っている人材が少なくなっている結果、ますます負担が重くなると同時に、対応に遅れや支障を引き起こす可能性も捨てきれない」
「普段必要ないからと、どんどん削減しておいて、災害が発生した時には、なにをやっているんだと叱責される。人員削減が進みすぎ、様々な技術やノウハウの伝承などにも問題が発生している現場の困窮具合などを理解してもらえない。」
公共施設等の集約・縮小を施設削減目標の優先、住民合意抜きで推し進めている地方自治体も少なくない。
個別の公共施設の長寿命化計画など早急に住民参加のもとで作成し、維持改修事業など進めるべきだ。
が、肝心かなめの発注者(自治体など)に、技術等が分かる専門家がいなければ絵に描いた餅みたいなことになりかねない。
こうした中村氏の指摘など、政府は真摯に受けとめて具体化、実行してもらいたい。
以下参考
Yahooニュース 2018/7/29(日) 7:00
前例が役に立たない災害が警鐘を鳴らす ~ 地域創生は地域「維持」が基盤だ
中村智彦 | 神戸国際大学経済学部教授
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180729-00091078/
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「前例のない」、「今までの経験が役に立たない」と報道される豪雨災害が今年は連続して発生。
中村智彦神戸国際大学教授の「前例が役に立たない災害が警鐘を鳴らす ~ 地域創生は地域「維持」が基盤だ」に同感する。
(yahooニュース7/29付)。
東北地方の自治体幹部職員の言葉
「1960年代から1980年代にかけて建物や道路などの都市インフラを私たちは造り上げてきた。こうしたインフラが老朽化し、適切な維持管理が行われていない場合、今年のような大規模災害が襲うと、深刻な損壊を引き起こし、地方の経済活動にも大きな影響を及ぼす。」
「地方部では、場合によっては第二次大戦前後に作られた建物や鉄道などを抜本的な改修をせずに使い続けている。現在でも、そのことに触れれば、莫大な費用が掛かることが分かっているので、行政も、議会も見て見ぬふりをしている。これらも、いよいよ無視できない深刻な状況になっている。」
傾聴に値する。インフラ老朽化に対し、適切な維持管理が行われていないと大規模災害で深刻な損害を引き起こす、と指摘している。
インフラ老朽化対策は、大規模災害対策でもあるということだ。
そして、今後、インフラの維持管理に膨大な費用が必要になり、行政も議会も見て見ぬふりを続けられないほど深刻化している。
関西のある地方議員の言葉
「オリンピックだ、IRだ、カジノだ、万博だと、新しいものを創る話は明るいし、まだまだ票につながる。今、実際に使っているインフラが危機に瀕していて、そこに修理や維持のお金をつぎ込もうというと、暗い話をするな、未来を語れと批判されてしまう」
まさに、安倍政権が推し進める成長戦略にそった政治の状況を言い当てている。
中村氏が指摘する。
「もう私たちは充分に様々なものを持っているのである。その持っているものを、いかに維持し、便利で安全な生活を維持していくのかを考える段階に来ている。
さらに、そこに資金を投ずることで、インフラの維持や長寿命化などの分野で新たな産業や技術を生み出すことが可能だ。こうした方向性で地域経済の活性化を図ることこそが、今の時代に合致しているのではないか。
時代遅れの派手な宣伝文句に目くらましされて、今、持っている大切なものを失うような愚行を起こすべきではない。私たちが生きているのは、2018年であって、1968年ではないのだ。」と。
まったく同感である。
さらに、中村氏の指摘。
「大規模な自然災害であっても被害を減らす、つまり私たちが持っている大切なインフラを守るために行動すべきだ。それは決して後ろ向きでも、暗い発想でもない。むしろ、前向きであり、地域経済の発展にもつながる方向である。」
「今年のこの自然災害の連続が、私たちに利便性が高く安全な生活が、今、危うい状況にあることの警鐘を鳴らしている。無駄にせず、発想の転換の契機にすべきだ。
新しいインフラを次々建設していった人口増加時代とは異なり、今、手にしている重要なインフラをいかに維持し、そこで必要とされる技術やノウハウを新しい地方の経済発展につなげていくことこそが、人口減少時代の地方創生だ。」と。
中村氏は、インフラ老朽化対策、維持管理を担うべき地方自治体の技術職員が減少している実態も告発している。
「実際には、すでに土木関係職員はこの20年間で大幅に削減され、町村部では土木技術職の職員がほとんどいないという惨状だ。現場に専門知識を持っている人材が少なくなっている結果、ますます負担が重くなると同時に、対応に遅れや支障を引き起こす可能性も捨てきれない」
「普段必要ないからと、どんどん削減しておいて、災害が発生した時には、なにをやっているんだと叱責される。人員削減が進みすぎ、様々な技術やノウハウの伝承などにも問題が発生している現場の困窮具合などを理解してもらえない。」
公共施設等の集約・縮小を施設削減目標の優先、住民合意抜きで推し進めている地方自治体も少なくない。
個別の公共施設の長寿命化計画など早急に住民参加のもとで作成し、維持改修事業など進めるべきだ。
が、肝心かなめの発注者(自治体など)に、技術等が分かる専門家がいなければ絵に描いた餅みたいなことになりかねない。
こうした中村氏の指摘など、政府は真摯に受けとめて具体化、実行してもらいたい。
以下参考
Yahooニュース 2018/7/29(日) 7:00
前例が役に立たない災害が警鐘を鳴らす ~ 地域創生は地域「維持」が基盤だ
中村智彦 | 神戸国際大学経済学部教授
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180729-00091078/
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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